2014/03/31 - 2014/04/01
545位(同エリア2816件中)
ハンクさん
サラゴサを発ってバスは西へ西へと向かう。約3時間でマドリード、プラド美術館に到着する。これまでの苦行のような旅と違って、一眠りしているうちに次なるスポットに連れて行ってくれるので本当に楽だ。もっとも今のところ、あまり小生向きではないが。
マドリードはもちろんスペインの首都で最大の都市、人口は約325万人で大都市圏人口は約540万人、ヨーロッパでは第5位であるそうだ。ローマの影響を受けた地中海地域ほど古い歴史はないが、9世紀に後ウマイヤ朝のムハンマド1世が、現在の王宮の位置に宮殿を建設、その後1085年にアルフォンソ6世に征服され、モスクは教会に建て替えられた。住民だったユダヤ教徒やイスラム教徒は15世紀の終わりに追放され、マドリードはキリスト教文化の町として発展した。
15世紀にカスティーリャ王国(首都トレド)とアラゴン王国(首都サラゴサ)が連合し、スペイン王国が成立、1561年にフェリペ2世が宮廷をマドリードに移し首都となった。18世紀にフェリペ5世は、マドリード王宮の建設を行い、カルロス3世の時代にさらに整備され、現在のプラド美術館などが建設された。その後は市民の反乱、蜂起、ナポレオン部隊のマドリード入城、フェルナンド7世の復帰など混乱が続いた。スペイン内戦(1936年 - 1939年)では、マドリード市内は戦場となり、フランコの死後カルロス1世の下で民主化が進み、マドリードはやっと安定した。
マドリードの見所は尽きないが、まずプラド美術館を訪れるのが順当だろう。ルーブル、エルミタージュと並ぶ世界3大美術館(小生は異論があるが)と言われることもある。しかし、やはりツアーの限界で、わずか1時間ほどの間にガイドがエル・グレコ、ヴェラスケス、ゴヤのスペイン3大巨匠の名画を数点、それなりに興味深い解説してくれただけでほとんど予定時間は過ぎた。ブリューゲル、ルーベンス、アンジェリコの名作を探している余裕はなく多いに不満を残した。一つ印象に残ったのは、ゴヤの名作だと言われていた「巨人」が、実はゴヤではなく弟子の作であることが最近わかったとのことだ。皆さんはご存知だっただろうか?
すでに夕刻になっており、残る時間でスペイン広場、王宮の周辺を散策、夕食はマヨール広場の近くのサン・ミゲル市場で慌ただしくつまみ食い、ホテルに到着した時はどっぷりと日が暮れていた。
翌日はツアーのハイライトの一つ、トレドを訪れた。アメリカ、オハイオ州の北部、デトロイトに近い所にトレドという町があり、小生はしばしば滞在した。恐らくはトレド出身の人が築いた町であろうが、ご本家とは似ても似つかぬ典型的なアメリカの中都市であった。始めて訪れたご本家のトレドは、マドリードから南に70km、タホ川に面するかつての西ゴート王国の首都であり、中世にはイスラム教・ユダヤ教・キリスト教の文化が交錯した。「町全体が博物館」と言われ、タホ川に囲まれた旧市街は世界遺産に登録されている。
西ゴート王国がイベリア半島を支配、560年にトレドは首都となり、トレド司教座はイベリア半島全体に影響力を持っていた。しかしスペインにとって歴史的な年、711年にウマイヤ朝によって征服されイスラム支配下に入った。1085年、カスティーリャ王国による長期の包囲ののちトレドは降伏し、アルフォンソ6世はトレドに入城、キリスト教化されレコンキスタの重要な節目となった。1561年にフェリペ2世が首都をマドリードに移し、トレドは徐々に衰退、しかし幸いなことに、冷凍保存されたように、トレドには当時のままの迷路のような街並みが残されている。
この町では、ルネサンス期のスペインを代表する「ギリシア人」という名前を持つエル・グレコが活躍した。1577〜1614年に没するまでトレドに定住、数々の傑作を残した。代表作の「オルガス伯爵の埋葬」はサント・トメ教会の壁画として所蔵されており、ツアーに限り5分間だけ間近で鑑賞でき、撮影もできる。この鑑賞方法は、ミラノでダ・ヴィンチの「最後の晩餐」を鑑賞した時を思い出させる。
その後自由時間となったが、この迷路のような街並み、遠出するととても集合場所に戻って来れないので、名高いカテドラルも外観のみ、アルフォンソ6世が基礎を築かせた要塞、アルカサルも遠目に眺めたのみ、土産物屋のおかみさんと話が弾んでトレドの滞在は終わった。バスは南に方向を変え、一路グラナダへ向かう。途中ラ・マンチャで独特の風車小屋に立ち寄ってくれて、ドン・キホーテの世界に浸った。
- 旅行の満足度
- 5.0
- 観光
- 5.0
- ホテル
- 4.0
- グルメ
- 4.5
- ショッピング
- 4.5
- 交通
- 4.5
- 同行者
- カップル・夫婦
- 一人あたり費用
- 20万円 - 25万円
- 交通手段
- 観光バス 徒歩 飛行機
- 旅行の手配内容
- ツアー(添乗員同行あり)
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イチオシ
マドリードの誇るプラド美術館とヴェラスケスの像
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マドリードの誇るプラド美術館の堂々たるファサード
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プラド美術館の入り口は地下にある、館内は残念ながら撮影禁止
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プラド通りに並ぶ彫刻
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マドリードのターミナルのアトーチャ駅はプラド美術館から徒歩10分
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Ministerio de Agricultura(農林水産省)の重厚な建物
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プラド美術館の裏手にある教会
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スペイン広場のセルバンテス記念塔
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スペイン広場のドン・キホーテとサンチョ・パンザの像
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王宮の側面
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王宮前のオリエンテ広場のフェリペ3世の騎馬像
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王宮建屋
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王宮
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マヨール広場に近いサン・ミゲル市場の入り口
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マヨール広場に近いサン・ミゲル市場でつまみ食い
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マヨール広場に面するヴェランダのある建物
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サラゴサから遠路マドリードのホリディインに到着
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丘の上からのトレドの眺め
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トレドの市街地図、迷路のような道路が特徴
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トレドの市内にはエレベーターでかなりの高さまで登る
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迷路のようなトレドの市内
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トレドの街並み
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「オルガス伯爵の埋葬」を所蔵するサント・トメ教会のファサード
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エル・グレコの代表作「オルガス伯爵の埋葬」
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エル・グレコの代表作「オルガス伯爵の埋葬」の近景、フラッシュは禁止
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再びトレドの迷路のように入り組んだ路地
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イチオシ
トレドの象徴、カテドラルを眺める路地
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トレドの象徴、カテドラル
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カテドラルの近景
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トレドの市庁舎
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ラ・マンチャのセルバンテス記念館
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ラ・マンチャの独特の風車小屋、ドン・キホーテの世界に浸る
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この旅行記へのコメント (2)
-
- 夏への扉さん 2014/04/29 00:04:13
- プラド
- ハンクさん、はじめまして。
私のスペインの旅行記に投票ありがとうございました。
ハンクさんは旅なれていらっしゃるのに、スペインはツアーだったんですね。
プラドが1時間だけとは、さぞ欲求不満に陥ったのではないかと思います。
美術がお好きと言うことですので、半日は必要でしたね。
またぜひ、個人旅行で行かれてください。
すぐそばにある、ティッセン・ボルネミッサ美術館もお勧めです。
ところで、ソフィア王妃芸術センターはロータリーの反対側です。
ファザードのガラス張りの2基のエレベーター塔が特徴的です。
こちらの写真はMinisterio de Agricultura つまり農林水産省のようなところです。
ではまた、よろしく。
なつ
- ハンクさん からの返信 2014/04/29 22:32:23
- RE: プラド
- 夏への扉さんへ、
始めまして、メッセージをいただきありがとうございました。また、
記載の誤りをご指摘ありがとうございました。確かに地図で確認しました。
ツアー旅行は楽ですが、時間配分ができないし、自分で旅程を作らないので
記憶に残りにくいのが難点ですね。プラド美術館始め、スペインはまたの機会に
じっくり回ることにします。「4トラベル・ファンクラブ」管理人をされている
とのこと、ゆっくり拝見させていただきます。ハンク
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