2013/09/30 - 2013/10/01
30位(同エリア60件中)
ちびのぱぱさん
- ちびのぱぱさんTOP
- 旅行記273冊
- クチコミ203件
- Q&A回答37件
- 320,675アクセス
- フォロワー32人
「すごいらしいですよ、アキの宮島、沼。」
という話を聞いてはいました。
北海道の「野生」に出会うのは、この土地に住むものにとっても、そうたやすいことではありません。
今回、久しぶりに、野生動物の生命力を実感する機会を得ることができました。
- 旅行の満足度
- 4.5
- 同行者
- カップル・夫婦
- 交通手段
- 自家用車
PR
-
美唄市のホームページによると、今年もマガンの季節がやってきたようです。
ここは、知る人ぞ知る、ラムサール条約に登録されている、生態学的にも貴重な沼でして、宮島沼と申します。
所在地は美唄市ですが、札幌から車で行く場合、国道275号線で月形町に行き、市街地から5分ほどの場所にあります。
朝3時30分に目覚ましを掛け、4時前には家を出ました。
9月末の札幌にしては空気が生暖かく、小雨が降っています。
暗闇の中、車を走らせること1時間弱、月形町の手前にセブンイレブンがありました。
夜明け前の、田舎のセブンイレブン。
その場所だけが光のある世界で、中に踏み込むと、そこは均一化の象徴ともいえる世界であり、まったくもって物憂げな時間が流れています。
香り立つレギュラーコーヒーを淹れてもらうと、上品そうな60代くらいのご夫婦の先客がいました。
「朝の5時前にコーヒーとは。」
と、自分のことを棚に上げて思いました。
この方たちも、マガンの観察に来たのかな。宮島沼 自然・景勝地
-
国道を右折し、漆黒の闇の中、前の車を見失わないよう(こんな時間に走っているのは同じ目的に違いありませんから)細い農道を進むと、じゃりの駐車場に入ります。
ここから、どの方向に行けばいいのか見当も付きませんが、歩いている人を見つけてあわててついて行きます。
沼が近づくと、鼻をつままれても分からない暗闇の中、気の早いマガンたちが騒々しい鳴き声をあげており、なにやら異様な興奮が伝わってきます。
観察地点には、数名の先客がいました。
やがて、背後の空が白んでくると、マガンとおぼしき声はますます騒々しさを増します。 -
ついにそのときが来て、大地を揺るがすほどの羽ばたきの音が腹の底に伝わり、 -
飛び立った数万羽のマガンが、空を覆い尽くしてゆきます。 -
野太い羽音が、曇天の空を覆い尽く……
低い雲が、音響効果を増しているような、体全体にドドドドッッと響きが伝わります。 -
これほどの、圧倒的な野生に遭遇したのは、久しぶりです。
鳥肌が立ち(相手が鳥だけに)、完全に言葉を失い
「すごいね。」
という、ありきたりな言葉しか口から出てきませんでした。
ただ……
「ねえ、これって鴨?」
というひとことに、
「だまれー!!」
-
寒い冬を逃れて、南に向かうひととき、この地で羽を休める鳥たち。
やがて、札幌上空を通過して、本州の越冬地にゆくのです。
ときおり私の住む住宅地の空高く、かぎになり、直線になりして、南を目指して行きます。
そして夜も、駐車場に車を止めて外に出ると、どこからともなく彼らの声が聞こえるのです。
雁は、夜間でも飛び続けるのだということを、わたしは知りませんでした。 -
鳥が飛び立った後の沼は、嘘のように静まりかえっています。
夕方、彼らが戻ってくるまで、沼はしばしの静寂を取り戻すわけです。 -
-
人は、遠慮がちにのぞきます。 -
思い起こせば、ことの発端は、未明に妻にかかってきた一本の電話。
「出血が止まらん。医者も来ない。おれは死ぬ。」
という、妻の実家の義父からのものです。
義母もいるのですが、ちょうどコンビニのアルバイトに出ていて、電話に出なかったようです。
しかも、本人はすでに三日前から病院に入院しているので、看護婦さんもいるはずなのですが……。
まあ、せっかく止まっていた下血が、前の晩におなかいっぱい食べた丼飯のせいで、再発したと言うことでした。
そんなこんなで、妻は娘としてはほってもおけず、わたしの時間が空くのを待って一泊二日で北見に、見舞いに行くことになったのです。(聞けば、ちょうどその日に退院するという)
妻が、渋るわたしをなだめるために、行きたがっていた宮島沼を絡めたのです。 -
年季の入った観察小屋。周囲の土壁が崩れかけています。
中で、一眼レフにでっかいレンズをつけて、カチカチとカウンターを鳴らしていた男性がいました。
「今日は、何羽くらいですか?」
と、尋ねてみると、手帳の数字をしばらく眺めてから、教えてくれました。
「3万8千、ですかね。」
どうやって数えるのか、ちょっと気になっていたのですが、その30代くらいの男性は、もう別の作業に入っていてとりつく島のない感じ。
勝手に想像してみたのは、飛び立つ度に百羽単位でカウントしてメモする。
大方のマガンが飛び立った後は、残りの水面のやつを数える……。 -
立派なビジターセンターは、改修工事中で、早朝はトイレのみの利用となっていました。 -
美唄市のホームページには、毎日の飛来数と、飛び立ち、ねぐら入りの時間が記されていて、親切です。 -
こちらの真正面のアプローチは、鍵で閉ざされていました。
昔来たときは、この奥まで行って餌やりもされていたような……。 -
周囲は、収穫の終わった田んぼ。 -
-
駐車場は広大ですが、まだシーズン到来間もなく、雨模様でしたから、ごらんの入り。 -
-
このあたり、空知の一大稲作地帯。
今年は、並作だそうです。
うまい米がもうじき食べられる。 -
帰る途中の田んぼに、マガンの群れの一部が降りて、羽を休めていました。 -
-
国道275に向かう橋。 -
広大な石狩川もまた、沼のように静まりかえっておりました。
そういうわけで今日は、これから北見に向かいます。
この旅行記のタグ
利用規約に違反している投稿は、報告する事ができます。
コメントを投稿する前に
十分に確認の上、ご投稿ください。 コメントの内容は攻撃的ではなく、相手の気持ちに寄り添ったものになっていますか?
サイト共通ガイドライン(利用上のお願い)報道機関・マスメディアの方へ 画像提供などに関するお問い合わせは、専用のお問い合わせフォームからお願いいたします。
この旅行で行ったスポット
旅の計画・記録
マイルに交換できるフォートラベルポイントが貯まる
フォートラベルポイントって?
0
24