2012/08/31 - 2012/08/31
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世界攻略者さん
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大周遊の旅もいよいよ最終章。あとは富士山を残すだけとなりました。富士山といえば、日本人なら一度は登っておきたい山。そのため夏休み中は大変混雑し、テーマパークのような人出になります。みんなのお目当ては、もちろん山頂からのご来光。日本一高い場所で迎える日の出は、私の旅にとっても最高のクライマックスとなりました。
==日本名山大周遊の旅 シリーズ==
①スーパートレックのすすめ (日本百名山)
http://4travel.jp/traveler/sekai_koryaku/album/10706064/
②奥穂高岳編 (涸沢カール、涸沢岳、上高地)
http://4travel.jp/traveler/sekai_koryaku/album/10704365/
③槍ヶ岳編 (大喰岳、槍沢、ハシゴ)
http://4travel.jp/traveler/sekai_koryaku/album/10704488/
④燕岳編 (表銀座、東鎌尾根、燕山荘)
http://4travel.jp/traveler/sekai_koryaku/album/10704632/
⑤赤岳編 (八ヶ岳、清里、美濃戸口)
http://4travel.jp/traveler/sekai_koryaku/album/10704647/
⑥北岳編 (間ノ岳、南アルプス)
http://4travel.jp/traveler/sekai_koryaku/album/10704864/
⑦富士山編 (富士宮ルート、ご来光、大砂走) <==
http://4travel.jp/traveler/sekai_koryaku/album/10705765/
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[目次]
富士登山
富士宮口への道
富士宮ルート - 最速の富士登山
九合五勺 - 胸突八丁
御来光
お鉢巡り
御殿場ルート - 富士登山駅伝を追体験
御殿場
富士サファリパーク
銭湯
GPSログ、費用
全行程、総費用
総括
写真: 赤岳(八ヶ岳)から見た富士山 -
[富士登山]
登山としての富士山は、考えれば考えるほど不思議な山です。たった二ヶ月(7-8月)の登山シーズン、緑のほとんどない単調な道、ボロくて高い山小屋..などと、いい所がほとんどありません。それでも夏休みだけで30万人の人が登ります。多くの人を惹きつけているのは、やはり日本一の山「富士山」というネームバリューでしょうか。富士講が廃れた今も、日本人の富士山信仰は健在です。 -
富士山は、かなり昔に一度登ったことがあります。その時は吉田ルートからでしたが、他の人同様「疲れた」、「一度で十分」という感想を持ちました。それから多くのトレッキングを経験し、今は体力的にも気分的にもかなり余裕があります。人が多かろうが、登山道が溶岩と火山灰だろうが、登山は登山。自分流で楽しみたいと思います。
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富士山には主に4つの登山道があります。一番人が多いのは、登山客の6割が登る北の吉田ルート。その次が南の富士宮ルート。今回は、最短ルートであるこの富士宮ルートから頂上を目指すことにします。この方角から眺める富士山は表富士とも呼ばれていて、絵葉書や新幹線からの景色でおなじみです。
地図: 赤い点 - 剣ヶ峰(最高点)、黄色い線 - 火口縁の道、青い線 - 富士宮ルート、緑の線 - 御殿場ルート、赤い線 - 須走(すばしり)ルート、オレンジ色の線 - 吉田ルート。 -
[富士宮口への道]
北岳登山を終えた後、身延線で甲府から富士宮まで移動。富士宮駅からは、五合目行きの登山バスが出ています。8月中なら一日11本。私は二番目に遅い4:55PMの便に乗車しました。片道1970円。1時間20分。
発車までの時間を利用して、駅の外にある観光案内所に立ち寄ります。とりあえず登山マップをゲット。この地図には、ルート上の山小屋一覧などが載っていてとても重宝します。なお、富士宮ルートや御殿場ルートは静岡県側なので、甲府の観光案内所に行っても、これらのパンフレットはありません。 -
今晩の登山にそなえ、少し腹ごしらえ。ご当地グルメの富士宮やきそば(肉入り560円)をテイクアウトし、バスの中でいただきます。今このバスに乗っているのは、私を含めてたったの二人。やはり、こんな遅い時間から登り始める人は少ないようです。じゃあ何でこの時間にもバスがあるかというと、日帰り組の人たちが下山してくるからです。
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6時10分、終点五合目のバス停に到着です。そこから少し歩くと、レストハウスと登山案内所が出てきます。案内所の前では、今日の日付で翌日の天気予報が提示されていました。ボードの端に書かれた注意書きには、
「富士山を甘く見ないで!! 単独登山、軽装登山、準備不足、強行登山は危険です。」
と、おせっかいな警告。すいません、私すべて当てはまってます。富士山ほど単純な登山道はなく、よほどの悪天候でもない限り、遭難のしようがありません。ちなみに、今年の遭難事故は、死者0名、負傷者22名。これがすべてを物語っています。怪我人のほとんどは、下山中に転んだだけでしょう。 -
[富士宮ルート - 最速の富士登山]
富士宮口からの登山道はこんな感じ。目安時間は4時間20分と4つの登山道の中では最短です。富士山が日本一高い山といっても、ここから頂上口まではたったの5キロ、高低差1350メートルに過ぎません。高低差1000メートルを超える山など珍しくもないので、富士登山で大変なのは高度順応くらいです。
五合目 - 六合目 20分
六合目 - 新七合目 1時間
新七合目 - 元祖七合目 50分
元祖7合目 - 八合目 40分
八合目 - 九合目 30分
九合目 - 九合5勺 30分
九合5勺 - 頂上 30分 -
レストハウスを過ぎると、すぐに登り口が出てきます。標高2400メートル。ここから登山スタートです。さっきまで夕立が降っていたため、まわりはまだガスった状態。この状態で登山できるかどうか不安ですが、見切り発車で出発です。
ここ二日間、続けて午後開始の登山をしてきました。八ヶ岳では2時20分スタート。北岳では2時スタート。いずれも日没前に山頂の小屋に到着しましたが、さすがに今日は無理。すでに時刻は6時15分。かなり暗くなってきています。 -
でも、この時間帯に登るのが無謀というわけでもありません。山頂までは山小屋が多数あり、その多くは8時頃まで営業しています。つまり、今日のうちに登れるところまで登って、翌朝残りの部分を登ればいいわけです。
10分程登り、6合目の雲海荘(写真)を通過。この先、細かいジグザグ道を経ながら、頂上まで一直線に道が伸びています。 -
6合目を過ぎたあたりからガスが消え、月が見える状態まで天気が回復しました。これならかなり上まで行けそうです。一気にスピードアップ。実は私、ひとつ大きなテーマを持って今回の富士登山にのぞんでいます。それは、「富士山には最短何時間で登れるのか」。目安時間が4時間20分なので、私なら2時間半切るのは間違いないでしょう。問題は二時間を切れるかどうか。その辺を見越して、重いザックは駅から実家に送ってしまいました。今持っているのはレインウェアと防寒具、それにヘッドライトと食べ物くらい。富士山は実質バーナー禁止だし、どうせ最終日なので余分なもの持っていてもしょうがないのです。
でも、この計画には少し無理があります。案内パンフレットによると、多くの山小屋では8時まで営業、9時に消灯となっています。頂上口まで行って小屋まで戻るとなると、どうしても8時を過ぎてしまいます。この辺の融通が効くかどうかが鍵になりそうです。 -
六合目から25分ほど登り、新七合目の御来光山荘(写真)を通過。さらに25分登って元祖七合目の山口山荘へ。時刻はすでに7時を過ぎています。この時間になってもまだ下山中の人がいるようで、上からゆっくりとライトの光が下りてきます。私が見たのは子供連れの親子や外国人グループなど4−5組。みなさん日帰りでしょうか。一方、この時間に登っている人も2人いました。夜間登山はひとつのスタイルに過ぎませんが、陽の目を浴びるまで、まだまだ時間がかかりそうです。
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空は完全に真っ暗。御殿場や神奈川県側の夜景が目に入ってきます。夜に登るのは初めての経験ですが、やってみると意外と簡単にできてしまうものです。山の斜面に木が生えていないので、見通しは抜群。登山道の両側にはロープが張られていて、迷うこともありません。月明かりがあればヘッドライトさえ不要です。涼しくて気持ちがいい上に、他の登山客がいないためスイスイ。夜間の富士登山というのは、景色がないことを除けばいいことだらけなのです。これは盲点でした。
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20分程登り、八合目の池田館を通過。まだ消灯時間の8時になってませんが、建物は閉めきった状態で明かりもなし。営業しているかどうかさえわかりません。この先あと3つしか宿がないので、今晩泊まれるかどうか心配になってきました。ほとんどの場合、登山道から上の山小屋は見えません。明かりがついているかどうか、そこまで行ってみないとわかりません。
35分後、九合五勺(しゃく)にある胸突山荘(写真)に到着。これが富士宮ルートにある最後の山小屋になります。時刻は8時10分。幸い、まだ営業していました。ここでチェックインだけ済まして、山頂に向かいます。ここまで来たら最後まで行かないとね。山頂口はすぐ上に見えています。 -
最後、15分ほどで上まで登りきり、浅間大社奥宮のある山頂口に到着です。この神社の横にも山小屋(要予約)はありますが、すでに消灯して真っ暗でした。
気になるタイムの方は、数分の写真ストップを除けば、2時間6分。あちゃー、二時間切れませんでした。でも、この程度の差なら次回に期待がもてます。最近、私は「一気登り」に凝っており、今回で三度目の挑戦になります。主に登り一辺倒の山が対象で、休憩をとらずに頂上まで一気に登ります。確か、一度目の伊吹山が1時間40分、二度目の御嶽山が1時間20分で登頂した記憶があります。そして今日、新たに富士山が「一気登り」リストに加わりました。 -
[九合五勺 - 胸突山荘]
微妙な達成感を得たところで、山を下りて宿に戻ります。今日泊まるのは、「胸突山荘」という変わったネーミングの山小屋。確かに、この小屋から頂上口までが、一番しんどい区間でした。
夜遅いこともあり、スタッフの男性は、私を受付すぐ隣の部屋に案内してくれました。中に入ると、そこはベニヤ板で囲まれただけの何とも貧相な小部屋。そこに並べられた寝袋のひとつに入って就寝します。しかし、ここまでショボイ宿泊施設も珍しいかな。ここ日本ですよね?雰囲気的には「東南アジアの大家族雑魚寝部屋」といった趣き。壁の張り紙を見ると「消灯8時、チェックアウト朝5時」と書かれています。消灯時間はともかく、チェックアウト5時って何だよ! まさにご来光ありきの富士登山です。
胸突山荘 - http://munatsuki.com/
素泊まり5000円、二食付き7000円 -
一方、ほとんどの人が泊まった大部屋はこんな感じ。ここは柔道部の合宿ですか? 見ての通り、富士山の山小屋はどこも安っぽい造りになっています。北アルプスの宿をロッジと呼ぶならば、こちらはバラック小屋。そういった事情もあり、富士山にある山小屋は、どこも素泊まり5000円と割安な料金に設定されています。
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[御来光]
翌朝、午前二時半に他人のアラームで起こされ、深い眠りから目を覚まします。次第に出発準備をする人が増えだし、小屋全体がザワザワしてきました。朝3時に出発する人までいます。早過ぎるだろ!ご来光はだいたい5時過ぎ。ここから頂上口までは、30分しかかかりません。でも、それは極端に早いというわけでもなさそうです。3時半に外に出てみると、下の宿から来た登山者がぞくぞくと通過していきます。上を見上げれば、山頂まで連なるヘッドライトのジグザグ。麓の方を見ると、さらに長いライトの列がこちらに向かって移動してきます。シーズン終盤だというのに、ものすごい登山者の数です。ちょっと甘くみてました。
念のため、私も早めに出発することにします。というのも、ここから山頂口までは道が狭いため、人を抜くのが大変なのです。一番遅い人に合わせたペースが全体を支配しており、私もその行列に加わって登ります。約40分ほどノロノロ歩いた後、山頂口に到着です。 -
ここには昨日訪れた浅間大社があります。写真は日の出後の様子。これは、富士宮駅近くにある富士山本宮・浅間大社のの奥宮(おくみや)で、言ってみれば別館というか支店のようなものです。シーズン中のみの営業で、中でお守りなどが購入できます。富士登山駅伝で、ランナーがタスキに折り返しの検印をもらうのも、この場所です。
さて、この神社があるのは、富士宮登山口の終点。富士山火口の南側に位置しています。この場所から日の出を見る人はほとんどおらず、多くの人はより良いご来光ポイントに移動していきます。 -
主に2つ選択肢があり、ひとつは本当の頂上である剣ヶ峰(写真)。ここからだと、火口を左側から回り込んで15分ほど。頂上には無人の気象観測所があります。もうひとつは、東側に複数ある丘の上。そちらは、吉田ルートや須走ルートの頂上口からほど近い場所にあります。一番高いのは剣ヶ峰だけど、火口が視界に入るのが良い点でも悪い点でもあります。一方、東側のビューポイントからは視界を邪魔するものはありません。少し迷いましたが、複数のツアーグループが剣ヶ峰に向かっていたので、私もそちらから日の出を拝むことにします。
神社と剣ヶ峰の間には公衆トイレがあります。一回なんと200円。しかもセルフではなく、ちゃんと人がいます。宿はボロいのに、トイレは最新でお高い、これが富士山スタンダードです。 -
10分ほどで剣ヶ峰に到着。気象観測所付近は人ごみが激しいので、一段下の場所からご来光を待つことにします。東側の丘の上にも人が増えてきました(写真)。
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5時10分、太陽が雲海の上から顔を出しました。
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この場所から火口越しに見る日の出も悪くありません。寸前まで火口に雲が浮遊していたので、ちょっと焦りましが..。
山頂はなぜか携帯電波が入ります。それを利用して家族に記念電話を入れる人がたくさんいました。「お父さん? 今山頂で日の出見てるの..」。みなさん、まだ朝の5時ですよー。ご来光なう。 -
日の出の瞬間は3分もあれば終わってしまうので、それからが騒がしくなります。剣ヶ峰にある「日本最高峰富士山」の石碑の前では、写真待ちの行列が(写真)。
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[お鉢巡り]
ツアー参加者はすぐに呼び集められ、お鉢巡りに出発します。山頂のお鉢巡りは、時計回りに火口を一周するのが一般的。 -
一周約3キロ。所要時間は1時間半となってますが、そこまで時間はかかりません。途中に見所が沢山あるので、ツアーグループに混じってガイドの説明に耳を傾けるのがいいでしょう。
あるガイド:
「富士山は世界で108番目に高い山なんですよ」
私:
(心の中で) 「絶対違います」
あるガイド:
「伝説によると、八ヶ岳がデコボコしてるのは、昔富士山と背比べをして、怒った富士山にゲンコツで殴られたからなんですよ」
私:
(心の中で) 「受け売りにも程がある。」
これらは極端な例で、たいていのガイドは為になる話をしてくれます。 -
剣ヶ峰から歩いてすぐの場所からは、西側に影富士が望めます。今日は曇が多いため影がグチャグチャですが、まあ富士山に見えなくはありません。この場所のすぐ下が大沢崩れと呼ばれる、落石・侵食の激しいエリアになっています。それにしても、雲が低い!
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こちらは北西側の眺め。左の山脈が南アルプス。昨日登った北岳見えてますねー。少し離れて右端に八ヶ岳。一昨日登った赤岳見えてますねー。その2つの山脈のあいだ、遠くにうっすらみえているのが北アルプス。さすがに個別の山までは確認できません。向こうから富士山は認識できたのに..。大きさが違いますからね。北西側の麓には、あの青木ケ原樹海も広がります。
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さらに火口を見下ろしながら逆側に進むと、北側の景色が見渡せます。河口湖(赤い点)とそのすぐ横に広がる富士吉田市。甲府盆地を越えて遠くに見えるは秩父の山々。
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剣ヶ峰から約半周歩いたところで、久須志神社(くすし)に到着。これは、名前が違いますが、やはり浅間大社に属する神社です。奥宮の末社でありながら、こちら側のほうが登山客が多いため大変繁盛しています。
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焼印は300円。この金剛杖を信仰登山のアイテムと見るか、トレッキングポールの代わりと見るかは、あなた次第。
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この久須志神社のある場所は、吉田ルートと須走ルートの頂上口に接しています。全体の7割の登山客がこれらの道を利用するので、この一帯が富士山頂で最も賑やかなエリアとなっています。山小屋も4軒あります。
これらの建物は、風で屋根が飛ばされないように上に石積みがされています。全体的に茶色系で、景観にも違和感なくマッチ。もし、ここにコンクリート建ての高級ホテルができたら興ざめですよね。幸い、富士山の気象環境がそれを阻止しています。 -
これらの茶屋で一服した後、みんなどんどん下山していきます。同時に、この時間に登ってくる人もいます。ご来光は登っている途中からも見えるからです。この後、雲海を見下ろしながらさらに半周して、富士宮口に戻りました。
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富士山は毎年、短い夏のシーズン中に30万人が登ると言われています。そうなると一日少なくとも5000人は来ている計算ですが、そこまでいますかねー。赤外線センサーによるチェックなので、かなり正確なデータです。
富士山といえば観光登山のメッカ。とてもツーリスティックで、北アルプスのような登山文化や情緒は感じられません。でも、御来光やお鉢巡りなどエンタメ性に優れており、全体的には満足度の高い登山旅行と言えるでしょう。独立峰ならではの眺めの良さ。一周3キロの大展望台。一万人来ようと二万人来ようと、富士山は大きな懐で登山客をもてなしてくれます。
富士山登山客の統計 - http://www.env.go.jp/park/fujihakone/topics/090917a.html -
[御殿場ルート - 富士登山駅伝を追体験]
十二分に景色を堪能したところで、そろそろ下山開始。どのルートを歩いてもいいのですが、帰りの交通を考えて御殿場ルートから下りることにします。御殿場ルートは全長11キロ(下りは8.5キロ)、高低差2300メートルと、富士登山では最も長くてきついコースとされています。でも、それは登りの話で、下りはそれほどでもありません。目安の時間は登り7時間、下り3時間。登りと下りでコースが少し異なり、下りでは、あの大砂走を歩きます。
頂上口 -> 砂走館 70分
砂走館 -> 大砂走スタート 5分
大砂走スタート -> 次郎坊 60分
次郎坊 -> 大石茶屋 40分
大石茶屋 -> 駐車場 5分
地図: 御殿場ルート。黄色い線 - 下山ルート。青い線 - 登りルート。赤い点は上から、頂上口、砂走館、大砂走スタート、次郎坊、大石茶屋、バス停と駐車場。 -
御殿場ルートへの下り口は富士宮ルートのすぐそば。少し道を戻った後、麓に向かって出発です。前半は、昨日の富士宮ルートと同じような、砂や小石がゴロゴロした溶岩の道をジグザグに下っていきます。晴れていれば箱根山や駿河湾が望める絶景コースなのですが、今日は曇が多くて残念。
ここでまた、悪魔のささやきが..。「富士山は最短何時間で下れるんだ?」。どうせこれが最後のトレック。大砂走りに限らず、全行程走っていくことにします。このような砂礫や小石の多い道は、登る時、足元がズルズルすべって苦労します。しかし、下りでは無問題。そのスベリを想定しながら走れば、逆に足へのいいクッションになります。 -
頂上から17分ほど下り、1つ目の宿、赤石八号館を通過。さらに8分ほど下って七合六勺の砂走館(写真)へ。この後、5分ほど下った所で、登り下り共通ルートと別れ。下山専用の「大砂走コース」が始まります。
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大砂走とは火山灰が堆積して出来た砂地の道。登り用の固い地面と違い、足がズボズボ砂にはまります。でも、傾斜のある道では、それがクッションとなり高速で駆け下りることを可能にしています。
重力が味方してくれるので、長距離走るのも楽々。逆にスピードが出過ぎないよう工夫が必要です。私の場合、踵を地面に突っ込むように着地することで、前のめりを防止しました。大きなストライドでリズムよく走り、どんどん下っていきます。
写真: 正面に見ているのが宝永山。江戸時代に噴火して、この大砂走コースを作った張本人です。火口はすぐ裏側にあります。 -
宝永山を過ぎたあたりから傾斜は急になり、足も深くまで砂に埋まります。この一帯は完全な砂地。邪魔な小岩などないので、飛ばせるだけ飛ばせます。一歩あたり三メートルは飛んでるでしょうか。
右側に気象庁の避難小屋(写真)が出てきました。見覚えあるなーと思っていたら、ここは富士登山駅伝で7区から8区への中継所となっている場所でした。何年か前にここまで見学に来たので覚えています。
参考: 富士登山駅伝を生観戦
http://4travel.jp/traveler/sekai_koryaku/album/10580484/ -
避難小屋から先、さらに大砂走が続きます。ここから次郎坊までの区間、400メートルほどは、傾斜も地面の硬さも実に理想的。オリンピック選手にでもなった気分でグングン加速していきます。写真は、そんな全速力で走る私を横から眺めていたツアーグループ。次郎坊は登りと下りの道が交差する場所であるため、登りの人から物珍しそうに見られます。
大砂走が始まってから、ここまで24分。後半はロープが一本張られただけの長い砂の斜面でした。途中、山小屋や休憩ベンチなどないので、人によっては退屈に感じるかもしれません。もちろん、無理に走る必要はなく、ほとんどの人は普通に歩いて下山します。 -
次郎坊を過ぎると、傾斜も砂の深さも普通の道と変わらなくなります。そのため、この区間は走りが一気にペースダウン。ジョギング以下のスピードまで落ちてしまいました。やはり、私には重力の助けが必要です。次郎坊から13分進んで、大石茶屋(写真)に到着。すぐ下にはバス停と駐車場が見えています。
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これが大砂走を終えた後の靴の中。普通の道では砂が少し入る程度ですが、ここではデカイ砂利がたまります。シューズ用スパッツを履いたり、靴にガムテープを巻いたりすればこの状況は避けられます。でも、それはそれで面倒です。
さて、頂上からバス停までのタイムですが、複数の写真ストップを除けば1時間10分。目安タイムが3時間なので、まずまずの数字です。ちなみに、富士登山駅伝の選手達は山頂から太郎坊(バスターミナル少し下)までの距離を25分程度で下ります(3人でリレー)。 -
早く着きすぎたので、山小屋外のテーブルでしばし休憩。この大石茶屋では、これから登山する人のために、金剛杖の販売や焼印サービスを行なっています。棒に旗がつくと300円ほどアップ。そしてその旗の選択肢が、日の丸、旭日旗、アメリカ国旗と非常に偏っています。特に旭日旗は西洋人に人気。そんなの掲げてると、隣国から来てる人がまた怒りだしちゃうぞ!「あれはご来光の絵なんだ」と誰か説明してあげてください。
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大石茶屋から少し下って、御殿場駅行きのバス停に到着。バスは、9月の第一日曜まで毎日、9:45AM、12:25AM、3:15PM、5:45PMの4本。1080円。土日はさらに3本増便されます。このバス停前にある売店と大石茶屋は、土産物品が大変充実しています。あとは、バスや自家用車に乗って帰るだけですからね。富士山クッキーに富士山ようかん(写真)。「ふじちゃん」というゆるキャラ・グッズも展開中。土産物は御殿場駅の売店でも購入可能です。
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[御殿場]
9:45AMのバスに乗り、30分ほどで御殿場駅に到着。このまま帰るのももったいないので、近場を少し観光することにします。駅の向かい側に観光案内所あり。
さて、どこに行きましょう。駅前からバスが出ているのは、河口湖、箱根、御殿場プレミアムアウトレット(無料)、富士サファリパークなど。時間と相談した結果、富士サファリパークに行くことにしました。子供のころから何千回とCMを見てますが、実際に行くのは、これが初めてです。 -
[富士サファリパーク]
サファリパーク行きのバスは8:30AM、10:40AM、12:35PM、3:20PM、5:00PMの五本。10:40AMの便に乗り、35分ほどでサファリパークに到着です。740円。
ご存知のように、ここでは屋外で放し飼いされた動物を車で見て回ることができます。入場料が2700円とバカ高ですが、バス往復と組み合わせたチケット(-1180円)や、観光案内所にある割引券(-500円)を使えば少しだけ安くなります。 -
園内は、自家用車か専用車でまわります。私は車がないので、必然的にジャングルバス(1200円)に参加。痛い出費ですが、この動物の形をしたジャングルバス(写真)では、自家用車ではできない「餌やり」が体験できます。12時過ぎのジャングルバスに参加して、50分ほどのクルーズに出発です。
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乗客には肉や果物などのエサが渡され、それらを、クマやライオン、草食動物などに与えます。網越しとはいえ、数頭のクマやライオンに囲まれる様子は圧巻。雄ライオンの頭のでかいこと、でかいこと。餌やりストップの場所は決まっているので、周辺で入り待ちしている動物までいました。
1時間弱のクルーズでは、多くの動物を見ることができます。ライオンだけでも20頭近くいました。料金が高いのを除けば、かなり見応えのあるアトラクションといえるでしょう。ひと通り楽しんだところで、1:33PMのバスに乗り、御殿場駅に戻ります。 -
[銭湯]
今日も最後は、温泉で締めたいと思います。中房温泉以降、3日間お風呂に入っていません。御殿場周辺には、いくつか温泉施設があります。アクセスがいいのは、無料バスが出ている「ごてんば市温泉会館」(500円)や、徒歩4分の人参湯など。前者は富士山が見える眺めのいい温泉ですが、サファリパークに行っている間に無料バスが終わってしまいました。消去法で駅前の人参湯へ(写真、360円)。ここは、温泉というよりは、銭湯のような感じ。登山シーズン中は正午から営業しています。
温泉でさっぱりした後、普通列車を乗り継いで、旅の起点である名古屋に戻りました。これで、「日本名山大周遊」の旅はすべて完了。充実の一週間でした。 -
[GPSログ、費用]
昨晩、今日と歩いたルートはこんな感じ。かかった費用は、
山小屋代 5000円
富士宮駅->富士宮口五合目 1970円
御殿場口五合目->御殿場駅 1080円
青春18きっぷ一回分 2300円
富士サファリパーク 入場料+バス往復(3000円) + ジャングルバス(1200円)
富士宮やきそば'(560円) + 昼飯(600円)
銭湯 360円
------------------
合計 - 16070円 サファリパークに行かなければ、11870円 -
[全行程、総費用]
7日間のGPSログを合わせるとこうなります。見事な「大周遊」ですね。でも、実際に登山したのは黄色のところだけ。名古屋を起点としなければ、こんなに丸くならなかったでしょう。7日間にかかった費用は、
山小屋6泊 32800円 + 充電代400円 = 33200円
食費: 山に持ち込んだ食料(5700円) + 外食(3920円) + 水代100円 = 9720円
インとアウトの交通費 1130円 + 2300円 = 3430円
途中の交通費 14260円
エンタメ、銭湯などその他の費用 6560円
全部で 67170円。1日1万円の目標は達成できたものの、全く安くありません。山登りはお金のかからない趣味とはいえ、交通費と山小屋代でかなり取られちゃいます。 -
[総括]
終わってみると、全体を通じて天気に恵まれ、出発前に掲げた「セブンサミッツ・セブンデイズ」の目標も見事に達成できました。毎日のように厳しいスケジュールをこなし、それを7日間やり通した結果で、喜びもひとしおです。
これだけ山に登ったら、もう登りたい山ないんじゃないの? いえいえ、私が日本の山の初心者であることは、今も変わりません。これからも、息の長い趣味として、山登りを続けていきたいと思います。秋の穂高も行ってみたいしね。
**実際、秋の穂高に行って来ました。
日本の凄すぎる紅葉登山⑤ 穂高岳・涸沢カール - まるで絵葉書の世界 (涸沢ヒュッテ)
http://4travel.jp/traveler/sekai_koryaku/album/10716491/ -
[リンク集]
==国内旅行記一覧==
http://4travel.jp/traveler/sekai_koryaku/album/?dmos=dm&sort=when&view_mode=list
==海外旅行記一覧==
http://4travel.jp/traveler/sekai_koryaku/album?dmos=os&sort=when&view_mode=list
==国内登山==
日本の凄すぎる紅葉登山①立山・室堂、②白馬岳・栂池、③駒ケ岳・千畳敷、④穂高・涸沢
http://4travel.jp/traveler/sekai_koryaku/album/10717801/
屋久島と山ガール、そしてヤバすぎる雨の日 全3作
http://4travel.jp/traveler/sekai_koryaku/album/10690816/
SUNQパスで行く九州②普賢岳、③阿蘇山
http://4travel.jp/traveler/sekai_koryaku/album/10718279/
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