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ドストエフスキー(1821-1881)に「白夜」という小説がある。貧しい青年が少女と出会いほろ苦い恋に落ちる、ペテルブルクでの白夜の4夜の物語である。青年はある白夜の夜に知り合った少女に、空想話を長々と語って聞かせる。少女は1年たったら迎えに来ると言ってモスクワに旅立ち、そのまま音信不通になってしまった恋人を待っている、と青年に話す。青年は少女に同情し、同時に少女に強く惹かれる。青年と語らう夜を繰り返すうちに、少女は恋人に失望していき、最後の夜に少女は、恋人に裏切られた憎しみを青年に語り、そして青年の恋を受け入れる。<br />しかし、その直後恋人がモスクワから戻ってきた。少女はなんのためらいもなく青年の手を振りほどき、恋人のもとへ走る。ロマンチストな男とリアリストな女、白夜の幻想だったのだろうか?<br /><br />ドストエフスキーのことはすでに2年前に書いた。ロシアの大家の大作はどれも手ごわいが、学生の頃に読んだ「罪と罰」は愛読書のひとつである。驚くべきことに、ドストエフスキーのファンや研究者の間では、サンクトペテルブルクの主人公ラスコーリニコフの家や、金貸しの老婆を殺した家、ソーニャの家や盗んだ品を隠した家もすべて正確に特定されている。ファンの方々のそれらを巡るツアーでドストエフスキーが歩いた道をたどっている。江川卓氏(もちろん元巨人選手の同姓同名である)著の「謎解き罪と罰」にはその詳細な地図を載せている。この本を手にサンクトペテルブルクを歩いてみた。この町はドストエフスキーが生きた時代からそれほど変化していないのだ。<br /><br />今回ドストエフスキー博物館を訪れた。彼が住んでいた家を保存し、博物館にしたものである。「謎解き罪と罰」によれば、彼はシベリアでの約10年間の懲役刑生活の後、この町に戻り、センナーヤ広場に近い所に居を構えた。彼は「罪と罰」に登場するラスコーニコフ、ソーニャ、金貸し老婆などの家は、当時彼が住んでいたセンナーヤ広場の周辺に選んでいる。ソーニャの勧めで大地に接吻し、殺人を告白して主人公の魂の浄化が行われたセンナーヤ広場の、この小説が書かれた当時の雰囲気は、大規模な区画整理によって失われてしまっている。当時のランドマークだったウスペーニエ寺院はソビエト時代に破壊されてしまい、マクドナルドが時代の流れを感じさせる。<br /><br />「ヴィースバーデン」旅行記に書いたように、「罪と罰」を執筆中、愛人とともにドイツ、ヴィースバーデンに逃避行し、ギャンブルにはまっている。その後、サンクトペテルブルクでは引越しを繰り返し、最後にモスクワ駅に近いこの家で1878年から1881年まで住み、生涯を終えた。博物館の展示はほとんどロシア語のみで、少ない知識から想像するしかないが、彼の生涯をしのぶことができる。

白夜のサンクトペテルブルク④:ドストエフスキーの歩いた道を辿る

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2011/07/23 - 2011/07/24

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ハンク

ハンクさん

ドストエフスキー(1821-1881)に「白夜」という小説がある。貧しい青年が少女と出会いほろ苦い恋に落ちる、ペテルブルクでの白夜の4夜の物語である。青年はある白夜の夜に知り合った少女に、空想話を長々と語って聞かせる。少女は1年たったら迎えに来ると言ってモスクワに旅立ち、そのまま音信不通になってしまった恋人を待っている、と青年に話す。青年は少女に同情し、同時に少女に強く惹かれる。青年と語らう夜を繰り返すうちに、少女は恋人に失望していき、最後の夜に少女は、恋人に裏切られた憎しみを青年に語り、そして青年の恋を受け入れる。
しかし、その直後恋人がモスクワから戻ってきた。少女はなんのためらいもなく青年の手を振りほどき、恋人のもとへ走る。ロマンチストな男とリアリストな女、白夜の幻想だったのだろうか?

ドストエフスキーのことはすでに2年前に書いた。ロシアの大家の大作はどれも手ごわいが、学生の頃に読んだ「罪と罰」は愛読書のひとつである。驚くべきことに、ドストエフスキーのファンや研究者の間では、サンクトペテルブルクの主人公ラスコーリニコフの家や、金貸しの老婆を殺した家、ソーニャの家や盗んだ品を隠した家もすべて正確に特定されている。ファンの方々のそれらを巡るツアーでドストエフスキーが歩いた道をたどっている。江川卓氏(もちろん元巨人選手の同姓同名である)著の「謎解き罪と罰」にはその詳細な地図を載せている。この本を手にサンクトペテルブルクを歩いてみた。この町はドストエフスキーが生きた時代からそれほど変化していないのだ。

今回ドストエフスキー博物館を訪れた。彼が住んでいた家を保存し、博物館にしたものである。「謎解き罪と罰」によれば、彼はシベリアでの約10年間の懲役刑生活の後、この町に戻り、センナーヤ広場に近い所に居を構えた。彼は「罪と罰」に登場するラスコーニコフ、ソーニャ、金貸し老婆などの家は、当時彼が住んでいたセンナーヤ広場の周辺に選んでいる。ソーニャの勧めで大地に接吻し、殺人を告白して主人公の魂の浄化が行われたセンナーヤ広場の、この小説が書かれた当時の雰囲気は、大規模な区画整理によって失われてしまっている。当時のランドマークだったウスペーニエ寺院はソビエト時代に破壊されてしまい、マクドナルドが時代の流れを感じさせる。

「ヴィースバーデン」旅行記に書いたように、「罪と罰」を執筆中、愛人とともにドイツ、ヴィースバーデンに逃避行し、ギャンブルにはまっている。その後、サンクトペテルブルクでは引越しを繰り返し、最後にモスクワ駅に近いこの家で1878年から1881年まで住み、生涯を終えた。博物館の展示はほとんどロシア語のみで、少ない知識から想像するしかないが、彼の生涯をしのぶことができる。

旅行の満足度
4.0
観光
4.5
ホテル
4.0
グルメ
4.5
ショッピング
4.0
交通
4.0
同行者
一人旅
一人あたり費用
30万円 - 50万円
交通手段
タクシー 徒歩 飛行機
航空会社
フィンランド航空
  • ドストエフスキー文学記念博物館、彼が1878年から1881年死去するまで住んだ家

    ドストエフスキー文学記念博物館、彼が1878年から1881年死去するまで住んだ家

  • ドストエフスキー文学記念博物館の入り口、地階は少し道路より低い

    ドストエフスキー文学記念博物館の入り口、地階は少し道路より低い

  • ドストエフスキー文学記念博物館からの眺め

    ドストエフスキー文学記念博物館からの眺め

  • ドストエフスキーの家の居間のコーナーにある机

    ドストエフスキーの家の居間のコーナーにある机

  • ドストエフスキーの家のダイニング

    ドストエフスキーの家のダイニング

  • ドストエフスキーの家の書斎

    ドストエフスキーの家の書斎

  • ドストエフスキーゆかりの写真などが展示された部屋<br />

    ドストエフスキーゆかりの写真などが展示された部屋

  • ドストエフスキーの家の近くにあるエジプト風の装飾を持つ家

    ドストエフスキーの家の近くにあるエジプト風の装飾を持つ家

  • イサック聖堂がちらりと見えるモイカ川沿いの裏通り

    イサック聖堂がちらりと見えるモイカ川沿いの裏通り

  • モイカ川を行くクルーズ船

    モイカ川を行くクルーズ船

  • モイカ川を行くクルーズ船

    モイカ川を行くクルーズ船

  • ネフスキー通りに交わるマラタ通り、ドストエフスキー博物館から近い

    ネフスキー通りに交わるマラタ通り、ドストエフスキー博物館から近い

  • 以前滞在したヘルベティアホテル、スイス人の建築家による設計、スイス領事館も入っており極めて快適

    以前滞在したヘルベティアホテル、スイス人の建築家による設計、スイス領事館も入っており極めて快適

  • ヘルベティアホテルはドストエフスキー博物館から徒歩5分のマラタ通りにある

    ヘルベティアホテルはドストエフスキー博物館から徒歩5分のマラタ通りにある

  • ハンガリー領事館が入る建物、マラタ通りのヘルベティアホテルの並びにある

    ハンガリー領事館が入る建物、マラタ通りのヘルベティアホテルの並びにある

  • ドストエフスキー博物館からモスクワ駅に向かう小路を走るトラム

    ドストエフスキー博物館からモスクワ駅に向かう小路を走るトラム

  • アレクサンドル・ネフスキー大修道院の墓地にあるドストエフスキーの墓

    アレクサンドル・ネフスキー大修道院の墓地にあるドストエフスキーの墓

  • ドストエフスキー博物館に近いウラジーミル聖堂

    ドストエフスキー博物館に近いウラジーミル聖堂

  • 「罪と罰」にしばしば登場するセンナーヤ広場

    「罪と罰」にしばしば登場するセンナーヤ広場

  • センナーヤ広場のマクドナルド、時代の流れを感じさせる

    センナーヤ広場のマクドナルド、時代の流れを感じさせる

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