ロシア旅行記(ブログ) 一覧に戻る

ロシア生活 不思議体験(その2) 『電話』

1いいね!

1994/09/15 - 1994/09/15

5635位(同エリア6076件中)

0

0

JIC旅行センター

JIC旅行センターさん

20年前、僕はロシアに留学していた。

同じ学部で同じ学科の友人が学生結婚した。賢いジーマと、なかなか美人のイーラ。お似合いだった。

彼の両親が持っていたクバルチーラ(アパート)を城として新しい生活が始まる。何とも羨ましい。

「落ち着いたら、小さいけどパーティーをやるんだ。お前も招待するから必ず来いな」ジーマは僕に新居のメモを手渡し、慌ただしく走り去った。

メモには日時と電話番号のみで住所は記入されていなかった。「まぁ、後で訊けばいいか」ノートの切れ端に書かれたメモを見ながら僕は言った。

ジーマの住所を訊くのをすっかり忘れていたパーティー前日の金曜日。机の隅に置いておいた彼のメモを取り電話した。

「もしもし?」電話口に出たのは声から察するに年配の女性だった。きっと彼か彼女のお母様だろうと思った。

「ジーマの友達で、日本人のヒデと申します。彼とお話できますか?」なるたけ丁寧に言った。

「本当にジーマのお友達ですか?」一呼吸おいて電話口のマダムは静かに言った。

「はい。同じ大学の同じ学部です」

「そうなのね。残念だけど、今ジーマは夢の中なの」

「…そうなんですね。では、イーラに替わって頂けますか?」ちょっと考えてから、気を取り直して僕は続けた。

「あらあら。イーラはまだ帰ってないのよ」相変わらずマダムはやさしい口調で言った。

「そうですか…。それなら、日本人のヒデから電話があったことをお伝えください」

「でもね、貴方は知らないかもしれないけど、イーラは5歳でジーマはまだ2歳なのよ。私が知る限りで彼らに日本人のお友達はいないと思うんだけど。。。」外国人の僕にゆっくりと分かりやすいロシア語でマダムは言った。

「……」

「ちょっと驚いたかしら?貴方のこと、本当に良く解るわ」

「……」

「彼らが大きくなったら友達になってね」

「はい。必ず友達になります。ありがとう。失礼しました」僕は正直な気持ちで言った。

「そうね。あなたにもありがとうって言うわ。さようなら。頑張ってね」僕は受話器を数秒間眺めてから、丁寧に置いた。

数分が経った。もう一度、電話番号を確かめながら電話した。「もしもし?」さっきのマダムだった。僕は間髪入れずに受話器を置いた。番号は間違えていないと確信したが、頭クエスチョンマークが僕の論理思考形式を覆い隠した。それ以来、何かがひっかかり僕は一人で悩んだ。

数日後、大学でジーマとイーラに会った。

「どうして来なかった?すっごく楽しかったのに!」

「ごめん。ちょっと急な用事ができて…」

「イーラの友達で日本贔屓の美人さんが来てたんだぜ!」

「本当?残念だったなぁ…」

「その娘もイーラだけどね」

「……」僕はしばらく遠くを見て深呼吸をした。

「どうした?」

「いや。なんでもない」

きっと世界中には同じ名前の人が星の数ほどいるんだろう…。再び頭の中に靄がかかってた…。

あれから20年以上経つ。友達だったジーマとイーラとは連絡もとっていないが、小さかったジーマとイーラはどうしているだろう。時々思い出す。

この旅行記のタグ

1いいね!

利用規約に違反している投稿は、報告する事ができます。 問題のある投稿を連絡する

コメントを投稿する前に

十分に確認の上、ご投稿ください。 コメントの内容は攻撃的ではなく、相手の気持ちに寄り添ったものになっていますか?

サイト共通ガイドライン(利用上のお願い)

報道機関・マスメディアの方へ 画像提供などに関するお問い合わせは、専用のお問い合わせフォームからお願いいたします。

旅の計画・記録

マイルに交換できるフォートラベルポイントが貯まる
フォートラベルポイントって?

ロシアで使うWi-Fiはレンタルしましたか?

フォートラベル GLOBAL WiFiなら
ロシア最安 422円/日~

  • 空港で受取・返却可能
  • お得なポイントがたまる

ロシアの料金プランを見る

フォートラベル公式LINE@

おすすめの旅行記や旬な旅行情報、お得なキャンペーン情報をお届けします!
QRコードが読み取れない場合はID「@4travel」で検索してください。

\その他の公式SNSはこちら/

PAGE TOP