2015/09/10 - 2015/09/10
234位(同エリア672件中)
経堂薫さん
> 私、生まれも育ちも葛飾柴又です。
> 帝釈天で産湯を使い、姓は車、名は寅次郎。
> 人呼んで "フーテンの寅" と発します。
このセリフでおなじみの国民的映画「男はつらいよ」。
舞台となった東京都葛飾区の柴又には今も寅さんを慕う人たちの姿が絶えません。
その「寅さんの世界」は、ここ柴又の「寅さん記念館」で体験できます。
また、記念館の向かいには「男はつらいよ」の生みの親、山田洋次監督の記念館。
寅さん映画以外にも数々の名作を世に送り続けている監督の業績を一望できます。
無論、映画に毎回のように登場する“象徴”柴又帝釈天(題経寺)も欠かせません。
さらに東京に現存する唯一の渡船「矢切の渡し」も合わせて乗りたいところです。
この「矢切の渡し」は歌謡曲にも歌われ、細川たかしらの競作で大ヒットしました。
オススメのルートは、まずJR常磐線松戸駅から京成バスで矢切の渡しバス停へ。
船で対岸に渡り、寅さん記念館や帝釈天を見て、参道で名物の草団子や鰻などを賞味し、京成柴又駅へ。
映画と歌謡曲と現実の世界が交錯する葛飾柴又で人情味あふれる休日を過ごしてみませんか?
- 旅行の満足度
- 5.0
- 観光
- 5.0
- グルメ
- 4.0
- ショッピング
- 4.0
- 交通
- 5.0
- 一人あたり費用
- 1万円未満
- 交通手段
- 高速・路線バス 船 私鉄 徒歩
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「寅さんワールド」へは江戸川の「矢切の渡し」で向かいます。
江戸時代初期から続く、都内に唯一残る貴重な渡し船。
松戸側の乗船場は公共交通機関から遠いためアクセスが不便です。
ただし土日祝はJR松戸駅から矢切の渡しバス停まで京成バスが運行されています。
川幅は100mちょいと大して広くもないのですが。
なにせ小さい舟なので、わずか数分の乗船時間が随分と長く感じられます。矢切の渡し 乗り物
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「男はつらいよ」第1作の冒頭。
この「矢切の渡し」で寅さんは柴又へ20年ぶりに里帰りしました。
柴又側の河川敷は「柴又公園」として整備されています。。
堤防を越えるとすぐに山本亭。
その隣に寅さん記念館と山田洋次ミュージアムがあります。
まずは山本亭に向かいます。矢切の渡し 乗り物
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堤防から続いている小山があり、そこから伸びる階段を下りていくと山本亭の長屋門。
エレベーターで下ると寅さん記念館にアクセスできます。
山本亭はカメラ部品メーカー「合資会社山本工場」創業者山本栄之助翁の自宅として昭和初期に建てられた歴史的建築物です
富裕層の間で洋風建築を取り入れる当時の流行を現代に残す貴重な建築として、葛飾区が登録有形文化財に指定しています。葛飾区山本亭 名所・史跡
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山本亭の特徴は和風建築の書院造と西洋建築がミクスチャーされた和洋折衷の建築様式。
唯一の洋間「鳳凰の間」は寄木を用いたモザイク模様の床、白漆喰仕上げの天井、ステンドグラスの窓、大理石製マントルピースなどが見どころです。
それ以外はすべて和風デザインで統一されています。
和室6部屋のうち角部屋に当たる2部屋は床の間、違い棚、明り障子、欄間から構成された伝統的な書院造。
家全体を取り巻く廊下は自然光を意識した大きなガラス戸やガラス欄間を多用することで、開放感のある構造を構築しています。
和室の各部屋では喫茶メニューが供されていて、庭園を眺めながら抹茶やコーヒーなどが味わえます。
だがしかし、入館料が安いせいか大広間は爺さん婆さんに占拠され、まさに健康ランドの大広間状態。
五月蝿くてゆっくり建物を鑑賞するどころの話ではありませんでした。
お年寄りを大切にするのもいいですが、葛飾区ももうちょっと考えて欲しいですね。葛飾区山本亭 名所・史跡
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一方、山本亭の庭園は昭和初期の資産家の庭園が当時のまま残されている貴重な存在です。
縁先近くに池泉を、その背後に植え込みと築山を配し、滝を落とすという典型的な書院庭園。
面積は270坪(約890平方m)で、松やツツジなど約400本の樹木が植えられています。
滝は池の最奥に当たる入江奥に設けられ、庭に奥行きの深さを演出。
池を広く見せるため多方面に入江を設けてあります。
なお、コケ類保護のため立ち入りはできません。
この主庭はアメリカの日本庭園専門誌「Sukiya Living」のランキング調査(2014年)で第3位に評価されています。
この調査は日本全国900カ所以上の旧所名跡、旅館、旧別荘が対象。
ちなみに順位が公表された2003年以降、山本亭は常に7位以内にランクインしているそうです。葛飾区山本亭 名所・史跡
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再び小山の階段を登り、エレベーターで「寅さん記念館」へ。
エレベーターを降りると吹き抜けの中庭「光庭」に出ます。
ここには全国のロケ地を焼き付けたタイルを地図状に並べた「こころのふるさとマップ」が設置されています。
また、光庭に面して土産屋「下町や」があります。
ここでは帽子に腹巻、雪駄、衣装などを販売。
これら一連の装束はレンタルもしているので、記念撮影もOK!
もちろんキーホルダーやオモチャなど普通のお土産も販売してますよ。
この「光庭」までは無料で入れます。葛飾柴又寅さん記念館 美術館・博物館
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中に入ると正面に、おなじみの団子屋「くるまや」。
これは実際に撮影で使用されたセットを移設したものです。
往時このセットは松竹大船撮影所第9ステージに、半月程度かけて建てていました。
完成すると中に小道具を飾り、ひと月半ほどで撮影を終え、その後は解体して倉庫に保存。
このサイクルを28年間ずっと続けていたそうです。
傷んだところを補修しつつ、柱や建具などは毎回同じ物を繰り返し使用し続けてきました。
しかし、シリーズの終焉とともにセットも役割を終えます。
大船撮影所が閉鎖されたのを機に、この記念館に永久保存されることになりました。葛飾柴又寅さん記念館 美術館・博物館
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「わたくし生まれも育ちも葛飾柴又です」コーナーには、寅さんが少年時代を過ごした昭和30年代の帝釈天参道が、遠近法を用いてミニチュアで再現されています。
また、自転車を漕いで客車を推して進む「人車鉄道」のミニチュア模型も展示されています。
1899(明治32)年から1913(大正2)年まで、金町から柴又までの1.5kmを帝釈天への参拝客を乗せて運んでいました。
スイッチを押すと模型の人車鉄道を車夫が推進して帝釈天まで乗客を運んで行きます。葛飾柴又寅さん記念館 美術館・博物館
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ほかにも寅さんが肌身離さず持ち歩いているトランクの中身が展示されていたり。寅さんの啖呵売を映像で紹介しています。
出口へと続く両側の壁には、歴代マドンナ全員の写真がコラージュされています。
一人一人その表情を眺めつつ、寅さんワールドに別れを告げました。葛飾柴又寅さん記念館 美術館・博物館
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光庭から出ると、道を挟んで向かい側に山田洋次ミュージアムがありあます。
前の道は自動車が通っているので、階段で上に上がり陸橋を渡ると安心です。葛飾柴又寅さん記念館 美術館・博物館
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映画「男はつらいよ」シリーズ全48作品の原作・脚本を書き、うち46作でメガホンを取った山田洋次監督。
もちろん、それ以外にも「幸せの黄色いハンカチ」や「学校」シリーズ、時代劇「武士の一分」といった名作を生み出し続けている、日本を代表する映画監督の一人です。
その業績を通じて、作品が制作された時代の社会背景、作中で描かれている人物像、映画制作への思いなどを、見やすくコンパクトにまとめた記念館。
入館チケットは寅さん記念館と共通で、半券を持っていれば、こちらにも入館できます。山田洋次ミュージアム 美術館・博物館
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中に入ると初期の懐かしい作品のポスターがズラリと掲げられています。
受付カウンターの横には監督の銅像が立っています。
写真を撮っていると受付のお姉さんが「シャッター押しましょうか?」を気を利かせてくれましたが、丁寧に辞退しました。
2ショット写真希望者はお姉さんにお願いすればカメラのシャッターを押してもらえます、多分。山田洋次ミュージアム 美術館・博物館
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ミュージアム内部は意外に狭くコンパクトな印象です。
周囲の壁ではデビュー作「二階の他人」から始まる半世紀の作品群を、8つのテーマに分けて紹介。
中央は映写機や編集機などフィルム時代の映画製作と上映がテーマの展示ブースになっています。山田洋次ミュージアム 美術館・博物館
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壁面の作品紹介コーナーから見ていきます。
最初期作品のコーナーには昭和36(1961)年のデビュー作「二階の他人」。
倍賞千恵子を一躍スターダムに押し上げた「下町の太陽」。
クレイジーキャッツのリーダー・ハナ肇主演の「馬鹿」シリーズなど。
平成26(2014)年11月に惜しまれつつ亡くなった名優、高倉健の代表作「幸せの黄色いハンカチ」。
実際に使用されていた撮影台本が展示されていました。
「寅さん」以外の渥美清作品も紹介。
もともと「男はつらいよ」はフジテレビの連続ドラマでした。
2000年代公開の藤沢周平原作の時代劇三部作。
同14('02)年公開作「たそがれ清兵衛」の母屋模型や、クライマックスで使われた短剣と木刀が展示されています。
最後は2013年公開の「東京家族」。
ミュージアムの開館が2012年だったので本作で終わっているわけですね。
その後も2014年に「小さいおうち」、今年も12月に新作「母と暮らせば」が公開予定。
公開作品が増えれば近い将来、展示内容もリニューアルされることでしょう。山田洋次ミュージアム 美術館・博物館
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フロア中央の展示ブースはシンボルオブジェ「フィルムよさらば」。
フィルム映写機やフィルム編集用の機材が展示保存されています
館内にはオブジェとしてフィルム保管用の缶が至る所に飾られています。
一方、映写機の手前にはデジタルシネマ用のハードディスクが一個ポツンと置かれています。
両者の対比を通じて「フィルム映画」という文化遺産に触れることのできる稀少な場所でもあります。
フィルム缶が積み上げられた壁の裏側に、山田洋次全作品の予告編を見ることのできる一角があります。
作品を一度も見たことがなくても、ここで予告編をチェックすれば「山田洋次ツウ」になれる気がしました。山田洋次ミュージアム 美術館・博物館
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山田洋次ミュージアムを出て、再び江戸川方面へ足を向けます。
訪れたのは、山本亭から江戸川を遡った先のT字路に立つ川魚料理の名店「川甚」。
創業は寛政年間(1789〜1801)と200年以上の歴史を持つ老舗の料亭です。
ディナーは6千〜1万円と老舗ならではの価格設定。
ランチも4285円と、手が届くかどうか微妙なところ。
しかし、この日は生憎というか、幸いというか、お休みでした。川甚 グルメ・レストラン
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都道307号線という味気ない名称の道路を南へ。
しばらく歩くと柴又の象徴、帝釈天[たいしゃくてん]の大鐘楼が見えてきます。
正式名称は「経栄山題経寺[きょうえいざん だいきょうじ]」。
江戸時代初期の寛永6(1629)年に創建された日蓮宗の寺院です。題経寺(柴又帝釈天) 寺・神社・教会
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明治29(1896)年に建立された二天門をくぐり境内へ。
二天門は総ヒノキ造りで、日光東照宮の陽明門を模したと言われています。
左隣には、これも総ヒノキ造りの大鐘楼。
「昭和の銘鐘」と誉れ高い鐘の音は「男はつらいよ」でも鳴り響いています。
正面には日蓮聖人の手で刻字された板本尊を祀る帝釈堂。
二天門を手がけた坂田留吉棟梁が指揮して作り上げた総ヒノキ造りの建造物です。
堂の周囲には法華経の説話に基づく彫刻が巡らされており、文化財としても貴重な存在となっています。題経寺(柴又帝釈天) 寺・神社・教会
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帝釈堂の右側に立つのが本堂(祖師堂)。
江戸時代はこの建造物が帝釈堂でした。
明治時代に現在の帝釈堂が完成したことで現在地へ移転。
大修理を施して現在の本堂(祖師堂)となりました。
なので題経寺の本尊は帝釈天の板本尊ではなく、こちらの本堂に安置されている「大曼荼羅」なのだそうです。
本堂の右隣に立つ釈迦堂は境内最古の建造物。
建立は文化文政期、1800年ごろと推測されています。
江戸伽藍造りの建築様式を現代に伝える貴重な存在です。題経寺(柴又帝釈天) 寺・神社・教会
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帝釈堂の奥に位置する喜見城[きけんじょう]は帝釈天の居城。
帝釈天とはインド最古の聖典「リグ・ヴェーダ」に登場する軍神インドラのことです。
帝釈堂の胴羽目彫刻は引き続き喜見城まで巡らされています。
外壁はガラスウォールで覆われており、外から彫刻はよく見えません。
間近で鑑賞するには拝観料を払って彫刻ギャラリーに入場する必要があります。題経寺(柴又帝釈天) 寺・神社・教会
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喜見城の更に奥、大客殿前に邃渓園[すいけいえん]という池泉式庭園が広がっています。
園内への立ち入りは禁止されてますが、拝観料を払えば屋根付きの廊下から鑑賞することができます。
柴又帝釈天では邃渓園と彫刻ギャラリーのみ拝観料が必要です。
ちなみにこの日は時間が遅かったので、すでに閉園しておりました。題経寺(柴又帝釈天) 邃渓園 公園・植物園
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帝釈天二天門から参道に出ると、すぐ目の前には川魚料理の店「川千家」。
創業は安永年間(1770年代)と250年近い歴史を誇る老舗です。
食事は鰻重や天重など。
単品料理は鰻の蒲焼/白焼に珍しい鰻のあらい、鯉のあらいに鯉こく、泥鰌の柳川など。
値段は高目は高目ですが、場所を考えたら相応かも。
でも、ここで食事はせずに先へ。川千家 グルメ・レストラン
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参道を進むと有名な団子屋さん「とらや」が。
昔は「柴又屋」という店名で「男はつらいよ」のロケに使われていました。
その後、寅さん人気が高まると便乗し店名を作中と同じ「とらや」に変更。
映画会社の松竹は当然それを受け入れず、大船に作ったセットへ撮影場所を移し、作中の店名も「くるまや」に変えました。
閑話休題。
ここでは草団子だけでなくラーメンやご飯物など食事もできます。
ちなみにドラ焼でおなじみの赤坂の虎屋とは一切関係ありません。
立ち寄りたかったのですが、残念ながら素通りです。門前 とらや グルメ・レストラン
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「とらや」の隣の隣にある有名な団子屋さん。
参道をはさんで向かい合わせに店舗を構える大店「高木屋老舗」です。
片側はテイクアウト専門、もう一方は甘味や食事のできる食堂になっています。
「男はつらいよ」が柴又でロケをする際、この店で休憩や衣装替えを行っていたそう。
しかし、ここも外から中を眺めるだけでスルーしてしまいました。高木屋老舗 グルメ・レストラン
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参道を駅へ向かって歩いていると、先の都道307号線と交差します。
その角に歴史を感じさせる川魚料理の割烹が店を構えていました。
創業は天明年間(1781〜1789)と200年以上の歴史を持つ老舗「ゑびす家」
鯉のあらいや鯉こくなど川魚料理の定食類が豊富です。
値段はソコソコしますが、観光地価格だと割り切れば値頃感がありました。
しかし、ここも残念ながら通過です。うなぎ・日本料理 ゑびす家 グルメ・レストラン
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ゑびす屋の隣に、いかにも昭和テイストに仕上げました的な商店が。
「柴又ハイカラ横丁」といって、数千種類の駄菓子や雑貨を取り扱っています。
また、店の奥には今や絶滅危惧種となったレトロゲーム機が並んでいます。
2階は「柴又のおもちゃ博物館」。
昭和の懐かしいオモチャが一堂に会しています。
ここもサッと眺めておしまい。柴又ハイカラ横丁 市場・商店街
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ここで帝釈天参道はオシマイ。
冒頭に掲げた寅さんのセリフを山田監督の直筆で刻み込んだレリーフが、参道入り口に立っていました。
寅さんワールドを後にして、このレリーフを前に思い出を噛み締める…なかなか粋な計らいです。帝釈天参道 名所・史跡
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寅さんワールドの最寄り駅、京成金町線柴又駅に到着です。
駅前にはシンボルともいえる車寅次郎の銅像が立ってます。
休日なら観光客が記念にツーショット写真を撮りまくることでしょう。柴又駅 駅
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京成金町線は全線単線で駅が2つしかないという23区内屈指のローカル線。
なので駅前には今も「寅さん」時代の昭和の風情が色濃く漂っております。
そうした「残り香」を味わいつつ、柴又駅から「寅さんワールド」を後にしたのでした。柴又駅 駅
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