1983/02/01 - 1983/02/01
8813位(同エリア16385件中)
漣さん
世界遺産になる為に。
世界遺産には暫定リストというものが存在します。
世界遺産になる為にはまず、各国の統括機関の推薦を経てこのリストに登録される必要があります。
このリストから推薦物件を選び所定の期間までに推薦書を提出、ICOMOSやIUCNの諮問機関の審査を経て毎年6月ごろに開かれる世界遺産委員会で登録が審議されます。
つまりこれは準世界遺産とも言えるリスト。ここから将来世界遺産に登録されるであろう物件を探し出し訪問しておくことは世界遺産マニアにとっては旅行の際の指針の1つともなります。
実際、これはいけると思って訪問した物件が登録されると「やった」となりますし、そもそも登録後の世界遺産と比べ情報量が圧倒的に少ない為どこにあるのかさえ不明で辿りついた時の達成感はむしろこっちの方が上だったりします・・・が最近は情報の流出が早い為、近く審査を受ける物件が分かりやすくなってきてはいます。
今まで事前訪問の後に登録された物件としては日本の平泉、紀伊山地の霊場と参詣道をはじめ、オーストラリアのオペラハウス・囚人遺跡・王立展示館とカールトン庭園・パヌルル国立公園、ポーランドの百周年記念会館・ムスカウ庭園、フランスのヴォーバンの要塞・ボルドーの月の港、イギリスのリヴァプールの海商都市、メキシコのカミノレアル・サンミゲルとアトトニルコの聖域、キューバのカマグエイ、オランダのアムステルダムがあります。
ここでは、審査を受けたものの登録延期となっている物件を含めた既訪問の物件を載せています。
※本リストは先駆者のどんぴさんの了承を得る事によって作成に至りました。毎回世界遺産マニアの心をくすぐる面白リストを作られるどんぴさんの旅行記は目が離せません。
ちなみにエリアはユネスコの本部があるパリ、旅行時期に関してはどんぴさんと同じに設定してあります。
http://4travel.jp/traveler/donpi/album/10573827/
- 旅行の満足度
- 5.0
- 観光
- 5.0
- 交通手段
- 鉄道 高速・路線バス 観光バス 船 自転車 タクシー ヒッチハイク 徒歩 飛行機
PR
-
【暫001】国立西洋美術館本館
Main Building of the National Museum of Western Art
日本
評価:★★★
記載日:2007年9月14日
20世紀で最も影響力を持った建築家として認定されている、フランクロイドライト、ミースファンデルローエと並ぶ近代建築の3大巨匠の1人ル・コルビュジエの設計による「無限発展の美術館」の1つ。
フランスとの共同推薦の話を受けフランス任せで進めた結果、インドのアーメダバードなどにもある他の「無限発展の美術館」との比較検討が完璧ではないと評価されてしまうという、他人任せにした結果がこれだよといわんばかりの登録不可の勧告。
共同推薦が近年のトレンドではあっても鉄則は守らないといけないようです。 -
【暫002】古都鎌倉の社寺とその他の構造物
Temples, Shrines and other structures of Ancient Kamakura
日本
評価:★★★★
記載日:1992年10月01日
日本初の武家政権樹立という輝かしい歴史に裏打ちされた古都。観光地としても景観地区としても整備が進んでおり小旅行の目的地としてとても人気があります。
実際私も何回も訪れています。いい町です。世界遺産になって欲しいと思います。
ただ、武家政権を前面に押し出す場合、政所などの政治の拠点の遺構の存在などが重要になり、社寺のみが残る現在の鎌倉ではシナリオ作りが非常に難しいと思っています。
※写真はどこにやったか現在不明の為、ウォンバット注意の標識を代わりに載せてあります。 -
【暫003】富岡製糸場と関連産業遺産
The Tomioka Silk Mill and Related Industrial Heritage
日本
評価:★★★★★
記載日:2007年1月30日
明治維新を支えた産業革命の歴史を今に伝える非常に貴重な産業遺産です。
アジアにおいてここまで良好に保存されている軽工業の産業遺産は無いのではないでしょうか。
欧州と日本の技術の交流によるアジアの近代化・産業革命といったメインシナリオの構成も文句なしです。あえて言うなら推薦物件は富岡製糸場だけでもいいと思います。
個人的に考える、登録の可能性が高い日本の物件の1つです。 -
【暫004】チェスキーラーイの岩石都市
Cesky・raj (Czech Paradise) Rock Cities
チェコ
評価:★★★
記載日:2001年1月19日
多くの屹立する奇岩地帯の上に城館などが建てられている、チェコの楽園と言われる奇観が広がっています。
プラハから日帰り可能な立地という事もあり、週末は多くのハイキング客で賑わう人気の観光地です。
また、ジオパークにも認定されていて地質学的にも価値のある場所です。
2004年の自然遺産としての推薦の際には登録延期の勧告となってしまいましたが、周囲に広がる文化的景観を以ての再推薦の可能性について言及されいます。 -
【暫005】フラニャ野戦病院
Franja Partisan Hospital
スロヴェニア
評価:★★★
記載日:2000年6月16日
世界大戦時に建設され、多くの人種を救った野戦病院。
ここで開発された医療器具なども存在し、野戦病院ではありながらも最小限の死者を出すに留めている。
戦時は決して敵軍に発見されない入り組んだ渓谷の奥地に建てられたが、現在は近くまで道路が通り最寄りの町はスキーや登山の基地として賑わっています。
近年、土砂崩れによる被害を受けたとのこと。
2003年の審議の際、不登録勧告を受けて以来再推薦には至ってません。 -
【暫006】ミンスクのフランシスカ・スカリナ大通りの建築群
Architectural ensemble of Francysk Scaryna avenue in Minsk (1940's -1950's)
ベラルーシ
評価:★★★
記載日:2004年1月30日
ミンスクの駅前から延びる大通りにそそり立つ歴史主義的なビル群です。
日本で言うと銀座和光を大きくしたようなビルがひたすら並んでるような感じでしょうか。
裁判所や国会議事堂などでもないのにギリシャ神殿の様な門構えのビルがずらずら並んでるわけですからなんともソ連的というか落ち着かない街並みです。
いや、これだけやってくれると逆に爽快というか。同じ社会主義時代を象徴するスターリンアンピールの様に建物全てにこの様式の特徴の★飾りが付いていたら面白かったんですけどね。 -
【暫007】バフチサライのハンの宮殿
Bagçesaray Palace of the Crimean Khans
ウクライナ
評価:★★★★
記載日:2003年7月7日
かつて次々と滅亡していった汗(ハン)国の内、20世紀にロシア軍の侵攻を受けるまで残ったクリミアハン国のハンが暮らした宮殿です。
モンゴルとイスラムの建築様式が融合した独特な佇まいに加え、クリミアタタールの民族意識を象徴する重要な記念碑として暫定リストに載っています。
ここは個人的に登録の可能性の非常に高い場所として踏んでおり、推薦されるのを今か今かと待っています。 -
【暫008】トラカイ歴史国立公園
Trakai Historical National Park
リトアニア
評価:★★★★
記載日:2003年7月28日
首都ビリニュスから25kmほどの小さな街に残る、トラカイ城や関連遺跡とそれを囲む湖の景勝地区です。
先史時代からリトアニア大公国の首都であった頃の遺構まで幅広く残っていてリトアニアの歴史を知る上で重要な場所です。
2005年に審査を受けましたが、結果はどの基準にも満たない不登録という厳しいものでした。 -
【暫009】ヴェンタ川の原生渓谷のクルディーガ旧市街
Kuldiga Old Town in the Primeval Valley of the River Venta
ラトビア
評価:★★
記載日:2011年4月18日
ラトビアの鄙びた地方都市といった感じの、落ち着いた街並みが残っています。
特筆すべき特徴というものが見られない、どこにでもあるような街並みにしか見えませんが・・・キューバのカマグエイなども同様でしたがこういった小都市が意外な価値を示して世界遺産になるということはままあることです。
記載日が2011年になっていますが、以前見た時はもっと前から記載になっていたはずです。
ユネスコの暫定リストのページが更新され適用基準等が記されているという事は・・・推薦が迫ってきているという事なのでしょうか。 -
【暫010】クレッサーレ城
Kuressaare Fortress
エストニア
評価:★★★
記載日:2002年4月28日
ガイドブックなどにはドラクエに出てきそうな直角な城であると載っていたりするクレッサーレ城はエストニアの西端、サーレマー島に位置しています。
かつてこの地を蹂躙したチュートン騎士団との戦いの為に発展した、防衛に適したこの城は僧院型と呼ばれるものでバルト海沿岸地域で唯一現存する城郭な為、2004年の審査の際には旧市街も含め基準《4》で登録可能との勧告が下っています。
現在エストニアは旧市街も含めた管理計画を進めているとのことで、再推薦を待っています。 -
【暫011】パイミオのサナトリアム
Paimio Hospital (formerly Paimio Sanatorium)
フィンランド
評価:★★★★★
記載日:2004年1月28日
フィンランドが誇る世界的建築家、アルヴァー・アアルトの代表作の1つです。
患者の療養と健康を第一に考えて設計されたサナトリアムは世界的な療養施設の模範として認識されています。
現在も建設当時の、森に囲まれた穏やかな環境の中に佇んでいるかつてのサナトリアムは現在は総合病院となっていて、個人での訪問も可能となっています。
最寄りの町トゥルクからはここを訪問する建築ツアーが催行されていて、通常は入れない屋上や病室なども見学可能になっています。
2007年の委員会に推薦されましたが、同じくサナトリアム建築で暫定リストにあるオランダのゾンネストラールのサナトリアムなど、他の療養施設との比較検討不足を理由に登録延期の勧告を受けて以来再推薦はされていません。 -
【暫012】ブルガールの歴史的建築的総体
The Bolgar historical-architectural complex
ロシア
評価:★★★★★
記載日:1998年8月31日
世界最北と言われるヴォルガ・ブルガールのイスラム国家の遺跡です。
ヴォルガ・ブルガールは西はヨーロッパ、東は中国まで幅広い交易網を有していた有力国家でもありました。
私が世界で最初に見たイスラム建築は実はここだったりします。
ロシアに行こうと思った理由の1つでもあります。
実際、ほとんど情報の無いままカザンの近郊に存在するという知識だけで行ってしまいましたが運よく訪問する事が出来ました。
2000年、2001年と推薦されましたが建設当時のものと違う建材を使用したのではないかという大ミナレットの修復問題や近郊の工場建設問題などにより登録延期となっていましたが、近年になり再推薦の動きが出てきた模様です。
問題が全てクリアーとなれば基準《3》の下、登録可能であるとの評価も出ています。
ぜひタタールスタン共和国には頑張ってもらいたいところです。 -
【暫013】ル・コルビュジエの建築群
Architectural Works of Le Corbusier (31/01/2006)
フランス
評価:★★★★★
記載日:2006年1月31日
フランス主導で進めていた【暫001】にある国立西洋美術館も含めたコルビュジエの建築作品の内、フランスにある暫定リスト物件です。
最初、共同推薦の話が出た時、聞いたことも無い作品名がずらずらと並んでいて、コルビュジエの建築で世界遺産になるほどの代表性があるのはインドのチャンディガール以外はフランスにみんなあるのにと思っていたので、個人的に絶対いけると思っていた3件、サヴォワ邸・マルセイユのユニテ・ロンシャンの礼拝堂の3件を訪問しました。
結果、ICOMOSの勧告もこの3件のみ基準に該当するとの判断でした。 -
【暫014】コンスタンシア・メヒカーナの紡績工場と居住地域の産業総体
Industrial complex of the textile factory La Constancia Mexicana and its housing area
メキシコ
評価:★★★★
記載日:2004年12月6日
メキシコはプエブラの郊外にある紡績工場の跡地です。
19世紀、ヨーロッパから持ち込まれた新たな技術を以て建てられた中米初の紡績工場でメキシコの産業革命に大きな役割を果たしました。
訪問当時はボロボロで、修復の為閉鎖されていましたが管理人に頼み込み内部見学を達成。産業遺産などの近代化遺産の場合、かける熱意が違います。
個人的には富岡製糸場のライバル的存在と踏んでいて、どちらが先に推薦されるか楽しみにしています。 -
【暫015】平壌の歴史的遺構
Historical Relics in Pyongyang
北朝鮮
評価:★★
記載日:2000年5月25日
近くて遠い北の国にも世界遺産の暫定リストに記載されている物件は存在します。
これは首都とその近郊に点在する歴史的遺構をまとめたもので、先史時代の遺跡(北朝鮮独自の見解もかなり含まれるため真偽のほどは分かりませんが)から高句麗時代の城址などまで幅広く含まれているようです。
北朝鮮で町を歩いていると申し合わせたかのように遊び回る子供やレストランで盛り上がる集団に遭遇します。
また、北朝鮮は一部に強烈なリピーターが存在するそうです。 -
【暫016】開城の歴史的遺構
Historical Relics in Kaesong (25/05/2000)
北朝鮮
評価:★★★★
記載日:2000年5月25日
北緯38度線、韓国との国境近くにある高句麗から李氏朝鮮時代までの重要な都市であった頃の遺構が残っています。
殆どが韓国にある李氏朝鮮の王陵群の内、2基だけがこの開城にあります。
ここは先述通り韓国との国境に近い為、韓国からの観光ツアーも催行されていたのですが2008年12月以降、2011年7月現在まで再開されていません。
世界遺産への推薦の推移としては2008年に一度推薦されましたが、王建王陵の修復に関する完全性の問題で登録延期となり現在まで至っています。
ちなみにその時の評価としては、基準《2》《3》に合致するというものでした。 -
【暫017】コントールハウス地区のチリハウスと倉庫街
Speicherstadt and Chilehaus with Kontorhaus District
ドイツ
評価:★★★★★
記載日:1999年9月20日
ドイツ北部最大、河川港としては世界最大の港町であるハンブルクの観光名所です。
倉庫街は世界最大の規模で残っているもので、伝統的な北ドイツの建築様式を踏襲しつつ港湾倉庫としての機能を発展させたものとなっています。
それとは対照的にコントールハウスと呼ばれるオフィスビルに用いられるようになったこの建築様式は北米を出発点としハンブルクを中心に広く普及するようになりました。
非耐力壁を使わない反面、鋼やコンクリートの建材を使う事で強度を保ちつつビル内部のフロア設計が自由となり見た目にも美しいこの建築様式の代表が写真のチリハウスです。
チリの硝石輸入で莫大な財をなした人物が施主であった為この様な名前になったそうです。
と、ここまで書いていてこの物件は登録の可能性がかなり高いと思えてきました。
2016年には推薦予定との噂を聞いていましたが、最近のドイツの各物件の推薦の遅れを見る限りもう少し先になりそうです。 -
【暫018】セルウィラからスリーパーダまでのマハーウェリ川沿いの古代の巡礼路
Seruwila to Sri Pada (Sacred Foot Print Shrine), Ancient pilgrim route along the Mahaweli river in Sri Lanka
スリランカ
評価:★★★
記載日:2010年4月29日
スリランカ北東部の町セルウィラから中部の聖山スリーパーダまでの長い巡礼路に残る記念碑の集合です。
聖山スリーパーダは仏教やヒンドゥー教だけでなくキリスト教においても聖地とされていて多くの巡礼客が訪れます。
この物件には既に世界遺産として登録されているポロンナルワやキャンディの仏歯寺なども含まれている為、そこを訪問している人は自動的にこの暫定リスト物件も訪問した事になります。
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この旅行記へのコメント (2)
-
- どんぴさん 2011/07/02 22:10:18
- さすがです
- 漣さん版の暫定リストのリストを楽しみにしてました。
期待通り、濃いですね〜。
フラニャ野戦病院とか(笑)
私の場合、ブリュッセルの2件(最高裁判所、ギャルリー・ロイヤル・サン・チュベール)以外は暫定リストに入ってるとは知らずに行ったところばかりなのですが、漣さんの場合は狙って行ってるのが凄いです。
今後もこのリストが増えていくのを楽しみにしてます(^_^)
- 漣さん からの返信 2011/07/03 12:06:16
- RE: さすがです
- 早速の書き込みありがとうございます。
フラニャ野戦病院は1時間以上歩いてやっと辿り着いた思い出の場所です。なんせ敵軍に見つからないよう奥地に建てられたものですからw
最近は旅行の日数が取れないので暫定リストまで訪問できないのが現状ですが、なんとか数を増やしたいですね。
それと、意外にこのリスト反響があってどんぴさんより先に2人の方から投票頂きました。
ほとんど得票のない拙旅行記では考えられない快挙ですw
マニアック旅行記でもそれなりに需要があったようで嬉しい限りですw
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