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高尾・陣馬は里山とは言え、かなり奥行きの深い場所もあり、堂所から先、二人の登山者に出会っただけで、前後に誰もいない山歩きは、やや心配も募ってくる。これが元気な頃だったら、そんなことは全く意にも介せず、一人歩きの山歩きを楽しみ、自分一人でこの大きな山を独占している、との一種の優越感に浸ることも出来たが、脚力の充分回復していない今の状態では、むしろこの静かなことが心配の種になってくる。<br /><br />暑い。全く暑い。峰道を歩いている時は秋を思わせるような乾燥した気持ち良い風で、吹き出す汗を気持ち良く乾かしてくれていたが、樹林帯に入ると途端に風が止まり、噴き出た汗は体に籠り、体温を急上昇させる。外気温が30度としても、体内に籠った熱は40度を越えているだろう。<br /><br />頭が暑い。ぼわーっとして、そのまま倒れてしまいそうだ。思考能力も相当に低下している。体中の熱が皆頭に集まったような感じだ。今年は全国で200人近くの熱中症死者が出ているが、熱中症で亡くなる人の最後の状態はこんなxだろうか・・。考えることもできず、頭の熱を下げることもできない。ただ、夢遊病者のように足を前に出しているだけだ。今ここで止まったら、そのまま倒れ込んでしまう。そんな恐怖から逃れるためにただ足を前に動かしていた。<br /><br />思いっきりシャワーを浴びたい。バケツ一杯の水を頭からかぶりたい。どれ程気持ち良いことか。今持っている水といったら、ペットボトルの飲料水が三分の一も残っていない。これを頭にかける訳にはいかない。頭の熱を冷ますため、そのポカリを少しばかり口に含む。気分の問題か、実際身体の生理に影響があるのか、そんなほんの少しの水でも、気分が安らぐ。魔の手から逃げ切ろうとする意欲も湧いてくる。<br /><br />しかし酷い急勾配の下り坂だ。体力が弱っている中、一歩間違えれば死ぬことはないとしても大怪我をし、身動きできなくなるだろう。前も後ろも登山者はいない。明日は日曜日だ、明日の朝になれば、又何人かの登山者もこのコースを登ってくるだろう。このコースは当方にとっても初めてではない。しかし随分前だ。一度は小下沢に出て、その長い林道を川沿いに歩き、バス停まで出た。一度はこのまま真っ直ぐ、八王子城址まで下って行った。当時は元気だったから、こんな厳しい山道とは認識shていなかったが、今の自分には、もう精一杯だ。<br /><br />連山になっているから、小さな起伏も幾つかあり、単に下り降りるだけではなく、何回かアップダウンを繰り返す。その都度、下肢の痙攣、膝の不具合が心配になる。痙攣だったら、20−30分その場に休み、筋力が回復するのを待てば、何とか下山できるだろう。しかし膝の関節に痛みが走ったらアウトだ。高尾山のようにアスファルト道路なら後ろ向きに下ることも可能だが、この山道ではとてもそんなことは出来ない。矢張り、朝まで回復を待たざるを得ないだろう。痙攣もしない、膝も痛まない。この二つを祈りながら、下山した。<br /><br />綺麗に植林されたヒノキ林を抜けると漸く下界の夕焼けの里からの人口音が聞こえてきた。バイクの音だったり、クラクション。訪問販売か何かのマイク音まで聞こえてくる。ふううう、助かった。ここまで来れば後は30分。這いずってでも下山できるだろう。そう言えば、ここは夕焼け小焼けの道。心に余裕が出来たのか、林の左手から西日が差している。時間はまだ4時を回ったばかり。夕焼けとは言えないまでも太陽が既に西に傾き、間も無くこの斜面も真っ赤な夕焼けに彩られるだろう。<br /><br />陣馬往還21キロ。朝8時半に景信に登りはじめ、今は5時。8時間半の今日の登山を漸く終了し、景信登山口で拾った杖代わりの枝棒を夕焼けの里登山口に収め、今日の無事の登山に感謝した。<br />                              完

陣馬往還20キロ(5)下山。最後の踏ん張り。

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2013/08/31 - 2013/08/31

215位(同エリア295件中)

0

13

ちゃお

ちゃおさん

高尾・陣馬は里山とは言え、かなり奥行きの深い場所もあり、堂所から先、二人の登山者に出会っただけで、前後に誰もいない山歩きは、やや心配も募ってくる。これが元気な頃だったら、そんなことは全く意にも介せず、一人歩きの山歩きを楽しみ、自分一人でこの大きな山を独占している、との一種の優越感に浸ることも出来たが、脚力の充分回復していない今の状態では、むしろこの静かなことが心配の種になってくる。

暑い。全く暑い。峰道を歩いている時は秋を思わせるような乾燥した気持ち良い風で、吹き出す汗を気持ち良く乾かしてくれていたが、樹林帯に入ると途端に風が止まり、噴き出た汗は体に籠り、体温を急上昇させる。外気温が30度としても、体内に籠った熱は40度を越えているだろう。

頭が暑い。ぼわーっとして、そのまま倒れてしまいそうだ。思考能力も相当に低下している。体中の熱が皆頭に集まったような感じだ。今年は全国で200人近くの熱中症死者が出ているが、熱中症で亡くなる人の最後の状態はこんなxだろうか・・。考えることもできず、頭の熱を下げることもできない。ただ、夢遊病者のように足を前に出しているだけだ。今ここで止まったら、そのまま倒れ込んでしまう。そんな恐怖から逃れるためにただ足を前に動かしていた。

思いっきりシャワーを浴びたい。バケツ一杯の水を頭からかぶりたい。どれ程気持ち良いことか。今持っている水といったら、ペットボトルの飲料水が三分の一も残っていない。これを頭にかける訳にはいかない。頭の熱を冷ますため、そのポカリを少しばかり口に含む。気分の問題か、実際身体の生理に影響があるのか、そんなほんの少しの水でも、気分が安らぐ。魔の手から逃げ切ろうとする意欲も湧いてくる。

しかし酷い急勾配の下り坂だ。体力が弱っている中、一歩間違えれば死ぬことはないとしても大怪我をし、身動きできなくなるだろう。前も後ろも登山者はいない。明日は日曜日だ、明日の朝になれば、又何人かの登山者もこのコースを登ってくるだろう。このコースは当方にとっても初めてではない。しかし随分前だ。一度は小下沢に出て、その長い林道を川沿いに歩き、バス停まで出た。一度はこのまま真っ直ぐ、八王子城址まで下って行った。当時は元気だったから、こんな厳しい山道とは認識shていなかったが、今の自分には、もう精一杯だ。

連山になっているから、小さな起伏も幾つかあり、単に下り降りるだけではなく、何回かアップダウンを繰り返す。その都度、下肢の痙攣、膝の不具合が心配になる。痙攣だったら、20−30分その場に休み、筋力が回復するのを待てば、何とか下山できるだろう。しかし膝の関節に痛みが走ったらアウトだ。高尾山のようにアスファルト道路なら後ろ向きに下ることも可能だが、この山道ではとてもそんなことは出来ない。矢張り、朝まで回復を待たざるを得ないだろう。痙攣もしない、膝も痛まない。この二つを祈りながら、下山した。

綺麗に植林されたヒノキ林を抜けると漸く下界の夕焼けの里からの人口音が聞こえてきた。バイクの音だったり、クラクション。訪問販売か何かのマイク音まで聞こえてくる。ふううう、助かった。ここまで来れば後は30分。這いずってでも下山できるだろう。そう言えば、ここは夕焼け小焼けの道。心に余裕が出来たのか、林の左手から西日が差している。時間はまだ4時を回ったばかり。夕焼けとは言えないまでも太陽が既に西に傾き、間も無くこの斜面も真っ赤な夕焼けに彩られるだろう。

陣馬往還21キロ。朝8時半に景信に登りはじめ、今は5時。8時間半の今日の登山を漸く終了し、景信登山口で拾った杖代わりの枝棒を夕焼けの里登山口に収め、今日の無事の登山に感謝した。
                              完

旅行の満足度
5.0
  • 堂所山を下り降りると平坦部に出て、小下沢(さげさわ)林道への分岐に出る。しかし八王子城址まではまだ6キロ以上もある。

    堂所山を下り降りると平坦部に出て、小下沢(さげさわ)林道への分岐に出る。しかし八王子城址まではまだ6キロ以上もある。

  • 幾つかのピークを越えたり下ったりしていく。

    幾つかのピークを越えたり下ったりしていく。

  • 次のピークは三本松だ。

    次のピークは三本松だ。

  • 漸く大嵐山までやって来た。

    漸く大嵐山までやって来た。

  • ああ、夕焼けの里分岐だ。左に下りよう。

    ああ、夕焼けの里分岐だ。左に下りよう。

  • 夕焼けの里までは残り2.5キロ。後1時間頑張ろう。

    夕焼けの里までは残り2.5キロ。後1時間頑張ろう。

  • 急坂の樹林帯に入る。息苦しさ、頭の暴発を心配する。

    急坂の樹林帯に入る。息苦しさ、頭の暴発を心配する。

  • 漸く下界からの人工音が聞こえてきた。もう直ぐだ!

    漸く下界からの人工音が聞こえてきた。もう直ぐだ!

  • ああ、キャンプ場の屋根が見える。助かった!

    ああ、キャンプ場の屋根が見える。助かった!

  • 今日1日助けてくれた杖に感謝!

    今日1日助けてくれた杖に感謝!

  • 夕焼けの里キャンプ場。

    夕焼けの里キャンプ場。

  • 夕焼けの里は4時半に閉園。もう誰もいない。

    夕焼けの里は4時半に閉園。もう誰もいない。

  • 5時半のバスにて高尾駅まで戻った。

    5時半のバスにて高尾駅まで戻った。

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