鬼怒川・日光・草津 湯煙情緒 ⑤草津白根山編

2012/07/27 - 2012/07/29

新聞紙上では電力不足、計画停電と言う文字が踊っています。熱闘の阪神地区から逃避しなければ身が持たない！そんな不純な動機で、首都圏の奥座敷と称される鬼怒川・日光・草津ツアーに申し込みました。その後、ニュースを見ていると群馬県館林市で今季最高気温３７℃…。旅程に拠れば、確かこの周辺にも立ち寄ります。選択肢を誤ったのでしょうか…。
今回の旅行の主たる目的は、次の３つです。
①日光東照宮に語り継がれる謎をこの目で確かめる。
②名湯に浸かって心身を癒し、明日へのエネルギーを充電する。
③華厳の滝、白根山湯釜等の自然の畏怖に触れ、自分を見つめ直す。

＜コース概要＞
第一日目：鬼怒川温泉 （ものぐさの宿 花千郷 泊）
　　　　　１７：３０頃宿へ到着。その後、個人的に五橋巡り散策。
第二日目：早朝 五橋巡り散策。
　　　　　日光東照宮拝観==華厳の滝==吹き割の滝==草津温泉
　　　　　（ホテル リゾート泊）
　　　　　夕食後、湯畑の夜景観賞
第三日目：熱の湯 湯もみショー見学--西の河原公園散策==白根山
　　　　　湯釜見学==善光寺参拝

今回は、草津白根山編をご紹介いたします。

エリア 草津温泉(群馬)

• 同行者: カップル・夫婦
• 一人あたり費用: 3万円 - 5万円
• 交通手段: 観光バス 新幹線
• 旅行の手配内容: ツアー（添乗員同行あり）
• 利用旅行会社: 阪急交通社

草津白根山 弓池方面
草津温泉を出発してから、小一時間で白根山レストハウスに到着します。
供え置きのストックを借用して白根山を登って行きます。
見下ろすと蟻の行列よろしく、延々と人の帯が続いています。

草津白根山 弓池方面
白根山をゆっくりと登っていくと、眼下に弓池やその後ろに聳える逢ノ峰（標高２１０９ｍ）がその全貌を次第に露わにしてきます。

草津白根山 弓池方面
弓池の背後に逢ノ峰、その右奥に本白根山(標高２１７１ｍ）が聳えます。

草津白根山 湯釜
中腹には神秘的なペパーミントブルーの水を湛える湯釜、水釜、涸釜の３つのカルデラ湖があります。湯釜は、直径３００ｍ、水深３０ｍ、水温１８℃。水がペパーミントブルーなのは、水に溶け込んでいる鉄イオンや硫黄などの微粒子の影響で、太陽光の特定の波長の光が吸収される為だそうです。湯釜が望める山頂へは、標高２０００ｍにある山麓のレストハウスから徒歩２０分程でアクセス可能です。山道は舗装されとり、年配の方々も悠々と登っておられます。ただし、スニーカーで登られるのが賢明と思います

遠くには、武尊山、その右には日光白根山が望めます。

草津白根山 湯釜
湯釜の水はｐｈ１．２で、世界で最も酸性度の高い湖だそうです。勿論、遊泳は出来ず、もし中に入ると動けなくなり、仕舞には酸化し溶けてしまうそうです。見た目の美しさとは裏腹に、実態は恐ろしい湖です。雲が流れる度に湖面のペパーミントブルーの濃淡が変化し、いつまで眺めていても飽きません。

ちなみにｐｈ７が中性で、これより数値が大きいとアルカリ性、小さいと酸性。日本ではｐｈ５．６以下の雨を酸性雨と言い、最も酸性度の高いものでｐｈ２〜３、これがレモン汁程度。海外ではこれ以上の酸性雨で石壁が溶けるなどの被害が出るところもあるようです。 改めて、湯釜の酸性度の強さが分かりますね。

草津白根山 湯釜
周囲には草木がなく、ミステリードラマの舞台にでもなりそうな景観です。荒涼として痩せた感じが月面を彷彿とさせる白い岩肌の噴火口壁に、ペパーミントブルーの湖水を満々と湛えた神秘かつ幻想的な姿が感動を与えてくれます。この絶景は、苦しい思いをして登ってきた甲斐があります。

草津白根山 御飯岳方面
大きな鯨が寝ているような容姿が特徴の御飯岳です。

草津白根山 ヤマハハコの蕾
キク科ヤマハハコ属の多年草。雌雄異株。
花期は８〜９月で、茎の上部に淡黄色の頭花を散房状につけます。白いカサカサした花びら状のものは総苞片。

どんな花か興味のある方は、次のサイトを参照ください。
http://www.myshonai.com/nonohana/kensaku/summer2/sum_1219.html

草津白根山 弓池方面
ナナカマドの一部が鮮やかに紅葉しています。草津白根山の紅葉は早いと聞きましたが、下界では今は夏真っ盛りです。

草津白根山 弓池
１９０２年の白根山の噴火によってできた、周囲８００ｍ程の火口湖。弓池の周囲は「草津白根山弓池園地」と呼ばれ、一面の湿原に木道が整備され、シーズンにはワタスゲやヤマハハコなどの亜高山帯植物たちが華やかに彩る楽園として親しまれています。
ここは標高が高いので紅葉は草津でも一番早く、９月中旬には色づき始めるそうです。ただし、湿原木道で熊に襲われて怪我をされた方もいるそうですので、熊鈴やラジオは忘れずに携行しましょう。

正面の小高い山が本白根山（標高２１７１ｍ）。現在も活動している白根山より古い火山で、静寂な登山が楽しめるところだそうです。高山植物も多く、特にコマクサは県内唯一の自生地だそうです。

草津白根山 弓池周辺の池塘
この池、実は明治時代に噴火した明治火口です。火口がこんな近くで見れるのも怖いような…。ちなみに湯釜も弓池も全て火口湖です。

草津白根山 弓池周辺 ワタズゲ
白い綿帽子を垂れたワタスゲが爽風に揺れてうち震える様子が、湿原に戯れる歓喜を代弁してくれています。
ワタスゲの白色とスギゴケの胞子嚢の茶色のコントラストが弓池の独特の味わいだそうです。胞子嚢の中には、未来の生命たちが数多く詰まっています。これらの小さな生命は無数に集まって、森の湿度や環境を維持し、多くの生きものたちの生命を支えています。

ワタスゲは、カヤツリグサ科ワタスゲ属の多年草。別名、スズメノケヤリ（雀の毛槍）。北海道から中部地方以北の高山帯から亜高山帯の高層湿原に分布し、大群生をつくることが多いそうです。岐阜県では、レッドリストの準絶滅危惧の指定を受けています。

草津白根山 弓池
青空が映え、水面の美しいグラデーションに目を奪われます。

草津白根山
右奥に見える尖った岩山は噴火口壁が風化して出来たもので、蓬莱岩と呼ばれるそうです。

草津白根山 弓池
鴨の親子が水辺で涼しげに戯れていました。

草津白根山 弓池
ワタスゲの白い綿帽子のような綿毛がゆらゆら揺らぐ様は、初夏の湿原の風物詩です。 ワタスゲが衆目の的になるのはこの綿毛の時期ですが、実は綿毛は種子であり、それより暫く前に灰色の目立たない質素な花を咲かせます。茎の葉は葉身がなく、葉鞘だけになっているのもサギスゲと違う特徴です。もう少し時期が早ければ、生き生きとしたワタスゲの見事な群生が見られたことでしょう。

ズームすると良く分かりますが、木道沿いの白いものはワタスゲの群落です。また、紅葉しているのはナナカマドです。夏と秋が同居している面白い絵図らです。一人の観光客らしき人が、木道を外れてワタスゲの写真を撮っています。この写真のためにどれくらいの高山植物が傷ついたのかを考えて欲しいと思います。木道から外れるのは、マナー違反ですので注意してください。

草津白根山 白根山方面
白根山、本白根山の峰等の一帯を総称して草津白根山と呼びます。白根山は群馬県吾妻郡草津町に位置し、那須火山帯に属する上信越高原国立公園の名峰。１８８２年以降度々噴火を繰り返している活火山です。明治以降はマグマに由来する火砕流や溶岩流は発生しておらず、現在の噴火位置は湯釜を中心とした半径６００ｍ以内に限られています。主に水蒸気爆発により火山灰や噴石を飛ばすタイプの噴火で、人頭大の噴石が火口から約３ｋｍ程度の場所まで落下することがあります。又、古来、信仰の山としても知られ、女人禁制の山岳修験の拠点として当時の遺構や遺物が現在でも発掘されています。

草津白根山
バスからの車窓です。こうしたスナップ写真は、コンデジの威力発揮です。
登ってきた方向とは反対側へ下ります。
渋峠手前から湯釜周辺を振り返るとこんな景観が見送ってくれます。

草津白根山
右端のピークが白根山の頂上になります。
湯釜を見るために、あの近くまで登って行ったことになります。

志賀高原
寂しそうに佇む立ち枯れたハイマツが、冬の厳しさを黙して語ってくれます。

志賀高原
山肌をむき出しにした荒々しい形相。

志賀高原
一際均整のとれた優美な容姿の山が笠ケ岳（標高２０７６ｍ）です。遙か後方には、黒姫山が雲のベールを纏いながらかすかに姿を現しています。

バスは一路、最終目的地の長野 善光寺へと駒を進めていきます。
この続きは、善光寺編で紹介いたします。