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<br /> 「すごいらしいですよ、アキの宮島、沼。」<br /><br /> という話を聞いてはいました。<br /><br /> 北海道の「野生」に出会うのは、この土地に住むものにとっても、そうたやすいことではありません。<br /><br /> 今回、久しぶりに、野生動物の生命力を実感する機会を得ることができました。<br /><br /> 

アキのみやじま、ぬま

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2013/09/30 - 2013/10/01

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ちびのぱぱ

ちびのぱぱさん


 「すごいらしいですよ、アキの宮島、沼。」

 という話を聞いてはいました。

 北海道の「野生」に出会うのは、この土地に住むものにとっても、そうたやすいことではありません。

 今回、久しぶりに、野生動物の生命力を実感する機会を得ることができました。

 

旅行の満足度
4.5
同行者
カップル・夫婦
交通手段
自家用車

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  • <br /> 美唄市のホームページによると、今年もマガンの季節がやってきたようです。<br /><br /> ここは、知る人ぞ知る、ラムサール条約に登録されている、生態学的にも貴重な沼でして、宮島沼と申します。<br /><br /> 所在地は美唄市ですが、札幌から車で行く場合、国道275号線で月形町に行き、市街地から5分ほどの場所にあります。<br /><br /> 朝3時30分に目覚ましを掛け、4時前には家を出ました。<br /> 9月末の札幌にしては空気が生暖かく、小雨が降っています。<br /><br /> 暗闇の中、車を走らせること1時間弱、月形町の手前にセブンイレブンがありました。<br /> 夜明け前の、田舎のセブンイレブン。<br /><br /> その場所だけが光のある世界で、中に踏み込むと、そこは均一化の象徴ともいえる世界であり、まったくもって物憂げな時間が流れています。<br /> 香り立つレギュラーコーヒーを淹れてもらうと、上品そうな60代くらいのご夫婦の先客がいました。<br /><br /> 「朝の5時前にコーヒーとは。」<br /><br /> と、自分のことを棚に上げて思いました。<br /> この方たちも、マガンの観察に来たのかな。<br />


     美唄市のホームページによると、今年もマガンの季節がやってきたようです。

     ここは、知る人ぞ知る、ラムサール条約に登録されている、生態学的にも貴重な沼でして、宮島沼と申します。

     所在地は美唄市ですが、札幌から車で行く場合、国道275号線で月形町に行き、市街地から5分ほどの場所にあります。

     朝3時30分に目覚ましを掛け、4時前には家を出ました。
     9月末の札幌にしては空気が生暖かく、小雨が降っています。

     暗闇の中、車を走らせること1時間弱、月形町の手前にセブンイレブンがありました。
     夜明け前の、田舎のセブンイレブン。

     その場所だけが光のある世界で、中に踏み込むと、そこは均一化の象徴ともいえる世界であり、まったくもって物憂げな時間が流れています。
     香り立つレギュラーコーヒーを淹れてもらうと、上品そうな60代くらいのご夫婦の先客がいました。

     「朝の5時前にコーヒーとは。」

     と、自分のことを棚に上げて思いました。
     この方たちも、マガンの観察に来たのかな。

    宮島沼 自然・景勝地

    秋の宮島沼もいいです by ちびのぱぱさん
  • <br /> 国道を右折し、漆黒の闇の中、前の車を見失わないよう(こんな時間に走っているのは同じ目的に違いありませんから)細い農道を進むと、じゃりの駐車場に入ります。<br /> ここから、どの方向に行けばいいのか見当も付きませんが、歩いている人を見つけてあわててついて行きます。<br /><br /> 沼が近づくと、鼻をつままれても分からない暗闇の中、気の早いマガンたちが騒々しい鳴き声をあげており、なにやら異様な興奮が伝わってきます。<br /><br /> 観察地点には、数名の先客がいました。<br /><br /> やがて、背後の空が白んでくると、マガンとおぼしき声はますます騒々しさを増します。<br /><br /><br />


     国道を右折し、漆黒の闇の中、前の車を見失わないよう(こんな時間に走っているのは同じ目的に違いありませんから)細い農道を進むと、じゃりの駐車場に入ります。
     ここから、どの方向に行けばいいのか見当も付きませんが、歩いている人を見つけてあわててついて行きます。

     沼が近づくと、鼻をつままれても分からない暗闇の中、気の早いマガンたちが騒々しい鳴き声をあげており、なにやら異様な興奮が伝わってきます。

     観察地点には、数名の先客がいました。

     やがて、背後の空が白んでくると、マガンとおぼしき声はますます騒々しさを増します。


  • <br /> ついにそのときが来て、大地を揺るがすほどの羽ばたきの音が腹の底に伝わり、


     ついにそのときが来て、大地を揺るがすほどの羽ばたきの音が腹の底に伝わり、

  • <br /> 飛び立った数万羽のマガンが、空を覆い尽くしてゆきます。


     飛び立った数万羽のマガンが、空を覆い尽くしてゆきます。

  • <br /> 野太い羽音が、曇天の空を覆い尽く……<br /><br /> 低い雲が、音響効果を増しているような、体全体にドドドドッッと響きが伝わります。


     野太い羽音が、曇天の空を覆い尽く……

     低い雲が、音響効果を増しているような、体全体にドドドドッッと響きが伝わります。

  • <br /> これほどの、圧倒的な野生に遭遇したのは、久しぶりです。<br /> 鳥肌が立ち(相手が鳥だけに)、完全に言葉を失い<br /><br /> 「すごいね。」<br /><br /> という、ありきたりな言葉しか口から出てきませんでした。<br /><br /><br /> ただ……<br /><br /> 「ねえ、これって鴨?」<br /><br /> というひとことに、<br /><br /> 「だまれー!!」<br /><br /> 


     これほどの、圧倒的な野生に遭遇したのは、久しぶりです。
     鳥肌が立ち(相手が鳥だけに)、完全に言葉を失い

     「すごいね。」

     という、ありきたりな言葉しか口から出てきませんでした。


     ただ……

     「ねえ、これって鴨?」

     というひとことに、

     「だまれー!!」

     

  • <br /> 寒い冬を逃れて、南に向かうひととき、この地で羽を休める鳥たち。<br /><br /> やがて、札幌上空を通過して、本州の越冬地にゆくのです。<br /> ときおり私の住む住宅地の空高く、かぎになり、直線になりして、南を目指して行きます。<br /><br /> そして夜も、駐車場に車を止めて外に出ると、どこからともなく彼らの声が聞こえるのです。<br /> 雁は、夜間でも飛び続けるのだということを、わたしは知りませんでした。<br />


     寒い冬を逃れて、南に向かうひととき、この地で羽を休める鳥たち。

     やがて、札幌上空を通過して、本州の越冬地にゆくのです。
     ときおり私の住む住宅地の空高く、かぎになり、直線になりして、南を目指して行きます。

     そして夜も、駐車場に車を止めて外に出ると、どこからともなく彼らの声が聞こえるのです。
     雁は、夜間でも飛び続けるのだということを、わたしは知りませんでした。

  • <br /> 鳥が飛び立った後の沼は、嘘のように静まりかえっています。<br /><br /> 夕方、彼らが戻ってくるまで、沼はしばしの静寂を取り戻すわけです。


     鳥が飛び立った後の沼は、嘘のように静まりかえっています。

     夕方、彼らが戻ってくるまで、沼はしばしの静寂を取り戻すわけです。

  • <br /> 人は、遠慮がちにのぞきます。


     人は、遠慮がちにのぞきます。

  • <br /> 思い起こせば、ことの発端は、未明に妻にかかってきた一本の電話。<br /><br /> 「出血が止まらん。医者も来ない。おれは死ぬ。」<br /><br /> という、妻の実家の義父からのものです。<br /> 義母もいるのですが、ちょうどコンビニのアルバイトに出ていて、電話に出なかったようです。<br /><br /> しかも、本人はすでに三日前から病院に入院しているので、看護婦さんもいるはずなのですが……。<br /> まあ、せっかく止まっていた下血が、前の晩におなかいっぱい食べた丼飯のせいで、再発したと言うことでした。<br /><br /> そんなこんなで、妻は娘としてはほってもおけず、わたしの時間が空くのを待って一泊二日で北見に、見舞いに行くことになったのです。(聞けば、ちょうどその日に退院するという)<br /><br /> 妻が、渋るわたしをなだめるために、行きたがっていた宮島沼を絡めたのです。


     思い起こせば、ことの発端は、未明に妻にかかってきた一本の電話。

     「出血が止まらん。医者も来ない。おれは死ぬ。」

     という、妻の実家の義父からのものです。
     義母もいるのですが、ちょうどコンビニのアルバイトに出ていて、電話に出なかったようです。

     しかも、本人はすでに三日前から病院に入院しているので、看護婦さんもいるはずなのですが……。
     まあ、せっかく止まっていた下血が、前の晩におなかいっぱい食べた丼飯のせいで、再発したと言うことでした。

     そんなこんなで、妻は娘としてはほってもおけず、わたしの時間が空くのを待って一泊二日で北見に、見舞いに行くことになったのです。(聞けば、ちょうどその日に退院するという)

     妻が、渋るわたしをなだめるために、行きたがっていた宮島沼を絡めたのです。

  • <br /> 年季の入った観察小屋。周囲の土壁が崩れかけています。<br /><br /> 中で、一眼レフにでっかいレンズをつけて、カチカチとカウンターを鳴らしていた男性がいました。<br /><br /> 「今日は、何羽くらいですか?」<br /><br /> と、尋ねてみると、手帳の数字をしばらく眺めてから、教えてくれました。<br /><br /> 「3万8千、ですかね。」<br /><br /> どうやって数えるのか、ちょっと気になっていたのですが、その30代くらいの男性は、もう別の作業に入っていてとりつく島のない感じ。<br /><br /> 勝手に想像してみたのは、飛び立つ度に百羽単位でカウントしてメモする。<br /> 大方のマガンが飛び立った後は、残りの水面のやつを数える……。<br /><br />


     年季の入った観察小屋。周囲の土壁が崩れかけています。

     中で、一眼レフにでっかいレンズをつけて、カチカチとカウンターを鳴らしていた男性がいました。

     「今日は、何羽くらいですか?」

     と、尋ねてみると、手帳の数字をしばらく眺めてから、教えてくれました。

     「3万8千、ですかね。」

     どうやって数えるのか、ちょっと気になっていたのですが、その30代くらいの男性は、もう別の作業に入っていてとりつく島のない感じ。

     勝手に想像してみたのは、飛び立つ度に百羽単位でカウントしてメモする。
     大方のマガンが飛び立った後は、残りの水面のやつを数える……。

  • <br /> 立派なビジターセンターは、改修工事中で、早朝はトイレのみの利用となっていました。


     立派なビジターセンターは、改修工事中で、早朝はトイレのみの利用となっていました。

  • <br /> 美唄市のホームページには、毎日の飛来数と、飛び立ち、ねぐら入りの時間が記されていて、親切です。


     美唄市のホームページには、毎日の飛来数と、飛び立ち、ねぐら入りの時間が記されていて、親切です。

  • <br /> こちらの真正面のアプローチは、鍵で閉ざされていました。<br /> 昔来たときは、この奥まで行って餌やりもされていたような……。


     こちらの真正面のアプローチは、鍵で閉ざされていました。
     昔来たときは、この奥まで行って餌やりもされていたような……。

  • <br /> 周囲は、収穫の終わった田んぼ。


     周囲は、収穫の終わった田んぼ。

  • <br /> 駐車場は広大ですが、まだシーズン到来間もなく、雨模様でしたから、ごらんの入り。


     駐車場は広大ですが、まだシーズン到来間もなく、雨模様でしたから、ごらんの入り。

  • <br /> このあたり、空知の一大稲作地帯。<br /><br /> 今年は、並作だそうです。<br /> うまい米がもうじき食べられる。


     このあたり、空知の一大稲作地帯。

     今年は、並作だそうです。
     うまい米がもうじき食べられる。

  • <br /> 帰る途中の田んぼに、マガンの群れの一部が降りて、羽を休めていました。


     帰る途中の田んぼに、マガンの群れの一部が降りて、羽を休めていました。

  • <br /> 国道275に向かう橋。


     国道275に向かう橋。

  • <br /> 広大な石狩川もまた、沼のように静まりかえっておりました。<br /> そういうわけで今日は、これから北見に向かいます。


     広大な石狩川もまた、沼のように静まりかえっておりました。
     そういうわけで今日は、これから北見に向かいます。

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