名古屋城　本丸御殿の豪華絢爛

2016/02/23 - 2016/02/23

名古屋城の再建中の名古屋城本丸御殿が凄い！
やはり名古屋は城で持つ。

エリア 名古屋(愛知)

• 旅行の満足度: 4.5

• 同行者: カップル・夫婦
• 交通手段: 私鉄 徒歩

名古屋は何を見たらいいの？

　昼下がりの名古屋駅前。
　ミッドランドスクエアー。
　ここの41階には、太っ腹にも無料展望台があるらしい。

　小さな町なら、見所がはっきりしていて迷いがないのですが、
　初めて訪れる大都市というのは、なにをどう見て良いのか分からない。
　とりあえず、高いところに登って概観するのが王道かと思います。

　何かが分かるかも知れない。

ミッドランドスクエア ショッピングモール

　1階から直通のエレベーターで一気に41階に向かう。
　ガラス張りなので、ロケットに乗っているような爽快感があります。
　もちろん、ロケットに乗ったことはない。

　正面に見えているのが、JRセントラルタワーズかなあ。
　２４５ｍもあって、世界一でかい駅ビルとしてギネスブックにも載っているのだとか。
　最近、アベノハルカスに高さで抜かれたそうです。

　やっぱり、札幌よりもかなり都会だなあ。
　でっかいビルを見ると、意味もなく尊敬してしまう……

城でもつ

　おお、名古屋城だ。
　伊勢は津で持つ、津は伊勢で持つ、尾張名古屋は城で持つ。

　この有名な伊勢音頭のフレーズ。
　名古屋という町を良く表しているという。
　どういう意味なのだろう。

　やっぱり、名古屋は城しか見所がないと言うことなのだろうか。
　ういろう、ひつまぶし、世界の山ちゃんの手羽先、台湾ラーメン、味噌煮込み、モーニングサービス……と、思い浮かぶのは食べ物ばかり。

　ド派手な結婚式の嫁入り家具のお披露目というのも思い浮かんだけど、これはどこに行ったら見られるのかわからない。

　事前にいろいろ調べたけど、どうも今ひとつぴんと来なかったんです。
　ここから眺めても、眺めが良いという以上の何者でもない。
　やはり名古屋は城で持つのか。

　名古屋動物園のイケメンゴリラにでも会いに行くか……

名古屋レディー

　名鉄デパート前の巨大マネキン＝ナナちゃんに、旅人はド胆を抜かれる。
　この発想は、他にはないよなあ。
　天井すれすれにつるつるのスキンヘッド。
　キリンのように長い首は、今風な感じを受ける。

　でも、セーラー服すがたとは？
　新入学の時期だからだろうか。

　訊くところでは昭和48年4月28日生まれだから、42才ということになる。
　42才でセーラー服？
　当初は「仏像」だの「銅像」だのと言われていて、みんながナナちゃんはマネキンだと気付くのに時間がかかったらしい。

　頭に鉄の杭が刺さっているのも、かなりシュール。
　セーラー服は、市内の高校生の卒業制作だと言うから、特別な意図はないらしい。

　名古屋のシンボル、とどこかに書いてあったから、とりあえず名古屋の見所の一つと捉えるのが妥当かも知れない……。
　ただ、ナナちゃんに名古屋のすべてを背負わせるのは、ちょっと荷が重いだろう……か。


名古屋地下街

　このあと、歴史が古いというメイチカに潜入してみるもののこれといった収穫もなく。
　メイチカって、迷地下みたいな響きがあって、けっこう期待していたのですが、わりと普通だった……。

　そうそう、メイチカの金券ショップで、JRの普通乗車券をちょっとだけ安く売っていたのでびっくり。
　ちょっとだけ安い、というところに、どことなくいかがわしさを感じる。
　売っている若い女性店員に、どうして安いんですか、と尋ねたら、安いんです、とオウム返しにするだけで、どうやら理由は分からないらしい(もしくは言いたくない)。

　京都まで、いや正式には二条駅までの切符を買うつもりだったのですが、「名古屋→京都」を150円くらい安く売っている。
　京都駅までの値段と、二駅先の二条駅までの値段は一緒なんだけど……、くだんの女性店員は、少し考えてから、名古屋→京都の切符しかありません、ときっぱりおっしゃいます。

　150円くらいでトラブルに巻き込まれるのがいやで、とうとう購入に踏み切れませんでした。
　ただ、けっきょく切符のことで京都でトラブルになっちゃうんですが、そんなことはこの時はつゆ知らず。

ナナちゃん人形 名所・史跡

名古屋事始めの「キヨスゴシ」

　メイチカから地上に出たら、午後4時過ぎ。
　そのまま駅を背に東にどんどん進み、伝馬町通りに入る。
　すると、お堀の所に出ました。
　そのお堀に伝馬橋という橋が架かっています。

　橋のたもとの説明を見ると、この掘川を掘削したのはあの飲んベエ福島正則だそうで、当時尾張の中心は清洲城だったという。

　ああ、あの清洲会議の清洲か。

　徳川家康は、治水に問題がある清洲より、こっちの方が良いというんで、名古屋にでっかい城を造って、清洲の人々をこっちに引っ越しさせたんだとか。
　清洲と名古屋は10キロも離れていないけど、大騒ぎだったろうなあ。
　これを世に清洲越（きよすごし）という、……らしい。

　これが1610年のことで、数年の内に引っ越しはなされた。
　大阪冬の陣の4年前で、徳川の天下を磐石なものとするために苦心していた頃だろうか。
　まるで大阪城と対峙するようにでっかい城を建てたのは、恣意的な意味があるのでは、と何かに書かれていました。

　名古屋の歴史というのは、意外に新しいんだなあ。
　ある意味、江戸と似ているのかも。
　少し、名古屋が分かった気分になりました。

　この辺りは伝馬町と呼ばれ、江戸時代には宿駅の伝馬役を仰せつかっていたらしい。
　街道の、名古屋からの距離はこの橋のたもとから測っていたのだとか。
　

伝馬橋 名所・史跡

名古屋の伏見

　伏見にあるホテルに徒歩にて到着。
　駅から20分弱。
　オフィス街のまっただ中にあり、あーばんらいふなホテルです。
　周囲には、小さいながらも個性的で美味しいレストランが点在し、なかなか気に入りました。

　この辺りの歴史は、清洲越し以前からのもので、京都の伏見から移り住んだ人が多かったのだとか。

　深夜、頭痛を訴える相方が寝ているベッドの脇を通り、11階にある部屋の窓から桜通を眺めると、光の線が幾重にも重なって深夜遅くまで車の通りが絶えることはありませんでした。
　相方になんとなく後ろめたさを感じつつ、なぜか旅情をも感じるひととき。

　一人、コンビニにビールを買いに出ると、すぐ横の国道と桜通の交差点に横断歩道がかかっている。
　その上に登ると駅の方の夜景がすっかり見えて、とても美しい。

　歩道橋の階段の下の暗がりを、浮浪者のような格好の中年男性が袋を引きずって歩いているのが目に入りました。
　若いＯＬが向いからやってきて、その男性とすれ違う。

　暗がりなのですが、会社帰りと思しきＯＬが、少しだけ身をそらしたように感じました。
　男性は、まるで周囲のことには感知しないかのようにゆっくりと歩き続ける。

ホテルウィングインターナショナル名古屋 宿・ホテル

名古屋のモーニングサービスがすごい

　らしい。
　ネットで調べると、ホテルの近くに人気のコーヒーショップがあるようです。

　小倉サンドが出るような店ではないようですが、美味しいコーヒーが飲めそう。
　ホテルウィングインターナショナルから歩いて3分、MITTSという。

ミッツコーヒースタンド グルメ・レストラン

　外人さんが、片隅でコーヒー片手に英字新聞を読んでいたりする店内。

名古屋に迷う

　われわれも、おしゃれな店内のいっかくに腰掛け、モーニングサービスを朝食代わりに頂く。
　あーばんらいふデス、400円で。

　ただ、名古屋を感じさせてくれるものはなかったです。
　何をもって「名古屋」とするのか、自分でもよく分からないですが、名古屋弁のイメージかな。

　やっぱり、喫茶「リヨン」のようなところに行くべきだったか。
　いったい名古屋に何を求めているのだろう。

　カフェの前の歩道には、イスとテーブルが設置してある。
　だいぶ年代物のようにお見受けする。
　あーばんな喫茶店との対象がエキセントリック。

　座ってみると安定感に欠け、どことなく薄汚れているし、道端感があって寛げない。
　いったい、だれがこの席に座るのだろう……。
　その隙間にあるのは、パーキングメーター。

パーキングメーター

　日本のパーキングメーターは、駐車違反75分間猶予のためと、何かに書かれていました。
　お金を入れればそこまでは、切符を切られることはない。

　逆に、お金を入れなくても59分までは取り締まられることがないという。

　根本的に、海外のものとはコンセプトが違うのだとか。
　いちど、アメリカで入れたコインの額が少なくて、時間切れになっていたらあっというまに切符を切られていた。

　「レンタカーだろ、無視しろよ。」
　と、通行人が両手を広げてウインクしました。
　札幌にもあるけど、使ったことはない。

名古屋城を目指す

　犬山の喫茶店で、親切なご夫婦に教えられた通り、名古屋城に行くために市役所駅で降ります。
　「→市役所」のサインに従って地下通路を歩くと、いつの間にかおしゃれな建物の内部に出ました。

　ここはいったいどこだろう。

名古屋市役所本庁舎 名所・史跡

　1933年竣工の名古屋市庁舎の内部に出たようです。
　国の重要文化財だそうです。
　なかなか立派。

　昭和天皇の即位記念に建てられ、政令指定都市の市庁舎としては京都市庁舎に次ぐ歴史だとか。

　減税にっぽんの河村たかし市長、総理に最も近い男といわれていました（テレビタックルだったかな)。
　このところ、お茶の間を賑わせている名古屋市議会。
　名古屋弁というのは、いいですね。

　南利明さん、なつかしいなあ。
　アルマイトのことをアルミャートっていったり、エビフライをエビフリャー、そういえば、名古屋弁講座というCDが物議を醸したこともあったなあ。

　女性アナウンサーが、まじめに名古屋弁のレクチャーをする。

　すぐお隣には、市庁舎の5年後に建てられた、愛知県庁舎。
　同じく、昭和天皇の即位記念事業として建てられ、やはり国の重要文化財に指定されている。

　最上階が名古屋城しているのが特徴だとか。

　すぐ目の前に、名古屋城があります。

愛知県庁本庁舎 名所・史跡

名古屋城


　名古屋城には、目の前に地下鉄の入口がありますので、いちいち名古屋市役所の中を通ってこなくても良さそうです。

　500円の入場料を払って名古屋城東門から入ると、おりしも梅の花が咲き誇っていました。
　紅梅白梅が交互に植えられ、それはきれいです。

名古屋城 名所・史跡

　東南隅櫓が見えてきました。
　重要文化財です。

　城門を通って中にはいると、目の前に修復中の本丸が目に入ります。

名古屋城焼失

　昭和20年3月の東京大空襲を境に、米軍は正気を失ったかのようにめちゃくちゃに無差別な空襲を始めたと、中学校の時の技術科の先生が話していました。
　鉄のロバ、カーチス・ルメイが、戦争とはこういうものだと実証したのでしょう。

　軍事産業を支えた名古屋は、繰り返し爆撃を受けたものの、市民は、国宝の名古屋城だけは空襲を受けないと信じていたようです。
　しかし、5月14日の名古屋大空襲で、Ｂ２９爆撃機は名古屋城にも襲いかかった。

　日本各地のお城も、その多くが攻撃を受け消失しました。
　姫路城に落ちた爆弾は、たまたま不発弾だったとか。
　和歌山城も岡山城も大垣城も焼かれました。
　最後には原爆が落とされた。

豪華絢爛の本丸御殿

　空襲で失われた本丸を復元しようと、三期10年にわたる工事を150億円の巨費を投じて行う。
　昨年一期工事が終わり、三分の一が公開されました。

　今年の6月に二期目の工事が終わり、さらに三分の二が公開される予定だそうです。
　檜の香りが満ちる内部は、豪華絢爛そのもの。

　将軍の上洛に合わせて作られた上洛殿を、当時の素材、工法を忠実に再現したのだそうです。

　名古屋城内のふすま絵などの多くは、戦火を逃れるために三河にある寺に疎開していて一千点以上が難を逃れている。
　その実物を、御殿の元の場所に戻して鑑賞できるようにしていることもあるようです。

　復元された絵もすばらしいですが、実物も見てみたい……

名古屋市民の熱意

　本丸御殿の中には、観光客と同じくらいの大勢のボランティア(？)の係員の方たちが、ねっしんに説明して下さったりしました。

　昨年お亡くなりになった造形作家の夢童由里子さんが、この本丸御殿の修復に情熱を傾けておられたことがパネルで説明されていました。
　再建の担い手になった市民フォーラムを立ち上げたり、今では名古屋の大切な行事になった椿姫道中の企画をしたり……

　どれも初めて知る事ばかりでした。
　小樽運河もそうですが、女性パワーというのはすごいなあ。

　二年後にすべて完成すれば、日本の貴重な文化遺産となるだろうなあ。

　尾張名古屋は城で持つ。

　ちょうど、戦火から守るために金のしゃちほこを屋根から下ろしている作業中に空襲を受けたのだとか。
　名古屋城が炎上している、ものすごい写真が城内に展示されていました。

　やはり城というものは、戦火で焼けるものなのでしょう。
　敵を責めるなかれ。
　ゴジラも責める無かれ。

　名古屋駅周辺の高層ビル群が見渡せます。

　最上階までエレベーターで上り、各階の展示物を見ながら降りて行きました。

　この辺り、黒田長政が担当したみたいですが、この石はでっかくて手に負えず、加藤清正に任せたみたいなことが書かれています。
　この頃になると、築城の技術も最盛期に達していたのでは無かろうか。

　どちらも、築城の名手。

　本丸の見学も込みで500円。

水の宇宙船

　地下鉄で栄町のオアシス21の所にやってきました。
　青空に浮かぶのは「水の宇宙船」。
　背後に名古屋テレビ塔。

　これをテレビＣＭで見て、目が釘付けになりました。
　2005年愛知万博の際に作られたとか。
　長さ１０６ｍ、幅３６ｍあるそうです。

　大林組がコンペで入賞し、請け負ったようですが、無重力状態で浮く宇宙船をイメージしたのだとか。
　実際に作るのはそーとう苦労したそうです。

　なんせ、水が入った巨大なお皿です。
　ザハ・ハディド氏が設計した、２０２０東京オリンピックのメインスタジアムにも負けない奇抜なデザインです。

　名古屋城もそうですけど、度肝を抜く建物というのは作っちゃえばそれなりに名所になるんだなあ。
　ギザのピラミッドなんか、無意味な建造物の王様だろうと思う。

オアシス21 公園・植物園

　上を歩いている人がいる。

外人に間違えられる憂鬱

　相方が、記念写真を撮るからアンタそこに立てという。
　サービス精神を出して、水を軽く触って変顔をしてポーズを撮ったら、あっちから係員が飛んできました。

　そして私の顔を見てひと言、ドント　タッチ　ウォーターと言いました。
　きょとんとしていると、OK?と念を押されました。

　これまでに、なんども外国語で話しかけられる。
　英語、中国語、韓国語……
　いったい何人に見られているのだろう。

　ちなみに、水に触れるなとはどこにも書かれていなかったけどなあ。
　日本人なら常識なんだろうか……。

オアシス21 公園・植物園

　オアシス21の下では、スケートリンクが設けられていて、数人がスケートを楽しんでいました。

　このスケートリンクの脇にフードコートがあって、数脚の椅子とテーブルが置かれている。
　今日は疲れたので、足のすねあたりの筋肉が張っているのを感じます。

　椅子に腰掛けて、スケートに興じる若者を眺めながらもみほぐしていると、あちらのテーブルに、どちらも黒縁の眼鏡を掛けてまるまると太ったカップルが座っています。
　彼氏のひざに彼女が座り、互いをいつまでも見つめている。

　どちらも、けして美形とは言い難いので、お世辞にも絵になりません。
　ただ、幸せオーラがはんぱなく。

本物の外人と電話でおしゃべり

　晩に、カレー専門店を訪れました。
　クーポンサイトで買ったクーポンの利用だったので、事前の予約が必要とのことでした。
　札幌から行くので、希望の日に食事が出来ないと困るので、かなり早く二ケ月も前に予約の電話を入れました。

　「はい、インダスです。なんですか？」

　と、明らかな外国なまり。

　「えーと、予約をしたいのですが……。」

　「よやく？今日？あした？」

　「えーと、2月の23日です。」

　「……。」

　「ポンパレなんですけど……。」

　「ポン？」

　「2月に予約を入れたいんですけど。」

　「ガチャン」

　というようなわけで、まあいっか、前日にでもまた電話しようと思っていて、当日の午前中になっちゃいました。
　問題なく予約が出来、6時くらいに行ったのですが、この店結構な人気店だったらしく、7時くらいにはほぼ満席になりました。

　値段も手頃でおいしかったし、一生懸命接客してました。
　特に、おかわり自由のナンが良いです。
　ヘンな電話してごめんなさい。

　店の名はインダス栄店。
　プリンセスガーデンホテルの１Fにあります。

インダス グルメ・レストラン

　すぐわきに、ホテルの名前を冠した通りが走っている。
　大須とか近いのだろうか……。
　疲れたから、大須をぶらつくのはけんのんになって、ホテルに戻りました。

　もしかしたら、探していた名古屋がそこにあったかも知れない。
　でも、名古屋城と水の宇宙船で満足しました。

　時刻は8時前。
　これからという時間ですな。
　明日に備えて、よい子は休むことにする。