2010/08/02 - 2010/08/04
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costinさん
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ルーマニアの北西の街、サツマーレからウクライナ国境へと列車で進む。
去年とは逆ルートで、ルーマニア→ウクライナへと入った。
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朝、駅まで見送ってくれたエラ。
「お願いが・・・」
「・・・何?」
お願いは、ふたつ。
ひとつは、少年ジャンプが欲しいとの事w
もうひとつは、・・・内緒w -
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エラの住む街からサツマーレ、ヘルメウと続くハンガリー平原の田園風景は、絵に描いたように美しい。
古ぼけた駅舎がぽつんと建っていたり、途切れた電線が夏風に吹かれて揺れている。 -
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サツマーレの駅で鉄道警察に職務質問を受ける。
駅舎内にある詰所で荷物検査。
何も無いので即刻釈放w -
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ヘルメウからボーダー迄は1km程度。
聞くと交通機関は車以外はなさそうなので歩く。
途中、畑を横切り国境警備員の目の前に出る。
「歩いてきたのか?」
「そうだ。」
「どこから来た?」
「ヘルメウの鉄道駅から。」
「何処に行く?」
「ウクライナに入り、リボフに行く予定。」
「OK、パスポート・・いいか?」
パスポートを係官に見せる。
「問題ないね! ただ、ここは車での通過のみなので、そこに並んでいる誰かに頼むと良い。」
数台の車に当たるが断られる。
商業車に金を払うからとお願いしてみたが、
「待ってくれ。問題があると困るんで、電話で聞いてみるよ。」
結局だめだった。
若い兄ちゃんにお願いする。
「勘弁してくれ。見て解かるように、これ等の内何台かは許可が下りずに引き返しているだろ? 俺はオラデアから数百キロ走って来たんだ。今更無駄足は踏みたくないんだよ。」
それでも何とかお願いして隣に乗せてもらう。
ルーマニアは軽く通過。
これらの車の多くは、価格差のあるウクライナに買出しに来ているようだった。
タバコ・ガソリン・その他雑貨。ルーマニアの物価は確かに高い。
「ウクライナ側のパスポート・チェックは2度ある。1箇所に付き、5UAパスポートに挟むんだ。」
「俺もか?」
すると、兄ちゃんの親爺が後ろの車から現れ、
「いや、彼は止めといた方が良い。ただの旅行者が変に気を回すと余計疑われる。」
元々、そんなの出す気の無い俺は、そのままパスポート提出。
正直、他の者の3倍くらい時間をかけられ、念入りにパスポートをいじくり回されたw
『おいおい! ここにICチップの読み取り機なんて無いだろ! 変にいじって壊さないでくれよw』
と言いたくなるほどいじられ、
「ok 日本人。ウクライナにようこそ! 」
ニッコリ頷く俺だった。 -
8月3日の進路。
その兄ちゃんは以前はオリンピックの水球の選手だったそうだが、肩を壊して引退したそうだ。
バス停迄で良いよ、と言ったが、直近の鉄道駅のある町まで送ってくれた。
この兄ちゃん、英語はかなり上手い。
それに加え、・・途中で野良仕事のおっさんに路を聞いた時、
「何語だ、今の? ルーマニア語じゃないよな。」
「ハンガリー語さ。この辺は昔ハンガリーだったから当然通じるんだよ。」
「ほほぅ〜。」
ハンガリー語は国境付近に限らず、ウクライナの南西平原部では十分通じるそうだ。
そして町の入り口のバス停迄送ってくれた。
お礼にと、多少のルーマニア・ロンを渡そうとするが、受け取らない。
そして彼は、涼しい横顔に笑みを浮かべながら走り去っていった。 -
しばらく待ってるとバスが来る。
「●×♪〜#&'''」
良く判らんが・・・鉄道駅までは行くようだ。
鉄道駅に着くと、運転手が何か言ってくるw
どうやら一緒に記念写真を撮りたいようだw
彼の携帯のカメラで1枚。
俺のカメラで1枚。
丁度通りかかった通行人をひっ捕まえて彼は頼んでいた。 -
前回から持ち越しのウクライナ貨幣の残額が残り少ない。
こんな田舎にATMがあるとは想えない。
そこへ丁度列車が到着。
取りあえず乗ってみる事に・・。
終点まで乗って、次の待っていた列車に乗り換え。
途中、車掌が料金徴収に来る。
「どこまで?」
「リボフ!」
「え?w そんなとこ行かないわよ。終点で乗換えね。」
みたいな事を説明される。
平原を走るウクライナ鉄道、鈍行列車の旅。
夕陽を受け、黄金色に照り返す麦畑を臨み、俺は幸福な時間を過ごすのだった。
残り金の少なさに一抹の不安を抱きながら・・・。 -
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終点まで乗った俺は、時計が6時近くを指しているのに気が付く。
『今日はここに泊まることにしよう。』
比較的キレイで大きな駅舎だったので、どうにかなるだろうと考えたのだ。
ほんとにキレイに整備された駅前なのに、何だか閑散としている。
ホームに向かう勤め帰り風の美しい若い女性に、
「近所にATMはある?」
と聞いてみる。
ここでもウクライナの伝説は続く。
何と彼女、「付いて来て!」と云うと、
今来た道を延々駅前広場まで引き返し、
「あそこにポストオフィスが見えるでしょ? あの入り口にあるわ♪」
ウクライナ・・・なんて天国に近い国なんだw
神様が俺にホンの僅かでも『厚顔』のセンスを付与してくれていれば、
「お嬢さん、俺と結婚しませんか?」
くらいは平気で言うんだろうなぁ〜w -
さて金も下ろし、地図も買い、ホテルの場所も教えてもらった。
夕陽を浴び、てくてく歩きホテルに到着。
チェック・インしていると、
ホテルの経営者っぽい男が、
「おい、早く2階に行け!」
と云う。意味が解からなかったが、数秒もしないうちに国境警備の捜査官がホテルに入ってくる。
「パスポートを見せてくれ。」
言われるままに見せる。
「ちょつと、ご同行願いたい。」
って事で、ホテルの前に止まった軍用車の前で何やら連絡を取り合っている。
そのまま車に乗せられ、国境のイミグレーションまで連れて行かれる。
どうやら俺は、ルーマニアから入境し、1日かけて鉄道で西へ西へと移動、スロバカイ・ハンガリー2箇国の国境に到着したらしかったw
事務所で女捜査官に、
「何処に行くの?」
「リボフ、キエフ、オデッサの予定。」
「じゃなんで・・こんなとこウロウロしてるの?」
「鉄道に乗ったらここに着いたんだ、しかも1度乗換えまでしてw」
「何で乗り換えたりしたの?」
「知らんがな。それはウクライナ鉄道に聞いてくれ。」
そうこうしていると、その女捜査官に耳打ちする者がいる。
『こいつ、普通の日本人らしい。もう構うな!』
みたいな会話だったのか?
俺が詳細に事の経緯を説明しようとすると、
「もう、結構です。」
スタスタ外に出て行ってしまった。
俺を連れて来た捜査官は困惑顔で、
「付いて来い。」
喜び勇んで付いて行くw
捜査官は自分の部下で丁度交代になる若い職員に俺をホテルまで送り届けるよう頼んだらしかった。
若い職員は暢気なもので、
「どっから来た?」
「日本。」
「日本! 日本なのか? 俺の車を見てくれ! マツダなんだぜ!」
ホテルまでの帰り道、延々と如何に日本車が優れているかをうんざりするほど聞かされ閉口する俺だったw -
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8月4日の進路。
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翌朝、ホテルを出立。
駅までの道をてくてく歩いていると、道の反対側からふたりの男が手招きする。
よく見ると、今度は軍用車ではなく本物のパトカーが止まっている。
どうやら・・今朝は警官に尋問されるらしいw
パトカーの無線やら、携帯やら使って連絡を取っているが埒が開かない。
まずは署に連行って事に相成った。
パスポート提示を求められ、従う。
この頃になると片方の英語を若干しゃべれるおっさんは、
「ちょっと、外で待っててくれ。」
と言って入り口でタバコを1本恵んでくれるw
余りのお粗末っぷりを見せたくは無かったのだろう。
5分もしないうちに、刑事ふたり組みは署から出てきて、
「さてとw まぁパトカーに乗ってくれ。」
言われるままに乗りこむ。
駅前で降ろされ、
「あのね、この鉄道駅はハンガリー方面にしか行かないから、リボフに行くんなら一度バスでムカチェボまで出た方が良い。バス・ターミナルは・・ほれ、すぐ隣だ!」
ちゃんと駅まで送ってくれた。
パトカーで出立とは・・今日も朝っぱらから縁起が良いやw -
確かにこの駅自体は閑散としているのだが、隣のバールには軍服姿の国境警備隊がうようよいた。
中には制服も凛々しい女性情報将校もいる。
金髪を後ろに纏めお団子を作り、ピン止めしている。
そしてやや斜に構えたつば無しの角帽。
黒のヒールまで履いている。
思わずカメラに手がいく。
『ここで抜いたら・・蜂の巣かも』
ゆっくりとカメラを戻す俺だった。 -
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バスがムカチェボの街に着く頃にはどしゃぶりの雨になっていた。
列車駅迄歩けるような天候じゃない。
仕方なく、バスで進むことにする。
鉄道駅と連絡の取れてそうな町までの切符を買う。
出発まで時間が余っている。
ヒューマン・ウォッチングをしても未だ余る。(この街は、田舎町に置いとけないような美人がかなりいた。)
プラット・ホームの向かいにあるcafeで、ペルメニを試みる。
酢をたっぷりかけて、熱々を食うと中々いける。 -
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2時の出発。
雨の中、バスはカラパチアの最北部の稜線へと登り始める。
そのうち、うつらうつらしながら・・・気がつくと終点だった。
何やらトンでもない山ん中まで来てしまったらしい。
地図で確認すると、目的の鉄道駅から山奥に30kmばかり入り込んでいた。
検札も最初乗り込んですぐやっただけで、降りる時の追加も無かった。
『はて・・どうしたもんかね・・』
降りたバスセンターの掲示マップを見ると、どうやらここはスキー場らしいw
それでも、町は避暑客でもいるのか? そこそこ賑やかだ。
通りに面して青空市場も立っている。
地物の野菜やら果物、蜂蜜、衣類、雑貨・小物、と屋根無し屋台店舗が並んでいる。
「この辺にホテル無いかな?」
露店のおばさんに聞いてみると、すぐ後ろの建物を指差される。
なるほど・・駅至近って訳ね。
階段を登り、2階に上がると、
「お泊り?」
「ええ。」
「じゃ45UAね。」
昨日のホテルの150UAから比べると随分安い。
駅至近・格安ホテルと来たら・・・俺は警戒して、
「ちょっと・・部屋見せてもらっても良いかな?」
「どうぞ、どうぞ」
見ると、10人部屋のドミだw テレビ・冷蔵庫・トイレ・シャワー付き。
「ところで・・・今日お客さんはいるの?」
「何言ってるのw あなたがお客じゃないの」
どうやら・・俺だけらしい。 -
Miжrip'яのメイン・ストリートw
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夕方、近くのcafeに晩食に出る。
ボルシチを啜っていると、薄汚いおっさんが俺の前に座った。
ロシア語で語りかけてくる。
勿論、意味不明だw
そのうちポケットから鉛筆を取り出す。
何か書く紙を要求されているようだ。
俺は単語帳兼メモを手渡すと・・何か書いてる。
どうやら・・俺の似顔絵を描いてくれているようだw
「こんな山ん中で似顔絵描きかよw 酔狂なおっさんだな。」
すると今度は、再び上着のポケットから筆箱を取り出した。
中には、短く2cmほどに縮まった鉛筆だとか、手製の筆ペンとかが入っている。
そのうちの1本、手作りの水彩用の筆ペン細書きらしき物を取り出し、俺の目の前に置いた。
どうやら・・くれるって事らしいw
『こんなの貰ってもしょうがないが・・w』
余りの面白さに、ついついありがたく頂戴した。
おっさん、嬉しそうにニッコリすると、
「申し訳ないが、5UA寄付してくれんかのぉ〜」
ここまで手の込んだ芝居染みた商売を、こんな山奥で見れるとは想わなかったw
感心することしきり・・の俺だった。 -
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夜半、風雨が強くなる。
0時を廻った頃、ホテルの玄関が騒がしくなる。
管理人のおばさんと夜の訪問者が大音量で話している。
以下、想像と状況からの意訳。
男「家に帰る途中、降り込まれて弱ってんだ、どうにか泊めてくれんか?」
主「良いわよ! ただしおふたり別々の部屋よ。」
男「何でだ?」
主「うちは、ラブホじゃないんだから男女一緒はだめなの。」
女「それじゃ、私だけでも・・」
男「え?w」
主「さぁさぁ、あなたは出てってね!」
男「そんなぁ〜w」
この後、しばらくはドアを叩く音が響いていた。
まぁ、男はウォッカを引っ掛けていたのかもね。 -
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翌朝、ベッドの上で・・
『さて・・どうしよう・・』
軽く悩んでいた。
このまま奥へ奥へと突き進むか? それとも素直に鉄道駅まで引き返すか?・・・
以前の俺なら、迷わず『前進!!』
しかし、昨日出くわした「髭のおばあさん」ばかりの村だとかに泊まる羽目になりかねない。
『今日のところは、引き下がるか・・』
あれ? 随分と弱気な自分を発見する。
『まあ・・致し方ないか・・・・・・・歳食ったなぁ・・・』
何やら間の抜けたスキー場の斜面をぼんやり眺めながら、目を細めひとりごちる俺だった。 -
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今日こそは乗り過ごさないように、念入りに地図で示しながら運転手に伝えた。
「頼むから、ここで降ろしてくれ!」 -
約束どおり、鉄道駅と連絡のあるバス停に着くと、振り返りながら俺に降りろと言う。
そして降りようとすると、「待て!」と云う。
何かと想ったら・・「10UAバス代を払ってから降りてくれ!」って事らしいw -
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駅で列車の接続を確認する。
どうやら・・15時迄次の列車はないらしい・・
今は10時だから・・5時間待ちか・・・
まあ、空港のトランジット待ちより・・遥かにすばらしい空気と景色は提供されている。
おまけに・・雲も切れ、日が差し始めている。
駅前に朝市も立っている。
それじゃ、散策でも・・と思い、どこかにこの荷物を預けたい。
この小さな駅の構内には、そんなものは無さそうだ。
駅前の食料品店にお願いしてみる。
『ごめんなさいね、ここ12時で閉めるのよ。』
みたいな事を言われ断られた。
駅の掃除のおばさんに聞いてみる。
「次の15時発まで、荷物預かれないか?」
「それじゃ、私の更衣室に置いときなさい!」
ちょっと離れた建屋に連れて行かれ、荷物を置かせてもらった。
帰りにちゃんと5UAお礼はしたさ! -
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朝市を見て廻ったんだが・・・見て廻ったんだか、見られに廻ったんだか、そのくらいジロジロ見られた。
大衆食堂のお姐さんは、愛想が良くて色々教えてくれた。
俺がビールとペルメニをオーダーしたところ、
「ごめんなさいね、ペルメニは無いけど特製の『ウクライナ・ギョーザ』はあるわよ!」
当然それをオーダー。
形はそのまんまギョーザで、具はペルメニと同じみたいだ。
ちょっと大ぶりの水餃子だと想えば良い。
やはり酢をたっぷりかけて熱々を食べると結構イケる。 -
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15時やっと出発。
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3ヶ月間の全黒海奇行を通じて、もう一度乗れるとしたら、俺は断然この山岳鉄道を選ぶ。
山間の谷間に浮かぶ小さな村落はおとぎの国以上に面白かった。
麦わらを棒で叩く若い農婦、馬車の荷台で揺られる金髪の少女、・・・
美人で不親切な国は、何処にでもあるだろうが、美人で親切がデェフォルトの国って・・・中々無いよ。
そんな西ウクライナ伝説の鉄道が・・これだ!w -
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