2015/09/16 - 2015/09/16
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Yaeyae-coさん
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2006年3月から始まった米国生活。大学院留学(NY)→現地就職(DC)で9年半、「なんか、もういっかな」と、とうとつに終止符を打って日本に帰ってきたのは、1週間前の9月10日だった。
(いえ、退職・帰国準備は4ヶ月くらいかけましたよ、ちゃんと。でも、今はとりあえず割愛)
帰国とともに、次の仕事を見つけるまではビバ!無職生活。
もはや若くもなく、すでに十分普通の人生に於ける節目やイベントを無視しまくって生きてきた人間としては、せっかくのこの「限定的無期限毎日が休日状態」を最大限有効活用することにした。
男もすなる日記といふものをおんなもしてみむとて、と、紀貫之が土佐に行って日記を書いたなら、こちらはどうやら日本を留守にしている間にとっても一般的かつお手軽、大人気なアクティビティーになってしまった「四国八十八か所霊場めぐり」、通称お遍路に行ってみようではないか!
幸い体力と脚力はそこそこ心配がなく、こういうものは勢いでいっきにガッとやってしまった方が成功率も高そうなので、ヒマだけは十二分にある今、全行程を一度でまわる「通し打ち」を「歩き」でやってみよう!
(以上、ざっくりとした動機の回想、終了)
そんなわけで、アメリカにいる間からネットでこちょこちょと情報を集め、まず最初にとりかかったのが、写経。
もう一回言う。
写経。
。。。。たとえテーマが、「ぬるく、ゆるく、とことん四国を楽しむ観光遍路」であろうとも、一応これでも様式美や慣習にはそれなりに敬意を払いたいタイプなので、全身「ほぼ」白装束はばっちり準備。かつ、各寺でも御朱印だけもらってとっとと次に行くスタンプラリー方式ではなく、ちゃんと参拝様式はやってやろうじゃないか!と燃えているのだ。
なにせ、ヒマだけは、ある。むちゃくちゃ、ある。
参拝する時に線香・ろうそくと一緒にどうやら、般若心経を写経したものも納めるらしい。
般若心経の写経。文字数だってたった280文字足らず、紙一枚ですむ短いお経だ。一文字一文字筆ペンで丁寧にしたためていく。。。なんて、ちょっと聞くと、なんだかとってもヒーリングちっくな、心が鎮まりそうな感じがする。
するが!
最低88枚は作成するとなると、話は別だ。とたんにとっても苦行ちっくだ。
遍路を開始した後に、毎日日中歩いて、夜に次の日の文を書いていくという手は、ほぼムリだろう。なにせ、日によっては5つぐらい寺を回ったりする。どんなに急いで書いても1枚30分ぐらいはゆうにかかる。一日歩いて疲れきった体でそれができるとは思えない。こればっかりはいざ歩き始める前にできるだけ書き溜めておかなければ。
-
写経用紙と写経用の筆ペンをアマゾンで購入して、実家からアメリカに送ってもらって、こつこつしこしこと書きためていた。
それでも、1枚書くとなれない筆ペンに、意外と画数の多い文字ばかりで手首は疲れる、肩はコる。
しかも、意図してかしなくてか、最後の最後に来る「ぎゃーてーぎゃーてー」の真言部分が、18文字まとめてそろいもそろって画数が異様に多い漢字ばかりなのだ。いじめか、コラ。
筆ペン1本では15枚で穂先が潰れ、インクが尽きる、などと学びながら、そんなこんなで出発時点で約20枚程度しかできていない。100枚かった写経用紙のようやく五分の一。最初の徳島県にある寺数にすら足りない。(23寺ある)
これから旅程の中でヒマを見つけて書く方法で、やや寺数の少ない高知県はなんとかしのげても、いよいよ寺の密集度合いが高まる愛媛東部と香川に入れば、「写経のわんこそば状態」になるのが、今からまざまざと見える。クリアーに見える。ぶるぶる。
歩き遍路は別名「ぜいたく遍路」と言われる。
なぜなら、日数がかかる分遍路で一番費用がかかる「宿泊代」が余計にかかるからだ。
あ、もちろん、野宿は問題外。そんなガチンコする気も根性もない。
あと、宿代の安さのみを追求して相部屋とか雑魚寝もしたくない。超豪華ホテルに泊まりはしないが、普通に旅館や民宿、宿坊に泊まる以上、一日宿代だけでも7000円する。2ヶ月だと、かける60だ。
「ゴウカ遍路」であるくせに、なぜか逆にちっともゴウカでなくなるのが、持ち物。
歩き遍路、すなわち、荷物の運搬動力は「自分の肉体」だ。
ごつくもマッチョでも、百人力でもない普通の人間の当方としては、とにかく10グラムでも軽く、極論1グラムでも軽く、が荷造りの全て。この1グラムをなめると、あとで全て自分の身に跳ね返ってくるという教訓は、若き日の某ガチンコ系国家公務員時代に、自分の身をもって何度も思い知ったので、そこは譲れない。
必要最低限持っていくモノは、同種の物のなかでもできるだけ軽量のモノを選び、主にアマゾンでかき集めた。
一説には、歩き遍路の持ち物の理想の総重量は5キロだという。ナップサックに全部入れてかつぐ重さが5キロ。
無理!
ムリムリムリ。
5キロのコメ袋をご覧よ、あんなに小さいよ!登山用の軽量サックだって、それ自体で1キロ強あるんだよ。参拝に必要な線香やろうそく、御朱印帳だって、こうなりゃ急に手のひらにずっしり来るように感じてきてしまう。 -
それでは、結果発表!
総重量、9キロ。
はぁぁぁぁぁぁぁぁ。(巨大ため息)
なんか、すっごくすっごく、重く聞こえる。ちょっと担いでみても、超重くはないが、決して軽くもない。
いやいや某ガテン系時代はこの3倍は担がされていた。。。と自分に言い聞かせみても、それは20年前ぐらいの自分の体だ。平坦な道だけならこれで20〜30km歩くのはなんとかいけそうと思えるが、時にやってくる急な坂道や山道を思うと、どっと気が重くなる。
ちなみに、一番重量を稼いだのは、iPadMiniと予備のモバイルバッテリーである。嗚呼、悲しき21世紀現代人。ごめん、なんと言われてもこれだけは捨てられない。
。。。がんばろ。
言い訳がましいが、ネットで見ても、体験談で聞いても、やっぱり荷物を極端に少なくした男性でも「やっぱり7〜9キロには、どうしてもなっちゃうさ」、らしい。と、自分を慰める。5キロにおさめた人って、一体どんな荷物なの?
さて、ほぼネットで荷物を揃えたわけだが、唯一こだわって「これだけは現物を見て、直に確かめて買いたい」と思ったのが、笠と杖と遍路用の白衣。
そう、お遍路さん参加者なら、たいていは身につけてるマストアイテムだ。
毎日毎日起きてる間はほぼ自分の体に直接身にまとっているものでもある。特に笠は、こだわった。こだわってこだわりきった。てっぺんが尖ってる三角型(たぶん、通常良く見るのはこちらの形)と、昔ながらの円形型の違い(主に、どっちが見た目似合うか)とフィット感とちょっとした重さの違いにこだわった。
何度も言うが、10グラムをなめると、10グラムに泣く。
くどいようだが、ヘルメット着用が常態だった某ガテン系時代に、ヘルメットの重さとフィット感に泣きまくった経験から、これだけは甘く見れない、試着をせねば!と、お遍路グッズ専門店まで出向いたのだった。
遍路沿いにはそれなりにある遍路グッズ店でも、四国から一歩出ればグッズ購入の主流は圧倒的にオンラインショッピングだろう。今や、何でもアマゾンか楽天でそろってしまうし、種類も豊富で、お値段も手頃。でも、通販は返品・交換に時間がかかる。まさか笠をサイズ違いで何個も買って配達してもらって何個も返品するのも嫌だ。
そんな迷える遍路希望者の救いの手は、大阪にあった。
オンラインショップと併行して大阪の枚方市に実際に店舗を構える『いっぽ一歩堂』さんに、行ってきました。電車で片道1時間半。 -
いっぽ一歩堂
結果から言うと、「行って、大大大大正解!!!」だった。
とにかく店主ご夫婦の対応がものすごく良い!親切、丁寧、知識が豊富。こちらが用意していった購入リスト以外のモノを薦めてくることもなく、笠や白衣の試着も快く対応してくださった。
特に個人的にこだわった笠は、サイズ違いや形違いの試着だけではなく、ついには「重量は?」と実際の数字を聞く暴挙に出てしまったこちらに対して、嫌な顔ひとつせずになんと、実際に全てはかりで測って下さったのだ。
また、ご主人は歩き遍路を何度も自分で経験した方で、購入後に時間をかけてこちらの質問に丁寧に答えて下さり、経路上の注意点や、おすすめなど、まさに実際に行って見た経験者しかわからないことを本当にいろいろと細かいことまで教えてくださったのである。
(今回はたまたまラッキーだったが、通常は相談したい場合は、事前に連絡をしておいてから来店したほうが確実)
散々悩んだ笠については、丸型にした。
五徳は手製のため、一つ一つビミョーに大きさが違うため、本当に納得がいくまで、付け替えてくださった。(← 超迷惑な客)
ご主人が教えてくれた、遍路開始直後に一番気をつけておきたいこと。それは、「12番焼山寺」の前後の宿は確実に確保してから出発すること。
焼山寺は、知る人ぞ知る、遍路順打ち最初の「遍路ころがし」、深い山のてっぺんまで、10キロの林道を登って、また、逆側に10キロ降りていく。鳴門や徳島市内と違って、付近に宿泊場所の選択があまりない。加えて、この週末は秋の日本民族大移動、シルバーウィーク!なのだ。風光明媚な田舎の宿なんて、平気でいつもより満杯に違いない。
なので、この焼山寺前後の宿泊の日程が、イコール遍路開始の日付の決定だった。
予約のために真っ先に電話をかけた、焼山寺への登山前夜宿泊予定の旅館が空いていたのは、2択のうちの最初の日の19日土曜日。その後、降りた向こうの神山町の宿も20日夜に無事に押さえ、遍路出発は、9月17日木曜日となったのだった。 -
2015年9月17日。明日の朝。
さぁ、出発だ。
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