幌延深地層研究センターの地下施設見学（北海道）

2015/10/24 - 2015/10/25

幌延深地層研究センターは、原子力発電の使用済核燃料を再処理した際に発生する高レベル放射性廃棄物を安全に処分するための深地層の科学的研究を行っています。

幌延は堆積岩の地層ですが、他に結晶質岩の地層である岐阜県瑞浪にも深地層研究所があります。
最終処分場が幌延に決定したわけではなく、深地層の調査研究終了後は地上の研究施設を閉鎖し、地下施設を埋め戻すことが幌延町との約束になっています。
調査研究は現在第三段階に入り、300mより深い地下施設での調査研究です。

今回の見学は、地層処分の研究概要・ゆめ地創館の展示で予備知識を得た後、深度350mの調査坑道を実際に歩き試験施設等を確認します。
平成27年度の見学は、4月〜10月の第4日曜日の9:30〜12:00に定員18名で開催され、参加費は無料です。
原子力発電の廃棄物をいかに安全に処分するか、現在進めている深地層での調査・研究が意義深いものだと感じました。

今日は音威子府から出発し、天塩町の「てしお温泉」に泊まり、翌日幌延深地層研究センターを見学します。

エリア 天塩・遠別・幌延(北海道)

• 旅行の満足度: 5.0
• 観光: 5.0

• 同行者: カップル・夫婦（シニア）
• 交通手段: 高速・路線バス JRローカル
• 旅行の手配内容: 個別手配

音威子府駅の行先板

木彫りで作られています。

音威子府から普通列車で北上し、幌延（ほろのべ）へ向かいます。

あれっ、トナカイ？

問寒別付近の牧草地にいました。

実はエゾシカで、夏毛から冬毛に変わり、斑点のない灰褐色になっています。

秘境駅の糠南（ぬかなん）

短いホームに物置を使った待合所があります。

駅の前は牧草地です。

天塩川の大きなカーブ

牧草地の曲線美

原野の雄信内（おのっぷない）に停車

ここで反対列車と待ち合わせます。

特急サロベツ号と交換

羊が1匹、羊が2匹、眠くなってきた〜！

使われなくなったサイロに羊の絵が描かれています。

幌延駅に到着

音威子府から1時間20分かかりました。

幌延駅の古い跨線橋

ここは北緯45度、トナカイの里があります。

あれっ、天塩へ行くバスがいない

幌延駅前バス停の時刻表を見ると、10/1から時刻変更になり列車到着の5分前に発車していました。
何と意地悪な沿岸バス･･･

次のバスは土曜運休で、その次は何と2時間半後です。
タクシーは7,000円もかかるので、じっと待つことにします。

大球キャベツ

町のスーパーをぶらぶらしていると、お化けキャベツを発見。

名寄で栽培しているキャベツで、ひと球800円もします。

この後、教えてもらった町の図書室に行き、時間をつぶしました。

今日の宿「てしお温泉 夕映」

天塩川が日本海に注ぐ天塩町にあります。
日帰り入浴施設のある宿です。
昨晩泊まった音威子府村の天塩川温泉と名前が似ているので間違えそうです。

バスは天塩町内に入ると、車内放送で「てしお温泉に行かれる方はボタンを押してください」と案内があり、このタイミングでボタンを押さないと、寄ってくれません。

夕食

天塩の海の幸を中心とした食事です。

てしお仮面

天塩町の特産品「しじみ」をキャラクターにしています。

人差し指を突き出したナンバー1ポーズは、「天塩町のしじみは天下一品」を意味しています。

鏡沼と日本海

宿からの眺めです。

天塩川を飛び立つ白鳥

翌朝、幌延へ向かうバス車窓から見えました。

後ろには、日本海に面したオトンルイ風力発電所が並んでいます。

幌延深地層研究センター

幌延駅からお迎えのバスに乗り、15分ほどで深地層研究センターが見えて来ます。

展望タワーの外壁が3色に塗られており、掘削した穴の地層をイメージしています。
タワーの上から、地表の勇知層、次に声問層、稚内層になっています。

モグラがお出迎え

宇宙、海洋に続く第三のフロンティア「地下空間」を、幌延町で解明が始まっています。

バス到着後、ゆめ地創館の建物に入り、見学のスケジュール、地層処分の研究概要、施設の設備、深度350m調査坑道見学等の説明を聞きます。

人工バリア

ゆめ地創館にある展示の一部です。

人工バリアは、放射性物質を閉じ込めるため、放射性物質をガラス構造の中に閉じ込めたガラス固化体、オーバーパック、緩衝材から構成されています。

展望タワー最上階からの眺め

道路わきの白く見えるところが、立坑の掘削土（ズリ）置き場です。

珍しい周氷河地形

このあたりの地形は、宗谷丘陵によく見られる周氷河地形で、稜線も谷も丸みを帯びています。
氷河時期にできた丘陵なんです。

では、展望タワーを下ります。

ヘルメット姿のかっちん

入坑に必要なヘルメット、つなぎ服、懐中電灯、反射チョッキ、手袋、安全長靴を着用します。

着慣れないつなぎ服、脱ぐときは係りの人に引っ張ってもらいました（笑）

西立坑の人キブル

工事用のエレベータに乗り、地下350mに下ります。

キブルとは、鉱石をつり上げるバケットのこと。
そんな形をしたエレベータですね。

異次元の世界へ行くぅ〜･･･

エレベータの下についているカメラのモニター画面を見ています。

下まで5〜6分かかります。

地下350m調査坑道の案内図

坑道は西立坑と東立坑のまわりに、8の字になった坑道がつくられています。

では、西立坑の地下部分から出発します。

坑道を歩き始めます

みんな地底人になりきっています。

低アルカリ性コンクリートの透水試験装置

通常のコンクリートは地下水と接触すると高アルカリ化し周囲に影響を与えるのですが、ここでは低アルカリ性コンクリートを使用しアルカリ化の変化を試験しています。

換気立坑

立坑には工事・人キブル用が2本、換気用が1本あります。

物質移行試験

地下水の流れや岩盤の動きのデータを集めています。

東周回坑道

何やら潜望鏡を持った奇妙な怪獣が待ってる〜･･･

カナヅチでトントンやって試してみると

センサで測定した地震の強さが表示できます。

坑道には正式な地震計が備えられています。

湧水が増加した地点

追加の吹付コンクリートを施工して対策しています。

坑道の貫通点

左右各々から掘削し合流した地点です。

貫通点では、家内と握手をして貫通の喜びを再現してみました。
周りの人の目を気にせずに･･･（笑）

金がザクザク

ここは掘削したままの状態が見れる「幌延の窓」というところ。

金かと思い近づいてみると、薄茶色の岩でした。

ここにも、物質移行試験装置

掘削に使っていた重機

重機の運転席

レバーがありすぎて操作が難しそう。

試験坑道

模擬的な試験孔を埋め、人工バリアの性能を確認しています。

水平坑道掘削影響試験

オーバーパックなど各種試験

帰りは東立坑から

地上ははるか遠くにあるような･･･

東立坑の人キブル

これに乗り、無事地球（正確には地上）に帰還できました。

地下施設では各種試験から集まるデータをもとにモデルを作っているので、いずれ決まる最終処分場の地層に対してシミュレートができると思います。

トナカイ観光牧場

研究センターの隣にあるトナカイ牧場に行ってみます。

外は雪で吹雪いています。

トナカイが1頭しかいない？

いたいた、でもあんなに遠くに

寒いせいか、こちらに顔を向けたままじっとしています。

豊富（とよとみ）

この後、バスで豊富駅に出ます。

豊富は酪農が盛んで、豊富牛乳があるところです。

豊富特産品の湯あがりプリン

豊富温泉の川島旅館で作るプリンは、原料の豊富牛乳そのものの甘さが活かされたプリンです。
風呂上がりの牛乳の代わりに、サッパリと食べるプリンで評判。

駅前の観光案内所で買ってみた醤油、キャラメル、アールグレイのプリンは、濃厚な生クリームに各々の味が調和し美味でした。

雪が舞う特急サロベツ号

札幌行き特急です。

雪で遅れると夜行急行はまなすに間に合わないので、早めの特急に乗ります。

吹雪の中のシラカバ

札幌には遅れずに到着し、急行はまなすにも乗れました。

今回の旅は、幌延深地層研究センターの地下施設見学をメインにしました。

この研究は、国の予算で国立研究開発機構 日本原子力研究開発機構（JAEA）が行っています。

この旅行記へのコメント （2）

• PHOPHOCHANGさん 2015/11/30 10:54:08

  つなぎ、お似合いです

  いつも興味深く拝見させていただいております。
  それにしてもこんな地下施設の存在初めて知りました。周囲の景色とのギャップが半端無く‥。行ってみたいところです。
  
  列車到着5分前のバス発車、有りがちですよね。何故？と思いますが、誰も何も言わないのかな？
  
  次も楽しみにしています♪

  かっちんさん からの返信 2015/11/30 15:34:03

  RE: つなぎ、お似合いです

  PHOPHOCHANGさん
  
  　こんにちは
  
  　幌延にある地下施設は、美深のトロッコ王国を訪れた時に周辺のパンフレットを見て知りました。
  　原子力発電を使っている国として廃棄処理する責任があるので、興味深く見学して来ました。
  
  　列車とバスが接続していない理由は、今までのバス利用実績からのようです。8月の北海道時刻表を見て事前確認しておいたのですが、10/1に改定されとは予想していませんでした。
  
  　これからもよろしくお願いします。
  
  　　かっちん