2016/12/03 - 2016/12/03
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地酒大好きさん
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今日は岐阜県揖斐川町と福井県池田町の境にある冠山(かんむりやま。1257m)に登ってきました。実は昨年11月に初めて登りましたが、その日はガスがかかって展望どころか冠山の頂上の形も下からは見えなくてがっかりした記憶があります。さいわい今日は絶好の晴天で登山には最適です。
岐阜県揖斐川町の「ムダなダム」として有名な徳山ダムがある徳山湖に沿って国道417号線を福井県に向かって北上します。車がほとんど通らない国道ですが、ダムの予算で造った国道ですから高規格道路です。トンネルの連続です。徳山湖の北の端あたりで国道は中断して(国道417号線は福井県池田町で突然復活して日本海方面へと向かいます)、突然細い山道になります。そこには「冬季通行止め」のゲートが設けられていました。道路が凍結したり積雪があるからでしょう。でも今日は暖かいので凍結はないと思い、ゲートを動かして進みました。先ほどまでの国道とは大違いで、路肩が崩れたり水が流れていたりと荒れています。進むにつれて冠山の頂上部が見えてきました。初めて見る姿です。やはりスパッと切れ落ちた山頂部には登山意欲をかきたてられます。家を出て4時間かかりました。
県境の冠峠に着くと岐阜ナンバーの車が一台あり、すでに登って行ったようです。わたしもすぐ出発しました。登山道は夜間は凍結していたようで、日差しでぬかるんでいましたが、所々に粉雪や氷、霜柱が見られました。小さなピークがいくつかあり、登ったり下ったりの繰り返しです。ここは県境の尾根歩き道で、右は岐阜県、左は福井県で、分水嶺でもあります。足羽川は福井県を貫き日本海へ流れ、揖斐川は岐阜県を貫き太平洋へと流れます。ウソの♂♀が2羽いました。この鳥は花芽を食べるので害鳥とされていますが、今は木の実などを食べているようです。葉は落ちてしまい殺風景ですが、遠くに白い白山が見えて軽快に足は進みます。途中で下山してくるカップルに出会いました。先ほどの車の持ち主のようです。頂上からの展望はどうでしたかと聞いてみると、かれらは「壁が凍結していて危険でギブアップしました」と言い、悔しそうに下っていきました。
歩き始めて1時間で最後の急斜面の壁下に着きました。ここにはササで覆われて冠平と呼ばれる平地があり、気持ちのよい場所です。もちろん冬季には深い積雪に覆われて、過去には大きな遭難事故も起きています。さて、いよいよ最後の壁をほぼ垂直に登ります。この壁にはいつも水が流れていて滑って危険です。今日はそれが凍結していてつるつるになっています。足をかけましたが滑って登れません。縁のササにつかまったり、少しでも尖った岩を見つけてそこに足を載せて滑り止めにしたりして一歩一歩時間をかけて慎重に登ります。固定ロープがありましたが、それも崖に凍り付いてしまって剥がすのに苦労します。滑り落ちれば止まるところがないので、そのまま転落、即死です。電波は通じないし、他には登山者がいないので事故が起きれば大変なことになります。怖い、怖い、と言いながら30分かけて壁を登り詰め、なんとか頂上に着きました。そこは天国です。太陽の光ははさんさんと降り注ぎ、周囲360度の大展望です。岐阜県側はやはりスパッと切れ落ちていて、これまた転落すればひとたまりもありません。恐る恐る下を覗いては、「怖い、怖い」の連発でした。のんびりとランチを楽しみました。ウソの声がまた聞こえます。いつまでもここにいたいのですが、帰宅には下山と運転で5時間はかかるため切り上げます。
下りはいっそう滑りやすくて危険です。登り時よりも注意をして慎重に慎重に一歩ずつ足を運び、なんとか無事に冠平まで下りました。こんな経験はもうこりごりです。次回はもっと暖かいときに来たいものです。冠平を歩き回ってから下山路を急ぎました。
今日登頂したのはわたしひとりでした。360度の一級の展望を独り占めできました。
- 旅行の満足度
- 4.0
- 同行者
- 一人旅
- 一人あたり費用
- 1万円未満
- 交通手段
- 自家用車 徒歩
- 旅行の手配内容
- 個別手配
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写真は横になっています。右が北で福井県、左が南で岐阜県です。岐阜県側に水色の徳山湖があります。
国道417号線は徳山湖の北の端あたりで切断されており、福井県池田町で復活して日本海方面へと抜けています。
国道の切断部分を結ぶのが冠林道です。細くて荒れた山道です。今は冬季通行止めになっています。 -
徳山湖畔のりっぱな国道417号線が突然切断されて細い林道に入ります。これが冠林道です。冬季は積雪が深く、凍結もするので通行止めになります。すでに11月には通行止めになっており、このようにゲートが設けられています。
今日は暖かく、凍結はないだろうと思ってゲートを動かして進入しました。林道は荒れていて、崩壊カ所や水が流れ出している場所が多くありました。水があれば凍結して危険です。実際に凍結後に融けたような跡がありました。夜間や早朝は危険です。 -
林道途中から見えた冠山頂上部です。初めて見る姿です。
昨年に登ったときはガスがかかっていて見えませんでした。 -
林道を進むと福井県との境に着きます。県境にはゲートがあり、これは動かすことができません。向こう側は福井県池田町です。
岐阜ナンバーの車が一台停まっていました。先に登って行ったようです。 -
ここは冠峠で、峠の石碑が建っています。
石碑のこちら側が岐阜県で、徳山村、藤橋村の二旧村名の碑と両村が併合した揖斐川町の碑があります。日陰に隠れて見えにくくなっているのが、向こう側の福井県池田町の碑です。峠の石碑が県境になるのでしょう。 -
峠にはまた「揖斐川源流 冠山」の碑もあります。
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峠から見た冠山です。尖っています。登山意欲をかきたてられます。
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登山道は県境尾根を歩きますが、岐阜県側を見ると谷があり、これが揖斐川の源流です。尾根道が分水嶺になっています。
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登山道は夜間に凍結していたようで、まだ一部凍っているところがありました。
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空は真っ青で、それをバックにした枯れかかった木が芸術的に見えました。
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霜柱もありました。最近はめったに見ることがないので珍しいものです。
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福井県側を見ると遠くに白い白山が見えます。きれいです。
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一時間ほど歩くと、最後の急斜面(まるで壁です)がありますが、その手前には冠平と呼ばれる平地があります。ササに覆われていて、気持ちよさそうです。帰りにじっくり見ることにします。
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さて、壁に取り掛かろうと見上げると、このように凍結しています。足をかけても滑って登れません。
先ほど会った岐阜ナンバーの車のカップルは、これを見て退散したものと思われます。 -
このように凍っていて足をかけることも困難です。
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こちらも全面的に凍結しています。
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固定ロープがあるのですが、ロープも壁に凍り付いていて剝がすのに力がいります。ロープがあっても足をかけるところがないので苦労します。
壁の横のササなどにつかまって一歩ずつ時間をかけて慎重に足を運びます。怖かった! -
これもロープを使って登るところです。頂上が近くなってきました。下りが思いやられます。
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頂上に到着。ついにヤッタ!
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頂上の全景です。ほとんどが藪に覆われています。
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頂上部の最高地点はちょっと開けた場所があり、数名は腰を下ろせます。
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山頂の銘板です。
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三等三角点です「点」の字は旧漢字です。古いものだと分かります。
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頂上から見た白山です。真っ青な空に映えます。
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徳山湖も一部見えます。あの底には昔、徳山村があり住民がたくさん住んでいました。
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スパッと落ち込む崖です。右が岐阜県側です。
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これも反対方向から見た岐阜県側です。スパッと頂上から落ち込んでいて、転落したら一巻の終わりです。
頂上部の道があり、ふらっとよろけると転落します。ササなどにつかまりながら歩きます。強風にあおられても危険です。 -
真上を見ると宇宙の果てまで続くような青空です。
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苦労して壁を下りると、先ほどの冠平です。ササの向こうに白山が見えます。
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冠平に立つ遭難碑です。碑は風化していて文字が読みづらくなっています。
書いてあるのは以下のとおり。
「昭和30年11月6日 株式会社福井銀行員24名 此処冠山に紅葉を訪ねて登山せしも悪天候の為遭難し 谷間にて一夜を明かすの止むなきに至る 夜間天候いよいよ悪化し早暁には雪となり 寒気と疲労のため山田・松岡両君は7日12時ついに帰らぬ人となる」
その年は11月初めでも寒さによる遭難事故が起きたのですね。 -
冠平からもう一度冠山を振り返ります。今はこの頂上部にはだれもいません。もうすぐ積雪に覆われてしまいます。
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これは今日歩いた高低図です。途中の尾根道合流点は、昔別の登山道が合流していたときのもので、今はその登山道は廃道になっていて見つかりません。
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