？度めのバルセロナ、どっぷり世紀末建築探訪の旅<1>～カサ・アマトリェー編

2016/12/29 - 2017/01/03

　バルセロナは大好物の世紀末建築が内部も含め多数見学できるというだけで、私にとってはパラダイス。おまけに気候は温暖だし、食べ物は美味しいし、治安も悪くない（というか、個人的には良い方だと思う）。
　これまで何度か訪れて（数えていない）、一通りの建築物は見て歩いたので、今回はバルセロナを拠点に幾つかの近郊の街を訪ねるつもりで、鉄道駅に近いところに宿をおさえたのですが、新たに入館できるようになったり、これまでは限定的だった公開時間や条件が良くなって行きやすくなった建築物があったので、そちらを優先させていたら、郊外に行く時間があまりなくなってしまい、結局はタイトル通りの旅になってしまいました。
　それでも初日は意地で無理くりタラゴナへ。現在の街の規模に対して異常に大きな大聖堂と、地中海を望むローマ遺跡を訪れました。

エリア バルセロナ(スペイン)

• 旅行の満足度: 5.0
• 観光: 5.0
• ホテル: 4.0
• グルメ: 5.0
• ショッピング: 4.0
• 交通: 5.0

• 同行者: 一人旅
• 交通手段: 鉄道 高速・路線バス タクシー 徒歩
• 航空会社: ルフトハンザドイツ航空 ANA
• 旅行の手配内容: 個別手配

HND-FRA-BCNと乗り継ぎ、深夜パセジ・ダ・グラシアに近いSixtytwo Hotel にチェックイン。

シックスティトゥー ホテル ホテル

ベッドに置かれていたクリスマス菓子のトゥロン。

シックスティトゥー ホテル ホテル

翌朝、朝ごはんを求めてやってきたコンセプシオ市場。
規模は小さいですが、地元に密着したお店が揃っています。
ちなみに手前にあるスーパーのポスターがFCバルセロナの若手、セルジ・ロベルト。このクラスでCMあるんだ～、と驚き。

コンセプシオ市場 市場

コンセプシオ市場。
隅っこの方にはバルもありますが、前日が機内食続きだったのであまりお腹が空いていません。結局フルーツジュースだけの朝食に。

コンセプシオ市場 市場

最初の目的地は、デザインの肝である深海魚の骨のようなバルコニーをクリスマスバージョンでまるっと隠して台無しにしているカサ・バトリョではなく…

カサ バトリョ 現代・近代建築

お隣にあるカダファルク作品、カサ・アマトリェー。
前回訪れた時にも公開は始まっていましたが、公開時間がとても短く、今回初めて訪れる機会を得ました。

カサ アマトリェール 現代・近代建築

奥にはチョコレートショップ兼カフェ。
初めて訪れた時は、ここはやる気のなさそうな小さなチョコレートショップでした。こんなに小綺麗で立派なお店になるなんて。
売っているチョコレートは以前と同じ、アマトリェー家からライセンスを買ったチョコレート会社が売っているアマトリェーブランドのチョコが中心。当時ポスターに使っていたミュシャの「夢想」などをケースやラッピングに使っています。

カサ アマトリェール 現代・近代建築

内部の見学はガイドツアーのみ。そのウェイティングのスペースにあるステンドグラスのランプ。この邸の装飾にはこのようなクラシカルな丸ガラスがふんだんに用いられています。

カサ アマトリェール 現代・近代建築

公開前は薄暗くて何も見えなかった居住スペース前の中庭。
見学者はここで床保護のための靴カバーをつけてから階段を上がります。

カサ アマトリェール 現代・近代建築

階段の先にあるドアを抜けたところがエントランスルーム。
見学のスタートです。

カサ アマトリェール 現代・近代建築

まずは来客用のベッドルームだったというお部屋で、アマトリェー家と建物についての説明を聞きます。
スペイン最古のチョコレートメーカーの一つとして隆盛を極めたアマトリェー氏は、いち早くこの家をモデルニスモのスタイルに改築しました。それに触発されたお隣のバトリョ氏や角地（現在のロエベが入っている建物）のモレラ氏もガウディやモンタネールに改築を依頼…そうこうしているうちにこのゴージャスなブロックが出来上がったのだそう。
アマトリェー氏は本業の傍ら、カメラが好きで世界中を撮影旅行して歩いたり、工芸品のコレクターだったりもして、それを表すモチーフでファサードを飾ったそうです。
このお部屋の窓から見えるのは、バトリョ邸の裏庭。ガイドさんは「うちの方がずっと良いよ！」と。
ガウディ作品以外の建築物のガイドさんは、ガウディに対するライバル心が強い人が多いです。確かにね～、私のような変態さんはともかく、みんなガウディだけ見て満足しちゃうから、相対的に過小評価されていると思います、ほんと。

カサ アマトリェール 現代・近代建築

来客と食事を共にしたダイニングルームも豪華。
客人にはそのパワーを余すところなく見せる、というのは成功した商人としての矜持なのでしょう。

カサ アマトリェール 現代・近代建築

扉の枠の彫刻には、あらゆる食材が散りばめられています。一番高いところに鶏がいるのは、当時はチキンが高級品だったからとか。ちなみに一番下はロブスター。たった100年前のことなのに、現在と大分違います。

カサ アマトリェール 現代・近代建築

マントルピースの彫刻は立体感がすごい。チョコレート会社の社長だけに、左の美女はカカオの産地の南米の女王様をイメージしているのだとか。

カサ アマトリェール 現代・近代建築

アマトリェー氏のコレクションの一部。

カサ アマトリェール 現代・近代建築

その後、リバティの壁紙をふんだんに使った音楽室や居住スペース、パントリー、エレベーターなども見て回りました。
プライベートなスペースは全体的に落ち着いた雰囲気。
アマトリェー家のあれこれや、家の設備の秘密など、色々と面白いお話も聞けました。

カサ アマトリェール 現代・近代建築

改めてアマトリェー氏を現したというファサードを見ると、壺からチョコレートを流している動物のモチーフや…

カサ アマトリェール 現代・近代建築

オリエンタルな被写体（左）とそれをカメラで写そうとしている人（右）…

カサ アマトリェール 現代・近代建築

工芸品のコレクションを持っている動物たち。
知らなければ見落としているモチーフでした。

カサ アマトリェール 現代・近代建築

次はカサ・アマトリェーにほど近いパセジ・ダ・グラシア駅から鉄道で約１時間半…

地中海沿いを南下し、タラゴナに到着です。
駅は海沿いにありますが、街の中心はそこからゆるい坂を上った高台にあります。

タラゴナ駅 駅

タラゴナの大聖堂が、現在のこぢんまりした街の規模から考えるととても大きく感じます。
細密な装飾のチャペルが幾つも並んでいます。

タラゴナ大聖堂 寺院・教会

幾何学模様のちょっと変わったステンドグラス。

タラゴナ大聖堂 寺院・教会

静かな回廊を抜けて中庭へ。

タラゴナ大聖堂 寺院・教会

こんなところにオレンジが実っているのはイベリア半島ならでは。

タラゴナ大聖堂 寺院・教会

バルセロナに戻る列車の時間を考えつつ、アップダウンの大きい狭い路地が入り組む街を散策。古代ローマ時代の城壁を歩けるとのことでしたが、工事で閉鎖されていたので、同じく古代ローマ時代の円形競技場へ。
競技場の地下は石積みの長い通路が並ぶ複雑な構造。

プレトリとシルク ローマ 城・宮殿

競技場に隣接する長官公邸跡の展望台へ。
大きすぎて近づくと全景がわかりにくいカテドラルが一望に。

プレトリとシルク ローマ 城・宮殿

そろそろ駅に向かわないと。
道すがら、海のすぐそばにある円形競技場へ。
こちらは剣闘士の戦いの場だったそう。
現代の価値観はさておき、古代ローマ最大級の娯楽がこの素晴らしいロケーションで行われていたとは…まさに「パンとサーカス」。

ローマ円形劇場 (競技場) 史跡・遺跡

海沿いの道に沿って歩くと、いつのまにかタラゴナの街が崖上に見えるようになります。
こういう防御力の高い地形だから、長い歴史があるのだなあ。

夕方のタラゴナ駅はバルセロナに向かう乗客でごった返していましたが、何とか席を確保し、夕刻パセジ・ダ・グラシアに戻りました。

タラゴナ駅 駅

夕食はバルセロナのバルで。
これ、食べかけではありません。
ポテトフライの上に半熟卵が乗ってサーブされるのですが、目の前で両手にスプーンを持ったお店の方が、すごい勢いで卵とポテトを叩き混ぜてくれます。
ニンニクとチリが隠し味になって、見た目に反して美味しい。