2014/08/17 - 2014/08/18
152位(同エリア562件中)
nakaohidekiさん
- nakaohidekiさんTOP
- 旅行記66冊
- クチコミ69件
- Q&A回答50件
- 219,575アクセス
- フォロワー2人
熊野三山とは、熊野本宮大社、熊野速玉大社、熊野那智大社のことである。
平安時代より盛んになった熊野詣でとは、この三大社に参詣することでありここに参詣する信者たちが通った道が熊野古道である。そんな熊野古道の終点近くに点在するのが熊野古道温泉郷である。もっとも熊野古道温泉郷というのは僕が勝手に銘々した名前であり、地図や観光名所案内に載っているものではない。勝手に思いついて付けた名前である。なぜ僕がこう呼ぶのかというと、この熊野には温泉がいくつか存在しているからである。これらの温泉に行くには熊野古道を通る必要がある。もっとも古道といっても杉木立や石畳の道は、山中(やまなか)や熊野那智大社の周辺に残っているだけで、今は立派なアスファルトの国道が整備されているので平安の都人(みやこびと)のように徒歩で歩く必要はない。車で熊野三山に参詣できるのである。しかし、今も変わらず周辺には温泉が多数存在している。熊野三山の住所と併せて記すと、熊野本宮大社が和歌山県田辺市本宮町、ここには湯の峰温泉、渡良瀬温泉、川湯温泉がある。熊野速玉大社が和歌山県新宮市であり、熊野那智大社が和歌山県那智勝浦町である。ここには勝浦温泉がある。ゆえに僕は熊野古道温泉郷と呼んでしまうのである。いづれもが紀伊半島東南端に位置している。
平安の都人(みやこびと)にとって、京都から徒歩にて南下してくればここはまさに秘境であったに違いない。交通の便が良くなった現代であっても、東京や大阪からは、紀伊半島の東南端はやはり秘境といっても過言ではないと思う。それは山深い地域であることは今も変わらないからである。
整備されたアスファルトの国道に車を止めて山を見上げると、急峻な山肌がそう云わせるのである。
熊野の神々が降臨した山は威厳に満ち、日本のどの地域とも違う異境の様相を呈している。
大雨が降ると災害が多いことでも有名であるが、3年前の紀伊半島大水害は記憶に新しい。明治時代、熊野本宮大社が流されたこともある。そこは今は大鳥居だけが残されていて、現在は高台に本殿が移転している。
さて、そんな熊野温泉郷であるが、そのなかの一つ、川湯温泉『山水館・みどりや』に今回は泊まることにした。ここは、川から温泉が湧くことで有名である。『山水館』は『みどりや』『まつや』『きのくに』の三館に分かれているが、今回は一番格式の高い『みどりや』に泊まることにした。他の二館はビジネスタイプの宿である。
田辺市から車で約60分、温泉宿は川に沿って建っている。
国道311号の熊野街道のトンネルをくぐり抜けるとすぐに川湯温泉の標識が出てきた。
それを右に曲がると200メートルほどのトンネルがあり抜けると川湯温泉に到着した。
『山水館・みどりや』はトンネルを出てすぐ脇に建っていた。六階建ての近代的な建物であるが高級旅館の趣を称えている。
玄関に着くと番頭さんが「お泊りですか?」と声をかけてくれた。これは嬉しいサービスである。
「今夜一泊する○○ですが、車はどこへ止めたらいいですか」
「それは有難うございます。こちらへどうぞ」といって駐車場に案内してくれた。
車を止め荷物を持ってくれた番頭さんの後ろに着いて行くと、創業1988年とはいえ館内はまだ新しく心地よい風情だ。すぐにチェックインを済ませると客室係に従い3階の部屋へと向かった。
部屋に入ると小さなドーム状の入口が和風旅館であることを教えてくれる。次の間から部屋に入ると窓枠に囲まれた山肌が掛け軸のように目に飛び込んできた。思わず「わっお!」と声をだしてしまった。日本画の山水の世界が窓越しに広がっていたのである。
窓辺のテラスから下の露天風呂が見えた。川に沿った露天風呂には筏も繋がれていて子どもたちが摑まったり乗ったりして遊んでいる。チェックインのとき説明してくれたのであるが、露天風呂には館内の大浴場から入って行くそうである。混浴であるが女性客には浴衣が用意されているらしい。部屋といい景色といい申し分ない旅館である。
まずはお茶を飲み、一息ついたらさっそく温泉に入ることにした。源泉は川床から湧いていることは先に記した。それを館内に引き入れているから極めて効率的である。泉質は無色透明のアルカリ単純泉。
脱衣所も大浴場もそれほど広くはないが極めて心地よいのである。洗面所にはアメニティグッズもたくさん用意されていて心配りが嬉しい。
かけ流しの温泉でゆっくり体を癒したあとは河原の露天風呂に出てみた。男子はタオルで前を隠して入る。四方からは丸見えであるが、しかし、露天風呂のすぐ脇を大塔川が流れているので自然に抱かれるように風呂に入ることができる。ここに入っていると自然と人間が一体になれる温泉場はなかなか見つけるのは難しいのではないかと思えてくる。ここの温泉に浸かれば、まあ30年は長生きするだろうと思った。
食事はというとバイキングであるが、これなら自分の好きなものを食べられるので何も文句はない。夕食はバイキング以外(朝食にはない)にも、お刺身とステーキと付だしは付いているからバイキングにしては豪華だろう。
食事の後は日頃の疲れが出たのか、はたまた温泉の効能があったのか早目にグッスリ眠ってしまった。部屋の電気を消すのを忘れたくらいである。朝まで死んだように寝ていた。
翌朝は快適な目覚めであった。10時のチェックアウト前にもうひとっ風呂浴びた。そんな、なに不足ない山水館の宿泊であった。
チェックアウトのとき、近くにジェット船の乗り場があると聞き、熊野川の瀞峡めぐりに出かけることにした。
ジェット船は瀞峡という奇岩の渓谷を往復2時間で行き来するのである。
瀞峡めぐりの終点までは約50分で到着するという。
終点に着くと、岸辺に船を乗り上げジェット船から下りて休憩をした。見上げると今は営業をしていない瀞ホテルが断崖絶壁の上に魔界のように建っていた。まるで「千と千尋の神隠し」のような異空間の世界が広がっていたのである。瀞ホテルこそは迷宮の世界へ我々を誘(いざな)う入口のように見えた。
僕は今回初めてジェット船に乗り瀞峡めぐりでこの瀞ホテルを知ったのであるが、これを読んでいる方々に知ってほしい。南紀へ旅する機会があればぜひ瀞ホテルに足を踏み入れていただきたい。あなたの知らない世界がそこに存在することは間違いないからである。
- 旅行の満足度
- 4.5
- 観光
- 4.0
- ホテル
- 4.0
- グルメ
- 3.0
- 同行者
- 家族旅行
- 一人あたり費用
- 1万円 - 3万円
- 交通手段
- 自家用車
- 旅行の手配内容
- 個別手配
PR
-
山水館・みどりや玄関口
-
フラント・ロビー
-
客室・綺麗に整頓されている
-
窓からの眺望。額縁の日本画を見るような風景。
-
窓辺のテラスからみた川辺の露天風呂
-
川辺の露天風呂。女性は浴衣を着て入る。混浴である。
-
客室のドーム状の入口。
-
客室の洗面台。綺麗である。
-
夕食のバイキング。ステーキやお刺身も付いている。
-
夕食のバイキング会場。
-
露天風呂からの眺め。下流に向いて。
-
露天風呂からの眺め。上流に向いて。
-
河原から吊り橋越しに温泉街を眺める。
-
大浴場更衣室
-
大浴場
-
ジェット船からの瀞峡めぐりの様子。
-
ジェット船から瀞峡の奇岩を眺める
-
瀞峡終点の岸辺から「瀞ホテル」を見上げる。魔界の入口を思わす。
-
瀞ホテルは秘境に建つ異界の建物。
-
瀞峡に流れ込む滝。
-
瀞峡終点の河原から、奈良、三重、和歌山の県境を見る。左の岩壁が三重県。正面の岩壁が和歌山県。ジェット船が着いた、写真を撮っている岸辺が奈良県である。
この旅行記のタグ
利用規約に違反している投稿は、報告する事ができます。
コメントを投稿する前に
十分に確認の上、ご投稿ください。 コメントの内容は攻撃的ではなく、相手の気持ちに寄り添ったものになっていますか?
サイト共通ガイドライン(利用上のお願い)報道機関・マスメディアの方へ 画像提供などに関するお問い合わせは、専用のお問い合わせフォームからお願いいたします。
この旅行で行ったホテル
熊野本宮・湯の峰温泉(和歌山) の旅行記
旅の計画・記録
マイルに交換できるフォートラベルポイントが貯まる
フォートラベルポイントって?
0
21