神話かはたまた史実か？幻の都市ミケーネ

2015/01/02 - 2015/01/07

アテネの市街から西へ車で1時間強、かつてホメロスが「黄金に富むミケーネ」と褒めたたえたミケーネ文明の遺跡があります。
トロイア戦争の総大将アガメムノンを王に擁したこの都市は、長いことギリシア諸侯やトロイヤ王侯の話が加わり壮大なロマンとして語り継がれていました。空想上の都市と皆に思われていたのにも関わらず、ホメロスの叙事詩を真実と信じたドイツの貿易商、シュリーマンに1876年に発掘されるまで、長い長い眠りについていました。
神話の中の出来事と思われていたアガメムノン・妻クリュタイムネストラの愛憎劇は3400年前ここで真実起こった出来事だったのです。
時を経て、今なお語られる史実の舞台、目の前の荒涼とした風景を前に言葉もなく立ち尽くします・・・（あまりにも寒くて・・。）

写真は国立考古学博物館のアガメムノンの黄金のマスク。（実際はアガメムノンのものではなく、更に古い時代のものだそうです。）

エリア ミケーネ(ギリシャ)

• 旅行の満足度: 3.5
• 観光: 3.5
• グルメ: 1.5

• 同行者: 家族旅行
• 交通手段: レンタカー
• 航空会社: ルフトハンザドイツ航空
• 旅行の手配内容: 個別手配

ギリシア4日目。

今日はレンタカーで西に向かい、トロイア戦争とも深く関係のあるミケーネを目指します。途中南ギリシア一番美いというダフニ修道院に行きます。1990年世界遺産に指定されています。（世界遺産好きの旦那さん）。
なぜかガイドには住所が記されておらず・・・。近くまで来てどこにあるかわからなかったんですが、たまたま車を停めるとそこにそれらしき建物が！！
でも今は火曜日と金曜日の9時から14時までの開館だそうです。
今日は月曜日・・・ち〜〜〜ん！残念でした！！

さて、進路を更に西にとりましょう。

途中、山道では横殴りの雪となりました。ギリシアで雪・・・予想外です。
ミケーネの遺跡につくも、やはり横殴りの雪、そしてお店など一件もなく、お昼を食べれそうなところもありません。一度Fikthiaの街まで引き返し、昼食をとります。（はっきりいって、どこかでサンドイッチを仕入れてくればよかった・・と思える味）
そして再度入場。このころには雪も小降りになっていたもの、風が強くて体感温度ゼロ度を割っていたと思います。
写真は、獅子門へ続くプロムナード。

有名な獅子門です。
これが一番保存状態のよい遺跡でした。

3000年という時を経ると、石は石に戻っていく・・・というのがこの遺跡を見た正直な感想です。
どこが何・・という話よりもミケーアで起こったドラマチックな物語を写真に載せてお送りします。

紀元前1200年ごろ、ミケーアの王アガメムノンは弟メネラオス王の妻ヘレネをトロイアの王子パリスにさらわれたことに怒り、トロイアに戦争をしかけます。
トロイアに向けての出航のときに逆風が吹き、船出ができなくなると、アガメムノンの妻、クシュりタイムネストラの必死の懇願にも関わらず、長女のイーピゲネイアをアルテミスへの生贄として殺してしまいます。
クシュリタイムネストラは元々アガメムノンのいとこタンタロスの妻だったのですが、タンタロスを殺して奪ったそうです。一説には生贄にされた長女のイービゲネイアはタンタロスとの間に生まれた娘だったともいわれます。

トロイア戦争は勝ったり負けたり・・・一進一退のうちに9年の時が経ます。
そこにはまた壮大なロマンがあるわけなのですが・・・。
トロイア戦争に勝利をおさめ、トロイアの王女カッサンドラを愛妾に従え帰還したアガメムノンは怒り狂った妻クシュりタイムネストラとその情夫アイギストス（アガメムノンの従妹）に帰還したその日に暗殺されます。その場は風呂場とも、広間ともいわれます。
元々の愛する夫を奪われ、生まれた子供を奪われ・・・帰ってきたと思ったら妾を連れている・・・クシュリタイムネストラにしてみればふつうに殺したのでは飽き足りませんね。

・・・もしやここがその殺害現場？？？

アガメムノンの次女エレクトラは父の死を受け、弟のオレストスの命を心配し、忠実な家臣にオレストスを預け、8年間、父の敵をうつチャンスを狙います。
そして・・・その念願は果たされ、母クリュタイムネストラとアイギストスは討たれます。
駐車場向かいの円形墓地の隣がこの二人のお墓だそうです。

イリヤス山とザラ山はそんな人間たちの繰り返される殺戮をただ静かに見守っていたのでしょうか？

アガメムノンの戦利品としてこの地に連れてこられたカッサンドラもアガメムノンと一緒にこの地で命を落としています。
神話上ではアポロンに愛され、トロイの木馬の中にギリシアの兵士が隠れていると予言した気高き王女の果てた地でもありました。

今は何も語らない石組が残るばかり・・・。

これは北門です。

遺跡の一番東側には地下の貯水池があります。

地下18mに自然の湧き水が出ているとのことです。入ってみましょう。

人の手を合わせたような石組み。
なんだかちょっと入るのがためらわれますが・・・嫌な感じはしませんでした。

地下に通じる小道です。
周りの石組みが今までここで朽ち果てた魂の抜け殻のように佇みます。

好戦的だったミケーネ文明にとっては、水は防衛・戦略的に重要な要素だったそうです。
また、風呂場もここには存在したといわれます。

光を頼りにするとこの通り・・・。

ここで引き返します。

地下貯水所の隣の地上の貯水池。

これは、博物館となりの獅子の墓。
横殴りの雪が再び地上に襲い掛かります。

あまりの天気の悪さにミケーネの遺跡を後にします。

西に５００ｍのところにアトレウスの宝庫（陵墓）があります。
ミケーネが滅びた過程には大きな地震があり、ドリア人からの襲撃があるわけですが、ここの石組はたじろぐことなく、規則正しく積まれています。

宝物庫入り口

別名、ハチの巣墓墳・・・というだけあり、ハチの巣みたいですね。
レンズが雪で汚れたのでしょうが・・古代からの魂たちが映っているみたいに見える写真です。

宝庫から見るザラ山

ミケーネを後にしてコリントスにいきましたが、旧コリントス遺跡は15時で閉まってしまいいけませんでした・・。（涙）

ホテルに帰り、怪獣たちはお楽しみのプールでしたが・・このホテルのプール、日光の力で温水プールにしてある・・・って、天井が透明なだけなんですが・・。
まったくの真水。泳ぎだして5分でぶるぶる・・。
これならば、冬は閉じたらいいのにって思いました。
写真はこの日ホテルの近くで食べたカラマリ・・・印象に全く残らず、小怪獣の頼んだパスタは劇まずで一皿そのまま残しました。

神秘的な満月ですね。

この光がミケーネの遺跡も照らし出しているのでしょうか？

この旅行記へのコメント （4）

• ko-nomoriさん 2015/02/10 21:04:01

  本当に神話の世界

  子連れ旅人さん、こんばんは。
  
  エレクトラやイドメネオの世界なのですね。興味深く拝見しました。
  
  マインツの旅行記に投票いただきありがとうございました。
  またよろしくお願いいたします。
  
  　　　ko-nomori

  子連れ旅人さん からの返信 2015/02/10 22:22:48

  RE: 本当に神話の世界

  イドメネオ・・・クレタ島の王子なんですね。
  モーツァルトのオペラがあるんですね。知りませんでした。
  今回、行く前に石井桃子さんのギリシア神話を読んだのですが、これを読んで世界の美術館に並んでいる作品がどういう背景があるのかがよくわかりました。
  ギリシア・・・世界の文化芸術の源とはよくいったものです。
  
  こちらこそ、またよろしくお願いいたします。
  
  

• aoitomoさん 2015/02/09 22:33:00

  ギリシャ　アガメムノンの世界！

  子連れ旅人さん こんばんは〜
  
  トロイアに戦争のアガメムノンがいたミケーアがこちらなんですね。
  遺跡の保存状態の良さに感動しました。
  
  トルコのトロイの遺跡の方はいくつもの町が出来ては消えていき何がなんだかわかりにくい遺跡状態ですがね〜
  
  私もトロイアの戦争にちょっとハマった時代がありました。
  
  素敵なコメントと共に満喫させていただきました〜
  
  aoitomo

  子連れ旅人さん からの返信 2015/02/10 02:06:09

  RE: ギリシャ　アガメムノンの世界！

  aitomoさん
  
  さすがはaitomoさん、いろいろお詳しいですね〜！！
  トルコも一度は行ってみたい国ですが、今はとてもとても近づけない国になってしまいました。これ以上シリアを含む紛争地が広がらないことを祈るばかりです。
  また、ギリシアも私たちが帰ってすぐに総選挙があり、ざわついていますね。
  
  aitomoさんのまたの旅行記楽しみにしています。
  （個人的にはカナダ旅行と流し雛の記事の大ファンです。）
  
  今年ももうすぐお雛様ですね。私の時のお雛様を姪っ子の家で飾ってくれているそうです。有難いことです。
  
  子連れ旅人