2014/04/04 - 2014/04/05
744位(同エリア2850件中)
ハンクさん
昼食後にエヴォラを発ったバスは一路西に向かって走り、リスボンを通り過ぎてロカ岬に到着した。ロカ岬とは、リスボンの西約30kmにあるユーラシア大陸最西端の岬である。つい先週の日曜日、我々に遅れること?1ヶ月、安部首相がこの岬を訪れたという記事を見た。西には大西洋が広がるこの地で、ユーラシア大陸最西端到達証明書なるものを発行してくれた(ツアー料金に込み)。証明書には名前・日付等が入り、裏面には日本語を含む9ヶ国の言語で書かれた説明書きがある。これを一部のみ引用しておく。「ロカ岬に到達されたことを証明します。ここはヨーロッパ大陸の最西端に位置し、「陸尽き、海始まる」と詠われ、新世界を求め、未知の海へと船を繰り出した航海者たちの信仰心と冒険魂が脈打つところです」
陽光溢れるロカ岬で1時間ほど過ごした後の夕刻、今回のツアーの最終目的地のリスボンに到着した。この日の夜はオプショナルツアーで、ユネスコの無形文化遺産に登録されているファド&ディナーショーに出かけた。ファドとは、ポルトガルに生まれた民族歌謡で、運命または宿命を意味する。イタリアのカンツォーネ、フランスのシャンソン、アルゼンチンのタンゴ、ブラジルのサンバと並んでポルトガルにはファドがある。ポルトガル・ギター、クラシック・ギターにより伴奏され、男性、女性歌手が時には暗く悲しく、時には陽気な歌声を聞かせてくれた。またファドの合間には子供達が民族舞踊を披露してくれた。
さて、ポルトガルの人口は約1千万人、このうち首都リスボンの人口は約55万人であるが、周辺人口を含めると300万人とポルトガルの全人口の3割を占める。ローマ時代に起源を持つ西ヨーロッパでは最古の都市の一つであり、ロンドンやパリ、ローマなどよりも数百年も古い。5世紀から一連のゲルマン人部族により支配され、8世紀にはイスラム勢力のムーア人により攻略された。1147年、ポルトガル王国の建国者アフォンソ1世下のレコンキスタでのリスボン攻防戦で、ポルトガルはムーア人からリスボンを奪回し、リスボンは名実ともにポルトガルの首都となった。
翌朝、リスボン市内で最初に訪れたのは、ベレン地区のテージョ川岸にある大航海時代を記念した記念碑で、リスボンの象徴とも言える「発見のモニュメント」である。この記念碑は52mと見た目よりも背が高く、船首の曲線に似せて作られている。1940年に作られたが、エンリケ航海王子没後500年の記念行事として1960年にコンクリートで再建された。彼は記念碑の川に面する側に立っており、東西両面にポルトガル誇る同時代の探検家たちの像が並ぶ。また、記念碑正面にある石畳には多くのポルトガル人航海者が辿った航路を示す世界地図のモザイクがある。このモザイクは1960年に南アフリカ共和国から贈呈されたものであるそうだ。
「発見のモニュメント」にほど近い所に、世界遺産のベレンの塔とジェロニモス修道院がある。ベレンの塔は1515ー1521年に建設された。ジェロニモス修道院と同じく、建設を命じたのはマヌエル1世である。ヴァスコ・ダ・ガマの業績をたたえる目的をこめた灯台だが、テージョ川河口で英国やオランダの海賊を見張る、要塞としての機能も備えていた。
ジェロニモス修道院とはヒエロニムス会の修道院で、1502年頃建設が始まった。エンリケ航海王子の業績を称賛するポルトガル王マヌエル1世が、ボイタクに建設を命じ、彼の死後カスティーリョが引継いだ。その後も増築などが行われ、19世紀にほぼ現在の形になった。「ポルトガルが誇るマヌエル様式建築の最高傑作」と言われるほど素人目にも素晴らしい教会建築だ。その修道院の中でも、特に繊細な彫刻に飾られた回廊や、彫像で飾られた修道院に付属するサンタ・マリア聖堂の価値は誰の目にも明らかだ。マヌエル1世自身もジェロニモス修道院に葬られており、ヴァスコ・ダ・ガマの棺も、この修道院に安置されている。
リスボンで残された数時間、リスボン中心部のロシオ広場などを散策した。市内を走る赤や黄色のトラムも写真に収めた。6泊9日間のスペイン、ポルトガルのツアーもいよいよエピローグ、リスボン空港に向かった。
以上で初のスペイン、ポルトガルツアーの旅行記は完結である。自分の備忘録として書き始めた旅行記であるが、なかなかタイムリーに書き続けて行くことは重荷ではある。しかし読んで頂いた方、投票までして頂いた方がいることに心から御礼申し上げながら、これを励みに今後も旅行記を綴って行くつもりだ。
- 旅行の満足度
- 5.0
- 観光
- 5.0
- ホテル
- 4.5
- グルメ
- 4.0
- ショッピング
- 4.5
- 交通
- 5.0
- 同行者
- カップル・夫婦
- 一人あたり費用
- 20万円 - 25万円
- 交通手段
- 鉄道 観光バス 徒歩 飛行機
- 旅行の手配内容
- ツアー(添乗員同行あり)
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ロカ岬、リスボンの西約30kmにあるユーラシア大陸最西端の岬
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ロカ岬のヨーロッパ最西端の記念碑
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イチオシ
岩に打ちつける大西洋の荒波
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大西洋の遥か彼方にアメリカ大陸がある
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ロカ岬ではユーラシア大陸最西端到達証明書なるものを発行してくれる
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ロカ岬の灯台
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「発見のモニュメント」の東側
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モニュメントの東側にはアフォンソ5世(大航海時代の王)、ヴァスコ・ダ・ガマ(インド航路発見者)、アフォンソ・バルダイア(騎士)、ペドロ・アルヴァレス・カブラル(ブラジル発見者)、フェルディナンド・マゼラン(初めて世界一周を成し遂げた)らの像が並ぶ
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イチオシ
「発見のモニュメント」の西側
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モニュメントの西側にはフェルナンド聖王子(エンリケ航海王子の弟)、ジョアン・ゴン・サルベス(騎士)、ジル・イアネス(航海士)、ペロ・デ・アレンケーレ(航海士)、ペドロ・ヌネス(15世紀の数学者)らの像が並ぶ
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記念碑正面の石畳にあるポルトガル人航海者が辿った航路を示す世界地図のモザイク、1960年に南アフリカ共和国から贈呈されたもの
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ベレンの塔は1515ー1521年に建設された。建設を命じたのはマヌエル1世である
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ヴァスコ・ダ・ガマの業績をたたえる目的をこめた灯台だが、テージョ川河口で英国やオランダの海賊を見張る、要塞としての機能も備えていた
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ジェロニモス修道院とはヒエロニムス会の修道院で、1502年頃建築が始まった
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ジェロニモス修道院のファサード、「ポルトガルが誇るマヌエル様式建築の最高傑作」と言われる
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ジェロニモス修道院の内部の大空間
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ジェロニモス修道院の内部
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ジェロニモス修道院の内部の棺
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ジェロニモス修道院の内部のマリア像
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ジェロニモス修道院の内部のステンドグラス
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ジェロニモス修道院、「ポルトガルが誇るマヌエル様式建築の最高傑作」と言われるほど素人目にも素晴らしい教会建築
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マヌエル様式の美しい中庭
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マヌエル様式の美しい回廊
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ゴールデンゲートブリッジを思い出す赤い4月25日橋、1966年に開通。1974年4月25日のカーネーション革命のすぐ後、改称された。長さは2,277 mで、上段が6車線の道路、下段には鉄道が走る
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リスボンのロシオ広場の噴水
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リスボンのロシオ広場のドン・ペドロ4世の像
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リスボンのサンタ・ジェスタのエレベータ
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リスボンの港に近いアーチ
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イチオシ
リスボン名物の赤いトラム
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こちらは黄色いトラム
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ポルトガル、リスボン国際空港
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こちらは乗り継ぎのトルコ、イスタンブール空港
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数年前にオープンしたイスタンブール空港の豪華なラウンジ
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ラウンジ内のアヤソフィアの模型
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