1996/09/25 - 1996/11/13
2位(同エリア3件中)
みどくつさん
1996年10月15日午後10時、ドナウ川を渡るフェリーがルーマニアのカラファトの岸を離れる。
僕はフェリーを待っていたときに知り合った、ルーマニア人のジジと一緒に船に乗る。
フェリーをダラダラと待ちながら、ジジと話をしていた。
もちろんこれは英語だが、ジジも大体のことは話せるし、また話す内容は互いに見当が付くものだ。
ジジは、もともとフェリーでブルガリアへ入国したら、そのままソフィアへ行くと言っていた。
僕は、旅でも人生でも、出来るだけ無理をしない(楽をする)ことをモットーにしている。
だから、最初の予定では、カラファト到着が午後4時ごろ。
ドナウ川を渡るフェリーは、それに合わせて動いていると予想していた。
ルーマニアの出国、ブルガリアの入国の手続きがあっても、午後6時ごろには、対岸のヴィディンへ到着できるはず。
そうして、ヴィディンの駅前か何かで安宿に泊まり、翌朝に移動いて、昼ごろにソフィアへ行く。
この計画だと、ソフィアで宿を見つけるのも難しくないだろうしね。
もともとソフィアへ夜に到着したくなかったのが、このドナウ川フェリーに乗るルートを選んだ理由なのだから。
ただ、フェリーが出発するのが遅すぎた。
午後10時になれば、ブルガリアでゆっくり過ごすことは出来ない。
ここは、ジジに従おうと考える。
ジジと一緒にヴィディンの駅へ行って、宿がありそうならば、彼と別れて泊まってもいいわけだからね。
ジジは僕に、フェリーの先端へ行くようにと指示する。
これはもちろん、フェリーからできるだけ早く降りるためだ。
ドナウ川は案外と幅は狭くて、フェリーが横切るのに10分程度と感じた。
フェリーが向こう岸に到着して、渡し板がブルガリアに下ろされる。
ジジは僕に声をかける。
2人はとっとと先頭で船を降りて、小走りに一本道を進む。
道路に遮断機が降りていて、その横に「PASSCONTROL」という標識の入国審査がある。
その列に並び、パスポートを提出すると、質問無しに、ブルガリアの入国スタンプをもらう。
その並びに、両替所があり、1ドルは212レバ(LEVA)のレート。
50ドルを両替して、1万6百レバを手にする。
わかりやすく、1レバは0.5円と考える。
ここまで全くトラブルなくスムーズに進んだ。
これは、ジジがいなければどうしようもなかったね。
ジジに着いていけば、なんとかなるでしょう。
入国審査を終えたところにタクシーが客待ちしていて、ジジと2人で乗り込む。
タクシーはヴィディン(VIDIN)駅へ進む。
暗闇の中を走って、あっという間に駅に到着。
タクシーのメーターは300をさしていたが、ジジは運転手に500レバを渡す。
僕はその半分の250レバを、ジジに手渡す。
駅は真っ暗で、駅前のホテルなんかは当然見つからない。
こうなると、ジジと一緒にソフィアへ行くしかないね。
駅には22時55分発ソフィア行きの列車が入っていた。
料金は240レバ(120円)!
列車はガラガラでほとんど乗客は見当たらない。
ジジと2人で、列車内を歩き、適当なコンパートメントに入る。
そこで2人で寝ようというわけだ。
ただもちろん、僕はジジを完全に信用しているわけではない。
ジジも、僕が信用してないことは理解しているようだ。
ジジは、僕にゴムバンドでまとめたお金の束を見せて、お金があることを示す。
僕は、貴重品の入ったデイパックをバックパックの中に入れて、南京錠をかけて、それをコンパートメントの上の荷物置きに、ワイアロックで結びつける。
ポケットに入っているのは、さっき両替した1万レバ(5千円)程度だ。
これだけならば、盗られても我慢できるという額。
2人ともすぐに横になって、ジジは眠りについたようだった。
僕は眠りは浅く、ぼんやりしているうちに、列車がどこかへ到着して停止する。
ジジが僕に「ソフィア」と声をかける。
結局、午前5時45分に、ブルガリアの首都ソフィア駅に到着したんだ。
ヴィディン駅を出たのが22時55分だとすると、ソフィアまで6時間50分かかったわけだね。
寝たような寝てないような感じで、身体もだるいし、頭もスッキリしないが。
午前7時では、まだソフィアの町は動いてない。
が、ジジは僕をトイレに連れて行ってくれた。
ここで歯を磨き、髭をそり、顔を洗う。
もちろんトイレも済ませる。
このトイレの使用料が10レバ(5円)。
ジジは僕を、ソフィア駅前のバスターミナルへ連れて行ってくれた。
ここから僕の行きたいところへ行けると教えてくれたわけね。
また、わざわざノボテル(NOVOTEL)へも案内してくれた。
ジジは、とても親切ないい人だったね。
僕は握手をして、ありがとうと言う。
旅人は、それだけでいい。
それと、ずっと出会いを、覚えていること。
それが旅人に出来る、ただ一つの、本当の感謝なんだから。
- 旅行の満足度
- 4.0
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