2015/12/15 - 2015/12/18
686位(同エリア1437件中)
まりも母さん
北九州レトロをめぐる旅4 関門海峡徒歩で渡って、唐戸レトロ探し前半
http://4travel.jp/travelogue/11091341
続きです。
下関南部町郵便局の隣にある 旧秋田商会ビルに入ります。
洋風の塔屋のある美しい建物です。
中は、驚愕の展開となっていました。
係りの方に案内して頂き じっくり見学できました。
その後 さらに歩き やはり見ごたえのある山口銀行旧本店へ。
他にも外観のみですが 唐戸に残るレトロ建築を巡って。
今度は連絡船で関門海峡を渡り門司港へ戻るまでの旅行記です。
- 旅行の満足度
- 4.5
- 観光
- 4.5
- 同行者
- カップル・夫婦
- 交通手段
- 船 スカイマーク 徒歩
-
下関市観光情報センター(旧秋田商会ビル) 大正4年(1915)
秋田寅之助+新富直吉設計
秋田商会の事務所兼住居として建てられた西日本初の鉄筋コンクリート造のビル。 -
角地に建っていて 入り口ドアが2つあります。
こちらは 国道9号(山陰道を継承する道路です)に面したやや小さい入り口。 -
塔屋の下にある角部分にあるメインの入り口。
脇のやや小さい入り口同様、鉄扉の中に木とガラスの扉がありました。
内部の見学は無料です。入ってみます。 -
1階の内部は 銀行のような造りです。
カウンターがあり 一段高くなった内側が事務所スペースだったのでしょう。
窓の下には木製のベンチが設置されています。 -
壁につけられたブラケット。
これが 古いものなのか?後から設置されたものなのかが不明です。
はっきりとした改修の記録が見つからなかったのですが かなりきれいな状態なので
部分的には手が入れられてはいると思われます。 -
窓には鉄格子がはめられています。
ドアの鉄扉と言い 大きな商いをしていた会社なのだろう と 想像できます。
鉄筋コンクリートに 入念な泥棒対策。
当時最高のセキュリティーレベルだったのではないでしょうかね。 -
カウンター脇をぐるっと進むと 古い秤やガスストーブらしきものも置いてありました。
1階は下関市観光情報センターとして使われていて 観光パンフやマップなどが置かれ、事務所フロアーは展示スペースになっています。
ここで 係りの女性が「2階もご覧になるならご案内致しますよ。」とありがたい声かけをして下さいました。
来場受付を書き 靴を脱いで一緒に2階へ上がる事にしました。 -
洋室部分はドアです。 ドア周りには装飾も付き
タイルの貼り方もなかなか凝っています。 -
階段の下には鍵付きの扉。
透かし模様のゲートです。
やはりセキュリティーはかなり厳しい造りですね。 -
2階への階段。手すりがきれいです。
状態もかなり良く 材も良い物を使っているのが判ります。 -
階段を上がって振り返ると 廊下にドアがいくつも並んで見えます。
更に3階へ続く階段も。
天井は棹縁天井ですが 洋館っぽい造りの部分です。 -
と 前を向いたら・・・なんじゃこりゃ~~!?
窓の内側 廊下を挟んで障子が並んでいるではありませんか!
内側・・いきなり和館のお姿です。 -
そして・・・障子の内側は当然畳敷き・・・。しかも何部屋も畳の間が続いています。
ふすまも見えますし長押もあるじゃん。
これはふつ~~な和室。 -
2階の平面図がありました。
画像にはありませんが 改修で手を入れた部分の説明も書かれています。
改修状況が書かれていると古い建物を見るのにとても役立ちます。
この説明板すばらしいですね。 -
床の間っぽい部分も。
押入れっぽいふすま部分 奥行きが無いですね。
洋館の建物内に和室を入れ込んでしまったというかなり不思議な造りになっているのでした。
平面図からすると・・・寅之助長女・梅子の更衣室・・・お着替え部屋かーい!! -
大きな床の間のある こちらは長女梅子の部屋に続いた間です。
先ほどの平面図に この床の間のあるお部屋の改修状況が書かれていました。
畳を換え、じゅらく壁の亀裂を直し・上塗り、格天井は洗浄・腐食部分を交換、
障子・ふすまは木部洗浄・紙張替え。 -
ここは 外からみて塔屋のような角の部分の内側です。
床がまるく張られています。 -
先ほどの 大きな床の間の付け書院を廊下側から見た所。
廊下を縁側のようにして中にすっぽり和館が納まっているのですね。
これには驚きました。
こんな洋館を建てておきながら 住まいは和風がよかったのでしょうね。 -
書院の部分。
山と霞の図は〜これ富士山ですよねぇ。
いくら、九州激近の下関でも噴煙あがる阿蘇の図とかではないよねぇ・・・。 -
本来 この規模の和風住宅なら 雪見障子から見える景色は 庭園の松だったり池だったりするでしょうが
ここは ビルの2階。そんな景色は見えません。
でも 代わりにこのビルは屋上に庭園があるのです。 -
和室の周りにはぐるっと廊下が回廊になっています。そこを歩く順路に従って 今度は3階へあがります。
-
3階の平面図
2/3は2階同様和室、階段脇のスペースは洋風の造りです。 -
3階の廊下 ドームのある塔屋へ上がる螺旋階段がありました。
しかも木製!
老朽化しているそうで ここを登る事はできません。 -
下から見上げた螺旋階段。
説明板の画像から この階段を上がった上には半月型(かまぼこ型)の窓の内側になる小部屋があります。
そして屋上庭園へ出られるようです。 -
3階には大広間がありました。
大きな床の間と違い棚、書院のある部屋です。 -
やはり2階同様に、天井材の洗浄やじゅらく壁の補修、畳換えなどの補修がなされています。照明器具は古いままのようです。
-
3階の和室はこの一番小さい部屋でさえ8畳敷き。大きな部屋ばかりが並んでいました。
中国風の円形座卓が置かれていました。ここで、卓袱料理でも振舞ったのでしょうか・・・。 -
古い足踏みオルガンも置いてあります。
彫られた模様もやや和風な感じです。 ヤマハ製のオルガンでした。 -
ダムウェイターという手動式のエレベーターが設置されています。
1階に台所があり 2階の食堂や屋上庭園の日本家屋で お客をもてなす際に料理を運んだものだそうです。
部屋の奥部分に設置されていたと書かれています。 -
トイレです。
奥に和式の便器が見えます。タイル張りで おしゃれで衛生的な感じです。
恐るべき所は・・・水洗トイレなのだそうです!!
そういえば・・・配管もありますね。
水を3階まで上げた方法も気になります・・・。 -
3階まで一通り見ましたので、下りてきます。
他にも内部は公開していない屋上の日本家屋(茶室らしいです)と屋上庭園
洋間の数々などがありました。
表から見て 中にこんな純和館がすっぽり入っていると予想はつかず、驚きでした。
ビルなので 庭のない部分は 屋上に庭園を作る事で補っている事も驚愕です。
ビルの屋上庭園なんて・・・多分本邦初だったのではないでしょうかね??
思いがけず驚き満載の旧秋田商会。状態が良いのもすばらしかったです。 -
歩道橋の上から秋田商会の建物を見ます。
屋上に見える屋根が 屋上に建てられた和館の屋根です。
屋上庭園の木々も形がきれいで 良く手入れされている事が判ります。
年に1回位は屋上が公開される日があるみたいですが
さすがにそれを目指して下関までは来られませんからねぇ・・・。 -
今度は ちょっと離れた場所へ。
秋田商会をじっくり見せて頂けましたが 午前中で済むかと思っていた唐戸歩きは
またもや時間が押してきてしまいました。
移動はやや急ぎ足で。
見えてきたのは大きな建物です。 -
山口銀行旧本店(旧三井銀行下関支店) 大正9年(1920)長野宇平治設計
山口県有形文化財
やまぎん史料館のひとつ 旧本店建物として無料公開されています。 -
入り口上部のレリーフ。
イオニア式の渦巻き飾りもあります。その下にはコリント式っぽいアカンサスの葉のモチーフらしきものも見えます。
アーチの上にある動物は牛でしょうかね? -
銀行らしい大空間。すばらしいです。
この広々とした空間にまず圧倒されます。 -
入り口には風除室があり 白い漆喰壁に対して濃い色の木製である所が
銀行建築らしい威厳を感じさせます。 -
天井は大きな格天井を思わせる意匠です。深い蛇腹の漆喰の陰影が美しいです。
-
あちこちに施された漆喰装飾。
ここにもアカンサスのデザインが。 -
カウンターの上に設置された格子の仕切りも素敵ですね。
-
営業室左奥にはカーブを描きながら登る木製階段。
ケヤキ製のものです。この木目の見える曲線は美しいです。
この階段と絨毯は 山口銀行創立当初のまま残されたものだそうです。 -
奥には小部屋が並んでいます。扉はありますが 中は空っぽです。
この建物 見学は 入り口が開いていて自由に見られるのですが
中には誰も居なくて どこまで見ていいのやら???
自己判断で 立ち入り禁止となっていない部分を歩いてみます。 -
1階の端には金庫室。
大きそうですが さほど厚みが無く、厚い壁が入り口にありその前後に扉があるみたいですね。
中は比較的新しそうなので入りませんでした。 -
白い天井になぜか黄色のランプ。
なんで黄色??それは・・・判りません。 -
先ほどの左側の階段の他に金庫室脇にも階段がありました。こちらを上がってみます。
-
右側の階段、更に上へ続いています。
帰宅後調べてみると 屋上まで上がれる階段のようでした。 -
2階の回廊から見る営業室
おととし訪れた、京都三条通りの 京都文化博物館別館(明治39年・1906年竣工)を思い出します。
あちらは 旧日本銀行京都支店で 辰野金吾と長野宇平治の設計でした。
内部の様子が良く似ていると思いました。 -
2階から間近に見ると 蛇腹引きの装飾部分には 細かい飾りもついています。
手抜きなしの豪華さですね。 -
いつまで経ってもダンナが2階に上がって来ないので何をしているのかと思ったら解説板を読んでいました。
(私は全く見てなかったです)
詳しく書かれていると言うので見ると・・・
改修前と後の写真なども展示されていました。
元々は 三井銀行下関支店として建てられたものでした。
百十銀行本店、山口銀行本店、山口銀行観音崎支店、山口銀行別館、日本銀行下関支店と用途が変わり
その後 建物の内外を山口銀行創立時の姿に戻す復元・耐震補強の改修工事が行われ
山口銀行旧本店として一般公開されたのです。
一時はつり天井で天井高も低くなっていたのですね。
階段手すりも白く塗られちゃって・・・。
カウンターや風除室、床のモザイクタイルは復元です。
失われたものを大変な努力でよく元の様子によみがえらせたと思います。
この復元箇所などについては、山口銀行のwebサイトに詳しい掲載があります。
https://www.yamaguchibank.co.jp/portal/special/museum/ -
次の建物へ移動する途中 あれ?これも結構古そうだよね?
下調べでは特に見つからなかった建物です。
山口県労働金庫下関支店(旧不動貯金銀行下関支店)昭和9年(1934)
関根要太郎設計 -
トスカーナ式大オーダーのある建物で、調べてみると
関東大震災後に建てられた免震基礎構造が採用された建物であるそうです。
なぜか、関門エリアのレトロ建築紹介からは外れていますが
昭和の時代の建物であっても 文化財的要素は十分あると思いました。 -
次は、
田中絹代ぶんか館 (旧下関郵便局電話課分室)大正13年(1924)
逓信省営繕課設計 下関市指定有形文化財
なかなかモダンな造りです。 -
昭和40年代電話局が移転してからはさほど使われず
老朽化の為解体される事に決まりましたが
市民の保存運動が実り 改修され、下関出身の女優 田中絹代ぶんか館としてオープンしました。
中も気になる所ですが、もう時間がなくなってきてしまいました。
今日はこれから博多へ移動なのです。
残念ながら見学は外観のみで。 -
すぐ隣にある
旧宮崎商館 明治40年(1907)国指定登録有形文化財
このあたりは かつての大通りで 外国商社の洋館が建ち並ぶ華やかな一帯だったそうです。 -
煉瓦のアーチが並ぶ2階バルコニーが美しい建物です。
現在は ヨシダメディカルクリニックが入居しています。
その前はロダン美容室という別のテナントが入っていたようで
その頃の写真と比べると
入り口アーチ内や窓が異なっています。
クリニック入居時に改装されたのでしょう。 -
脇通路のゲートの横にも煉瓦の塀が残っています。
鉄の門扉とアーチ型の飾りは 美容室時代にはサビサビさったそうで
それは残してきれいに塗装されたようですね。
宮崎商店は 石炭輸出業を営む商社だったそうです。 -
いよいよ時間が無くなり 連絡線乗り場へ急ぎます。
英国領事館でのお茶も それに やや離れていますが 2.3見逃した建物もあるようでした。
残念ですが まぁ自分が見たいと思った建物は一応廻れましたし
思ったより見ごたえのあった 秋田商会と山口銀行旧本店をよ~く見る事ができてよかったです。
カモンワーフ近くの乗り場から門司港へ戻るのに 連絡船なら乗れば5分です。
出航時間が近いので 乗船券を買って(大人400円)急いで向かいます。 -
寒いけど せっかくだから景色の見えるデッキの席に座ります。
中は2層になっていました。 -
桟橋を離れて出航です。
デッキは喫煙OKらしく 横のおじさんが吸っているタバコの煙が 風にあおられてモロに流れてくる・・・。
なんか そういうのも久々のような・・・。 -
あ~ちょっと名残惜しい下関・・・。
まぁ山口県にまで来られると思っていなかった おまけですから
そう、欲張るのもな・・・と自分に言い聞かせます。 -
すぐに 門司港が近づいてきて船旅は一瞬で終わり・・・そうそう 巌流島もこの関門海峡にあるんだって!
全然知らなかったが まぁ別に宮本武蔵ファンでもないし・・・。 -
門司港のマリンゲート門司が近づいたら 桟橋で何かの撮影をやっていました。
丁度、ロケが終わったみたいで 曇り空がさむ~い今日は 薄着のタレントもひえひえなんでしょう。ピンクの毛布に包まれていましたよ。だから、誰だかわかんない。
門司港レトロ、そしてそのお隣の唐戸も 同じレトロがらみで 見所多い場所でした。
楽しかったな。
さぁ 北九州の旅はまだまだ続くのです。
今日はこれから博多へ戻り 博多でもしぶとく
レトロな建物を見るぞー!と思っているのです。
この続きは
北九州レトロをめぐる旅6 博多で見た!辰野金吾はやっぱりすごい! へ
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