ティファナ旅行記(ブログ) 一覧に戻る
LA Torranceから車でフリーウェイを南下、サンディエゴを通り抜け、トイレ休憩を入れてティファナまで3時間ほど。 <br />国境を越えるという割には、サンディエゴからティファナまでは思っていたより、すぐだった。 <br />朝7時に起きたわりには、快調な滑り出し♪ <br /><br />&quot;TIJUANA&quot;の出口からフリーウェイを降りてすぐの所に、国境を渡る人のための駐車場が並んでいる。その向かい側には車ごと国境越えをする人のためのドライブスルーの保険窓口があって(国境を超えると車の保険は使えなくなるので、国ごとの加入が必要。)車を降りない国民性が伺えた。 <br />そのすぐ向かいにある一番手前の駐車場に車を停めると、車を降りる前からタイのトゥクトゥクのような荷台付きの自転車のようなものを引いたお兄さんがやってきて、国境まで乗っていかないかと誘ってくる。 <br /><br />車を停めた駐車場の向かい側に、Duty Freeと書かれたお店が並んでいる。 <br />Nike、Guess、GAPやアディダス、Forever21などの有名店が軒を連ねていて、セール期間中なのか、それともただのアウトレットなのか、結構お手頃価格が並んでいた。 <br /><br />出がけに読んだティファナに行った人たちのブログを読むと、国境付近にあるマックが目印になって、ティファナのメインストリートに行けるらしい。このモールらしきところにもひとつ、マックがある。 <br />コレでは…ないよな。100%アメリカサイド。 <br /><br />金網の向こう、ずっと遠くに大きなメキシコの旗が強い日差しの中を力強く泳いでいた。 <br /><br />事前に地図をチェックしてきたというのに、早速ここからどっちに行ったら国境なのかと辺りを見回し、およそ200キロくらいはあろうかという巨体の女性を乗せたトゥクトゥクが震えながら進んだ上り坂を選んだ。 <br /><br />緩やかな坂を登る手前の交差点の電柱に貼られた行方不明者と目があって、ヒヤリと背筋が冷たくなる。 <br /><br />灼熱の太陽の下、緩やかな坂がきつく感じる。 <br /><br />オレンジ色の渇いた山がどんどん近づいてくるのを眺めながら、両側を柵の代わりに透明なプラスティックのようなものでコーティングされた大きな歩道橋を渡り、階段を降りると、これまた日本のどこかの駅前のような、ちょっと雑然とした感じの場所に出た。 <br /><br />オレンジ山の手前に真っ赤な電車が停まっていて、ここが丁度終着駅なのだとわかる。 <br />むぅ、電車は国境を越えないんだなぁ。 <br /><br />そして、そのすぐ横に…あった! <br />マクドナルド。 <br /><br />でもまだ国境は越えてない。 <br />うーん…人は国境を越える時に物凄くマックを食べたくなるの??? <br /><br />頭にクエッションを5つ程浮かべながら、小さなタクシープールと電車の切符売り場の間を通って、そのマックの横を通る頃、連れに写真撮りすぎだ、と怒られた。 <br /><br />むぅ、別にいいじゃん、ブログに載せようと思ってるんだしさ、と口を尖らせて軽く拗ねながら、でもiPadをカバンにしまってみる。 <br /><br />道なりに進んで行くと、明らかに何かの建物の裏、まさに「裏道」といった感じの道を通る。 <br />国境が近い割には、なんだかおざなり感の漂う道だ。 <br /><br />一体国境はどこなのさ?!と思った矢先、灰色の高い塀の先に&quot;MEXICO&quot;と大きく書かれた看板が。 <br />そのすぐ下に、鉄柵だけで作られた回転ドアが並んでいる。 <br /><br />おぉ、ブログで見た写真と同じだ! <br />と感動していると、横からこれは写真撮っときなさい、と些かハイテンションな声。 <br /><br />いよいよ、国境越え!! <br /><br />どの回転ドアに行こうと悩んでいたら、連れは早々に一番左端のドアに手をかけたので、慌てて後に続く。 <br /><br />鉄製のどこか冷たい感じのする回転ドアに手を挟まないように気をつけて通り抜けると、何処かのプレハブのような建物の2階に続いていて、事務所のような部屋の横を通過。 <br /><br />その後も階段を降りたり、細い道を通ったりと、うねうねと前の人たちに続いて、ようやく外に出た。と思ったら、長い長い行列にぶつかる。 <br /><br />これが全部アメリカ入国者の待ち人でできている国境越え待ちの行列だとわかって、ちょっとゾッとした。 <br />だってコレって、ディズニーの一番人気のアトラクションが土下座するぐらいの長さだ。多分。 <br /><br />行列を遡って行って、「タクシー?!」と叫ぶおっさんを無視しながら、列がようやく終わる辺りで、また歩道橋をのぼり、今度はアメリカに入国しようとする車の波を眼下に見ながら渡る。 <br /><br />道路上にはあちらこちらにゴミが落ちている上に、舗装されたアスファルトが所々めくれ上がっていて、歩きにくいことこの上ない。 <br /><br />ここでようやく国境越え☆初のマクドナルド。 <br /><br />歩道橋から見て、マクドナルドの左方向に両替所が2つ並んでいたので、ここで連れがお金を変える。 <br />この間、ロータリーに停まっているタクシーの周りで男たちが苛立つほど「タクシー?!」と叫び続ける。 <br />メキシコ人はタクシー、しかしゃべれないの? <br /><br />マックの横を通り過ぎると、コンクリートでできた公園のような両脇に安っぽいバーと土産物が並ぶ広場が広がっていて、それぞれの店先で軽くしつこいめの呼び込みをしている。 <br /><br />無視して、突き当たりにある階段をのぼり…その途中のバーでもだいぶしつこいめの呼び込みを浴びた。 <br /><br />階段を登り切って、大きな橋を渡った。下には舗装された川が流れていて、河川敷はまるで日本の姿と変わらない。 <br />この橋を渡っている時に、連れがポツリと「俺、もう戻りたい。」と言った。 <br /><br />うん、わかるけど…まだ入国したばっかりだから。ね? <br /><br />なだめるように言う私にも、その感覚はよぅくわかった。 <br />タイが気にいって、彼も私も何度も訪れ、荒れた道路、観光客によくわからないものを売りつけようとする人や、スリや詐欺など色々あったけど、ここはそのどれとも違う。 <br /><br />再び階段をおりて、土産物屋が続く通りをまっすぐ進むと横断歩道があって、メキシコ初の信号待ち。 <br /><br />この辺りから、連れの態度が少し変わってきた。 <br /><br />信号待ちをする私に、車道に出過ぎだ、ここは日本と違うから、お前が車に撥ねられても、誰も助けてくれず、倒れたお前に集ってきて、金目のもの全部持っていかれるんだからな、と叱りつけられた。 <br /><br />ん? <br />何か…不機嫌ですか?? <br /><br />メキシコ入国後から遠くに見えていた巨大なdream catcherのようなオブジェがティファナのメインストリートAvenue Revolution通りを跨いでいる。 <br />それがようやく、目前に見えるというのに、なんでそんなに怒ってるの? <br /><br />治安の悪さも手伝って、ウカウカiPadを出すのがはばかられるようになったので、せっかく昨日ダウンロードした地図のアプリもロクに見れない。 <br />で、どっちに行くの?!と強めに聞いてくる連れに、うーん、こっち!とDream catcherを見ながら、左に曲がって、Avenue Revolution沿いを進む。 <br /><br />この通り沿いのお店でチェックしてたところと言ったら、ランチをしようと思っていたレストランと、バーくらいしかない。 <br />とにかくこの通りは土産物がたくさんあって、都度値切ると良い、くらいの事が書いてあったので、楽しみにしていたのに、歩き出すか否かというくらいから、呼び込みの嵐。 <br /><br />&quot;I was waiting for you! Please turn left, left, left...ah, ok, maybe when you come back later...&quot; <br /><br />私の連れはロシア出身のアメリカ人なので、彼と歩いているせいか、呼びかけはほぼ英語の、たま〜にスペイン語。 <br />激し過ぎて、土産物屋を覗いて歩くような感じではまったくなくて、2人ともすべてを無視して、ずんずんと歩き続けてしまった。 <br />だってこんなに必死で呼び込まれたらなんだか怖いじゃない? <br /><br />途中、お土産屋さんの棚を引いたシマウマを2匹ほど見た。 <br />これは…シマウマというより、ロバをシマシマに塗っただけでは? <br /><br />クエッションを浮かべて「シマウマ?」を見つめながら、通り過ぎようとすると、シマウマの隣にいたおじさんに「写真を撮るか?」と言われて、小銭目的に用意されたものだと気づいた。 <br /><br />それにしても、暑さも手伝って、既に2人とも結構グッタリ。 <br />とうとうしんどくなってきて、wifiが使えると書かれたスタバ的な欧米風の&quot;カフェで一度休んで、これからどうするかを確認しようということに。 <br /><br />テラスでのんびりラップトップを広げている白人のお兄さんもいるのに、警戒心が強いせいか、レジ前のテーブルについて、ここが何処なのか、この辺りに何があるのかをハッキリさせようと2人で息を巻く。 <br /><br />Google mapで見つけた現在地から、メインのAvenue Revolutionを横切る通りは、スペイン語の数字が混ざっていて、順に上がって行くっぽいことが分かった。 <br />(後で見たら、それは一部だけだったけど) <br /><br />立ち寄る予定のレストランはここから3ブロックくらい。 <br />&quot;Chiki Jai Restaurant&quot;という名前。 <br />まだお昼には早いけど、とりいそぎ目的地もないし、連れもピリピリしているし、もう入っちゃえ!と入店したレストランはなんと空っぽで、奥の調理場で働いている人たちの笑い声が聞こえるのみ。 <br /><br />お店の奥へ恐る恐る入っていくと、お店のおじさんがちょうど買い物から帰ってきて、私たちの姿を見つけて、テーブルに座るように勧めてくれた。 <br />メニューを見ると、どうやらスペイン料理のようで、連れにどうしてメキシコに来てスペイン料理を食べるの?と尋ねられてしまった。 <br />いいじゃない、日本人からしたらスペイン料理もメキシコ料理もきっと大差ないのよ、きっと。 <br /><br />トマトのサラダとスペイン風オムレツ、キノコのソテー、それに付いてきたパンの美味しいこと!!まるでフランスやスペインなんかでしか食べられないような、外側がパリッとしていて、中身はフワフワのモッチモチ♪ <br />勿論どの料理も美味しくて、さすがガイドブックに載っていただけのことはある! <br /><br />お腹いっぱいになって時計を見るも、時間はまだ1時前。 <br />ティファナで行きたいところはそんなに多くない上に、夕方からはじまるバーなんかに行くには時間が早すぎた。 <br />その上この暑さで、すでに結構疲れていて、実のところモチベーションはあまり上がらなかった。<br /><br />「次はどこに行くの?」 <br /><br />この国にきて、一つ目の信号を越えたあたりから、連れの機嫌はすこぶる悪い。 <br />眉間にシワを寄せて、おそらく純粋に聞いただけであろう質問には悪意すら感じられる。 <br /><br />「え〜っと…この通り沿いには他にバーくらいしかないから、ちょっと遠くのマーケット、かなぁ?」<br /><br />目的地が決まって、早速2人で次を目指すものの、連れの口数は少なく、というか、もはや皆無で、私が歩道の段差で躓いても、横目でちらりと見るだけでスタスタと歩き続けている。 <br />なんて冷たい子!と思いながら、舗装された歩道のコンクリートのめくれあがっている部分に、もう引っかからないように注意しながら一心不乱に彼の横を歩き続ける。もう周りの景色なんて見えないくらいに(苦笑) <br /><br />そのうち沈黙に耐えかねて、「来たこと後悔してる?」と聞くと、私の質問など聞こえなかったかのように「Revolution avenueも今歩いている10番目の通り(スペイン語で10番目という名前の通りのこと)も大丈夫だけど、その間の通りは危ないと書いてあった」とぶっきらぼうに呟いた。 <br /><br />成程、治安の心配をしてたのか、とだんだん彼が忠実に主人を守るように訓練されたドーベルマンのように思えてきた。 <br /><br />通りを歩いていると、人々の暮らしぶりを垣間見る事が出来る。 <br />軒を連ねるお店、そこに住む人々・・・。 <br /><br />建物のほとんどは古く、傾いたり壊れかけている所もしばしば見られる。 <br />白っぽい建物に、日本なんかにもありそうな品揃え豊富なドラッグストアなんかがあったと思えば、たくさんの絨毯が雑然と置いてあるお店(?)、材木を削っているお店・・・。 <br /><br />ほとんどの建物は暑さのせいか窓やドアを開け放しているので、通りから中を覗く事ができる。 <br />飽食気味の日本やアメリカに比べて、生活レベルはだいぶ異なる印象を受けた。 <br />勿論、貧困の差があるだろうから、お金があるところには豊かな暮らしがあるんだろうけど。 <br /><br />青い空に強い日差し、ジメジメした空気の中を歩き続けていると、まるでビリーズブートキャンプでエクササイズでもやってるような気分になってくる。 <br />足腰が重くなって、膝が笑ってる。 <br /><br />20〜30分程歩いただろうか、ペンキの剥げた古い大きな円状の建物が見えてきたが、そこまで行くのに交通量の多い道路を2本も渡らなければならない。 <br />運転の荒い車が多いせいで、通りを一本渡るのにもハラハラする。 <br />サーカスのテントのような円状の建物沿いを歩いてみると、入口らしきドアがいくつも点在していて、その中で少し開いている所から中に入ってみた。 <br /><br />東南アジアの市場を思い出させるような雑然としたお店が並んでいる。 <br />地面のコンクリートは黄色や緑に塗られ、ポップな感じを思わせるが、全てが長い年月と汚れでくすんで見えた。 <br /><br />麻の大袋に米や水々しい野菜、乾物、駄菓子なんかが溢れていて、中国などで見られるような雑に真似たキャラクターのスパイダーマンやキティちゃんの人形、小物などが所狭しと並んでいて、歩くスペースはわずかに残されている。 <br />ハロウィーン前のせいか、ランタンやカボチャを模した人形や飾り物も目立った。 <br /><br />コの字型に作られた市場は、一周もすると同じようなお店がたくさんあることがわかった。 <br />それに地元民に負けないくらい、観光客と思しき白人も多かった。 <br />中央は駐車場になっていて、入口には日本でも馴染みのお金を入れると黄色いバーが上がって中に入れるような仕掛けになっている。 <br /><br />歩き疲れたなんて状態はとっくに通り過ぎていたので、市場をサラリと見ただけで、次の目的地…この近くの「セントラルセンター」という奇抜な建物を目指す。 <br />今度は2〜3分で到着するほどの近場。 <br /><br />セントラルセンターは真新しく、四角い赤い建物に、グレーの網目模様がアクセントになっていて、今まで見てきたような建造物とはかけ離れて超近代的。 <br />その手前の広場には大きな丸いオブジェがあって、それを囲うように作られた階段で15メートルほど上のオブジェのてっぺんまで登る事が出来る。 <br />一番上から観光客が数人、顔を出したり、記念撮影をしていた。 <br /><br />2人とも丁度トイレに行きたかったので、建物の中に入ってみる。 <br />重い硝子戸を開けると、ヒヤリとした乾いた空気が心地いい。生き返ったようで、大きく深呼吸した。 <br /><br />遠くの椅子に座ったガードマンが、立ち上がって今日は休館日だと叫んだ。 <br />ゆっくり座ってお茶でも出来るのではないかという希望はこの一言によって消え失せ、ともかくトイレだけ借りて(とっても綺麗だった!)、スッカリ重くなった足を再び引きずって、次の目的地を探そうと、一度外に出た。 <br /><br />「もうこれ以上、行きたいところはないよ。夜まで待たないとバーも開かないだろうし。」 <br /><br />今回ここにきて、やりたかったことのひとつは、「メキシコでテキーラ」。 <br />けど、日はまだ高いし、若干脱水症状気味だし、歩き疲れてもう限界。 <br />万が一、「次はどこに行くんだ」なんて連れにプッシュされても、「もう何も出ないよ!」と先制攻撃に出た。 <br /><br />彼はこの投げやりな私の気持ちを酌んだのか、一旦メキシコを出て、ワイナリーに行って、夜またここに戻ってくる?と提案してきた。 <br />メキシコ・・・というかティファナにはもうなんの未練もない! <br /><br />よし、とりあえずティファナを出よう!と国境を目指したら、その途端、素敵な感じのバーと、その向こうに巨大なスーパーマーケット”COSTCO”を発見した。 <br />勿論バーは、まだ開いていない。けど一気に親近感が湧く。 <br /><br />COSTCOを横目に歩きながら、今度は夜めに来ようね、連れが唐突に言った。 <br />えぇ?!あんなに不機嫌だったのに、また来たいの???!! <br /><br />国境に戻る道中で、再び交通量の多い中心地まで戻ってくると彼の態度はまた「番犬モード」にカチリとチェンジ。 <br />歩道の道の悪さに悪戦苦闘しているのに、突然「待ってんだから早くしろって!」と大きい声をあげられる。 <br />疲れと驚きで、萎縮しつつも、慌てて通りを渡った。 <br /><br />無秩序にも見える車道は信号が変わるのが早いだけなく、交差点で待っている人を巻きこんでもお構いなしなんじゃ、と思わせるほどに荒々しいドライバーばかりだ。 <br />本日3度目に躓いた後、歩道側に誘われた。 <br />なんだかんだ言って気遣い屋さんなんだから、と思いつつ、あまりに気を抜けない状態が続くので、いよいよしんどくなってきた。 <br /><br />ふと、交差点を渡る度に角に赤い細いバーが立っているのに気が付いた。 <br />そういえば、あちこちで見るぞ、この”EMERGENCIA”って書いてあるやつ。 <br /><br />連れに、これってなんだろうか?と聞いたら、治安が悪いから、何かあったらこのバーにあるボタンを押せってことなんじゃないの。 <br />とアッサリ。そんなもんが町中の至る所にあるの?!! <br /><br />そんなこんなで、やっと国境前の大きな歩道橋まで戻ると、スッカリ忘れていた国境越えの長い行列が見えた。 <br />ああああああぁぁぁ・・・そうでしたー(T^T) <br />これに並ばないとアメリカに戻れないんだよね。 <br /><br />マジか・・・・こんなに疲れてて、でも、コレに並ぶのか。 <br />本気で嫌だったけど、1人でも多く並ぶ前に列の後ろにつかなきゃ!と思った瞬間、後ろから現地人らしき男性に声をかけられた。 <br /><br />「国境を渡るショートカットルートに案内するよ、行かないか?」 <br />今までの呼びこみが激しすぎたのと、いかにも怪しい印象に、私は無視して行列の一番後ろについた。 <br /><br />ところが連れは「ふ〜ん、1人幾らだって?」と話にのっている。 <br />そして「どうする?行きたい??」と私に確認してきた。 <br /><br />えぇぇぇ?! <br />あんなに警戒して番犬化してたのに、なんだってこんな胡散臭い話に乗るのー?! <br /><br />驚きつつもお値段を聞いてみると、「1人5ドルだって。」と意外とリーズナブル。 <br />ゲラゲラと大笑いしている膝は私に&quot;ノレ&quot;と言っている。 <br />大きな不安を残しつつも、最悪何かあってもコイツ(連れ)がいれば大丈夫か、と腹をくくる事にした。 <br /><br />話しかけてきたおじさんに同意の意思を見せると、彼は私たちに後をついてくるように言って歩き出した。 <br />行列と反対方向の急な坂を上って、歩道橋を渡り、3分程坂を上った橋の手前で下に降りる獣道のような斜面を下りるようにと指さした。 <br /><br />下には案内人のおじさんの仲間がハイエースのような車の横に立っていて、連れから10ドルを受け取ると、すでにほぼ満員になっているバンに乗りこむように指示してきた。 <br />2人掛けの椅子に3〜4人が座るような感じで詰め合って座る。 <br />出発前に読んでいたブログでは、国境越えでだまされそうになった話や多額のお金を請求されたという話があったので、依然警戒を解くことはできない。 <br /><br />バンの中は居心地悪いし、ムシムシするし、連れとも席が離れてしまった。 <br />それでも、久々に腰を下ろすことができて、一心地。 <br />隣には母子が座っていて、男の子はPSPみたいなゲーム機に夢中だ。 <br />何やら不安な気持ちで待つ事15分程、カップル1組と男性2人が乗り込んだ後、先ほど斜面下で私たちをバンに誘った男が後部座席のスライドドアを閉め、ついに運転席に乗り込んだ。 <br /><br />ぎゅうぎゅうに人が詰まったバンは急な斜面を登り、舗装された道路に飛び出ると先ほど通った道とは逆の方向へ大きく迂回した。 <br />北朝鮮なんかの不法入国者の気分で車に揺られていると、バンは前方に停まっているマイクロバスの後ろにつく。 <br />そこからはノロノロ運転が続き、気づけば周りは車だらけ。 <br /><br />入国直後に通った歩道橋から見た長い渋滞の中にいた。 <br />おぉ、私たちが並ぼうとしたあの列より遥かに早く進んでいるではないか! <br /><br />バンは一番右側のレーンを前の車についてゆっくりと進んでいたが、ついに動かなくなった。 <br />ギアを上げた運転手は、窓から身を乗り出して前方に目を凝らしていたが、車がまったく動く気配がない事がわかると、エンジンを切って運転席を降り、原因を探りたかったのか外に出て行ってしまった。 <br /><br />運転手の姿が見えなくなると、車内を淡い不安が巡った。 <br />とはいえ、周りは大渋滞。 <br /><br />運転手が戻ってきても車が動くわけではない事は一目瞭然だったが、車内はじりじりと湿った空気が定員オーバーしている人たちによってより早い速度で温められている。 <br />頭頂部から汗が伝って、顎まで流れるのを感じた。 <br /><br />突然、私の後方に座っていた男が、スライドドアの横に座っていた私にちょっとごめんよ、と言って思いきりドアを開けた。 <br />新鮮な空気が入ってくる。 <br /><br />運転手は一向に帰ってこないし、前の車もやっぱりさっきから全く動いていない。 <br />10〜15分程経ったか、後部座席の連れの隣に座っていた60代くらいの女性がうんざりしたため息を吐きながら突然席を立ち、一緒の男性を引き連れて車の外に出た。 <br /><br />彼女は運転手を探し出し、大きな声で文句を言うと、どこかへ行ってしまった。 <br />運転手はバンの横で「車が動かないんだからしょうがないだろう。」と言ったが、彼女たちに続いて、20代前半と思しき地味な感じの女の子も静かに車を降りて何処かへ消えた。 <br />彼らのお陰で私は連れの隣に座る事ができたが、3人も降りたのに車の中はまだ居心地がよいと言うにはほど遠かった。 <br /><br />それから5分も経たず、前の車が再びノロノロと進み始めたので、少ししてから運転手が戻ってきて後に続いた。 <br />GWの首都高か環八のMAX渋滞レベルのスピードで進んでは停まり、を繰り返していたバンは、遂に南国を思わせる白壁の簡素な建物の前に停まった。 <br /><br />突然、運転手はここで降りろ、さぁ行ってくれ、と私たちを車から降ろした。 <br />ボー然としながら、連れと前の人について建物の中に入ると、さっき私たちが並ぼうとしていた長い長い列の先にイミグレーションが目に入った。 <br />あぁぁぁぁ・・・あの列にずっと並び続けた先がここなのか。 <br /><br />1時間半程バンに揺られて、突然の環境の変化と事態を把握するのにイッパイイッパイ。 <br />比較的列の短いアメリカ居住者用と、ここから並んでもまだしばらく待たされそうな外国人用の列に分かれていたが、連れは私と一緒に外国人用の列に並んでいる間、私にアメリカでのIDを作る事を強く勧めた。 <br /><br />以前アメリカで学生ビザを取っていた私としては、イミグレーションの通過はちょっぴりナーバス。 <br />不法滞在者の多いアメリカは、外国人の入国者に、特に最近までビザを持っていた者の入国にはすこぶる厳しい。 <br />先日もハワイの入国審査で別室に連れて行かれたばかり。 <br /><br />そんなわけで連れより先に窓口についたのにも関わらず、学生ビザはどうした、また語学学校に行く気なのか、とか色んな質問を受ける。 <br />隣の窓口に座っていたおじさんが日本に住んでいたとかで助け舟を出してくれたのと、日本へ帰る飛行機のeチケットを見せてなんとか通過。 <br /><br />連れはとっくに手続きを終えて建物の外で待っていた。 <br />ため息をつくと、だからIDを取ればいいって言ってんじゃん、と再び言われる。 <br />うん、わかったよ、でもどうやって取るの〜? <br />家に帰ったら、自分で調べて。 <br /><br />そこから車に戻るまでは人もまばらで、夕暮れが近付いてきた太陽は少しだけ日差しを弱めたような気がする。 <br />終着駅の前を通り、両側スケルトンの歩道橋を渡り、もう随分昔に通過したような気すらする駐車場エリアに戻ってきた。 <br /><br />朝方も見た向こう側の大きなメキシコの旗は相変わらず風の中を堂々と泳いでいた。 <br />さっきまであそこにいたんだよなぁ。 <br /><br />なんとも言えない不思議な気分で最後にメキシコの空を仰いで、車に乗った。<br /><br />車に乗った途端、現実に戻る。 <br />私の置いて行ったタンブラー、すっかりぬるくなった飲みかけのジュース。 <br /><br />まるでもう数カ月放置されていたような気すらする。 <br />ウラシマな気分。 <br /><br />そして久々に感じる安心感。 <br />ここでならぼーっとしても、寝こけても大丈夫という確実な安堵感。 <br />安定感のある連れの運転がなおさら私を安心させた。 <br /><br />「さぁ、じゃサンディエゴに向かう?」 <br /><br />次の目的地に向かって車を発進させる連れ。 <br />すこぶるテンションの低い私。 <br /><br />ごめーーーーーん!!  <br />でももう疲れたよーーー!!(涙) <br /><br />車は駐車場を出て、すぐにフリーウェイ。 <br />30分程で、連れが行く手の左側を顎で指して「この辺りはARMYの練習場」と言った。 <br />なーんにもない、ただの砂地。 <br /><br />それから間もなく、今度は「海が見えてきたよ」と連れが言うと、 <br />車に座っている間に体力が戻ったのか、私のテンションが再び上がってきた。 <br /><br />湿地が続いて、その先に海が広がっている。他には何もない。 <br />空の青と海の青のコントラストが、なんとも言えない美しい景色だった。 <br /><br />スクリーンショットで撮った地図と、ウッスラとたま〜につながるWifiでiPadのGoogle Mapを見ながら、 <br />少しずつサンディエゴが近付いてくるのを確認。 <br /><br />これだけ充実(?)した一日を過ごしているのに、午後3時くらいと日はまだまだ高い。 <br /><br />ひとまず目指すは海沿いに広がる「コロナド」。 <br />東京で言う「お台場」みたいなものなのか、サンディアゴからは離れた小島になっていて、 <br />ガイドブックを見る限りでは、リゾート地になっている様子。 <br /><br />ここには赤い屋根が印象的な「ホテルデルコロナド」という老舗のホテルがある。 <br />1888年に作られて以来、マリリンモンローの映画のロケ地としても有名で、時の大統領や有名俳優陣などの訪問もあったらしい。 <br />あいにくマリリンモンローの映画を見たことはなかったが、世界的に有名な女優がここで撮影をし、滞在したと聞くと、なんとなくテンションも上がるというもの。 <br /><br />赤い屋根があまりにも目立つので、ホテルは遠目からでも、すぐにソレだとわかる。 <br />ホテルの横の道に車を停めて、ちょっぴり探索してみる。 <br />ビーチ沿いに建てられたホテルにはバーをぐるりと囲むテラスがあり、ほとんどのテーブルは人で埋まっていて、 <br />優しい海風に吹かれながら美味しそうにビールを飲んでいる人もいれば、マッタリ過ごすグループもいる。 <br /><br />全体的に年齢層が高く、家族連れもいれば、結婚式で訪れたグループもいる。 <br />トイレを探して、ホテル内に入ってみると、地下にはスタバ、土産物屋などがある横にバンケットルームが続き、 <br />その先に続く階段を上ると歴史を感じさせる荘厳なロビーがあり、ボーイが忙しそうに動き回っている。 <br /><br />目が合うとすぐに「お手伝いしましょうか?」と聞いてくるあたり、サービスレベルの高さが伺える。 <br />うー、私には敷居が高いなー。 <br /><br />宿泊客でもないのにトイレは何処だなんて、なんて図々しいんだと恥ずかしい気持ちで、 <br />ようやく辿り着いたトイレもやはり古かったけど、新型の装備で隅々まで綺麗に掃除されていて、居心地が良かった。 <br /><br />テラスに戻ると連れがコロナビールを飲みながら、真っ白なテーブルでマッタリと私を待っていた。 <br />暑い日差しに、冷たい海風がビックリするほど気持ちがいい。 <br /><br />先ほどまでメキシコにいて、疲れと治安の悪さにピリピリさせていたことが信じられない。 <br />椅子にドッカリともたれて、どこまでも澄みきって広がる青空を見上げ、全身の筋肉を弛緩させる。 <br /><br />あーーーーーーーーーーーーーーー極楽。 <br /><br />連れが海の向こうを指さして、 <br />「ホラ、あそこで訓練してる」とつぶやいた。 <br /><br />彼の指の先には、大型の船しか見つけられなくて、困っていると、 <br />「そこじゃない、もっと・・こっち。」と、言われた先に、ヘリが同じところを旋回しているのが見えた。 <br /><br />やがてヘリは一か所にとどまり、ホバリングをする。 <br />その間、あまりにもヘリが水面に近付くので、海面から水が大量に空中に巻き上げられているのがここからでも分かった。 <br />ヘリの下部から黒い梯子のような何か小さいものが下に垂れ、そこに人が降りる。 <br /><br />「海上で救助をする訓練をしてるんだよ。」 <br /><br />なるほど。 <br />でも、どうしてこの人はヘリがいるのを見つけただけで、彼らが何をしているか、すぐに分かったの? <br />やがて、梯子を再び登り、人影はヘリの中に消えた。 <br /><br />そうこうしている間に、コロナビールはあっという間に飲み干されて、空のボトルがテーブルに2本並んだ。 <br />連れがそろそろ行かないと、と立ち上がり、余りの快適さにその場を離れがたい気持ちの私をテーブルからベリッと剥して車に戻る。 <br /><br />ビーチに行きたかったーーーー!! <br />海に足だけでも浸かりたかったーーーー!!! <br /><br />後ろ髪をひかれる思いで、車はサンディエゴの中心地に予約したホテルを目指して、サンディエゴ・コロナド橋を渡る。 <br />海の上を大きく旋回し、レインボーブリッジのような大きな大きな橋を滑らかに走ると、海の向こうに工業地帯が広がり、その先にサンディエゴの大きな街が見えた。 <br /><br />ホテルにたどり着く、一番近いフリーウェイの出口を口の中で何度も唱えながら、出口の看板を目を皿のようにして確認しながら進む。 <br />さすがに時間はもう5時を過ぎ、体力もだいぶなくなってきた。 <br /><br />中心地にはあっけない程すぐに着いたけど、サンディエゴの街は一方通行ばかりで、 <br />ホテルの場所がわかってもなかなか辿り着けない。 <br /><br />NYも一通が多いけど、規則的でわかりやすいのに比べて、こちらはひどく複雑で気まぐれな感じ。 <br /><br />「違う!この道を曲がった方がよくてー」 <br />「こっちは行けない!どーしてわからないの?!」 <br /><br />なんていう殺伐とした空気の中、ようやくホテルのあるブロックに入れて、ほっと一息。 <br />もう2人ともクタクタだ。 <br /><br />やたらに水分を持ち運びたがる私が4本目のペットボトルをつかんで車を降りようとした時に、連れが怒鳴った。 <br />「なんでこんなに必要なの?! お願いだからどれか捨てて!」 <br /><br />何をそんなにナーバスになっているのハニー? <br /><br />楽しみにしていたサンディエゴに着いたと言うのに、テンションは低いまま。 <br />スライムみたいにぐしゃりとしてる。 <br /><br />チェックインしたのは大きなベッドがひとつと、その反対側にテレビ、その下に冷蔵庫、部屋の隅にシャワールームがあるだけの簡素な部屋。 <br />メキシコから無事に帰還した事を祝って、少しお昼寝したけど(実は泥のように)、テンション低いまま、 それでも折角中心街のガスランプクォーター付近に泊っているのだから、と夜のサンディエゴにヘトヘトのまま繰り出す。 <br /><br />スポーツバーやちょっと高そうな感じのステーキハウスやシーフードのお店なんかが並ぶホテルの隣のブロックを1.5周してテラスのあるステーキ屋に決めた。 <br />昼間のメキシコの暑さが嘘のようなひんやりとした空気の中、テラスの一角に座る。 <br /><br />電飾だらけの子犬を散歩させるおじさんや店の前を通る奇抜な恰好の通行人を見て驚いたり笑ったり。 <br />2人で分けっこしたステーキもワインも美味しかった。 <br /><br />私たちが付いた時には半分くらいしか埋まっていなかったテラスはいつの間にかいっぱいになる。 <br />夜が更けてきて、外はどんどん冷えてくるのに、誰も店の中のテーブルを選んではいる人はいない。 <br /><br />日本でテラスのあるお店が少ないのは、敷地面積の問題だけじゃなくて、 <br />体感気温もきっと関係しているに違いない。 <br /><br />初のメキシコや国境越えの厳しさ、灼熱の太陽に大汗かいたり、治安の悪さに2人でピリピリしたりと、 <br />2人の体力年齢を考えると、すごくすごく濃厚な一日だった。 <br /><br />帰り道、ドラッグストアで水とお気に入りのボディクリームをコッソリ買って怒られ、 <br />長く楽しい旅の1日目はやっと終わり。 <br /><br />今夜は夢を見る事もなく、爆睡できそうだ。<br />

Torranceからワクワクドライブ☆メキシコ国境越え

7いいね!

2013/10/07 - 2013/10/08

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satki

satkiさん

LA Torranceから車でフリーウェイを南下、サンディエゴを通り抜け、トイレ休憩を入れてティファナまで3時間ほど。
国境を越えるという割には、サンディエゴからティファナまでは思っていたより、すぐだった。
朝7時に起きたわりには、快調な滑り出し♪

"TIJUANA"の出口からフリーウェイを降りてすぐの所に、国境を渡る人のための駐車場が並んでいる。その向かい側には車ごと国境越えをする人のためのドライブスルーの保険窓口があって(国境を超えると車の保険は使えなくなるので、国ごとの加入が必要。)車を降りない国民性が伺えた。
そのすぐ向かいにある一番手前の駐車場に車を停めると、車を降りる前からタイのトゥクトゥクのような荷台付きの自転車のようなものを引いたお兄さんがやってきて、国境まで乗っていかないかと誘ってくる。

車を停めた駐車場の向かい側に、Duty Freeと書かれたお店が並んでいる。
Nike、Guess、GAPやアディダス、Forever21などの有名店が軒を連ねていて、セール期間中なのか、それともただのアウトレットなのか、結構お手頃価格が並んでいた。

出がけに読んだティファナに行った人たちのブログを読むと、国境付近にあるマックが目印になって、ティファナのメインストリートに行けるらしい。このモールらしきところにもひとつ、マックがある。
コレでは…ないよな。100%アメリカサイド。

金網の向こう、ずっと遠くに大きなメキシコの旗が強い日差しの中を力強く泳いでいた。

事前に地図をチェックしてきたというのに、早速ここからどっちに行ったら国境なのかと辺りを見回し、およそ200キロくらいはあろうかという巨体の女性を乗せたトゥクトゥクが震えながら進んだ上り坂を選んだ。

緩やかな坂を登る手前の交差点の電柱に貼られた行方不明者と目があって、ヒヤリと背筋が冷たくなる。

灼熱の太陽の下、緩やかな坂がきつく感じる。

オレンジ色の渇いた山がどんどん近づいてくるのを眺めながら、両側を柵の代わりに透明なプラスティックのようなものでコーティングされた大きな歩道橋を渡り、階段を降りると、これまた日本のどこかの駅前のような、ちょっと雑然とした感じの場所に出た。

オレンジ山の手前に真っ赤な電車が停まっていて、ここが丁度終着駅なのだとわかる。
むぅ、電車は国境を越えないんだなぁ。

そして、そのすぐ横に…あった!
マクドナルド。

でもまだ国境は越えてない。
うーん…人は国境を越える時に物凄くマックを食べたくなるの???

頭にクエッションを5つ程浮かべながら、小さなタクシープールと電車の切符売り場の間を通って、そのマックの横を通る頃、連れに写真撮りすぎだ、と怒られた。

むぅ、別にいいじゃん、ブログに載せようと思ってるんだしさ、と口を尖らせて軽く拗ねながら、でもiPadをカバンにしまってみる。

道なりに進んで行くと、明らかに何かの建物の裏、まさに「裏道」といった感じの道を通る。
国境が近い割には、なんだかおざなり感の漂う道だ。

一体国境はどこなのさ?!と思った矢先、灰色の高い塀の先に"MEXICO"と大きく書かれた看板が。
そのすぐ下に、鉄柵だけで作られた回転ドアが並んでいる。

おぉ、ブログで見た写真と同じだ!
と感動していると、横からこれは写真撮っときなさい、と些かハイテンションな声。

いよいよ、国境越え!!

どの回転ドアに行こうと悩んでいたら、連れは早々に一番左端のドアに手をかけたので、慌てて後に続く。

鉄製のどこか冷たい感じのする回転ドアに手を挟まないように気をつけて通り抜けると、何処かのプレハブのような建物の2階に続いていて、事務所のような部屋の横を通過。

その後も階段を降りたり、細い道を通ったりと、うねうねと前の人たちに続いて、ようやく外に出た。と思ったら、長い長い行列にぶつかる。

これが全部アメリカ入国者の待ち人でできている国境越え待ちの行列だとわかって、ちょっとゾッとした。
だってコレって、ディズニーの一番人気のアトラクションが土下座するぐらいの長さだ。多分。

行列を遡って行って、「タクシー?!」と叫ぶおっさんを無視しながら、列がようやく終わる辺りで、また歩道橋をのぼり、今度はアメリカに入国しようとする車の波を眼下に見ながら渡る。

道路上にはあちらこちらにゴミが落ちている上に、舗装されたアスファルトが所々めくれ上がっていて、歩きにくいことこの上ない。

ここでようやく国境越え☆初のマクドナルド。

歩道橋から見て、マクドナルドの左方向に両替所が2つ並んでいたので、ここで連れがお金を変える。
この間、ロータリーに停まっているタクシーの周りで男たちが苛立つほど「タクシー?!」と叫び続ける。
メキシコ人はタクシー、しかしゃべれないの?

マックの横を通り過ぎると、コンクリートでできた公園のような両脇に安っぽいバーと土産物が並ぶ広場が広がっていて、それぞれの店先で軽くしつこいめの呼び込みをしている。

無視して、突き当たりにある階段をのぼり…その途中のバーでもだいぶしつこいめの呼び込みを浴びた。

階段を登り切って、大きな橋を渡った。下には舗装された川が流れていて、河川敷はまるで日本の姿と変わらない。
この橋を渡っている時に、連れがポツリと「俺、もう戻りたい。」と言った。

うん、わかるけど…まだ入国したばっかりだから。ね?

なだめるように言う私にも、その感覚はよぅくわかった。
タイが気にいって、彼も私も何度も訪れ、荒れた道路、観光客によくわからないものを売りつけようとする人や、スリや詐欺など色々あったけど、ここはそのどれとも違う。

再び階段をおりて、土産物屋が続く通りをまっすぐ進むと横断歩道があって、メキシコ初の信号待ち。

この辺りから、連れの態度が少し変わってきた。

信号待ちをする私に、車道に出過ぎだ、ここは日本と違うから、お前が車に撥ねられても、誰も助けてくれず、倒れたお前に集ってきて、金目のもの全部持っていかれるんだからな、と叱りつけられた。

ん?
何か…不機嫌ですか??

メキシコ入国後から遠くに見えていた巨大なdream catcherのようなオブジェがティファナのメインストリートAvenue Revolution通りを跨いでいる。
それがようやく、目前に見えるというのに、なんでそんなに怒ってるの?

治安の悪さも手伝って、ウカウカiPadを出すのがはばかられるようになったので、せっかく昨日ダウンロードした地図のアプリもロクに見れない。
で、どっちに行くの?!と強めに聞いてくる連れに、うーん、こっち!とDream catcherを見ながら、左に曲がって、Avenue Revolution沿いを進む。

この通り沿いのお店でチェックしてたところと言ったら、ランチをしようと思っていたレストランと、バーくらいしかない。
とにかくこの通りは土産物がたくさんあって、都度値切ると良い、くらいの事が書いてあったので、楽しみにしていたのに、歩き出すか否かというくらいから、呼び込みの嵐。

"I was waiting for you! Please turn left, left, left...ah, ok, maybe when you come back later..."

私の連れはロシア出身のアメリカ人なので、彼と歩いているせいか、呼びかけはほぼ英語の、たま〜にスペイン語。
激し過ぎて、土産物屋を覗いて歩くような感じではまったくなくて、2人ともすべてを無視して、ずんずんと歩き続けてしまった。
だってこんなに必死で呼び込まれたらなんだか怖いじゃない?

途中、お土産屋さんの棚を引いたシマウマを2匹ほど見た。
これは…シマウマというより、ロバをシマシマに塗っただけでは?

クエッションを浮かべて「シマウマ?」を見つめながら、通り過ぎようとすると、シマウマの隣にいたおじさんに「写真を撮るか?」と言われて、小銭目的に用意されたものだと気づいた。

それにしても、暑さも手伝って、既に2人とも結構グッタリ。
とうとうしんどくなってきて、wifiが使えると書かれたスタバ的な欧米風の"カフェで一度休んで、これからどうするかを確認しようということに。

テラスでのんびりラップトップを広げている白人のお兄さんもいるのに、警戒心が強いせいか、レジ前のテーブルについて、ここが何処なのか、この辺りに何があるのかをハッキリさせようと2人で息を巻く。

Google mapで見つけた現在地から、メインのAvenue Revolutionを横切る通りは、スペイン語の数字が混ざっていて、順に上がって行くっぽいことが分かった。
(後で見たら、それは一部だけだったけど)

立ち寄る予定のレストランはここから3ブロックくらい。
"Chiki Jai Restaurant"という名前。
まだお昼には早いけど、とりいそぎ目的地もないし、連れもピリピリしているし、もう入っちゃえ!と入店したレストランはなんと空っぽで、奥の調理場で働いている人たちの笑い声が聞こえるのみ。

お店の奥へ恐る恐る入っていくと、お店のおじさんがちょうど買い物から帰ってきて、私たちの姿を見つけて、テーブルに座るように勧めてくれた。
メニューを見ると、どうやらスペイン料理のようで、連れにどうしてメキシコに来てスペイン料理を食べるの?と尋ねられてしまった。
いいじゃない、日本人からしたらスペイン料理もメキシコ料理もきっと大差ないのよ、きっと。

トマトのサラダとスペイン風オムレツ、キノコのソテー、それに付いてきたパンの美味しいこと!!まるでフランスやスペインなんかでしか食べられないような、外側がパリッとしていて、中身はフワフワのモッチモチ♪
勿論どの料理も美味しくて、さすがガイドブックに載っていただけのことはある!

お腹いっぱいになって時計を見るも、時間はまだ1時前。
ティファナで行きたいところはそんなに多くない上に、夕方からはじまるバーなんかに行くには時間が早すぎた。
その上この暑さで、すでに結構疲れていて、実のところモチベーションはあまり上がらなかった。

「次はどこに行くの?」

この国にきて、一つ目の信号を越えたあたりから、連れの機嫌はすこぶる悪い。
眉間にシワを寄せて、おそらく純粋に聞いただけであろう質問には悪意すら感じられる。

「え〜っと…この通り沿いには他にバーくらいしかないから、ちょっと遠くのマーケット、かなぁ?」

目的地が決まって、早速2人で次を目指すものの、連れの口数は少なく、というか、もはや皆無で、私が歩道の段差で躓いても、横目でちらりと見るだけでスタスタと歩き続けている。
なんて冷たい子!と思いながら、舗装された歩道のコンクリートのめくれあがっている部分に、もう引っかからないように注意しながら一心不乱に彼の横を歩き続ける。もう周りの景色なんて見えないくらいに(苦笑)

そのうち沈黙に耐えかねて、「来たこと後悔してる?」と聞くと、私の質問など聞こえなかったかのように「Revolution avenueも今歩いている10番目の通り(スペイン語で10番目という名前の通りのこと)も大丈夫だけど、その間の通りは危ないと書いてあった」とぶっきらぼうに呟いた。

成程、治安の心配をしてたのか、とだんだん彼が忠実に主人を守るように訓練されたドーベルマンのように思えてきた。

通りを歩いていると、人々の暮らしぶりを垣間見る事が出来る。
軒を連ねるお店、そこに住む人々・・・。

建物のほとんどは古く、傾いたり壊れかけている所もしばしば見られる。
白っぽい建物に、日本なんかにもありそうな品揃え豊富なドラッグストアなんかがあったと思えば、たくさんの絨毯が雑然と置いてあるお店(?)、材木を削っているお店・・・。

ほとんどの建物は暑さのせいか窓やドアを開け放しているので、通りから中を覗く事ができる。
飽食気味の日本やアメリカに比べて、生活レベルはだいぶ異なる印象を受けた。
勿論、貧困の差があるだろうから、お金があるところには豊かな暮らしがあるんだろうけど。

青い空に強い日差し、ジメジメした空気の中を歩き続けていると、まるでビリーズブートキャンプでエクササイズでもやってるような気分になってくる。
足腰が重くなって、膝が笑ってる。

20〜30分程歩いただろうか、ペンキの剥げた古い大きな円状の建物が見えてきたが、そこまで行くのに交通量の多い道路を2本も渡らなければならない。
運転の荒い車が多いせいで、通りを一本渡るのにもハラハラする。
サーカスのテントのような円状の建物沿いを歩いてみると、入口らしきドアがいくつも点在していて、その中で少し開いている所から中に入ってみた。

東南アジアの市場を思い出させるような雑然としたお店が並んでいる。
地面のコンクリートは黄色や緑に塗られ、ポップな感じを思わせるが、全てが長い年月と汚れでくすんで見えた。

麻の大袋に米や水々しい野菜、乾物、駄菓子なんかが溢れていて、中国などで見られるような雑に真似たキャラクターのスパイダーマンやキティちゃんの人形、小物などが所狭しと並んでいて、歩くスペースはわずかに残されている。
ハロウィーン前のせいか、ランタンやカボチャを模した人形や飾り物も目立った。

コの字型に作られた市場は、一周もすると同じようなお店がたくさんあることがわかった。
それに地元民に負けないくらい、観光客と思しき白人も多かった。
中央は駐車場になっていて、入口には日本でも馴染みのお金を入れると黄色いバーが上がって中に入れるような仕掛けになっている。

歩き疲れたなんて状態はとっくに通り過ぎていたので、市場をサラリと見ただけで、次の目的地…この近くの「セントラルセンター」という奇抜な建物を目指す。
今度は2〜3分で到着するほどの近場。

セントラルセンターは真新しく、四角い赤い建物に、グレーの網目模様がアクセントになっていて、今まで見てきたような建造物とはかけ離れて超近代的。
その手前の広場には大きな丸いオブジェがあって、それを囲うように作られた階段で15メートルほど上のオブジェのてっぺんまで登る事が出来る。
一番上から観光客が数人、顔を出したり、記念撮影をしていた。

2人とも丁度トイレに行きたかったので、建物の中に入ってみる。
重い硝子戸を開けると、ヒヤリとした乾いた空気が心地いい。生き返ったようで、大きく深呼吸した。

遠くの椅子に座ったガードマンが、立ち上がって今日は休館日だと叫んだ。
ゆっくり座ってお茶でも出来るのではないかという希望はこの一言によって消え失せ、ともかくトイレだけ借りて(とっても綺麗だった!)、スッカリ重くなった足を再び引きずって、次の目的地を探そうと、一度外に出た。

「もうこれ以上、行きたいところはないよ。夜まで待たないとバーも開かないだろうし。」

今回ここにきて、やりたかったことのひとつは、「メキシコでテキーラ」。
けど、日はまだ高いし、若干脱水症状気味だし、歩き疲れてもう限界。
万が一、「次はどこに行くんだ」なんて連れにプッシュされても、「もう何も出ないよ!」と先制攻撃に出た。

彼はこの投げやりな私の気持ちを酌んだのか、一旦メキシコを出て、ワイナリーに行って、夜またここに戻ってくる?と提案してきた。
メキシコ・・・というかティファナにはもうなんの未練もない!

よし、とりあえずティファナを出よう!と国境を目指したら、その途端、素敵な感じのバーと、その向こうに巨大なスーパーマーケット”COSTCO”を発見した。
勿論バーは、まだ開いていない。けど一気に親近感が湧く。

COSTCOを横目に歩きながら、今度は夜めに来ようね、連れが唐突に言った。
えぇ?!あんなに不機嫌だったのに、また来たいの???!!

国境に戻る道中で、再び交通量の多い中心地まで戻ってくると彼の態度はまた「番犬モード」にカチリとチェンジ。
歩道の道の悪さに悪戦苦闘しているのに、突然「待ってんだから早くしろって!」と大きい声をあげられる。
疲れと驚きで、萎縮しつつも、慌てて通りを渡った。

無秩序にも見える車道は信号が変わるのが早いだけなく、交差点で待っている人を巻きこんでもお構いなしなんじゃ、と思わせるほどに荒々しいドライバーばかりだ。
本日3度目に躓いた後、歩道側に誘われた。
なんだかんだ言って気遣い屋さんなんだから、と思いつつ、あまりに気を抜けない状態が続くので、いよいよしんどくなってきた。

ふと、交差点を渡る度に角に赤い細いバーが立っているのに気が付いた。
そういえば、あちこちで見るぞ、この”EMERGENCIA”って書いてあるやつ。

連れに、これってなんだろうか?と聞いたら、治安が悪いから、何かあったらこのバーにあるボタンを押せってことなんじゃないの。
とアッサリ。そんなもんが町中の至る所にあるの?!!

そんなこんなで、やっと国境前の大きな歩道橋まで戻ると、スッカリ忘れていた国境越えの長い行列が見えた。
ああああああぁぁぁ・・・そうでしたー(T^T)
これに並ばないとアメリカに戻れないんだよね。

マジか・・・・こんなに疲れてて、でも、コレに並ぶのか。
本気で嫌だったけど、1人でも多く並ぶ前に列の後ろにつかなきゃ!と思った瞬間、後ろから現地人らしき男性に声をかけられた。

「国境を渡るショートカットルートに案内するよ、行かないか?」
今までの呼びこみが激しすぎたのと、いかにも怪しい印象に、私は無視して行列の一番後ろについた。

ところが連れは「ふ〜ん、1人幾らだって?」と話にのっている。
そして「どうする?行きたい??」と私に確認してきた。

えぇぇぇ?!
あんなに警戒して番犬化してたのに、なんだってこんな胡散臭い話に乗るのー?!

驚きつつもお値段を聞いてみると、「1人5ドルだって。」と意外とリーズナブル。
ゲラゲラと大笑いしている膝は私に"ノレ"と言っている。
大きな不安を残しつつも、最悪何かあってもコイツ(連れ)がいれば大丈夫か、と腹をくくる事にした。

話しかけてきたおじさんに同意の意思を見せると、彼は私たちに後をついてくるように言って歩き出した。
行列と反対方向の急な坂を上って、歩道橋を渡り、3分程坂を上った橋の手前で下に降りる獣道のような斜面を下りるようにと指さした。

下には案内人のおじさんの仲間がハイエースのような車の横に立っていて、連れから10ドルを受け取ると、すでにほぼ満員になっているバンに乗りこむように指示してきた。
2人掛けの椅子に3〜4人が座るような感じで詰め合って座る。
出発前に読んでいたブログでは、国境越えでだまされそうになった話や多額のお金を請求されたという話があったので、依然警戒を解くことはできない。

バンの中は居心地悪いし、ムシムシするし、連れとも席が離れてしまった。
それでも、久々に腰を下ろすことができて、一心地。
隣には母子が座っていて、男の子はPSPみたいなゲーム機に夢中だ。
何やら不安な気持ちで待つ事15分程、カップル1組と男性2人が乗り込んだ後、先ほど斜面下で私たちをバンに誘った男が後部座席のスライドドアを閉め、ついに運転席に乗り込んだ。

ぎゅうぎゅうに人が詰まったバンは急な斜面を登り、舗装された道路に飛び出ると先ほど通った道とは逆の方向へ大きく迂回した。
北朝鮮なんかの不法入国者の気分で車に揺られていると、バンは前方に停まっているマイクロバスの後ろにつく。
そこからはノロノロ運転が続き、気づけば周りは車だらけ。

入国直後に通った歩道橋から見た長い渋滞の中にいた。
おぉ、私たちが並ぼうとしたあの列より遥かに早く進んでいるではないか!

バンは一番右側のレーンを前の車についてゆっくりと進んでいたが、ついに動かなくなった。
ギアを上げた運転手は、窓から身を乗り出して前方に目を凝らしていたが、車がまったく動く気配がない事がわかると、エンジンを切って運転席を降り、原因を探りたかったのか外に出て行ってしまった。

運転手の姿が見えなくなると、車内を淡い不安が巡った。
とはいえ、周りは大渋滞。

運転手が戻ってきても車が動くわけではない事は一目瞭然だったが、車内はじりじりと湿った空気が定員オーバーしている人たちによってより早い速度で温められている。
頭頂部から汗が伝って、顎まで流れるのを感じた。

突然、私の後方に座っていた男が、スライドドアの横に座っていた私にちょっとごめんよ、と言って思いきりドアを開けた。
新鮮な空気が入ってくる。

運転手は一向に帰ってこないし、前の車もやっぱりさっきから全く動いていない。
10〜15分程経ったか、後部座席の連れの隣に座っていた60代くらいの女性がうんざりしたため息を吐きながら突然席を立ち、一緒の男性を引き連れて車の外に出た。

彼女は運転手を探し出し、大きな声で文句を言うと、どこかへ行ってしまった。
運転手はバンの横で「車が動かないんだからしょうがないだろう。」と言ったが、彼女たちに続いて、20代前半と思しき地味な感じの女の子も静かに車を降りて何処かへ消えた。
彼らのお陰で私は連れの隣に座る事ができたが、3人も降りたのに車の中はまだ居心地がよいと言うにはほど遠かった。

それから5分も経たず、前の車が再びノロノロと進み始めたので、少ししてから運転手が戻ってきて後に続いた。
GWの首都高か環八のMAX渋滞レベルのスピードで進んでは停まり、を繰り返していたバンは、遂に南国を思わせる白壁の簡素な建物の前に停まった。

突然、運転手はここで降りろ、さぁ行ってくれ、と私たちを車から降ろした。
ボー然としながら、連れと前の人について建物の中に入ると、さっき私たちが並ぼうとしていた長い長い列の先にイミグレーションが目に入った。
あぁぁぁぁ・・・あの列にずっと並び続けた先がここなのか。

1時間半程バンに揺られて、突然の環境の変化と事態を把握するのにイッパイイッパイ。
比較的列の短いアメリカ居住者用と、ここから並んでもまだしばらく待たされそうな外国人用の列に分かれていたが、連れは私と一緒に外国人用の列に並んでいる間、私にアメリカでのIDを作る事を強く勧めた。

以前アメリカで学生ビザを取っていた私としては、イミグレーションの通過はちょっぴりナーバス。
不法滞在者の多いアメリカは、外国人の入国者に、特に最近までビザを持っていた者の入国にはすこぶる厳しい。
先日もハワイの入国審査で別室に連れて行かれたばかり。

そんなわけで連れより先に窓口についたのにも関わらず、学生ビザはどうした、また語学学校に行く気なのか、とか色んな質問を受ける。
隣の窓口に座っていたおじさんが日本に住んでいたとかで助け舟を出してくれたのと、日本へ帰る飛行機のeチケットを見せてなんとか通過。

連れはとっくに手続きを終えて建物の外で待っていた。
ため息をつくと、だからIDを取ればいいって言ってんじゃん、と再び言われる。
うん、わかったよ、でもどうやって取るの〜?
家に帰ったら、自分で調べて。

そこから車に戻るまでは人もまばらで、夕暮れが近付いてきた太陽は少しだけ日差しを弱めたような気がする。
終着駅の前を通り、両側スケルトンの歩道橋を渡り、もう随分昔に通過したような気すらする駐車場エリアに戻ってきた。

朝方も見た向こう側の大きなメキシコの旗は相変わらず風の中を堂々と泳いでいた。
さっきまであそこにいたんだよなぁ。

なんとも言えない不思議な気分で最後にメキシコの空を仰いで、車に乗った。

車に乗った途端、現実に戻る。
私の置いて行ったタンブラー、すっかりぬるくなった飲みかけのジュース。

まるでもう数カ月放置されていたような気すらする。
ウラシマな気分。

そして久々に感じる安心感。
ここでならぼーっとしても、寝こけても大丈夫という確実な安堵感。
安定感のある連れの運転がなおさら私を安心させた。

「さぁ、じゃサンディエゴに向かう?」

次の目的地に向かって車を発進させる連れ。
すこぶるテンションの低い私。

ごめーーーーーん!! 
でももう疲れたよーーー!!(涙)

車は駐車場を出て、すぐにフリーウェイ。
30分程で、連れが行く手の左側を顎で指して「この辺りはARMYの練習場」と言った。
なーんにもない、ただの砂地。

それから間もなく、今度は「海が見えてきたよ」と連れが言うと、
車に座っている間に体力が戻ったのか、私のテンションが再び上がってきた。

湿地が続いて、その先に海が広がっている。他には何もない。
空の青と海の青のコントラストが、なんとも言えない美しい景色だった。

スクリーンショットで撮った地図と、ウッスラとたま〜につながるWifiでiPadのGoogle Mapを見ながら、
少しずつサンディエゴが近付いてくるのを確認。

これだけ充実(?)した一日を過ごしているのに、午後3時くらいと日はまだまだ高い。

ひとまず目指すは海沿いに広がる「コロナド」。
東京で言う「お台場」みたいなものなのか、サンディアゴからは離れた小島になっていて、
ガイドブックを見る限りでは、リゾート地になっている様子。

ここには赤い屋根が印象的な「ホテルデルコロナド」という老舗のホテルがある。
1888年に作られて以来、マリリンモンローの映画のロケ地としても有名で、時の大統領や有名俳優陣などの訪問もあったらしい。
あいにくマリリンモンローの映画を見たことはなかったが、世界的に有名な女優がここで撮影をし、滞在したと聞くと、なんとなくテンションも上がるというもの。

赤い屋根があまりにも目立つので、ホテルは遠目からでも、すぐにソレだとわかる。
ホテルの横の道に車を停めて、ちょっぴり探索してみる。
ビーチ沿いに建てられたホテルにはバーをぐるりと囲むテラスがあり、ほとんどのテーブルは人で埋まっていて、
優しい海風に吹かれながら美味しそうにビールを飲んでいる人もいれば、マッタリ過ごすグループもいる。

全体的に年齢層が高く、家族連れもいれば、結婚式で訪れたグループもいる。
トイレを探して、ホテル内に入ってみると、地下にはスタバ、土産物屋などがある横にバンケットルームが続き、
その先に続く階段を上ると歴史を感じさせる荘厳なロビーがあり、ボーイが忙しそうに動き回っている。

目が合うとすぐに「お手伝いしましょうか?」と聞いてくるあたり、サービスレベルの高さが伺える。
うー、私には敷居が高いなー。

宿泊客でもないのにトイレは何処だなんて、なんて図々しいんだと恥ずかしい気持ちで、
ようやく辿り着いたトイレもやはり古かったけど、新型の装備で隅々まで綺麗に掃除されていて、居心地が良かった。

テラスに戻ると連れがコロナビールを飲みながら、真っ白なテーブルでマッタリと私を待っていた。
暑い日差しに、冷たい海風がビックリするほど気持ちがいい。

先ほどまでメキシコにいて、疲れと治安の悪さにピリピリさせていたことが信じられない。
椅子にドッカリともたれて、どこまでも澄みきって広がる青空を見上げ、全身の筋肉を弛緩させる。

あーーーーーーーーーーーーーーー極楽。

連れが海の向こうを指さして、
「ホラ、あそこで訓練してる」とつぶやいた。

彼の指の先には、大型の船しか見つけられなくて、困っていると、
「そこじゃない、もっと・・こっち。」と、言われた先に、ヘリが同じところを旋回しているのが見えた。

やがてヘリは一か所にとどまり、ホバリングをする。
その間、あまりにもヘリが水面に近付くので、海面から水が大量に空中に巻き上げられているのがここからでも分かった。
ヘリの下部から黒い梯子のような何か小さいものが下に垂れ、そこに人が降りる。

「海上で救助をする訓練をしてるんだよ。」

なるほど。
でも、どうしてこの人はヘリがいるのを見つけただけで、彼らが何をしているか、すぐに分かったの?
やがて、梯子を再び登り、人影はヘリの中に消えた。

そうこうしている間に、コロナビールはあっという間に飲み干されて、空のボトルがテーブルに2本並んだ。
連れがそろそろ行かないと、と立ち上がり、余りの快適さにその場を離れがたい気持ちの私をテーブルからベリッと剥して車に戻る。

ビーチに行きたかったーーーー!!
海に足だけでも浸かりたかったーーーー!!!

後ろ髪をひかれる思いで、車はサンディエゴの中心地に予約したホテルを目指して、サンディエゴ・コロナド橋を渡る。
海の上を大きく旋回し、レインボーブリッジのような大きな大きな橋を滑らかに走ると、海の向こうに工業地帯が広がり、その先にサンディエゴの大きな街が見えた。

ホテルにたどり着く、一番近いフリーウェイの出口を口の中で何度も唱えながら、出口の看板を目を皿のようにして確認しながら進む。
さすがに時間はもう5時を過ぎ、体力もだいぶなくなってきた。

中心地にはあっけない程すぐに着いたけど、サンディエゴの街は一方通行ばかりで、
ホテルの場所がわかってもなかなか辿り着けない。

NYも一通が多いけど、規則的でわかりやすいのに比べて、こちらはひどく複雑で気まぐれな感じ。

「違う!この道を曲がった方がよくてー」
「こっちは行けない!どーしてわからないの?!」

なんていう殺伐とした空気の中、ようやくホテルのあるブロックに入れて、ほっと一息。
もう2人ともクタクタだ。

やたらに水分を持ち運びたがる私が4本目のペットボトルをつかんで車を降りようとした時に、連れが怒鳴った。
「なんでこんなに必要なの?! お願いだからどれか捨てて!」

何をそんなにナーバスになっているのハニー?

楽しみにしていたサンディエゴに着いたと言うのに、テンションは低いまま。
スライムみたいにぐしゃりとしてる。

チェックインしたのは大きなベッドがひとつと、その反対側にテレビ、その下に冷蔵庫、部屋の隅にシャワールームがあるだけの簡素な部屋。
メキシコから無事に帰還した事を祝って、少しお昼寝したけど(実は泥のように)、テンション低いまま、 それでも折角中心街のガスランプクォーター付近に泊っているのだから、と夜のサンディエゴにヘトヘトのまま繰り出す。

スポーツバーやちょっと高そうな感じのステーキハウスやシーフードのお店なんかが並ぶホテルの隣のブロックを1.5周してテラスのあるステーキ屋に決めた。
昼間のメキシコの暑さが嘘のようなひんやりとした空気の中、テラスの一角に座る。

電飾だらけの子犬を散歩させるおじさんや店の前を通る奇抜な恰好の通行人を見て驚いたり笑ったり。
2人で分けっこしたステーキもワインも美味しかった。

私たちが付いた時には半分くらいしか埋まっていなかったテラスはいつの間にかいっぱいになる。
夜が更けてきて、外はどんどん冷えてくるのに、誰も店の中のテーブルを選んではいる人はいない。

日本でテラスのあるお店が少ないのは、敷地面積の問題だけじゃなくて、
体感気温もきっと関係しているに違いない。

初のメキシコや国境越えの厳しさ、灼熱の太陽に大汗かいたり、治安の悪さに2人でピリピリしたりと、
2人の体力年齢を考えると、すごくすごく濃厚な一日だった。

帰り道、ドラッグストアで水とお気に入りのボディクリームをコッソリ買って怒られ、
長く楽しい旅の1日目はやっと終わり。

今夜は夢を見る事もなく、爆睡できそうだ。

旅行の満足度
3.5
観光
3.5
グルメ
3.5
ショッピング
1.5
交通
3.0
同行者
友人
一人あたり費用
1万円 - 3万円
交通手段
自転車
旅行の手配内容
個別手配

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  • TorranceからTijuanaまで。

    TorranceからTijuanaまで。

  • アメリカ側からメキシコを見ると、大きな旗が力強く泳いでいるのが見える。

    アメリカ側からメキシコを見ると、大きな旗が力強く泳いでいるのが見える。

  • 国境前の電柱に貼られたビラ。

    国境前の電柱に貼られたビラ。

  • 駐車場から国境に向かう歩道橋。

    駐車場から国境に向かう歩道橋。

  • 歩道橋からは国境越えの車を見ることができる。

    歩道橋からは国境越えの車を見ることができる。

  • ホテルデルコロナド。

    ホテルデルコロナド。

  • 中庭。

    中庭。

  • ビーチに向かう道。

    ビーチに向かう道。

  • コロナドとサンディエゴを繋ぐ橋。

    コロナドとサンディエゴを繋ぐ橋。

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