2015/04/17 - 2015/04/17
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morisukeさん
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オッサンネコです。
平日の休みを利用して山梨県は七面山に登頂してきました。
七面山は位置的には南アルプス連峰に属しており、日本200名山にも数えられる名山の一つです。
そしてもう一つの側面、
七面山には日蓮宗総本山である身延山久遠時の奥の院にあたる敬慎院があり、
今もなお多くの修験者が往来する山岳信仰の山でもあります。
時は4月。覚悟はしていましたが、山はまだまだ雪深く、
敬慎院を過ぎてからは僅かな踏み跡を辿る、久しぶりの雪行を味わってきました。
道中、敬慎院を目指す修験者達ともすれ違い、
ここが深い尊厳と信仰に包まれた山だという事を改めて認識させてくれました。
その時の記録です。
- 旅行の満足度
- 4.0
- 観光
- 4.0
- 同行者
- 一人旅
- 一人あたり費用
- 1万円未満
- 交通手段
- 自家用車 徒歩
- 旅行の手配内容
- 個別手配
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-
七面山登頂に向けて、今回は最も日帰りに適した表参道をチョイス。
南アルプスの玄関口である早川町の役場の手前の道を左折し、
対向車に気を付けながら細い道を進み、程なく林に囲まれた羽衣駐車場に到着します。
登山口から敬慎院までは親切にも番地が付いており、こちらの山門が1丁目。
敬慎院は50丁目となります。
果てしない数字に感じますが、気を取り直してクライミングのスタートです。 -
登り始めの参道です。
敬慎院までの登山道は木段で全て整備されており、危険な個所はありません。
つづら折れになった木道をただひたすら登る。
それがオッサンに課せられた使命。
確かに修行の山ですなぁ。 -
高度を上げていくとガスがかかってきました。
今日はあまりいい天気ではないのですが、流石に視界まで効かないとげんなりしてきます。
麓は春の気配を感じますが、登るにつれて春が遠ざかっていくのが分かります。 -
5丁目到着。。
まだまだ道のりは長いです。
番地が記された灯篭所々に置いてあり、今自分が山のどの辺にいるのかすぐに分かるようになってます。 -
13丁目の肝心坊を過ぎたころから雪が見られるようになりました。
この靄が修験者の雰囲気を醸し出していて、ちょっと気が引き締まる思いです。 -
登って登って登って。
36丁目晴雲坊まで来ると、雪がいよいよ深くなってきます。
坊とは寺院における僧侶の住まいであり、信者を宿泊させる施設でもあります。
晴雲坊を過ぎると宿坊は無く、あとは古刹の敬慎院を目指すのみとなります。
ここからはアイゼンの出番です。 -
日蓮宗のお題目、南無妙法蓮華経と書かれた幟があります。
南無は「帰依する(拠り所にする)」という意味。
つまり南無妙法蓮華経とは、法華経の教えを心の拠り所にする、という事。
法華教は仏教経典の一つであり、要はキリスト教でいう聖書の様なもの。
日蓮はこの経典(法華経)こそが仏陀の教えだと説いたわけで、
法華経を信じる者だけが救われるという法華経信仰(日蓮宗)を民衆に広めました。
一方で浄土宗(法然)や浄土真宗(親鸞)では南無阿弥陀仏の念仏を唱えること、
即ち阿弥陀仏(浄土)を心の拠り所にした宗派になります。
これは浄土信仰であり、阿弥陀仏にすがって極楽浄土に行く信仰をさします。
法然や親鸞も比叡山延暦寺で少なからずとも法華経の教義に触れており、
何を心の拠り所にするかの解釈の違いで宗派が分かれて行ったのです。
キリスト教で例えると、聖書を信じるか、天国を信じるか、乱暴ですがそんな感じです。 -
つづら折れの道をひいひい言いながら、46丁目和光門に到着です。
七面山敬慎院まであと少しです。 -
49丁目随身門です。
雪がチラついていますが、これも風光明媚な光景だと前向きに考えます。
設立は大正10年と古く、晴れていればこの門越しに富士山や身延山が見えるのですが、
本日の天候だと残念ながらその雄姿を拝むことが出来ません。
うーん、残念。
取り敢えず、敬慎院は後にして先に山頂を目指します。 -
途中に珍しい植物を見つけました。
着生植物サルオガセですね。
森林の樹上に着生し、写真の様に懸垂するのが特徴です。
霧が良く発生する森林に植生し、大気中の霧から水分を補給するので、
別名「霧藻」とも呼ばれています。
一応食べられる… みたいなのですが、試してみた事はありません。 -
さて敬慎院から七面山山頂までは、通常だと1時間くらいなのですが、
ここから先は一気に人気や踏み跡が無くなります。
退くか進むか、こういう時は本当に悩みますね。
わずかなトレースと赤いリボンを目印に慎重に進んで行きます。 -
オッサンの思いが通じたのかわずかな晴れ間が出てきました。
山の神様ありがたや〜。 -
足を雪にズボズボ取られながら進むこと1時間、ついに山頂が見えてきました。
時間を確認したところ、3時間10分程度の登り時間でした。
七面山は山頂の展望がない山ですが、それでも山頂に着くと嬉しいものです。
山頂には何か不思議な魅力があるんだと思います。
おかげでここまでの辛さが一気に吹っ飛びます。 -
登頂イェイ。
七面山の由来は、開祖である日蓮が頂上付近各所に大崩崖を
「ナナイタのガレ(七色の崖)」と記録に記したことから来ています。
大崩崖であるナナイタガレは登山道から見に行けますが、
この雪では確実に遭難しそうなので見る事は叶いませんでした。
残念(*´Д`) -
イチオシ
帰りに敬慎院に寄っていきました。
と言っても外から眺めるだけで中には入らなかったのですが。
雪に囲まれてお坊さまが外に立って、ひたすら念仏を唱えていたのが印象的でした。
日蓮宗は身延山久遠寺を総本山としていますが、
この敬慎院は身延山久遠寺の鬼門の位置、つまり守護をする形で建造されました。
それにしてもよくこんな山奥に立派な建物を造ったなと感心してしまいます。
当時は建築資材などの物資は当然人手で運んだわけですから、
この寺院に対する信者の想いが信仰心の浅いオッサンにもひしひしと伝わってきます。 -
静かな静かな境内です。
よく雪がしんしんと降ると表現がありますが、敬慎院にはそのイメージがぴったり重なります。
神域とでも言いましょうか、その荘厳さには圧倒されるばかりです。 -
イチオシ
体も冷えてきたので下山することにします。
行きは勢いでずんずん登れますが、帰りは雪で足元が凍っているので
スリップには本当に気を付けて下ります。
途中「南無妙法蓮華経」のお題目を唱えながら登ってくる修験者たちとすれ違いました。
錫杖の鈴と太鼓の音に合わせて「南無妙法蓮華経」と合唱する姿に、
只々信仰心の深さというものに畏れ入るばかりでした。
オッサンが修行しろとか言われたら、3日もたず死んじゃうかもしれません。 -
肝心坊の一角にお堂があり、見事な彫刻がありました。
今にも動き出しそうな躍動感。うーん、いいですね。
パシャリ。 -
ベスト一句。癒されます。
すんばらしい(;・∀・)
ん、山形市? 寄付でしょうか。 -
下山後、白糸の滝とお萬の方を見に行きました。
お萬の方は徳川家康の側室であり、法華経の熱心な信者であったとされています。
お萬の方は七面山の登詣を強く望み、背後の白糸の滝で7日間身を清めた後に、
遂には女人禁制であった七面山登頂を女性で初めて達成しました。
日蓮宗は女人成仏をいち早く取り入れてきた経緯があり、
この点においては他の宗派よりも優れた点である事を強調しています。
さて感想。
こんな時期に登って言うのも何ですが、他の山と比べてやや殺風景な印象は否めません。
でも人が古来より登り詰めて来た道は、神域と呼べるような異空間を感じ取る事ができ、
またいつもとは違う身の引き締まるような山行を楽しむことが出来ました。
七面山は山形の月山や関西の大峰山、加賀の白山等とともに、
神聖な宗教の山としてオッサンの心の中にいつまでも残って行くはずです。
おしまい。
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