２００９年スイスの旅(21) バーゼル近郊のローマ遺跡 カイザーアウグスト

2009/09/06 - 2009/09/06

バーゼルからバーデンへの途中のライン河畔にカイザーアウグストという町がある。ここはローマ帝国時代にライン流域で最大の植民地アウグスタラウリカがあったところで、貴重な遺跡が発見されている。
BC44(14とも)年にローマ帝国の将軍によってラウリカ植民地がここに作られた。ラウリカの由来はケルト人ラウリカ族がここに居住したからだ。
殖民都市の設置を決定したのはジュリアス・シーザーだったが完成はその死後で、今の地名カイザーアウグストはオクタウィアヌスが初代皇帝となった後の称号アウグストゥス（＝尊厳な人）に由来する。彼はシーザーの養子でありながらシーザーの暗殺者となった。
ちなみに「カイザー」はジュリアス・シーザー（＝カイザー）の家名だったが後には皇帝の意として用いられるようになる。
その後AD300年にローマ帝国のウヮルス軍団が南下してくるゲルマン族との戦いにドイツミュンスター近くのトイトブルクの森の戦いで惨敗しゲルマン族との防衛線をエルベからここライン川に後退することを決定してここに司令塔的な都市を作ることを決定し、その後スイス最大の殖民都市に発展する。

この土地はドナウ川からとライン川を結ぶ街道とローマから北上した街道を結ぶ要衝に位置し、また明日訪れるスイス最大のローマ軍団駐屯地ヴィンドニッサから近い。

バーゼルから無人駅のカイザーアウグストに降りたが駅にはロッカーがない。前述したようにリュックのほかに今日衝動買いした20cm立方の陶器セットが4箱だから持って歩くのは大変だが致し方ない。
駅前にインフォもないので道標に従って歩きだす。ライン川に面した砦跡と浴場跡を見て駅に引き返す。
駅で劇場跡もあるアウグスタラウリカの居住地への行き方を老夫婦とバスの運転手に訊いたが、バスもタクシーもなく歩くしか方法がなく15分ぐらいかかるという。炎天下に荷物を担いで歩くのはご免と行くのを諦めてバーデンに発つ。
後で遺跡の大半と収集品の展示のある博物館があって訪れるべきだったと悔やむ。事前勉強が足りなかった報い。

エリア バーゼル(スイス)

• 同行者: 一人旅
• 交通手段: 鉄道
• 航空会社: JAL
• 旅行の手配内容: 個別手配

ローマ時代のアウグスタ・ラウリカの全景を示す説明板。どこにこの掲示があったか忘れたのですが・・。
上にライン河が左方に流れる。右方のラインの河畔部分に方形の砦があり、そこに浴場もある。
ライン河注ぎ込む左方の支流の蛇行部分にアウグスタ・ラウリカの中心街と円形劇場がある。

前図を判りやすくスケッチにしたのが

ライン河畔の砦部分の現状を示す説明

駅から河岸へと歩いて行き最初に出会う砦の防壁。

住宅街に跨った砦の壁を伝わってライン河へと歩く

河畔にはボートが沢山繋がれていてラインは人々に心と体の健康を提供していることがわかる。

ちょうど日曜とあって河畔には憩う家族連れが沢山

のんびりしたボートの動き

河岸から浴場遺跡に入る階段

当時の浴場の想像図

浴場の床を支える柱が並ぶ。この空間に蒸気が通るサウナのようなのがローマ人の好む浴場の標準構造

浴場の部屋ごとの仕切り。当時の家屋の床水準は現在の床面よりかなり低い。

これも浴場の床下構造

駅へ戻る途中で見かけた屋根の上のコウノトリの巣

バーデンに向かう途中で奇妙な建物が車窓に現れる。そこに掲げられた標識からスイスの定番ビールのFeldschloesschen(直訳すると野にある小さな城）の工場だ。それで城のような外観にしている。

そのすぐ後で停車したRheinfelden駅の向こうにあるプラットフォーム光景。ここから先ほどのビール工場まで引込み線があり。余興でプラットフォームにはビールの名を取った駅名の看板がついている。この線には短いが宣伝用の列車が走っている。
またビールを運ぶ貨車には会社名を派手につけた宣伝用のがあるらしい。
それがメルクリンの模型になって人気だ。

バーデン駅から今日の宿のユースホステルまで20分ほど歩く。その途中で振り返ってバーデン町の中心にある教会のシュタットキルへを見る。ここから更にずいぶん歩く。

バーデン・ユースホステル。新築間もないモダーンな建物で設備もいい。
ただし受付開始時間に行ったが２時間は無人で待たされたサービス。
ハーフペンションの夕食はキャベツだけのサラダ、瓶入りのクリームソースをかけただけのスパゲッティ、デザートはバナナ1本と手抜きのくせに15ユーロも取る最低のディナー。2泊したが夕食は1回キャンセルし外食。
道理で宿泊者が少ない。