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豪州が全くもって自由な国と言うのは、このCapiatal Hillの麓、国会議事堂の真下にAboriginal Siteがあることだった。最初は何のことか分からなかった。旧議事堂の前から真っ直ぐ伸びたグリフィン湖に向かうランウエイの写真を撮っていると、その真ん中に一条の煙が見える。この風光明媚な街の中で、たき火をするなどとは何と無粋な人間もいるのだろう。先刻の自転車の警官が直ぐにやってきて、何故ストップを掛けないだろう。といぶかしく、その煙の在処を追って行くと、何か奇妙な掘っ立て小屋のようなものが見える。又、旗とか幟のようなものも見える。<br /><br />真っ赤なペイントで殴り書きされたような文字を見て、その煙の原因が漸く理解できた。ここはAboriginal Siteだったのだ。この煙は彼等ののろしであり、人々に注意を惹きつけるものだった。少数民族、被虐民族の存在をこの首都のど真ん中の国会議事堂の目の前で主張していたのだ。何と自由な国だろう。日本のアイヌ人がもしも霞が関でこんなことをしたら、1日も置かずに排除されるだろう。しかしここキャンベラでは彼等は全く自由に振る舞い、政府もそれを容認している。いや、むしろそうした活動を援助し、補助しているかも知れない。それが本当の博愛かも知れない。<br /><br />日本人が混同し、間違って理解しているのは、人権の主張と自由の混同。人権は守られなければならない。しかしそれは公共の利益の元に守られなければならないことであって、利害に反することをしたらそれは個人の欲望に過ぎず、排除されなければならない。<br /><br />成田空港のど真ん中に1坪地主か何か知らないが、離着陸に危険な1軒家を建て、空港建設に反対している。政府も又腕をこまねき、排除もしない。又、国道建設で、1軒だけ邪魔な家が立ち退かず、その部分だけ国道が狭まって、交通のネックとなっている。こんなのは権利の主張でも何でもなく、我儘な利己主義にしか過ぎない。日本の政府もだらしがない。こうした不純行為者を排除しようとしない。豪州だったら即座に綺麗にするだろう。そうしてこのような、他の第三者には殆ど迷惑を掛けないアボリジニの人権家は厚く保護する。それが人権の保護であり、民主国家である。日本は個人も政治もそれが分かっていない。<br /><br />このAboriginal Siteから静かに上る一条の煙を見ていて、実に豪州の素晴らしさをしみじみと思った。人が自由に生き、権利を主張する。自由と民権、Magna Cartaの理想がこの煙の中に集約されている思いもした。水の多い町作りだ。あちこちに水鳥、小鳥が飛び回っていた。

『燃える大地』<ゴンドワナの大陸を旅して>(191)Aboriginal Site。

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2010/04/25 - 2010/05/10

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ちゃお

ちゃおさん

豪州が全くもって自由な国と言うのは、このCapiatal Hillの麓、国会議事堂の真下にAboriginal Siteがあることだった。最初は何のことか分からなかった。旧議事堂の前から真っ直ぐ伸びたグリフィン湖に向かうランウエイの写真を撮っていると、その真ん中に一条の煙が見える。この風光明媚な街の中で、たき火をするなどとは何と無粋な人間もいるのだろう。先刻の自転車の警官が直ぐにやってきて、何故ストップを掛けないだろう。といぶかしく、その煙の在処を追って行くと、何か奇妙な掘っ立て小屋のようなものが見える。又、旗とか幟のようなものも見える。

真っ赤なペイントで殴り書きされたような文字を見て、その煙の原因が漸く理解できた。ここはAboriginal Siteだったのだ。この煙は彼等ののろしであり、人々に注意を惹きつけるものだった。少数民族、被虐民族の存在をこの首都のど真ん中の国会議事堂の目の前で主張していたのだ。何と自由な国だろう。日本のアイヌ人がもしも霞が関でこんなことをしたら、1日も置かずに排除されるだろう。しかしここキャンベラでは彼等は全く自由に振る舞い、政府もそれを容認している。いや、むしろそうした活動を援助し、補助しているかも知れない。それが本当の博愛かも知れない。

日本人が混同し、間違って理解しているのは、人権の主張と自由の混同。人権は守られなければならない。しかしそれは公共の利益の元に守られなければならないことであって、利害に反することをしたらそれは個人の欲望に過ぎず、排除されなければならない。

成田空港のど真ん中に1坪地主か何か知らないが、離着陸に危険な1軒家を建て、空港建設に反対している。政府も又腕をこまねき、排除もしない。又、国道建設で、1軒だけ邪魔な家が立ち退かず、その部分だけ国道が狭まって、交通のネックとなっている。こんなのは権利の主張でも何でもなく、我儘な利己主義にしか過ぎない。日本の政府もだらしがない。こうした不純行為者を排除しようとしない。豪州だったら即座に綺麗にするだろう。そうしてこのような、他の第三者には殆ど迷惑を掛けないアボリジニの人権家は厚く保護する。それが人権の保護であり、民主国家である。日本は個人も政治もそれが分かっていない。

このAboriginal Siteから静かに上る一条の煙を見ていて、実に豪州の素晴らしさをしみじみと思った。人が自由に生き、権利を主張する。自由と民権、Magna Cartaの理想がこの煙の中に集約されている思いもした。水の多い町作りだ。あちこちに水鳥、小鳥が飛び回っていた。

旅行の満足度
4.0
  • 旧議事堂前からグリフィン湖、ブラックMt.に向け写真を撮っていると、真ん中に変な煙が立ち伸びている。

    旧議事堂前からグリフィン湖、ブラックMt.に向け写真を撮っていると、真ん中に変な煙が立ち伸びている。

  • 煙の正体はアボリジニが上げているものだった。

    煙の正体はアボリジニが上げているものだった。

  • それを黙って見続けている豪州建国の父。

    それを黙って見続けている豪州建国の父。

  • その近くにはアボリジニ人権家のキャンプなどもある。

    その近くにはアボリジニ人権家のキャンプなどもある。

  • 豪州は実に大らかな国だ。国会のすぐ前の場所で、こうした人権家に自由な活動させている。

    豪州は実に大らかな国だ。国会のすぐ前の場所で、こうした人権家に自由な活動させている。

  • 彼等も又のんびりしたもので、政府との敵対感情はないみたいだ。

    彼等も又のんびりしたもので、政府との敵対感情はないみたいだ。

  • 旧議事堂前の路面にはアボリジニの描いた線描画が一面に描かれている。

    旧議事堂前の路面にはアボリジニの描いた線描画が一面に描かれている。

  • 当方には芸術性は良く分からないが、国会の前でこのようなことをさせる、自由闊達な国と思う。

    当方には芸術性は良く分からないが、国会の前でこのようなことをさせる、自由闊達な国と思う。

  • 家とか水の多い町で、あちこちに水鳥を見る。

    家とか水の多い町で、あちこちに水鳥を見る。

  • 近くに大きな湖もあるのに、鳥たちも人が恋しいのか・・

    近くに大きな湖もあるのに、鳥たちも人が恋しいのか・・

  • さて、最後にもう一度旧議事堂に別れを告げ、グリフィン湖に向かう。

    さて、最後にもう一度旧議事堂に別れを告げ、グリフィン湖に向かう。

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