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1、ツァールスコエ・セロ、女帝エカテリーナの離宮 <br /><br />ツァールスコエ・セロとは皇帝の村という意味でサンクトペテルブルクから南へ約25km、現在はプーシキン市と呼ばれるところにある。この目玉はエカテリーナ宮殿(写真1−7)、ただし(女帝)エカテリーナ2世ではなく、ピョートル大帝の妃、1世のために1724年建設された。その後1752年、エリザヴェータの命でエルミタージュの冬宮を設計した建築家ラストレッリ(写真3)の手でバロック様式に大改修が行われている。エルミタージュの黄緑に対してここは鮮やかな水色であるが、建築様式は非常に類似している。 さらにエカテリーナ2世の時代にもクラシック様式での改装が行われており、様々な建築様式が混在している。 <br /><br />井上靖「おろしや国酔夢譚」に描かれているように、1791年6月大黒屋光太夫がエカテリーナ2世に拝謁し帰国の許可を得たのがここの大広間(写真6−7)であったそうだ。第二次大戦中にドイツ軍による破壊を受けたが、改修が続いており、改修工事の状況を目の当たりにすることができる(写真12)。 <br /><br />エカテリーナ宮殿といえば「琥珀の間」について語らないわけにはいかない。 <br />18世紀初頭、当時のプロイセン王、フリードリッヒ1世が壁一面を琥珀で覆った部屋の建設を始めたが、完成を見ずに亡くなった。息子のフリードリッヒ・ヴィルヘルム1世は「琥珀の間」に興味を示さず、1716年プロイセンを訪れたピョートル大帝にこれらのパネルを譲った。最初女帝エリザヴェータはラストレッリに命じて冬宮の中に琥珀の間を作らせ1746年に完成した。その後エカテリーナ2世がエカテリーナ宮殿に移築させ、1770年に現在の姿の「琥珀の間」が出来上がった。 <br /><br />しかし、第二次大戦中にエカテリーナ宮殿はドイツ軍に占領され、1944年に撤退する際、「琥珀の間」はそっくり分解されて持ち帰られてしまった。運ばれた「琥珀の間」はケーニヒスベルグ(現カリーニングラード)までは確認されているが、その後は今の謎のままである。ケーニヒスベルク城で焼けてしまったとか、バルト海に沈んでいるとか、現在もこの行方を真剣に追っている人々がいるそうである。ロシア政府はドイツ政府の支援を受け、失われた「琥珀の間」の再現に取り組んできて、2003年のサンクトペテルブルグ建都300年祭に再びその優美な姿を現した。 <br /><br />2、ペテルゴーフ、ピョートル大帝の夏の離宮 <br /><br />近郊のもうひとつの見所はサンクトペテルブルクの南西約30km、フィンランド湾に面したピョートル大帝の夏の宮殿ペテルゴーフ(写真8-12)である。この宮殿も対戦中ドイツ軍によって破壊されたが、現在は見事に修復されている。 <br /><br />ここのすばらしいのはなんといっても凄まじい水量で吹き上がる150以上の噴水(写真13-17)である。海から段々とテラス上に高くなる地形に注目したピョートル大帝自身が、1710年ここに水を生かした宮殿を建設する構想をたてた。この時代ポンプはまだ使用されておらず、22km離れた水源からまず小高い丘の上に水を引き、そこから16mの自然の高低差のみを利用したシステムで水を噴き上げている。これを造ったのは、ロシア人技師のトゥヴォルコフで、1721年に最初の噴水が噴き上がった。当時は木製のパイプを使用していたそうである。 その後補修されているにしても、噴水が現在も見事に噴き上がっていることには、われわれ現代を生きる技術者にとっても驚異的で、ただただ脱帽されられる。 <br /><br />ザルツブルクのヘルンブルン宮殿にも噴水の庭園があるが、スケールははるかにペテルゴーフが勝っている。この庭園にもいたずらの噴水があって、子供達が歓声を上げていた。

ツァールスコエ・セロとペテルゴーフ:女帝エカテリーナとピョートル大帝の離宮

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2008/08/20 - 2008/09/03

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ハンク

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1、ツァールスコエ・セロ、女帝エカテリーナの離宮

ツァールスコエ・セロとは皇帝の村という意味でサンクトペテルブルクから南へ約25km、現在はプーシキン市と呼ばれるところにある。この目玉はエカテリーナ宮殿(写真1−7)、ただし(女帝)エカテリーナ2世ではなく、ピョートル大帝の妃、1世のために1724年建設された。その後1752年、エリザヴェータの命でエルミタージュの冬宮を設計した建築家ラストレッリ(写真3)の手でバロック様式に大改修が行われている。エルミタージュの黄緑に対してここは鮮やかな水色であるが、建築様式は非常に類似している。 さらにエカテリーナ2世の時代にもクラシック様式での改装が行われており、様々な建築様式が混在している。

井上靖「おろしや国酔夢譚」に描かれているように、1791年6月大黒屋光太夫がエカテリーナ2世に拝謁し帰国の許可を得たのがここの大広間(写真6−7)であったそうだ。第二次大戦中にドイツ軍による破壊を受けたが、改修が続いており、改修工事の状況を目の当たりにすることができる(写真12)。

エカテリーナ宮殿といえば「琥珀の間」について語らないわけにはいかない。
18世紀初頭、当時のプロイセン王、フリードリッヒ1世が壁一面を琥珀で覆った部屋の建設を始めたが、完成を見ずに亡くなった。息子のフリードリッヒ・ヴィルヘルム1世は「琥珀の間」に興味を示さず、1716年プロイセンを訪れたピョートル大帝にこれらのパネルを譲った。最初女帝エリザヴェータはラストレッリに命じて冬宮の中に琥珀の間を作らせ1746年に完成した。その後エカテリーナ2世がエカテリーナ宮殿に移築させ、1770年に現在の姿の「琥珀の間」が出来上がった。

しかし、第二次大戦中にエカテリーナ宮殿はドイツ軍に占領され、1944年に撤退する際、「琥珀の間」はそっくり分解されて持ち帰られてしまった。運ばれた「琥珀の間」はケーニヒスベルグ(現カリーニングラード)までは確認されているが、その後は今の謎のままである。ケーニヒスベルク城で焼けてしまったとか、バルト海に沈んでいるとか、現在もこの行方を真剣に追っている人々がいるそうである。ロシア政府はドイツ政府の支援を受け、失われた「琥珀の間」の再現に取り組んできて、2003年のサンクトペテルブルグ建都300年祭に再びその優美な姿を現した。

2、ペテルゴーフ、ピョートル大帝の夏の離宮

近郊のもうひとつの見所はサンクトペテルブルクの南西約30km、フィンランド湾に面したピョートル大帝の夏の宮殿ペテルゴーフ(写真8-12)である。この宮殿も対戦中ドイツ軍によって破壊されたが、現在は見事に修復されている。

ここのすばらしいのはなんといっても凄まじい水量で吹き上がる150以上の噴水(写真13-17)である。海から段々とテラス上に高くなる地形に注目したピョートル大帝自身が、1710年ここに水を生かした宮殿を建設する構想をたてた。この時代ポンプはまだ使用されておらず、22km離れた水源からまず小高い丘の上に水を引き、そこから16mの自然の高低差のみを利用したシステムで水を噴き上げている。これを造ったのは、ロシア人技師のトゥヴォルコフで、1721年に最初の噴水が噴き上がった。当時は木製のパイプを使用していたそうである。 その後補修されているにしても、噴水が現在も見事に噴き上がっていることには、われわれ現代を生きる技術者にとっても驚異的で、ただただ脱帽されられる。

ザルツブルクのヘルンブルン宮殿にも噴水の庭園があるが、スケールははるかにペテルゴーフが勝っている。この庭園にもいたずらの噴水があって、子供達が歓声を上げていた。

旅行の満足度
4.0
観光
4.5
ホテル
4.0
グルメ
4.0
ショッピング
3.5
交通
3.5
同行者
社員・団体旅行
一人あたり費用
30万円 - 50万円
交通手段
観光バス 飛行機
航空会社
ルフトハンザドイツ航空
旅行の手配内容
ツアー(添乗員同行あり)

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  • ツァールスコエ・セロ、エカテリーナ宮殿のファサード

    ツァールスコエ・セロ、エカテリーナ宮殿のファサード

  • ツァールスコエ・セロ、エカテリーナ宮殿のファサード

    ツァールスコエ・セロ、エカテリーナ宮殿のファサード

  • 建築家ラストレッリの像

    建築家ラストレッリの像

  • 居眠りする天使

    居眠りする天使

  • エカテリーナ宮殿内のダイニングルーム

    エカテリーナ宮殿内のダイニングルーム

  • エカテリーナ宮殿の大広間

    エカテリーナ宮殿の大広間

  • エカテリーナ宮殿大広間の陶器の暖房機

    エカテリーナ宮殿大広間の陶器の暖房機

  • 豪華な装飾の出入り口

    豪華な装飾の出入り口

  • 絵画で埋め尽くされた壁

    絵画で埋め尽くされた壁

  • ダイニングの装飾品

    ダイニングの装飾品

  • 風景画で飾られた居間

    風景画で飾られた居間

  • 改修中のエカテリーナ宮殿の内部

    改修中のエカテリーナ宮殿の内部

  • ぺテルゴーフ、ピョートル大帝の離宮の大噴水

    ぺテルゴーフ、ピョートル大帝の離宮の大噴水

  • ぺテルゴーフ、ピョートル大帝の離宮の大噴水

    ぺテルゴーフ、ピョートル大帝の離宮の大噴水

  • ぺテルゴーフの階段の噴水

    イチオシ

    ぺテルゴーフの階段の噴水

  • ぺテルゴーフの階段の噴水

    ぺテルゴーフの階段の噴水

  • ぺテルゴーフで写真を撮るカップル

    ぺテルゴーフで写真を撮るカップル

  • 宮殿内の黄金の像

    宮殿内の黄金の像

  • フィンランド湾に繋がる水路

    フィンランド湾に繋がる水路

  • 樹木にもつけられた噴水

    樹木にもつけられた噴水

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