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今年に入って7回目のマレーシア滞在中の週末、初めて首都クアラルンプールをゆっくりと観光して歩いた。マレーシアはシンガポールと同様、マレー系、中国系、インド系の3つの主要民族が複雑に入り混じって共存する。人口比ではマレー系が約65%、中国系(華僑)が約24%、インド系(印僑)が約8%である。しかし国境を接し、経済的な関係も深く、一時は同じ国でもあったシンガポールとは、皮肉なことに人種や領土、対欧米政策などで度々対立しているという。<br /><br />シンガポールでも3大文化地区を歩いた時のことはすでに書いた。<br />http://4travel.jp/travelogue/10645861<br />今回クアラルンプールではまずインド文化の象徴とも言える「スリ マハ マリアマン寺院」というヒンドゥー寺院を訪れた。入口のゴープラム(塔)の極彩色の彫像が目を引く。ここは「マリアマン」という南インドの女神を祀る寺院で、主に南インドのタミル人をはじめとするドラヴィタ系の人々に信仰されているという。異教徒の我々も、靴を脱いで寺院の中に入ることができる。しかし敬虔なヒンドゥー教の信者たちは、特に男性は上半身裸で体を清めてから、うやうやしく首を垂れて祈っている。もはや信仰心が薄れつつある日本人にとっては、異国にやってきたと感じさせられる場面である。しかしシンガポールと同様、本場インドの寺院と比べると圧倒的に清潔で、汚水の異臭などはない。ここはマレーシアのインド寺院なのである。<br /><br />続いて、国際都市クアラルンプールらしくヒンドゥー教寺院の斜め向かいには「関帝廟」がある。華人のいるところには必ず建立される関帝廟は、武神として、そして商売の神様である関羽を祀っており、やはりマレーシアでも多く見られる。寺院内には至る所に線香を供える場所があり、いずれの場所にも3拝してから線香も3本供える。地元の華人は「焚紙炉」という炉で紙銭を燃やし、冥界にこの世の金を送金するのだそうだ。また、賽銭箱に賽銭を入れると、何やら中国語でお礼の言葉が返ってくる。これも異国情緒と言えないことはない。<br /><br />さて、では対日関係についてはどうなのであろう。かつて「ルック・イースト政策」を掲げたマハティール政権、それを継承したアブドラ政権の下で日本には格別な敬意が払われ、緊密な関係が維持されてきた。マレーシアの大学には日本への留学生向けの日本語コースが設けられ、日本留学を終えて帰国した学生は、マレーシア政府や企業のリーダーとなってきた。しかし、近年は日本語コースの人気は低下し、毎年応募者は減少しているという。主たる理由は中国の台頭である。全世界的に経済的な影響力を強めている中国と対抗していくのは容易なことではない。<br /><br />空港の近くには2015年5月、三井アウトレットパークがオープンし、帰国便の待ち時間に、手頃な価格でブランド品を購入することができる。街中の伊勢丹、イオン、セブンイレブンなどと同様、日本的サーヴィスが好評のようだ。日本食レストランも幾つかありありがたい。家族がブランド品ハンティングに没頭している間、しばし寛ぐことができた。

マレーシア滞在記No.3:クアラルンプールの中のインド、中国、そして日本

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2016/08/11 - 2016/08/14

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ハンク

ハンクさん

今年に入って7回目のマレーシア滞在中の週末、初めて首都クアラルンプールをゆっくりと観光して歩いた。マレーシアはシンガポールと同様、マレー系、中国系、インド系の3つの主要民族が複雑に入り混じって共存する。人口比ではマレー系が約65%、中国系(華僑)が約24%、インド系(印僑)が約8%である。しかし国境を接し、経済的な関係も深く、一時は同じ国でもあったシンガポールとは、皮肉なことに人種や領土、対欧米政策などで度々対立しているという。

シンガポールでも3大文化地区を歩いた時のことはすでに書いた。
http://4travel.jp/travelogue/10645861
今回クアラルンプールではまずインド文化の象徴とも言える「スリ マハ マリアマン寺院」というヒンドゥー寺院を訪れた。入口のゴープラム(塔)の極彩色の彫像が目を引く。ここは「マリアマン」という南インドの女神を祀る寺院で、主に南インドのタミル人をはじめとするドラヴィタ系の人々に信仰されているという。異教徒の我々も、靴を脱いで寺院の中に入ることができる。しかし敬虔なヒンドゥー教の信者たちは、特に男性は上半身裸で体を清めてから、うやうやしく首を垂れて祈っている。もはや信仰心が薄れつつある日本人にとっては、異国にやってきたと感じさせられる場面である。しかしシンガポールと同様、本場インドの寺院と比べると圧倒的に清潔で、汚水の異臭などはない。ここはマレーシアのインド寺院なのである。

続いて、国際都市クアラルンプールらしくヒンドゥー教寺院の斜め向かいには「関帝廟」がある。華人のいるところには必ず建立される関帝廟は、武神として、そして商売の神様である関羽を祀っており、やはりマレーシアでも多く見られる。寺院内には至る所に線香を供える場所があり、いずれの場所にも3拝してから線香も3本供える。地元の華人は「焚紙炉」という炉で紙銭を燃やし、冥界にこの世の金を送金するのだそうだ。また、賽銭箱に賽銭を入れると、何やら中国語でお礼の言葉が返ってくる。これも異国情緒と言えないことはない。

さて、では対日関係についてはどうなのであろう。かつて「ルック・イースト政策」を掲げたマハティール政権、それを継承したアブドラ政権の下で日本には格別な敬意が払われ、緊密な関係が維持されてきた。マレーシアの大学には日本への留学生向けの日本語コースが設けられ、日本留学を終えて帰国した学生は、マレーシア政府や企業のリーダーとなってきた。しかし、近年は日本語コースの人気は低下し、毎年応募者は減少しているという。主たる理由は中国の台頭である。全世界的に経済的な影響力を強めている中国と対抗していくのは容易なことではない。

空港の近くには2015年5月、三井アウトレットパークがオープンし、帰国便の待ち時間に、手頃な価格でブランド品を購入することができる。街中の伊勢丹、イオン、セブンイレブンなどと同様、日本的サーヴィスが好評のようだ。日本食レストランも幾つかありありがたい。家族がブランド品ハンティングに没頭している間、しばし寛ぐことができた。

旅行の満足度
4.0
観光
4.0
ホテル
4.5
グルメ
4.0
ショッピング
4.0
交通
4.5
同行者
家族旅行
一人あたり費用
10万円 - 15万円
交通手段
鉄道 タクシー 徒歩 飛行機
航空会社
JAL

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  • スリマハマリアマン寺院の入り口のゴープラム

    スリマハマリアマン寺院の入り口のゴープラム

  • ゴープラムの近景

    ゴープラムの近景

  • 極彩色の彫像

    極彩色の彫像

  • モデルが微笑む

    モデルが微笑む

  • ご存知ゾウの顔を持つガネーシャ神

    ご存知ゾウの顔を持つガネーシャ神

  • スリマハマリアマン寺院の内部

    スリマハマリアマン寺院の内部

  • 踊るシバ神

    踊るシバ神

  • 祭壇で祈るヒンズー教徒

    祭壇で祈るヒンズー教徒

  • ヒンズー教の神々

    ヒンズー教の神々

  • ヒンズー教のシンボル

    ヒンズー教のシンボル

  • 中華街の市場の入り口

    中華街の市場の入り口

  • 関帝廟の入り口

    関帝廟の入り口

  • 線香で煙る関帝廟の内部

    線香で煙る関帝廟の内部

  • 関帝廟の祭壇

    関帝廟の祭壇

  • 関帝廟の内部

    関帝廟の内部

  • 忠義仁勇開聖帝君

    忠義仁勇開聖帝君

  • 関帝廟の内部

    関帝廟の内部

  • 中華街の入り口

    中華街の入り口

  • セントラルマーケット入り口のモニュメント

    セントラルマーケット入り口のモニュメント

  • セントラルマーケットのファサード

    セントラルマーケットのファサード

  • セントラルマーケットに続くアーケード

    セントラルマーケットに続くアーケード

  • セントラルマーケットの内部、マレーシアの国旗はアメリカと似ている

    セントラルマーケットの内部、マレーシアの国旗はアメリカと似ている

  • 魚が足のかかとの角質を食べてくれる

    魚が足のかかとの角質を食べてくれる

  • 今回宿泊したヒルトンホテル

    今回宿泊したヒルトンホテル

  • ヒルトンホテルのプール

    ヒルトンホテルのプール

  • ヒルトンホテルからクアラルンプールの眺め

    ヒルトンホテルからクアラルンプールの眺め

  • 空港から三井アウトレットパークへ行く黄色い無料バス

    空港から三井アウトレットパークへ行く黄色い無料バス

  • 三井アウトレットパークの入り口

    三井アウトレットパークの入り口

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