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この日、東京は今年一番の暑さになりそうだという。<br /><br />こんな日に埼玉県の奥の奥、秩父市の中津川近くに<br />あるニッチツ鉱業の廃墟化した社宅群跡を見に出か<br />けた。<br /><br />西武秩父から秩父鉄道で三峰山口まで行き、2時間<br />に1本の中津川行バスに揺られ、出合(であい)と<br />いうところで降りて、1時間余り山道を歩いてたど<br />り着いた。<br /><br />片道5時間以上の道のりだった。

ニッポン奇界遺産の旅—埼玉県秩父市奥秩父小倉沢ニッチツ鉱業社宅跡

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2017/07/03 - 2017/07/03

350位(同エリア1869件中)

2

64

ハイペリオン

ハイペリオンさん

この日、東京は今年一番の暑さになりそうだという。

こんな日に埼玉県の奥の奥、秩父市の中津川近くに
あるニッチツ鉱業の廃墟化した社宅群跡を見に出か
けた。

西武秩父から秩父鉄道で三峰山口まで行き、2時間
に1本の中津川行バスに揺られ、出合(であい)と
いうところで降りて、1時間余り山道を歩いてたど
り着いた。

片道5時間以上の道のりだった。

同行者
一人旅
交通手段
高速・路線バス 私鉄 徒歩
  • 自宅を出て、西武線を乗り継いで西武秩父駅<br />に到着。<br /><br />西武秩父行きはガラガラだと思っていたらそ<br />こそこ人がいた。<br /><br />東飯能駅を過ぎると民家は見なくなり、山ば<br />かりになった。<br /><br />駅の周囲に集落がある程度で、駅の周りには<br />何もなく、原野が広がっているところもあった。<br /><br />

    自宅を出て、西武線を乗り継いで西武秩父駅
    に到着。

    西武秩父行きはガラガラだと思っていたらそ
    こそこ人がいた。

    東飯能駅を過ぎると民家は見なくなり、山ば
    かりになった。

    駅の周囲に集落がある程度で、駅の周りには
    何もなく、原野が広がっているところもあった。

  • 時間は8時過ぎ。自宅から約1時間半。<br /><br />埼玉でもここまで来るとやっぱり遠いな<br />という印象。<br /><br />しかし、ここから目指す小倉沢はこの倍<br />以上の時間がかかるのだ。<br /><br />明治時代に「秩父事件」という借金苦か<br />ら地元民が反乱を起こした事件があった。<br /><br />現在、一部にパリコミューンの日本版と<br />か、自由民権運動の奔りなどと美化され<br />る向きもあるが、実際は借金苦によって<br />起こされた打ちこわしに近い事件だった。<br /><br />この事件を報じる新聞は秩父という場所<br />がよくわかっておらず、チベットの山岳<br />民のようなよくわからない人たちが住む<br />ようなイメージだったという。<br /><br />確かに、何度かバイクで一般道を通って<br />秩父へ行ったことがあるが、正丸峠を越<br />えるまでは本当に遠いという印象が強か<br />った。<br /><br />明治の満足な交通機関がない時代、険し<br />い峠道を越えていく行程を思うと、異界<br />を訪れるような気になるのも無理はない<br />のかもしれない。

    時間は8時過ぎ。自宅から約1時間半。

    埼玉でもここまで来るとやっぱり遠いな
    という印象。

    しかし、ここから目指す小倉沢はこの倍
    以上の時間がかかるのだ。

    明治時代に「秩父事件」という借金苦か
    ら地元民が反乱を起こした事件があった。

    現在、一部にパリコミューンの日本版と
    か、自由民権運動の奔りなどと美化され
    る向きもあるが、実際は借金苦によって
    起こされた打ちこわしに近い事件だった。

    この事件を報じる新聞は秩父という場所
    がよくわかっておらず、チベットの山岳
    民のようなよくわからない人たちが住む
    ようなイメージだったという。

    確かに、何度かバイクで一般道を通って
    秩父へ行ったことがあるが、正丸峠を越
    えるまでは本当に遠いという印象が強か
    った。

    明治の満足な交通機関がない時代、険し
    い峠道を越えていく行程を思うと、異界
    を訪れるような気になるのも無理はない
    のかもしれない。

  • 西武秩父の駅舎まわりは、ひと昔前に比べて<br />スーパー温泉風の温泉施設なんかができてい<br />て、ずいぶん立派になっていた。<br /><br />しかし、腹が減ったので朝めしでもと思った<br />が、何もない。<br /><br />すき家があったが、こんなとこですき家もなあ。<br /><br />

    西武秩父の駅舎まわりは、ひと昔前に比べて
    スーパー温泉風の温泉施設なんかができてい
    て、ずいぶん立派になっていた。

    しかし、腹が減ったので朝めしでもと思った
    が、何もない。

    すき家があったが、こんなとこですき家もなあ。

  • 遠くに見える山は山肌が削り取られ、はげ上がっ<br />ていた。<br /><br />鉱物資源の採掘途中だろうが、なんとも無残な光<br />景だ。

    遠くに見える山は山肌が削り取られ、はげ上がっ
    ていた。

    鉱物資源の採掘途中だろうが、なんとも無残な光
    景だ。

  • うろうろしていると、秩父鉄道の御花畑駅そばに<br />寺があったので、入ってみることに。

    うろうろしていると、秩父鉄道の御花畑駅そばに
    寺があったので、入ってみることに。

  • とりあえず禊ぎをしてと。

    とりあえず禊ぎをしてと。

  • 旗下山慈眼寺は、奈良時代に東大寺の大仏建立の<br />責任者、行基が建てたとされている。<br /><br />行基は近畿の人だから、こんなところまで彼個人<br />が来たとは思えない。<br /><br />彼は宗教団体を組織していたから、その中の弟子<br />みたいなのが来て建てたのではないか。<br /><br />ぼくの実家近くには行基の指揮によって作られた<br />日本で一、二を争う大きさの巨大なため池がある。<br /><br />中の仏像はいずれも見事だった。<br /><br />ちなみに、眼病が良くなるというご利益があるら<br />しい。<br /><br />老眼が進む今日この頃、せめてその進行を遅らせ<br />ておくれ。<br /><br />5円しか賽銭をあげていないけど、そこらへんよ<br />ろしく。

    旗下山慈眼寺は、奈良時代に東大寺の大仏建立の
    責任者、行基が建てたとされている。

    行基は近畿の人だから、こんなところまで彼個人
    が来たとは思えない。

    彼は宗教団体を組織していたから、その中の弟子
    みたいなのが来て建てたのではないか。

    ぼくの実家近くには行基の指揮によって作られた
    日本で一、二を争う大きさの巨大なため池がある。

    中の仏像はいずれも見事だった。

    ちなみに、眼病が良くなるというご利益があるら
    しい。

    老眼が進む今日この頃、せめてその進行を遅らせ
    ておくれ。

    5円しか賽銭をあげていないけど、そこらへんよ
    ろしく。

  • 寺は保育園も運営していて、横の建物からは子ども<br />たちのはしゃぐ声が聞こえてきた。<br /><br />子どもを乗せたワンボックスカーが何台も横付けさ<br />れ、車から子供が降りてきた。<br /><br />境内ではいわゆるママ友という女たちがくっちゃべ<br />っている。<br /><br />よくそんなにだらだらとしゃべってられるよなあ。<br /><br />寺を出て、御花畑駅の改札のところに立ち食いそば<br />があったので、きつねそばを一杯。<br /><br />ただの立ち食いなのだが、なぜかうまい。こういう<br />風に作れないか、狭山そば。<br />

    寺は保育園も運営していて、横の建物からは子ども
    たちのはしゃぐ声が聞こえてきた。

    子どもを乗せたワンボックスカーが何台も横付けさ
    れ、車から子供が降りてきた。

    境内ではいわゆるママ友という女たちがくっちゃべ
    っている。

    よくそんなにだらだらとしゃべってられるよなあ。

    寺を出て、御花畑駅の改札のところに立ち食いそば
    があったので、きつねそばを一杯。

    ただの立ち食いなのだが、なぜかうまい。こういう
    風に作れないか、狭山そば。

  • 駅周辺には特に見るべきところもないので、秩父鉄<br />道の電車に乗って、三峰口まで行くことにした。<br /><br />車両は「これ、ちゃんと掃除してんの?」といいた<br />くなるような、ほこりをかぶったような小汚いもの<br />だった。<br /><br />乗客はほとんど観光客、それも登山の格好をした<br />人ばかりで、通勤客らしい人はいなかった。<br /><br />三峰口まで集落がぽつんぽつんとあるだけだから、<br />乗る人もいないのだろう。<br /><br />

    駅周辺には特に見るべきところもないので、秩父鉄
    道の電車に乗って、三峰口まで行くことにした。

    車両は「これ、ちゃんと掃除してんの?」といいた
    くなるような、ほこりをかぶったような小汚いもの
    だった。

    乗客はほとんど観光客、それも登山の格好をした
    人ばかりで、通勤客らしい人はいなかった。

    三峰口まで集落がぽつんぽつんとあるだけだから、
    乗る人もいないのだろう。

  • 終点で降りたのは数人。普通の服装をしているのは<br />ぼくだけで、ほかの人たちは登山の格好をしていた。

    終点で降りたのは数人。普通の服装をしているのは
    ぼくだけで、ほかの人たちは登山の格好をしていた。

  • 三峰口駅の正面に西武のバス乗り場があり、<br />ここから中津川行きに乗って出合(であい)<br />というところまで行く。<br /><br />そこから集落跡のある小倉沢までは徒歩だ。<br /><br />

    三峰口駅の正面に西武のバス乗り場があり、
    ここから中津川行きに乗って出合(であい)
    というところまで行く。

    そこから集落跡のある小倉沢までは徒歩だ。

  • バス停にある地図を見ると出合から小倉沢ま<br />でのほうが、終点の中津川まで行くより距離<br />はありそうだ。<br /><br />

    バス停にある地図を見ると出合から小倉沢ま
    でのほうが、終点の中津川まで行くより距離
    はありそうだ。

  • 9時20分のバスに乗ったのはぼくを含めて4<br />人だけ。<br /><br />登山スタイルのおばちゃん2人と若者ひとり。<br /><br />この3人は、三峰山の登山口で降りて行った。<br />その後は運転手とぼくのふたりっきりである。<br /><br />周囲はこのような深い森林が続き、その中を<br />縫って国道140号線が山梨まで続いている。<br />集落はほとんどなかった。<br /><br />このバスは、滝沢ダムのところから始まる県<br />道210号線を走り、出合で中津川に行く。<br /><br />この路線はバス停でなくても手を挙げれば止<br />まってくれることになっている。<br /><br />登山客や彩の国ふれあいの森でハイキングや<br />キャンプをする人たちのために運行している<br />バスのようだ。<br /><br />中津川から中津川林道を走れば、三国峠を越<br />えて長野県となる。<br /><br />滝沢ダムは巨大なダムで、初めて見るとその<br />威容に圧倒されてしまう。<br /><br />ダム湖は6~7割の貯水率で、地肌がかなり<br />露出していた。<br /><br />数日後の報道で、やはり滝沢ダムの貯水率が<br />例年の6割程度しかなく、取水制限が採られ<br />ると報じていた。<br /><br />

    9時20分のバスに乗ったのはぼくを含めて4
    人だけ。

    登山スタイルのおばちゃん2人と若者ひとり。

    この3人は、三峰山の登山口で降りて行った。
    その後は運転手とぼくのふたりっきりである。

    周囲はこのような深い森林が続き、その中を
    縫って国道140号線が山梨まで続いている。
    集落はほとんどなかった。

    このバスは、滝沢ダムのところから始まる県
    道210号線を走り、出合で中津川に行く。

    この路線はバス停でなくても手を挙げれば止
    まってくれることになっている。

    登山客や彩の国ふれあいの森でハイキングや
    キャンプをする人たちのために運行している
    バスのようだ。

    中津川から中津川林道を走れば、三国峠を越
    えて長野県となる。

    滝沢ダムは巨大なダムで、初めて見るとその
    威容に圧倒されてしまう。

    ダム湖は6~7割の貯水率で、地肌がかなり
    露出していた。

    数日後の報道で、やはり滝沢ダムの貯水率が
    例年の6割程度しかなく、取水制限が採られ
    ると報じていた。

  • バスに乗って1時間余り、この長い持桶トンネ<br />ルを通利抜けたところに出合がある。

    バスに乗って1時間余り、この長い持桶トンネ
    ルを通利抜けたところに出合がある。

  • 大黒橋を渡ればすぐそこ。

    大黒橋を渡ればすぐそこ。

  • 出合に到着。<br /><br />集落も何もない川べりの三差路だった。

    出合に到着。

    集落も何もない川べりの三差路だった。

  • バスは三国峠方面へ、ぼくは県道210号線を<br />ひとりで歩く。<br /><br />中津川林道を走って三国峠を越えれば長野<br />県の川上村にたどり着く。<br /><br />川上村には、川上牧丘林道という日本一高<br />いところを走る林道がある。<br /><br />中津川林道は、ぼくがオフロードバイクに<br />乗っていた30年ほど前は埼玉側は舗装され<br />ていたが、長野県側は未舗装だった。<br /><br />当時は夜に家を出て、中津川林道の入口で<br />野宿をし、夜明けにこのあたりの林道を走<br />り回ったものだ。<br /><br />土日の林道は、バイクや4WDがけっこう<br />走っていて、危ないことが多かった。<br /><br />しかし、早朝はほとんど誰にも会うことな<br />く、好き勝手に走れた。<br />

    バスは三国峠方面へ、ぼくは県道210号線を
    ひとりで歩く。

    中津川林道を走って三国峠を越えれば長野
    県の川上村にたどり着く。

    川上村には、川上牧丘林道という日本一高
    いところを走る林道がある。

    中津川林道は、ぼくがオフロードバイクに
    乗っていた30年ほど前は埼玉側は舗装され
    ていたが、長野県側は未舗装だった。

    当時は夜に家を出て、中津川林道の入口で
    野宿をし、夜明けにこのあたりの林道を走
    り回ったものだ。

    土日の林道は、バイクや4WDがけっこう
    走っていて、危ないことが多かった。

    しかし、早朝はほとんど誰にも会うことな
    く、好き勝手に走れた。

  • 現在10時20分。<br /><br />さてここから小倉沢まで歩くわけだが、どれく<br />らいかかるのか、全く見当がつかない。<br /><br />三峰山口行きのバスが来るのが14時過ぎなので、<br />それまでに帰ってこなければならないが、さす<br />がに往復4時間ということはないだろう。

    現在10時20分。

    さてここから小倉沢まで歩くわけだが、どれく
    らいかかるのか、全く見当がつかない。

    三峰山口行きのバスが来るのが14時過ぎなので、
    それまでに帰ってこなければならないが、さす
    がに往復4時間ということはないだろう。

  • 見下ろすと、勢いよく川が流れていた。<br /><br />「清流」という呼び名がぴったりの、遠くか<br />らでも川底まで見えるきれいな水だった。<br /><br />男が一人で砂金採りをしていた。今も採れる<br />のだろうか。

    見下ろすと、勢いよく川が流れていた。

    「清流」という呼び名がぴったりの、遠くか
    らでも川底まで見えるきれいな水だった。

    男が一人で砂金採りをしていた。今も採れる
    のだろうか。

  • 山肌をくりぬいたトンネルをくぐると県道が始<br />まる。<br /><br />壁や路面がしっとりと濡れていて少し涼しい。

    山肌をくりぬいたトンネルをくぐると県道が始
    まる。

    壁や路面がしっとりと濡れていて少し涼しい。

  • 1車線の山道で、ずっと登りが続く。正直、けっ<br />こうきつい。<br /><br />ここを何時間歩くのだろう。ただ、標高600メー<br />トル余りの山の中なので、めちゃくちゃ暑いこと<br />もないのが助かる。<br /><br />このせまい道を、数分に一度くらいの割合で、大<br />型車が行き交っていた。<br /><br />カーブになると内輪差でガードレールをこすりそ<br />うなほどだ。運転手はかなり注意深い運転でゆっ<br />くゆっくりカーブを曲がっていた。<br /><br />この先はニッチツの現場しかないから、その関係<br />の車なのだろう。<br /><br />

    1車線の山道で、ずっと登りが続く。正直、けっ
    こうきつい。

    ここを何時間歩くのだろう。ただ、標高600メー
    トル余りの山の中なので、めちゃくちゃ暑いこと
    もないのが助かる。

    このせまい道を、数分に一度くらいの割合で、大
    型車が行き交っていた。

    カーブになると内輪差でガードレールをこすりそ
    うなほどだ。運転手はかなり注意深い運転でゆっ
    くゆっくりカーブを曲がっていた。

    この先はニッチツの現場しかないから、その関係
    の車なのだろう。

  • 崩落を防止する壁面や石垣には苔がびっしりと張り<br />付いていた。<br /><br />山全体から染み出した水がこのような壁を伝い、沢<br />に流れ込み、やがて神流川という川になり、そして<br />荒川へと流れ込み大きな河川を作り上げている。<br /><br />幼いころは川というと、山のどこかで水がボコボコ<br />と湧き、それが流れて川になるのだろうと想像して<br />いたが、このような光景を見ると、山全体が川作っ<br />ているのだとを実感としてわかる。

    崩落を防止する壁面や石垣には苔がびっしりと張り
    付いていた。

    山全体から染み出した水がこのような壁を伝い、沢
    に流れ込み、やがて神流川という川になり、そして
    荒川へと流れ込み大きな河川を作り上げている。

    幼いころは川というと、山のどこかで水がボコボコ
    と湧き、それが流れて川になるのだろうと想像して
    いたが、このような光景を見ると、山全体が川作っ
    ているのだとを実感としてわかる。

  • 川の一部は錆色になっていた。<br /><br />鉄分が多く含まれているのだろうか。

    川の一部は錆色になっていた。

    鉄分が多く含まれているのだろうか。

  • 1時間余り歩くと、入り口が補強されたトンネル<br />に着いた。

    1時間余り歩くと、入り口が補強されたトンネル
    に着いた。

  • 表示を見ると「雁掛トンネル」ある。<br /><br />このトンネルをくぐると小倉沢はすぐ近くだ。

    表示を見ると「雁掛トンネル」ある。

    このトンネルをくぐると小倉沢はすぐ近くだ。

  • トンネルは数百メートルはありそうな長さで、<br />しかも灯りはない。<br /><br />男のぼくでも入るにはちょっと躊躇してしまう<br />長さと暗さだ。

    トンネルは数百メートルはありそうな長さで、
    しかも灯りはない。

    男のぼくでも入るにはちょっと躊躇してしまう
    長さと暗さだ。

  • 大型ダンプがギリギリ通れるかどうかの幅しか<br />ないトンネルで、大型車に追いつかれたらどう<br />しようと思うが、とにかく前へ進むことにした。<br /><br />トンネル内は真っ暗で、出口の灯りだけが頼りだ。<br /><br />しかし、その出口が一向に近づいてきてくれない。<br />相当長いトンネルだ。<br /><br />案の定後ろから大型車がやってきた。壁にヤモ<br />リのようにへばりついて2台の大型車をやり過<br />ごした。<br /><br />ちょっとした恐怖感を抱くが、内部は涼しく、<br />天然の空調が効いているようで気持ちよかった。

    大型ダンプがギリギリ通れるかどうかの幅しか
    ないトンネルで、大型車に追いつかれたらどう
    しようと思うが、とにかく前へ進むことにした。

    トンネル内は真っ暗で、出口の灯りだけが頼りだ。

    しかし、その出口が一向に近づいてきてくれない。
    相当長いトンネルだ。

    案の定後ろから大型車がやってきた。壁にヤモ
    リのようにへばりついて2台の大型車をやり過
    ごした。

    ちょっとした恐怖感を抱くが、内部は涼しく、
    天然の空調が効いているようで気持ちよかった。

  • トンネルを出て右に雑な掘り方のトンネルが。<br /><br />手前には「立入禁止」となっており、「ニッチ<br />ツ」の文字が。<br /><br />どうやらこの辺からニッチツ関係の施設がある<br />ようだ。<br /><br />向こうに伸びているホースは何だろう。<br /><br />今も作業をしているのだろうか。

    トンネルを出て右に雑な掘り方のトンネルが。

    手前には「立入禁止」となっており、「ニッチ
    ツ」の文字が。

    どうやらこの辺からニッチツ関係の施設がある
    ようだ。

    向こうに伸びているホースは何だろう。

    今も作業をしているのだろうか。

  • やっと小倉沢に着いた。<br /><br />時間にして1時間ちょっと。1時間半くらいはか<br />かるのではないかと覚悟していたが、意外に速く<br />着いた。

    やっと小倉沢に着いた。

    時間にして1時間ちょっと。1時間半くらいはか
    かるのではないかと覚悟していたが、意外に速く
    着いた。

  • さらに進むとボロボロの建物の郵便局があった。<br /><br />周囲には集落はないから、ニッチツの関係者し<br />か利用者はいないだろう。

    さらに進むとボロボロの建物の郵便局があった。

    周囲には集落はないから、ニッチツの関係者し
    か利用者はいないだろう。

  • こちらはニッチツの現場事務所。<br />昔の学校のような建物である。<br /><br />人がいるのかいないのかさえよくわからない。<br />おそらく事務員数人を残して、みんな作業に出て<br />いるのだろう。

    こちらはニッチツの現場事務所。
    昔の学校のような建物である。

    人がいるのかいないのかさえよくわからない。
    おそらく事務員数人を残して、みんな作業に出て
    いるのだろう。

  • すでに照らすのをやめて何十年も過ぎたような<br />街灯がぽつんとあった。

    すでに照らすのをやめて何十年も過ぎたような
    街灯がぽつんとあった。

  • さらに進んでいくと大好物の廃屋が増えてくる。

    さらに進んでいくと大好物の廃屋が増えてくる。

  • こちらも事務所風の建物だ。<br /><br />窓ガラスはところどころ割れ、扉にはバッテン型に<br />板で閉鎖されていた。

    こちらも事務所風の建物だ。

    窓ガラスはところどころ割れ、扉にはバッテン型に
    板で閉鎖されていた。

  • ニッチツは現在も稼働中の鉱山だが、規模はかなり<br />小さい。施設はこれだけだった。<br /><br />ニッチツ鉱業は、戦前は化学肥料を生産していたか<br />なり大きなコンツェルンだったようだが、GHQの<br />財閥解体により、縮小された。

    ニッチツは現在も稼働中の鉱山だが、規模はかなり
    小さい。施設はこれだけだった。

    ニッチツ鉱業は、戦前は化学肥料を生産していたか
    なり大きなコンツェルンだったようだが、GHQの
    財閥解体により、縮小された。

  • 秩父は17世紀ごろから鉱山開発が行われており、往時<br />は金銀銅などの高価な鉱物が採掘されていた。<br /><br />しかし、すでにこれらは採り尽くされ、現在は石灰が<br />中心だという。<br /><br />ところどころに真っ白な石灰が積み上げられていた。

    秩父は17世紀ごろから鉱山開発が行われており、往時
    は金銀銅などの高価な鉱物が採掘されていた。

    しかし、すでにこれらは採り尽くされ、現在は石灰が
    中心だという。

    ところどころに真っ白な石灰が積み上げられていた。

  • 住居へ続く石段は枯れ葉に覆い尽くされ倒木が行く<br />手をふさぎ、既に人が通らなくなって相当の年月が<br />経っていることがわかる。

    住居へ続く石段は枯れ葉に覆い尽くされ倒木が行く
    手をふさぎ、既に人が通らなくなって相当の年月が
    経っていることがわかる。

  • 住居はまるで城郭を思わせるような立派な石垣の<br />上に建ち、昔はそれなりに栄えていたことを思わ<br />せる。

    住居はまるで城郭を思わせるような立派な石垣の
    上に建ち、昔はそれなりに栄えていたことを思わ
    せる。

  • 立ち去るときに処分するのがめんどうで放置され<br />た粗大ごみ。

    立ち去るときに処分するのがめんどうで放置され
    た粗大ごみ。

  • こっちはプロパンのボンベだ。

    こっちはプロパンのボンベだ。

  • さらに進むと慰霊碑があった。<br /><br />鉱山の作業には墜落や爆発などの事故がつきもの<br />なので、死亡事故は日常的に起きていたのだろう。<br /><br />

    さらに進むと慰霊碑があった。

    鉱山の作業には墜落や爆発などの事故がつきもの
    なので、死亡事故は日常的に起きていたのだろう。

  • 「平成二十七年」という最近設置された卒塔婆<br />もある。<br /><br />

    「平成二十七年」という最近設置された卒塔婆
    もある。

  • ここは社宅跡のようだ。長屋造りのようになっ<br />ていて、出入り口はこのように閉鎖されている。

    ここは社宅跡のようだ。長屋造りのようになっ
    ていて、出入り口はこのように閉鎖されている。

  • 山の中の孤立した集落だから、買い物するにも<br />不便だったのか、物売りが勝手にやってきて、<br />社宅の中にまで入ってきたことをうかがわせる。

    山の中の孤立した集落だから、買い物するにも
    不便だったのか、物売りが勝手にやってきて、
    社宅の中にまで入ってきたことをうかがわせる。

  • 石垣はセメントで補強されていて、頑丈な<br />造りになっている。<br /><br />

    石垣はセメントで補強されていて、頑丈な
    造りになっている。

  • 薪は風呂を焚くためのものものだろうか。<br /><br />さっきプロパンのボンベが捨てられていたか<br />ら、日常生活はほとんどガスを使っていたの<br />だろうが、一部の人たちは薪を使って風呂を<br />沸かしていたのかもしれない。

    薪は風呂を焚くためのものものだろうか。

    さっきプロパンのボンベが捨てられていたか
    ら、日常生活はほとんどガスを使っていたの
    だろうが、一部の人たちは薪を使って風呂を
    沸かしていたのかもしれない。

  • 電気雷管・・・?<br /><br />なぜダイナマイトを爆発させるものが一般家<br />庭に・・・?

    電気雷管・・・?

    なぜダイナマイトを爆発させるものが一般家
    庭に・・・?

  • こういうのがあるということは、飯炊きも<br />薪でやっていたのかもしれない。<br /><br />もっともガスでもできるが。

    こういうのがあるということは、飯炊きも
    薪でやっていたのかもしれない。

    もっともガスでもできるが。

  • 中を覗くと、ごちゃごちゃになっていた。<br /><br />カセットテープレコーダーが放置され、いくつ<br />かの日用品もそのままになっていた。<br /><br />まるで夜逃げでもしたみたいだ。

    中を覗くと、ごちゃごちゃになっていた。

    カセットテープレコーダーが放置され、いくつ
    かの日用品もそのままになっていた。

    まるで夜逃げでもしたみたいだ。

  • 誰かか入ってきて使えそうなものを持って<br />帰ったりしたのだろうか。<br /><br />明らかに人が入って荒れ果てて行ったよう<br />な感じだ。

    誰かか入ってきて使えそうなものを持って
    帰ったりしたのだろうか。

    明らかに人が入って荒れ果てて行ったよう
    な感じだ。

  • 草に覆われた石段の上には一軒家が<br />あった。

    草に覆われた石段の上には一軒家が
    あった。

  • 内部は御覧の通り。<br /><br />障子は破れ、マットレスが放置されていた。

    内部は御覧の通り。

    障子は破れ、マットレスが放置されていた。

  • 大阪人らしく(?)、土足で人様の家の中に<br />ズカズカと踏み込むと、カレンダーが掛けら<br />れたままになっていた。<br /><br />山口芳夫という政治家は知らない。ネットで<br />調べたが、出てこなかった。市会議員だろうか。<br /><br />日付は1986年1月。ここの家の主は、年が明<br />けるとすぐにこの地を去ったようだ。

    大阪人らしく(?)、土足で人様の家の中に
    ズカズカと踏み込むと、カレンダーが掛けら
    れたままになっていた。

    山口芳夫という政治家は知らない。ネットで
    調べたが、出てこなかった。市会議員だろうか。

    日付は1986年1月。ここの家の主は、年が明
    けるとすぐにこの地を去ったようだ。

  • 集落の外れには学校跡があった。<br /><br />運動場があったあたりからロープが張られて<br />いて中には入れなかった。<br /><br />樹木でおおわれて、何となく大きな建物があ<br />ったことだけはわかる。

    集落の外れには学校跡があった。

    運動場があったあたりからロープが張られて
    いて中には入れなかった。

    樹木でおおわれて、何となく大きな建物があ
    ったことだけはわかる。

  • この先は林道金山志賀坂線となる。<br /><br />この林道を行くと埼玉と群馬の県境である<br />志賀坂峠を通る国道299号線に通じる。<br /><br />

    この先は林道金山志賀坂線となる。

    この林道を行くと埼玉と群馬の県境である
    志賀坂峠を通る国道299号線に通じる。

  • ところどころにこうして苔がびっしりとこ<br />びりついている。<br /><br />山から滲み出す水分を養分にしているのだ<br />ろう。

    ところどころにこうして苔がびっしりとこ
    びりついている。

    山から滲み出す水分を養分にしているのだ
    ろう。

  • ここは石垣だけは残されているが、建物はすでに<br />解体されていた。<br /><br />

    ここは石垣だけは残されているが、建物はすでに
    解体されていた。

  • ここもやはり社宅跡のようだ。

    ここもやはり社宅跡のようだ。

  • 学校跡まで見たので、そろそろ引き返そうかと<br />思っていたころ、現場事務所のスピーカーから<br />大音量で「アマリリス」が流れ始めた。<br /><br />昼休みのようだ。<br /><br />どうな人たちが働いているのか見たい気もした<br />が、そろそろ戻るとしよう。<br /><br />ここの労働者たちはどこから来ているのだろうか。<br /><br />周囲には集落はほとんどないし、秩父市内から<br />通勤するとなると、1時間半はかかる。バスは<br />2~3時間に1本だから、通勤には不向き。<br /><br />社宅は見た通り廃屋になっているし、けっこう<br />謎が大きい。<br /><br />しかし、おそらく石灰を掘り尽くすまではこの<br />施設は続いて行くのだろう。

    学校跡まで見たので、そろそろ引き返そうかと
    思っていたころ、現場事務所のスピーカーから
    大音量で「アマリリス」が流れ始めた。

    昼休みのようだ。

    どうな人たちが働いているのか見たい気もした
    が、そろそろ戻るとしよう。

    ここの労働者たちはどこから来ているのだろうか。

    周囲には集落はほとんどないし、秩父市内から
    通勤するとなると、1時間半はかかる。バスは
    2~3時間に1本だから、通勤には不向き。

    社宅は見た通り廃屋になっているし、けっこう
    謎が大きい。

    しかし、おそらく石灰を掘り尽くすまではこの
    施設は続いて行くのだろう。

  • 帰り道は下りになるので、行きよりははるかに<br />楽だった。

    帰り道は下りになるので、行きよりははるかに
    楽だった。

  • 坂道をすべるように出合まで戻って<br />来ると・・・、

    坂道をすべるように出合まで戻って
    来ると・・・、

  • 小倉沢を出発して1時間も経っていない。

    小倉沢を出発して1時間も経っていない。

  • 三峰口行きのバスは14時10分まで来ない。<br /><br />やることがないから、川まで下りて顔を洗<br />い、あたりをぶらぶらした。<br /><br />中津川まで歩いてみようかとも思ったが、<br />2時間以上歩いて、足はかなり痛く、これ<br />以上歩く気にはならなかった。<br /><br />定刻に来たバスは、行きと同じ人が運転し<br />ていた。<br /><br />どうやら、1台か2台のバスを使って運行<br />しているようだ。<br /><br />2~3時間に1本のバスだから、それで十<br />分なのだろう。<br /><br />たぶん西武としても黒字にすることは考え<br />ておらず、地域サービスのつもりでやって<br />いるのではないだろうか。<br />

    三峰口行きのバスは14時10分まで来ない。

    やることがないから、川まで下りて顔を洗
    い、あたりをぶらぶらした。

    中津川まで歩いてみようかとも思ったが、
    2時間以上歩いて、足はかなり痛く、これ
    以上歩く気にはならなかった。

    定刻に来たバスは、行きと同じ人が運転し
    ていた。

    どうやら、1台か2台のバスを使って運行
    しているようだ。

    2~3時間に1本のバスだから、それで十
    分なのだろう。

    たぶん西武としても黒字にすることは考え
    ておらず、地域サービスのつもりでやって
    いるのではないだろうか。

  • 三峰山口からの電車も数人の客が乗ってい<br />るだけだったが、御花畑駅に着くころには<br />学生たちでそこそこ埋まっていた。<br /><br />御花畑の駅員は、「えっ、なんで」と言い<br />たくなるくらい可愛い女の子で、こんな田<br />舎の駅に置いておくのがもったいないくら<br />いだ。<br /><br />自宅に着いたのは5時半。埼玉なのに12時<br />間近くかかった。<br /><br />地元は秩父の山奥に比べてはるかに蒸し暑<br />く、べっとりとした湿気に閉口した。

    三峰山口からの電車も数人の客が乗ってい
    るだけだったが、御花畑駅に着くころには
    学生たちでそこそこ埋まっていた。

    御花畑の駅員は、「えっ、なんで」と言い
    たくなるくらい可愛い女の子で、こんな田
    舎の駅に置いておくのがもったいないくら
    いだ。

    自宅に着いたのは5時半。埼玉なのに12時
    間近くかかった。

    地元は秩父の山奥に比べてはるかに蒸し暑
    く、べっとりとした湿気に閉口した。

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この旅行記へのコメント (2)

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  • やるやんさん 2017/07/11 07:17:48
    新連載ですか??
    ハイペイオン様

    「Welcome To Dark Side Of Japan 」シリーズはどうしたんですか?
    まさか売れっ子ルポライター並に「ダブル連載」ですか?

    これから台湾入りしようって時に{何故?秩父}

    モノクロ写真は非常に情緒が引き立って秩父にぴったりですが
    最後の晩酌ネタもない

    心境に変化ですか?


    ハイペリオン

    ハイペリオンさん からの返信 2017/07/11 17:06:29
    RE: 新連載ですか??

    > 「Welcome To Dark Side Of Japan 」シリーズはどうしたんですか?
    > まさか売れっ子ルポライター並に「ダブル連載」ですか?

    はい、国内は「日本ダークサイドへようこそ」と「奇界遺産」の
    2本立てでいきます。大丈夫、当分ネタはあります。今年いっぱい。


    > これから台湾入りしようって時に{何故?秩父}

    いやまあ、日帰りで行けますし、梅雨の晴れ間に
    当たったので・・・。けど、えらい遠いところでした。


    > モノクロ写真は非常に情緒が引き立って秩父にぴったりですが
    > 最後の晩酌ネタもない

    廃屋を取るので、モノクロの方が陰影が出るしいいと思いまして。
    まあ、成功と言えるんじゃないでしょうか。


    > 心境に変化ですか?

    地元で飲みましたが、アホな給仕のネエちゃんに
    かなりイラッとしたので、秩父鉄道の可愛い駅員
    さんで終わりにしました。

    んなわけで、金曜の夜、よろしく。

    間に合えば(起きれれば)天津に行きますが、
    遅れそうなら、直接店へ行きます。では。

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