2012/05/14 - 2012/05/19
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norisaさん
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日本美術の最大の功労者と聞いてどなたを思い浮かべるでしょうか?
運慶、快慶、左甚五郎、俵谷宗達、尾形光琳、曽我蕭白、葛飾北斎、歌川広重、岡倉天心ーーー。
乏しい知識でもあまたの芸術家を列挙することができます。
しかし、アメリカ人のアーネスト・フェノロサだけは外しては申し訳ありません。
彼はここボストンの名門ハーバード大学で学び、明治初期に東大で政治や経済の教授を務めましたが、一方で美術に深い造詣があり、当時日本に吹き荒れた廃仏毀釈の中から多くの美術品を救い、また折からの西洋偏重、古文化軽視の風潮を戒め、さらに多くの政治的貢献もしました。
現在日本人はもちろん外人にも京都や奈良は人気NO1ですが、その古い日本美術を守り、広めることに多大な貢献をしたフェノロサが初代日本部長を務めたのがボストン美術館です。
彼の偉大さをしのびつつボストン美術館を訪問しました。
ボストン美術館は1870年地元の有志によって設立され、アメリカ独立百周年にあたる1876年に開館したとのことです。世界の多くの著名な美術館は王室のコレクションや大富豪のコレクションが元になった美術館ですが、このボストン美術館はそれとは異なり、ゼロからスタートし、民間の組織として運営されてきたという点は、ニューヨークのメトロポリタン美術館と同じだそうです。所蔵品は50万点を数え特にエジプト美術、フランス印象派絵画などが特に充実しています。
- 旅行の満足度
- 4.5
- 観光
- 4.5
- 同行者
- 一人旅
- 交通手段
- レンタカー 徒歩 飛行機
- 航空会社
- JAL
- 旅行の手配内容
- 個別手配
-
カーナビ性能がいまいちで美術館への道に迷いました。
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やっと民間の駐車場を見つけ、そこから歩きます。
後でわかったのですが、美術館には立派な駐車場が!
でも近辺を歩けたのでよしとします。 -
美術館の北西は美しい街並みとお花がーー。
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このグラウンドで寝そべっていた3人のアスリート風女子高生に道を尋ねます。
3人同時にしゃべるので聖徳太子じゃなければ理解不能!?
でもとにかくこのグラウンドの向こうにあることはわかりました。 -
やっと到着しました。
ここは裏門みたい!? -
わー!!??
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見学前に昼食をとります。
美術館のど真ん中の吹き抜けのあるカフェテリアに席をとります。
こういうロケーション、日本ではあまりお目にかかれませんね。 -
昼食は安くて味もまずまずです。
芸術的雰囲気、そして解放感溢れる中での幸せなひとときでした。 -
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さて、見学開始です。
前述のフェノロサの功績を列挙すると
(1)打ち捨てられていた江戸時代以前の日本仏教美術、古代美術を高く評価し、日本人の意識を変えた
(2)富豪(チャールズ・ウエルド)の寄付を得て多くの美術品を収集した(これは日本人には賛否あり)
(3)現在の東京芸大の礎を築いた
(4)国宝(ナショナルトレジャー)という概念を打ち立て、その後日本国政府が採用して現在の国宝や重要文化財制度の基礎となった。
などです。
彼が生半可な芸術家気取り、仏教保護者でなかったことは間違いありません。
というのも狩野一派に入門し、画号を得るまでの腕前になりましたし、仏教についても三井寺で帰依するまでに心酔していたのです。
今生きていたら確実に最高位の叙勲を授与されるでしょう。 -
美術館内は撮影禁止ではないようです。
これはルーブルや大英博物館でも同じですがフラッシュさえ使用しなければ許されているようです。
これに比べて日本の美術館や博物館は原則撮影禁止です。まー文化財保護の観点ではいたしかたないのかもしれませんが、たいした収蔵品もない民間の美術館でもマネするのはいかがなものかと首をかしげますーーー。 -
これは広重です。
この美術館には20世紀の初めには、岡倉天心が在職しており、敷地内には彼の名を冠した小さな日本庭園「天心園」が設けられていますし、日本の美術品も多く収蔵されています。
丁度この時は曽我蕭白や光琳などの日本美術が御里帰りをしています。
それらは日本で見ればいいので、世界の美術を見てあるきました。 -
古代ギリシャ、ローマのセクション。
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インディジョーンズにでてきそうな石棺です。
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仏教美術も多数展示されています。
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ボストン美術館の日本美術収蔵のルーツは大森貝塚を発見したモースです。当初3か月の滞在予定で来日したモースは東京大学の教師となり、前後3回の来日で通算2年半滞在することになりました。この期間にモースは日本の陶磁器や各種民俗資料の収集をしたそうです。
彼が日本の陶器を集めるきっかけとなったのは、ある店で自分の研究対象である貝の形をした陶器を見付け、購入したことからはじめました。知人から、それが安物だと聞かされたモースは、一念発起して陶磁器の勉強を始め、日本人をしのぐ目利きになり一流の収集家となりました。
そしてアメリカに帰国後収集した日本陶磁器約5千点をボストン美術館へ譲渡したのが現在に伝わっています。 -
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美術館内の売店です。
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とてもオシャレな空間でもあります。
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こちらはオープンカフェ。
芸術をゆったりと楽しんでもらいたいという配慮に溢れています。 -
絵画は古典派、印象派から前衛的なものまで幅広いです。
かなり有名な作品、著名な画家が揃っています。 -
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空間にも配慮が。
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これら全てを見るには半日では忙しいでしょう。
実際学芸員のおにーさんには「1日ではもったいないから2,3日御覧なさい」といわれましたが、この数時間でも一生懸命捻出したんですーー。 -
日本人は島国で育ったせいか外国人の評価を重要視します。
現在修学旅行生はもちろん日本人旅行者の人気NO1が京都であるのもフェノロサやモース、あるいはビゲロー達から日本芸術が高い評価を受けたことが大きな要因です。
特にフェノロサは芸大設立や国宝指定制度にも大いに寄与し、日本固有文化の秀逸性を強く日本人自身に自覚させました。
日本が大好きで日本画を描き、西欧人に日本文化を宣伝したフェノロサ。
その彼の人物と功績に思わず胸が熱くなりつつ帰路のハンドルを握りしめましたーーー。
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この旅行記へのコメント (12)
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- わんぱく大将さん 2012/06/07 18:53:24
- フェノロサの気持ちがよくわかる
- norisaさん
フォノロサ氏の気持ちがよくわかります。ここはほんと掃いて捨てるくらいあると、いい方は悪いですが、文化遺産にしたいものばかりですが、観光客はガウディしか知らず。 その隣の家だって、その向かいの、、、ときりがないのですが、そもそも住んでいる人から、それがないんですよね。文化の違う人から、それを教えてもらうこともあります。 私が見知らぬ家の写真をとってると、現地の人も、何があるんや?と不思議がりますが、やはり第三者的と言うのも必要かもしれません。
私も、のめり込むタイプですが、実際経験して、コメントが書けるようにと思います。この間の修築作業みていて、参加したいとおもいましたね。
大将
- norisaさん からの返信 2012/06/07 19:53:41
- RE: フェノロサの気持ちがよくわかる
- 大将さん、
そうですよね!
第三者の意見、セカンドオピニオンは重要ですね。
特に日本人は!
フェノロサにはナントカ褒章と国民栄誉賞を差し上げたいですね。
日本では彼の評価はさほどでもないですがーーー。
norisa
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- りりこさん 2012/06/02 18:55:11
- ボストン美術館展in 国立博物館平成館
- 6月10日まで上野の国立博物館の平成館でボストン美術館展を開催しています。インカ帝国展は行ったんですけれど、norisaさんの掲示板を拝見して観に行きたくなりました。どうもありがとうございます。
- norisaさん からの返信 2012/06/02 20:55:19
- RE: ボストン美術館展in 国立博物館平成館
- りりこさん、
そうなんですね。
私たちがボストン美術館を訪れた時、曽我蕭白や広重の有名な絵は日本に里帰りしていたのですね!
たしか6/10までだったように記憶していますので、行かれるなら今週、来週しかありませんが、是非ご訪問ください。
よろしくお願いします。
norisa
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- Mirabellaさん 2012/05/28 23:00:10
- この顔は、
- norisaさん、初めまして。
アーネスト・フェノロサ、日本文化を心底愛された方なんですね。
コメントを興味深く読み進んでいくと、あれっ?この柔らかな表情の男の子の顔の彫刻、見たことある!
マドリードのアトーチャ駅の彫刻とそっくりなんです。
ちょっと表情は違うけれど、Antonio Lopez Gariciaの作品ではないでしょうか。
ボストン美術館の裏門に((^^)) 展示されているんですね。
ちょっとしたサプライズでした。そして、勉強になりました。
Mirabella
- norisaさん からの返信 2012/05/29 05:56:26
- RE: この顔は、
- Mirabellaさん、
はじめまして!
ご訪問とご投票ありがとうございました。
なるほど、アントニオ・ガルシアの作品ですか!
絵画以外は不勉強なので失礼しました。
へんなところに車を駐車してしまったためやっと探し当てた美術館への入館を急ぐあまりチラ見で通り過ぎてしまいましたーー。
Mirabellaさんはスペインによく行かれるようですね。多くの国に旅行される方、数か国に絞ってじっくりリピートされる方など4トラは多彩で面白いですね。
今後ともよろしくお願いいたします。
norisa
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- n.arakiさん 2012/05/28 21:12:44
- こんばんは。
- norisaさん、こんばんは。
ボストン美術館は撮影okなんですね。
以前フランスへ行った時は、ルーブル、オルセーほか大体が撮影できましたが、今年行ったイタリアはほとんどダメでした。
日本もほとんどダメですね。
小樽では北一ガラスでさえ撮影禁止でしたからね。
写真を撮った所っていつまでも印象度は高いんですが。
アメリカは一度は行ってみたい所ですが、なかなかチャンスがなくて。
羨ましいですね。
n.araki
- norisaさん からの返信 2012/05/29 05:46:41
- RE: こんばんは。
- n.arakiさん、
おはようございます。
いつもお世話になります!
さて撮影の件ですが、OKだと思います。
というのは、禁止の表示もないし、あちこちにカメラを提げた観覧者がいたので勝手に解釈してフラッシュオフで撮影しました。
皆さんも静かに撮影していました。
(ルーブルではヒドイことにフラッシュ禁止にもかかわらずフラッシュがあちこちで焚かれていましたねーーーーー特にモナリザ!)
でも絵をじっくり観察するのにはカメラは邪魔かも?
なので途中で撮影をやめて鑑賞に専念しました。
また是非訪れたい美術館でした。
norisa
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- ひろ★ひろさん 2012/05/28 06:50:23
- 熱意!
- norisaさん、おはようございます(^O^)
昨日は我々の旅行記への訪問と投票をして頂きましてありがとうございました。
こちらも朝から早速お邪魔させて頂いております。
確かに色々と勉強になりました!
そして最後の書き込み、熱いハートを胸にハンドルを握る・・・
こちらにもその熱意が伝わって来た旅行記でもありました。
道中お気を付けて・・・無事に辿り着いた次の旅行記も楽しみにしております♪
んっ?!pedaruさんだ!!先越されました(笑)
ひろ★ひろ
- norisaさん からの返信 2012/05/28 19:45:38
- RE: 熱意!
- ひろ★ひろさん、
こんばんわ。
ご訪問やご投票ありがとうございます。
そうなんです。
個人的にフェノロサを尊敬していまして、少々感傷的になrましたーー。
もっと時間をかけて鑑賞したい美術館でした。
現在は無事帰国して模範社員??として業務中心の生活です。
また続編にもご訪問いただければ幸いです。
norisa
-
- pedaruさん 2012/05/28 05:21:49
- フェノロサ
- norisaさん お早うございます。
単なる美術館の紹介にとどまらず、日本美術の恩人という視線からボストン美術館を紹介する旅行記に新鮮さを感じました。
薬師寺の東塔を見て「凍れる音楽」と言ったというエピソードは有名ですね。
私は塔の水煙を指して音楽が形になっているようだ、と解釈していました。
フェノロサが絵を学んだり仏門に入ったりしたことなど驚きをもって初めて知りました。
pedaru
- norisaさん からの返信 2012/05/28 06:29:19
- RE: フェノロサ
- pedaruさん、
いつもいつもご訪問やコメント、ありがとうございます。
そもそも私が大学時代を京都で過ごすハメ?になったのもフェノロサの影響があったのです。関東近郊に生まれながら、わざわざ京都に下宿しなくてもよさそうなのにーーー。
現在も小中学生の修学旅行をはじめ日本人の旅行先人気の最右翼は京都や奈良になっていますが、これもフェノロサはじめ多くの日本美術再評価者の影響を否定できないと思います。
そういう観点でボストン美術館をけ学しますと、ルーブルその他の大美術館に負けないような存在感を感じました。
心残りは学芸員さんの指摘通り2,3日通えなかったことですーー。
またよろしくお願いいたします。
norisa
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