2016/11/03 - 2016/11/03
328位(同エリア637件中)
ソフィさん
【名庭をたずねて】『日本の十大庭園』の本をガイドに、庭園をまわるライフワーク録です^^
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国の特別名勝に指定されている4つの発掘庭園を見に行きました。せっかくなら見るべきポイントを押さえて観たい!と、本を片手に、たくさんの感動と発見をもらってきました。
- 同行者
- カップル・夫婦
- 交通手段
- 自家用車
- 旅行の手配内容
- 個別手配
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北陸道に入ったあたりから冷たい雨が降り始めましたが、用事をすませ、一乗谷朝倉氏遺跡に着いた午後2時ごろにはさわやかな晴天が広がっていました。
一乗谷朝倉氏遺跡(庭園) 名所・史跡
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雨のあとで気温がぐっと下がり、初冬のようなピリッとした空気です。
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売店で地図をもらいましたが、予想していたよりもずっと広そう。「お庭を見せてもらいに来たのですが」と聞いてみたところ、まずは売店から一番近くにある『諏訪館跡庭園』への行き方を教えていただきました。
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実は高校の時のバス遠足で来たのですけども、「なんにもない、ただ広い所」という、おそらく福井人のほとんどが口をそろえて評すであろう、朝倉氏遺跡に対するコメントと同じ感想を持ったことしか覚えていません(・∀・) しかし!
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今回は確固たる目的があります!
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庭! それも石庭!
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【京の絶景庭園をめぐる】宝厳院2016秋の特別拝観 石と苔とたたなづく青紅葉→http://4travel.jp/travelogue/11177680 のあと、以前から気になっていた本を買ったのですが。
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読み始めてビックリ。庭園をどんな視点で観るかはいろいろあると思うのですが、この本は、主に石組みそのものや、石から観える庭園(史)にかなりページが割かれていた本だったのです。にわか石萌え子の私にはもってこいの内容。
第8章「一乗谷朝倉氏遺跡庭園群」。以下、この旅行記中の『』は、この本からの引用部分です。
祥伝社新書
著:重森千青(青の字は旧字体なのですが文字化けするので青で代用させていただきました) -
がら~ん。
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石を愛する作庭家の視点からは、朝倉氏遺跡の庭園が「10大庭園」にランクインしてくるという事実が衝撃で。「そもそもあそこに庭園なんてあったっけ?」というレベルのわたしとダー(夫)でしたが・・・
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階段を上がるともういきなりこの光景。なんにもない原っぱのようなところから、なんなのこの急な展開。 「諏訪館跡(すわのやかたあと)庭園」です!
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楓(ヤマモミジ)の古木と大きな立石。高さ413m、滝添え石としては日本最大なのだそうです(案内板より)。滝添石の正面、池の中にあるのが『中島を兼ねた大きな岩島』なのかなと思うのですが。
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この滝添え石は美濃から運ばれてきた貴重なもの。朝倉氏三代(?とにかく3人分)の法名が刻まれているそう。
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楓の、向かって左下の石が「遠山石」。本によると『これが、あえて高く立てられていないところに、すぐれた造形感覚をうかがえる』。な、なるほど!
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楓の両脇に、幅広の遠山石とそびえたつ滝添石ノ図。
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『各方向から伸びる出島が池の形を複雑にしており、それによって、東西に長く奥行きの少ない敷地が単調にならないような工夫がなされている』。
出島?・・・あれ出島! -
あっ、きっとソレも出島!
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池の左手に、短い橋があり、これを渡って上流へ上がると、なんと、石組の裏にまわれるのです!
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ええ~いいの? とコーフンしながら上っていきます。だって、寺院庭園なんかだったら、裏に回るどころか、近くで見ることすらできないことも多いですよね・・・。ずかずか入ってこんな至近距離で見せてもらえるなんて、なんという贅沢。
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滝添石の真横に来ました! 右から見たところです。
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ついに背後へ! 真後ろからも美しいせせらぎが流れてきています!
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実は上流にこんなすばらしい石組みがありました!(いや、あるとは書かれてたんですけどね^^;)
『鋭い立石は、一見して特別な存在感を漂わすが、この石が、下部に広がる池の源泉を表わしている』。そういうものなのか!! -
裏から見た遠山石(楓で隠れちゃってますが)。
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あれ、楓の木が2本ある。下から見ていた時は気づきませんでした。
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実はこの庭の三尊石は、この大きな滝添石の背後に隠れて、下からはまったく見えないそうです。
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進行方向へとおりてきて、これで一周りしました。
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最後に橋。『中世の純朴で質素な感覚と、近世的な手慣れた手法とが入り混じっている』好例なのだそうです。理由はちょっと長くなるのでパスります。
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橋のたもとには、橋添え石が4つ置かれるものなのだそうですが、この庭園では3個。しかも、『そのうちの一個に背の高い石が用いられ』、これはもっとあとの時代で見られるようになる手法なのだそう。
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さて排水。楓のほうから、この細い水路を伝わせて下流へ。
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この水路のそばに、図面が描かれた案内板や「諏訪館址」と掘られたこんな石碑が建っています。
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このお庭、朝倉氏11代目にして最後の当主・義景の、新しい側室のお屋敷のものだったとか。朝倉氏が信長に焼き討ちされ滅亡するのは、『新しく迎え入れた諏訪殿が男子を生』んだ3年後だったとのこと・・・。
こんなお庭を造ってもらって・・・愛されてたな諏訪殿! -
諏訪館跡庭園の総括→ 『室町時代末期の武家庭園の最高峰であり、この時代らしい石組の美を随所に感じとることができる』。
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次。道を隔ててお隣の区画へ。「中の御殿跡(なかのごてんあと)」といって、最後のお殿さま義景のお母さんの住まい跡とのこと。
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ふーん・・・と、また次の区画に目をやると。
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うっ。道のあちらに、ただならぬ存在感を放つ石の山が。特別名勝その2「御湯殿跡(おゆどのあと)庭園」ですが・・・。
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特別名勝指定の4庭園のなかではもっとも古く、16世紀初頭、10代孝景の時代だそうです。ですが・・・わたしダメかも・・・(・∀・) 構成とかなんとかいう以前に石の質がコワすぎます。あるいは重森氏が指摘するように、『石組は堂々としているものの、土が削られすぎているためか、石の座りがやや落ち着かないように思われる』ってことなのかもしれません。
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長く地中にあったからなのか、越前産の石の特徴なのか? でも実は、この石たちを見たときに真っ先に思い出したのが、我が家の1つだけ残ってる古い墓石でした(汗 一緒にしたら怒られそうですが^^;
写真もたくさん撮ったし見どころも多いようですが、そんなワケで御湯殿跡庭園はこれでおしまい~。 -
観光バスで来た団体さんの姿が見えますよ。今こんなに高い所にいたんだね。
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標識によると、次の「南陽寺跡(なんようじあと)庭園」へはまださらに上るようです。
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てっぺんまで来たら、標識に従ってまた下りる~。おそらく「物見台」という地点かと思われます。
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この標識のところから「英林塚」という場所を経由して、「諏訪館跡庭園」へ行ける道もあるようです。少し雨が降ってきました。
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わたしたちはこっち。
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こんな感じの道なので、雨の日は滑らないよう気をつけて。
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また晴れてきた! この右手がもう「南陽寺跡庭園」です。特別名勝その3。
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が・・・地面がこんな状態で。イノシシ?プラスぬかるみ^^;
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それでもあきらめない! 細い水路の護岸になっている石を伝って進みます。
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せっせせっせ・・・。もうすぐですよ。
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じゃん! 『小ぶりであるが、やはり石組が力強い・高く立てられた象徴的な一個の石は、庭園の中心石であり、滝添石でもある』。
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『全体に大ぶりの石が大胆に組まれており、立体感が豊かである。そのため、一見枯山水のように見えるが、当時は池泉庭園であったと思われる』。9代貞景が娘のために再興した尼寺だったそう(ただし庭園は11代義景のとき)。
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朝倉氏遺跡の中心地からどんどん離れていくような気はしますが、他に道がないので、とにかくおります。
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下りたところにこんな看板。清水が湧いているならまた登るのか?と思ったら、道からすぐそこなのですよ。じゃあ寄ってみよう^^
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ここからだと、左手に小川が流れているように見えるだけなのですが。
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近づくと石積みで囲まれた大きな湧水池になっていました!
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大きな芭蕉のせいか、どこか南国に来たような気になります。葉かげにはお社も。
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ぽこぽこと、静かに湧いています。
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遺跡の中心地へ戻りましょう。だいぶ冷えてきました。残すはあと一つ!
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「義景館跡(よしかげやかたあと)」の北門跡から中へ。
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ひろーい。奥に見えるあの石組が庭園跡ですね。特別名勝指定その4! これで最後!
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水路が山の斜面をくの字に下りてきています。『狭い池ではあるが、滝の構成もすばらしい。山の上部の池を水源として、そこから引かれた水が段状の滝石組を落ちている』。
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まず目立つのが中央の背の高い石。滝添石です。で、この池には滝石組が2つあるのではないかというのが重森氏の見解。『滝添石を中心にして、左右に水を落としていたのではないか』。
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ひとつめの滝石組。階段状になっているので、こちらはすぐにわかります。
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『滝添石の右側にある石からも水を落としていたのではないか』。理由は・・・どうもまとめられないので、ご興味ある方は本を!^^;
でもなんにせよ、『小さなスペースの中で、これほど劇的な景色の変化を与える庭園は、ほかに見当たらない』ほどだそうです。 -
右手前寄りに大きな石がありますが・・・『池の中には不釣り合いなほど大きい石があり、それを中島に見立て、景色の中心を担わせている。結果として、この「岩島(がんとう)」がひときわ大きく造られることで、バランスを保つことに成功した』。
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寒いし集中力も途切れてきました。もう帰ろうとしたところへ、お客さんを案内していたボランティアガイドさんが、花壇の説明をしはじめました。
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花壇! そうでした。予習してきたところによると、日本で造られた最古の花壇跡がここで見つかったそうなのです。ガイドさんが触れてくれなければスルーしてたところです。ラッキー!!!
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今植えられいているのは・・・ユキヤナギとかそんなんかしら??
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「会所」。要は待合室。
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招かれた客たちは、会所にて、花壇の景色や滝を楽しみながら茶席を待つ、という趣向だったらしく。
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それにしても私たち、どうも逆打ちしてしまったようです。ハイライトの諏訪館跡庭園を真っ先に見てしまいましたが、まずはこの義景館跡からスタートするものだったのかも(でも今回はこれでよかったと思ってますが^^)。
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なにか長いものでも置いたのかしら? こういうのぜーんぶ土に埋まってたんだねえ。
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正面入り口の唐門が見えます。階段を上るとどんな景色が見えるかというと・・・
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お堀! そうか、戦国時代だった・・・と不思議な想いがしました。後ろの山には山城もあるようだし(登れるのかな?)。
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唐門を外から。大きな桜の木がバックにあるので、春先には有名な撮影スポットになるようです。
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一乗谷川です。かつては、三国の港から物資が運ばれてきて、それは賑やかだったはず、とガイドさん。
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その後、越前の中心は今の福井市の中心地へと移ったために、一乗谷は手つかずで遺されたようです。
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今日見た4つの庭園跡は、「特別史跡」「特別名勝」「重要文化財」と三つも国からの指定を受けているそうなのですが、遺跡のサイトによると、こうした三重指定を受けた施設はなんと日本に6つしかないようなのです!
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恐れ入りました。遠足で来るにはもったいなすぎるディープさだと、高校生だった自分に説教したい。
次に来たときは、ぜひガイドさんを申し込もう~。 -
それにしても、身体が芯から冷えてしまってこのままじゃマズい感じ。戸ノ口坂を超えて、河和田町にある温泉に寄ることに決定。
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日帰りでも利用できる「ラポーゼかわだ」です。オシャレでもなんでもないけどいいお湯で、地元の人でいつも賑わっています。
かわだ温泉 ラポーゼ かわだ 宿・ホテル
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露天風呂に入って「あっ!」と言いそうなほどビックリしました。今日見てきたお庭の続きかというような、石組の景観が裏山を借景に造られていたからです。もう何度も来ているのに全然気づかなかった。こんなことってあるんだ~^^
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帰りは鯖江インターから高速かな。
だったら、清水酒店さん行きたいとダー。JR鯖江駅そばの老舗酒屋さんです。 -
ダーのお目当ては「梵」の無濾過生原酒。道の駅や大手スーパーなどでも手に入るのですが、やっぱりお店のほうは雰囲気があってお得な感じ。
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わたしが買ってみたのが「木田ちそサイダー」でしたが・・・大正解!
福井市の木田地区といったらけっこう賑やかな住宅地と思っていたのですが、木田ちそ(紫蘇)という伝統野菜を長く栽培してきた場所だそうです。えっシソのこと、チソってフツウは言わないの? -
***ここからはおまけです。お昼に食べたお蕎麦の件。***
いつも行くお蕎麦屋さんは定休日なので、初めて「そば蔵 谷川」さんを訪ねました。 -
キレイなお庭! ただでさえ雰囲気のある武生の旧市街の中なので、わざわざ来た感が盛り上がります。
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石臼も^^ 昔はこれで蕎麦を挽いていたのでしょうか?
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イチオシなのかなと、わたくし「もりそば手挽き太麺」。
そば蔵 谷川 グルメ・レストラン
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手挽きのざくざく感が食べごたえあり! 持ち帰り用生麺たれ付き550円が気になるけど、まだこれから長い一日なので、あきらめることにしました(→正解^^)。
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どこまでも「おろし蕎麦」のダー。これ大盛りです(1.5倍増し)。大根おろし・ネギ・鰹節はトッピングされて出てくるタイプでした(先にお出汁に混ぜ込んであるのではなくて)。
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ダーと二人でうなったのがそば湯。異様においしかった~! ってことはお出汁がおいしいのか(・∀・)
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こうしてふりかえると、「新しい体験をする」というテーマでまとめられそう。発見がいっぱいの福井日帰り旅でした! ありがとう~^^
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