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そろそろカッコウの仲間であるツツドリがやってきて、アカヤシオの花が咲く時期になりました。今日はそれを観察するために三重県鈴鹿の鎌ヶ岳(1161m)に登ってきました。<br /> <br />朝6時ごろ家を出発して東名阪道を飛ばして約1時間で鈴鹿スカイラインに入りました。湯の山温泉近くの駐車場はすでに満車で、スカイライン沿いの路肩にスペースを見つけてなんとか駐車できました。連休前でまだそんなには混んでいないと思ったのが大間違いでした。やはり登山者は連休を避けて今日やってきたのでしょう。どんどん車が来て、わたしの到着がもう少しでも遅れたら駐車場所がなかったかもしれません。そこから20分ほど下って、湯の山温泉にある三岳寺(さんがくじ)が、「馬の瀬尾根ルート」の登山口です。鎌ヶ岳に登る登山道はいくつかありますが、わたしが好きなのはこのルートです。長大な尾根を歩くのですが、それゆえに歩く人は少なく静かに鳥や花を楽しめるからです。<br /> <br />湯の山温泉は古くからある温泉ですが、近年はレジャーの多様化で宿泊客が激減しているという報道を見聞きしてきました。実際に廃屋となったホテル跡もあります。ところが今日、あるホテルの前を通ると中国語が聞こえてきました。中国か台湾の団体が来ているようです。外国人客の来訪で、どこの観光地も息を吹き返しているようです。<br /> <br />三岳寺から急登が始まります。湿度が高いせいですぐ汗が滴り落ちます。いつもたくさん咲いているイワカガミの花がほとんどありません。もう終わってしまったのか、これから咲くのかは分かりませんが、例年と違う様相です。今年の4月の20日ごろまでは当地はほとんど毎日雨で、それ以降は高温が続いているため、植物に異変が起きているのかもしれません。イワカガミの群落は続くのですが、ところどころにポツンポツンと咲いているだけです。アカヤシオの花びらは登山道に落ちているのですが、咲いているところは見つかりません。実は2008年から毎年この季節に同じルートを歩いているのですが、こんなにアカヤシオの花が少ないのも初めてです。すでに花期が終わってしまっているようです。その代わり、シロヤシオの花がもう咲き始めていました。この時期にシロヤシオの花を見るのは初めてです。<br /> <br />車を降りたところではオオルリが大声であちこちで鳴いていましたし、山に入ってからはシジュウカラ、ヤマガラ、ヒガラなどのカラ類が競争するように囀(さえず)っています。キビタキも負けじと囀っていますが、姿は見えません。頭上の木の上でキツツキのドラミング(木をつつく音)が聞こえてきました。見上げるとアオゲラで、ピヨーピヨーと歩行者信号の人工音のような声で鳴きます(人工音がアオゲラの声を真似たのですが)。遠くで突然ポポポポという声が聞こえました。ツツドリです。今年初めて聞く声で感動しました。だんだん近づいてきますが、よく通る大きな声です。しばらく聞き惚れていました。<br /> <br />天気はどんよりと曇って、今にも雨になりそうな気配です。隣にある御在所岳は見えません。登山者のほとんどは御在所岳に向かうのを見ましたが、あちらからもこちらの鎌ヶ岳は見えないでしょうね。頂上近くまで来てやっとアカヤシオの花を見ることができ感激しました。今年は花期が1〜2週間早かったようです。頂上近くの花も来週には終わっているでしょう。ここまで登ってくるとコルリ、ミソサザイ、クロツグミの囀りを聞くことができました。ただガスがかかって姿はまったく見えません。<br /> <br />歩き始めて3時間15分後に登頂。頂上にはいろいろなルートから登ってきた登山者で混雑していました。まだ10時半でしたが、お腹がすいていたのでランチです。狭いスペースを見つけて腰を下ろしました。目の前に頂上に1本あるアカヤシオが満開なのを見つけました。小さい木ですが、花をいっぱい付けていて見頃です。例年この時期にはまだ咲いていないので気が付かなかった木です。周囲はガスで包まれて真っ白で、展望は0です。<br /> <br />さて、下りのルートをどれにするか迷いましたが、「長石谷(ながいしだに)ルート」に決めました。途中にイワザクラやヤマルリソウがあるからです。それ以外には何もないガラ場(岩がごろごろしている場所)の連続で、歩きにくい上、谷を何度も渡り返す必要があるからです。登山道は雨で流されて見失うことが多く難儀しました。谷を渡る場所では飛び石が離れていて渡りにくい場所には、近くから重い石を運んできて投げ入れて渡りました。でもまた大雨が降れば流されてしまうでしょうが。かなり下った場所にイワザクラが咲いていました。例年より増えているようです。小さなヤマルリソウも同じ場所に咲いていました。谷の音が大きくて鳥の声はほとんど聞こえませんが(鳴いても誰にも聞こえなく無駄だから鳴いていないかも?)、ちょっと離れた場所に行くと鳥たちの囀りのシャワーです。オオルリ、キビタキ、コマドリ、ミソサザイ、ウグイス、シジュウカラ、ヒガラなどの囀りや、外来種のガビチョウのうるさい声も聞こえます。岩の上に腰を下ろして声を聞くことにしました。目を閉じて聞くと夢の世界のようです。沢ではカジカガエルの涼やかな声も聞こえてきます。これも今年初めて聞く声です。周囲は新緑が目にしみるようですし。<br /> <br />午後1時ちょうどに車に到着。約6時間の楽しい山歩きでした。19,000歩も歩いた上、ガラ場を緊張して歩いたのでちょっと足の筋肉が痛くなりました。

ツツドリとアカヤシオを求めて 鎌ヶ岳登山記

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2015/04/29 - 2015/04/29

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地酒大好きさん

そろそろカッコウの仲間であるツツドリがやってきて、アカヤシオの花が咲く時期になりました。今日はそれを観察するために三重県鈴鹿の鎌ヶ岳(1161m)に登ってきました。

朝6時ごろ家を出発して東名阪道を飛ばして約1時間で鈴鹿スカイラインに入りました。湯の山温泉近くの駐車場はすでに満車で、スカイライン沿いの路肩にスペースを見つけてなんとか駐車できました。連休前でまだそんなには混んでいないと思ったのが大間違いでした。やはり登山者は連休を避けて今日やってきたのでしょう。どんどん車が来て、わたしの到着がもう少しでも遅れたら駐車場所がなかったかもしれません。そこから20分ほど下って、湯の山温泉にある三岳寺(さんがくじ)が、「馬の瀬尾根ルート」の登山口です。鎌ヶ岳に登る登山道はいくつかありますが、わたしが好きなのはこのルートです。長大な尾根を歩くのですが、それゆえに歩く人は少なく静かに鳥や花を楽しめるからです。

湯の山温泉は古くからある温泉ですが、近年はレジャーの多様化で宿泊客が激減しているという報道を見聞きしてきました。実際に廃屋となったホテル跡もあります。ところが今日、あるホテルの前を通ると中国語が聞こえてきました。中国か台湾の団体が来ているようです。外国人客の来訪で、どこの観光地も息を吹き返しているようです。

三岳寺から急登が始まります。湿度が高いせいですぐ汗が滴り落ちます。いつもたくさん咲いているイワカガミの花がほとんどありません。もう終わってしまったのか、これから咲くのかは分かりませんが、例年と違う様相です。今年の4月の20日ごろまでは当地はほとんど毎日雨で、それ以降は高温が続いているため、植物に異変が起きているのかもしれません。イワカガミの群落は続くのですが、ところどころにポツンポツンと咲いているだけです。アカヤシオの花びらは登山道に落ちているのですが、咲いているところは見つかりません。実は2008年から毎年この季節に同じルートを歩いているのですが、こんなにアカヤシオの花が少ないのも初めてです。すでに花期が終わってしまっているようです。その代わり、シロヤシオの花がもう咲き始めていました。この時期にシロヤシオの花を見るのは初めてです。

車を降りたところではオオルリが大声であちこちで鳴いていましたし、山に入ってからはシジュウカラ、ヤマガラ、ヒガラなどのカラ類が競争するように囀(さえず)っています。キビタキも負けじと囀っていますが、姿は見えません。頭上の木の上でキツツキのドラミング(木をつつく音)が聞こえてきました。見上げるとアオゲラで、ピヨーピヨーと歩行者信号の人工音のような声で鳴きます(人工音がアオゲラの声を真似たのですが)。遠くで突然ポポポポという声が聞こえました。ツツドリです。今年初めて聞く声で感動しました。だんだん近づいてきますが、よく通る大きな声です。しばらく聞き惚れていました。

天気はどんよりと曇って、今にも雨になりそうな気配です。隣にある御在所岳は見えません。登山者のほとんどは御在所岳に向かうのを見ましたが、あちらからもこちらの鎌ヶ岳は見えないでしょうね。頂上近くまで来てやっとアカヤシオの花を見ることができ感激しました。今年は花期が1〜2週間早かったようです。頂上近くの花も来週には終わっているでしょう。ここまで登ってくるとコルリ、ミソサザイ、クロツグミの囀りを聞くことができました。ただガスがかかって姿はまったく見えません。

歩き始めて3時間15分後に登頂。頂上にはいろいろなルートから登ってきた登山者で混雑していました。まだ10時半でしたが、お腹がすいていたのでランチです。狭いスペースを見つけて腰を下ろしました。目の前に頂上に1本あるアカヤシオが満開なのを見つけました。小さい木ですが、花をいっぱい付けていて見頃です。例年この時期にはまだ咲いていないので気が付かなかった木です。周囲はガスで包まれて真っ白で、展望は0です。

さて、下りのルートをどれにするか迷いましたが、「長石谷(ながいしだに)ルート」に決めました。途中にイワザクラやヤマルリソウがあるからです。それ以外には何もないガラ場(岩がごろごろしている場所)の連続で、歩きにくい上、谷を何度も渡り返す必要があるからです。登山道は雨で流されて見失うことが多く難儀しました。谷を渡る場所では飛び石が離れていて渡りにくい場所には、近くから重い石を運んできて投げ入れて渡りました。でもまた大雨が降れば流されてしまうでしょうが。かなり下った場所にイワザクラが咲いていました。例年より増えているようです。小さなヤマルリソウも同じ場所に咲いていました。谷の音が大きくて鳥の声はほとんど聞こえませんが(鳴いても誰にも聞こえなく無駄だから鳴いていないかも?)、ちょっと離れた場所に行くと鳥たちの囀りのシャワーです。オオルリ、キビタキ、コマドリ、ミソサザイ、ウグイス、シジュウカラ、ヒガラなどの囀りや、外来種のガビチョウのうるさい声も聞こえます。岩の上に腰を下ろして声を聞くことにしました。目を閉じて聞くと夢の世界のようです。沢ではカジカガエルの涼やかな声も聞こえてきます。これも今年初めて聞く声です。周囲は新緑が目にしみるようですし。

午後1時ちょうどに車に到着。約6時間の楽しい山歩きでした。19,000歩も歩いた上、ガラ場を緊張して歩いたのでちょっと足の筋肉が痛くなりました。

旅行の満足度
5.0
同行者
一人旅
一人あたり費用
1万円未満
交通手段
自家用車 徒歩
旅行の手配内容
個別手配

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  • 御在所岳から見た鎌ヶ岳。中央の尖った山。(この写真はWikipediaから拝借しました。)<br />鈴鹿の山の中ではアルペン的な姿で登山欲をそそります。鈴鹿の槍ヶ岳とも呼ばれる山です。<br />手前に見えるのは御在所岳ロープウェイのロープです。鎌ヶ岳から見ると、このロープウェイの設置や運営のためにかなりの森林破壊が行われているのがわかります。今なら絶対に建設は認められないでしょうね。

    御在所岳から見た鎌ヶ岳。中央の尖った山。(この写真はWikipediaから拝借しました。)
    鈴鹿の山の中ではアルペン的な姿で登山欲をそそります。鈴鹿の槍ヶ岳とも呼ばれる山です。
    手前に見えるのは御在所岳ロープウェイのロープです。鎌ヶ岳から見ると、このロープウェイの設置や運営のためにかなりの森林破壊が行われているのがわかります。今なら絶対に建設は認められないでしょうね。

  • 鎌ヶ岳登山道はこの三岳寺(さんがくじ)から始まります。湯の山温泉地域にあります。

    鎌ヶ岳登山道はこの三岳寺(さんがくじ)から始まります。湯の山温泉地域にあります。

  • 登山開始は急斜面を登ることです。<br />写真では急斜面には見えませんが、息が切れる登りです。<br />湿度が高かったので汗が滴り落ちました。

    登山開始は急斜面を登ることです。
    写真では急斜面には見えませんが、息が切れる登りです。
    湿度が高かったので汗が滴り落ちました。

  • イワカガミはたくさんの群落がありますが、今年は花が少なく、まばらに咲いているだけです。<br />この春の天候不順のせいでしょうか。

    イワカガミはたくさんの群落がありますが、今年は花が少なく、まばらに咲いているだけです。
    この春の天候不順のせいでしょうか。

  • でも稀にイワカガミがたくさん咲いている場所がありました。本来このようにたくさん咲き乱れる山です。

    でも稀にイワカガミがたくさん咲いている場所がありました。本来このようにたくさん咲き乱れる山です。

  • イワカガミを接写しました。かれんな花ですね。

    イワカガミを接写しました。かれんな花ですね。

  • 登山道にはたくさんのアカヤシオの花びらが落ちていました。上を見ても花が咲いている木は見当たりません。もう花期が終わってしまっているようです。これも異常気象のせいのようです。<br />花びらだけ見てもきれいな花です。<br />わたしは山の花ではこの花が一番好きです。

    登山道にはたくさんのアカヤシオの花びらが落ちていました。上を見ても花が咲いている木は見当たりません。もう花期が終わってしまっているようです。これも異常気象のせいのようです。
    花びらだけ見てもきれいな花です。
    わたしは山の花ではこの花が一番好きです。

  • シカの引っかき傷はよく見ますが、これは傷跡が太くて深いためクマの仕業のようです。しかし鈴鹿にはクマがいないと言われているので、他の傷跡かもしれません。

    シカの引っかき傷はよく見ますが、これは傷跡が太くて深いためクマの仕業のようです。しかし鈴鹿にはクマがいないと言われているので、他の傷跡かもしれません。

  • シロヤシオが早くも咲き始めていました。例年、この時期にはシロヤシオはまだ咲いていません。

    シロヤシオが早くも咲き始めていました。例年、この時期にはシロヤシオはまだ咲いていません。

  • シャクナゲの赤い花がもう咲き始めていました。

    シャクナゲの赤い花がもう咲き始めていました。

  • 例年は登山道がずっとアカヤシオのトンネル状態ですが、今年は同じ時期でもほとんど咲き終わっていました。<br />頂上に近いところまで来て、やっときれいに咲いている木を見つけました。ほんとうにきれいです。これを見るためにわざわざやってきました。

    例年は登山道がずっとアカヤシオのトンネル状態ですが、今年は同じ時期でもほとんど咲き終わっていました。
    頂上に近いところまで来て、やっときれいに咲いている木を見つけました。ほんとうにきれいです。これを見るためにわざわざやってきました。

  • 頂上に1本だけあるアカヤシオ。例年この時期にはまだつぼみです。<br />多くの登山者が写真に収めていました。<br />あいにくガスがかかって周囲は真っ白です。

    頂上に1本だけあるアカヤシオ。例年この時期にはまだつぼみです。
    多くの登山者が写真に収めていました。
    あいにくガスがかかって周囲は真っ白です。

  • 頂上に立っていた看板です。ブナ原始林の解説です。

    頂上に立っていた看板です。ブナ原始林の解説です。

  • 下山は「長石谷」を下るルートを選びました。イワザクラやヤマルリソウを見るためです。それが無ければ、こんなガラガラの岩だらけの道を歩きたくありません。<br />谷沿いの登山道は大雨ですぐ流されてしまい、ルートを見つけて歩くことが困難です。

    下山は「長石谷」を下るルートを選びました。イワザクラやヤマルリソウを見るためです。それが無ければ、こんなガラガラの岩だらけの道を歩きたくありません。
    谷沿いの登山道は大雨ですぐ流されてしまい、ルートを見つけて歩くことが困難です。

  • このルートは何度も谷を渡り返しますが、対岸にある赤い丸印を目印に渡ります。<br />飛び石を渡りますが、石と石の距離が離れているところでは、近くから大きな石を運んで流れの中に投入します。その重いこと。<br />これで後に続く人も安心して渡ることができるでしょう。<br />でもまた大雨が降れば流されてしまいますが。

    このルートは何度も谷を渡り返しますが、対岸にある赤い丸印を目印に渡ります。
    飛び石を渡りますが、石と石の距離が離れているところでは、近くから大きな石を運んで流れの中に投入します。その重いこと。
    これで後に続く人も安心して渡ることができるでしょう。
    でもまた大雨が降れば流されてしまいますが。

  • 咲いていました。イワザクラ。今年は近い3ヶ所で見ることができました。<br />以前は登山道から離れた場所だったのですが、近づいて見る人が増えて、近くに登山道ができてしまいました。<br />でも岩肌に咲いていますから、登山者に踏みつけられる危険性はありません。

    咲いていました。イワザクラ。今年は近い3ヶ所で見ることができました。
    以前は登山道から離れた場所だったのですが、近づいて見る人が増えて、近くに登山道ができてしまいました。
    でも岩肌に咲いていますから、登山者に踏みつけられる危険性はありません。

  • イワザクラの間に咲いていたヤマルリソウです。小さいのでイワザクラの陰に隠れてしまいそうです。

    イワザクラの間に咲いていたヤマルリソウです。小さいのでイワザクラの陰に隠れてしまいそうです。

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