2011年3月13日　ANA552便（鹿児島→伊丹）

2011/03/13 - 2011/03/13

2011年3月11日の東日本大震災は、航空業界にも大きな被害をもたらしました。
津波による仙台空港の被害、地震直後に成田・羽田空港が閉鎖されたことに伴う到着便のダイバート、外国エアラインの大幅なダイヤ変更と機材変更。正直現場にも利用者にもかなりの混乱があったものと思います。

ここでは、震災2日後に鹿児島旅行の帰路に利用したフライトの模様を公開します。

エリア 霧島温泉郷(鹿児島)

• 同行者: 一人旅
• 一人あたり費用: 3万円 - 5万円
• 交通手段: 高速・路線バス ANAグループ 新幹線 JR特急 私鉄 徒歩
• 旅行の手配内容: 個別手配

鹿児島空港へは妙見温泉からの温泉バスを利用。

妙見温泉バスは本数が極端に少ないため、利用の際には注意が必要です。

出発までだいぶ時間があるので展望デッキへ。

静岡と鹿児島を結ぶフジドリームエアラインズのERJ170。
静岡茶と信州の山々をイメージした鮮やかな緑の機体ですが、就航地の一つである松本では、「松本山雅カラーの飛行機」として親しまれています。

2011年7月1日に「ソラシドエア」に改名したスカイネットアジア航空のB737-400。

鹿児島空港から霧島の山々を越えた先、宮崎県の新燃岳では1月から活発な火山活動が続き、この日も少しですが噴煙が上がっていました。

鹿児島空港の展望デッキには、航空に因んだミニ博物館「SORA　STAGE」があります。

入口にはB747のエンジンカウルの輪切りが置かれており、くぐり抜けられるようになっていました。

ANAの国際線用B747-400から取り外したウイングレット。
これでも成人男性の背丈ぐらいはあり、写真で見る以上に大きい印象です。

「SORA STAGE」に展示されていた鹿児島空港の年表。

現在の鹿児島空港は1972(昭和47)年に開港しました。1970年代の鹿児島空港には、香港、ナウル、ポートモレスビー(パプアニューギニア)、グアムなど、今では考えられない行き先の国際線が多数乗り入れ賑やかだったようです。

日本エアコミューターのDHC8-Q400。JALグループの大阪〜鹿児島線で幅を利かせている機体です。

撮影を楽しんでいるうち、突然静寂を打ち破るかのような爆発音が響きました。

見ると、滑走路の向こう側はるか遠くにある新燃岳が噴火を起こし、噴煙の勢いが激しさを増していました。

ターミナルビルでは「ただいま、新燃岳が噴火しました。飛行機の運航に影響が出るかもしれませんので、今後の案内にご注意ください。」云々のアナウンスが流れていました。

時刻は17時55分ごろ。ANA552便の搭乗開始までまだ時間があったので、ここで軽く夕食を食べておくことにします。

2階出発ロビー北側のレストラン「大空食堂」で名物の鶏飯バイキングをいただきます。鶏のスープをかけたご飯が絶品でした。

大阪(伊丹)行き最終のANA552便の機材はB767-300(JA8291)

2日前まで、当たり前のように仙台空港に発着していた機体です。
あの日あの瞬間、この機体はどこにいたのでしょうか。

搭乗すると、キャビンアテンダントさんから、2日前の地震に伴いダイヤが乱れたことに関するお詫びのアナウンスがありました。
未曽有の自然災害とあり、航空会社には責任のないダイヤ混乱だったわけですが、それにもかかわらず神妙にアナウンスをするキャビンアテンダントさんに好感を覚えたものです。

折しも、福島第一原発の事故の深刻な状況が伝えられており、西日本に住む自分たちもこれから先どうなるか分からない状態でした。

できるうちに贅沢というわけではないですが、機体が水平飛行に入ってから、機内販売で「瀬戸内はるかスカッシュ」を注文。柑橘系のサイダーでした。

B767-300の安全のしおり。

「翼の王国」2011年3月号では鳥取とバリ島が特集されていました。

また、機内オーディオのJ-POPのチャンネルでは桑田圭祐の「銀河の星屑」、AKB48の「桜の木になろう」などが流れていました。

ひょっとしたら、これが最後の飛行機搭乗になるかもしれない。心のどこかでそう考えていた私を乗せたANA552便は20時少し前に大阪国際(伊丹)空港に着陸しました。

到着ロビーに向かう途中のテレビでは枝野幸男官房長官（当時）の記者会見が流れており、先ほどまでいた機内から一転、緊迫した現実に引き戻されるような感覚でした。