武蔵南池袋　勝海舟と並び幕末の二傑とも言われた改革派でバルチック艦隊を撃破した東郷元帥もその先見性を認めた小栗忠順が眠る『雑司ヶ谷霊園』散歩

2015/05/12 - 2015/05/12

地下鉄副都心線雑司ヶ谷（ぞうしがや）下車徒歩約１０分、都立雑司ヶ谷霊園には幕末における改革派幕臣である小栗忠順（おぐり・ただまさ、１８２７～１８６８）の墓があります。

忠順は徳川旗本の小栗家に生まれ、万延元年（１８６０）の３４歳の時、大老井伊直弼（いい・なおすけ,１８１５～１８６０）の抜擢によって日米修好通商条約批准の派遣米使節の目付として渡米、当時のアメリカ実情をつぶさに視察し日本の近代化の必要性を認識します。

帰国後近代化推進をめざす忠順は列強のアメリカと対等に交渉をしたとして外国奉行に任命され続くイギリス・フランス等と交渉にあたりますがロシアとの交渉ではロシアが対馬占拠を続けるため交渉が不成立をもって免職させられるという事態が発生しますが以降勘定奉行、陸軍奉行、軍艦奉行、海軍奉行等を勤め財政・軍事の要職を歴任、横須賀に製鉄所や造船所を建設、軍制改革などを行い困難な幕政を支えます。

ところが大政奉還の際主戦論を主張するも勝海舟の和平論者に敗れ役職を罷免、引退後知行地の上野国権田村に隠棲しますが、新政府軍に捕縛され高崎烏川の河原にて斬首されます。

忠順が近代化推進を図った中で特筆すべきは日露戦争でロシア・バルチック艦隊を破った東郷元帥は戦後、忠順の家族に対し、「日本海海戦の勝利は横須賀造船所のおかげ」と述べ忠順の先見性を認めていることです。

エリア 池袋(東京)

• 旅行の満足度: 3.5

• 交通手段: 私鉄

東京都雑司ヶ谷霊園管理事務所

墓地風景

広い道路がを車輛が通過でき、整然と区画された墓地が広がっています。

墓地風景

雑司ヶ谷霊園見取図

今回は江戸時代末期に日米修好通商条約批准のため使節団の目付として渡航した小栗忠順（おぐり・ただまさ、１８２７～１８６８）の墓を訪ねるために来ましたが、案内図には有名な人物の墓が示されており併せて墓参りをしたいと思います。

墓地内の道路

広汎な墓地に付き内部を通過する道路が巡らされています。

小栗家墓石

墓地のロケーションを示す「1-4Ｂ-5」を頼りに探すと特段の配慮も施されていないややみすぼらしい墓が見つかります。

小栗家墓石（近景）

小栗家墓石（裏側）

墓石の裏側は没となった名が刻されその筆頭には「小栗上野介」が見られます。

小栗家墓石裏側（拡大）

墓の裏面には「小栗上野介」「明治元年四月六日卒行年四十二歳」と刻されています。その左には妻道子、娘婿として迎えられた貞雄の名前も刻されています。

墓石案内柱標

広い墓地に付き横ラインには位置を案内する柱が設置されています。

中濱萬次郎廟

案内柱標

中濱萬次郎廟

中濱萬次郎はいわゆる「ジョン万次郎」のことで幕末における日米和親条約の締結に尽力し、その後は通訳、英語教師などをしたアメリカ事情に明るい稀な人物です。

中濱萬次郎の墓石

墓石中央には「中濱萬次郎之墓」と刻されています。

中濱萬次郎翁記念碑

中濱家累代之墓

中濱家廟全景

中濱家廟全景

東郷家墓

中濱家廟の右隣に位置する東郷家墓石は偶然にも著名な画家である東郷青児の一族の墓であることが判りよく見ると左端には「東郷青児之碑」と刻された石碑が建っています。

東郷青児之碑（拡大）

東郷青児略歴

小泉八雲の墓

左から「小泉家之墓」、「小泉八雲之墓」、「小泉セツ之墓」の三基が並んでいます。

小泉八雲之墓（拡大）

明治２３年（１８９０）来日、翌年小泉セツと結婚、日本では英語教師として松江・熊本・神戸・東京と移りながら欧米に日本文化を紹介するなか、明治２９年（１８９６）日本国籍を取得し小泉八雲と名乗ります。明治３７年（１９０４）狭心症で死去します。享年満５４歳。

小泉八雲夫妻

八雲の左側の小振りな墓石は妻セツ（１９６８～１９３１）の墓石です。八雲との間には三男一女が生まれています。

小泉八雲墓石（裏側）

裏側に回ると「明治三十七年九月二十六日寂」と八雲の没日が刻されています。５４歳の生涯でした。

小泉セツ墓石（裏側）

八雲の妻セツの没日が刻されています。昭和七年二月十八日とあります。

小泉家之墓（裏側）

「小泉家之墓」裏側には「昭和四十一年四月」「小泉時建之」とあります。昭和４１年４月に八雲の孫にあたる小泉時（こいずみ・とき、１９２５～２００９）が建立したとのことです。時氏は八雲の長男である一雄氏の長男にあたります。