2010/03/13 - 2010/03/13
10位(同エリア23件中)
コクリコさん
サン・ポールからバスに乗りヴァンスへ。
アンリ・マティスの色彩と単純化された画風に惹かれていた私はいつしかヴァンスにあるマティスのロザリオ礼拝堂(Chapelle de Rosaire)を訪れたいと思っていました。
見るたびに心の底から喜びが溢れるマティスの絵。
そのマティスがガンに冒され、最後の力を振り絞って描いた壁画とステンドグラスを是非この目で見てみたい。
無神論者だったマティスがなぜ礼拝堂を?という疑問もチラリと浮かんだ私。
さまざまな思いから訪れたロザリオ礼拝堂はマティスの思いが集大成された礼拝堂でした。
1939年第二次世界大戦が勃発。
その頃71歳だったマティスは十二指腸ガンに冒され二度の手術を受けます。
手術後手厚く看護してくれた看護士のモニクは後に修道女となり、ヴァンスにドミニコ会の礼拝堂を再建したいとマティスのもとに相談に来ます。
戦争が終わった1947年のことです。
この再会に神の啓示を得たのでしょうか、マティスはステンドグラスを始め礼拝堂の設計の全てを無報酬で請負い残りの人生の全てをかけて礼拝堂再建のために力をそそぎました。
1948年に制作開始、1951年に完成した時マティスは81歳。
完成の3年後マティスは生涯を閉じました。
生前マティスは「制作している時だけは神を信じる」と言っていたそうです。
☆表紙の写真はマティスのロザリオ礼拝堂の入り口です。
入り口の白い壁には修道士と聖母子の輪郭だけの顔が描かれています。
聖母子と修道士の顔は誰もがそれぞれ心に思い描いた顔を想像してくださいと。
- 旅行の満足度
- 4.0
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-
サン・ポールからバスに乗り10分ほどでヴァンスのバス停Marechal Juin広場に着きました。
目的のマティスのロザリオ礼拝堂の拝観は土曜日は14時からだったのでその前に昼食と旧市街を見学することにしました。
バス停付近はとりたててどうということもない世界中どこにでもあるような普通の街並み。
その普通の街並みの続くレジスタン通りを旧市街に向かって歩きます。
歩くこと10分位で、城門が見えてきました。
13世紀の城門Porte du Peyraをくぐるとそこは中世の街並みの残る旧市街。
ヴァンス旧市街。 -
《ペイラの泉》
ヴァンスの旧市街にもサン・ポールにあったのと同じような泉がありました。
映画『プロヴァンス物語 マルセルの夏』にも、こんな泉があって、旅の途中でマルセル一家が泉の水を口に含むシーンがあったっけ。
村には必ず泉があるのですね。 -
どこで昼食をとろうかと旧市街を歩き回ります。
なぜかなかなか開いているレストランやカフェが見つからない。
このカフェは観光客は観光客でいっぱいだったし。 -
旧市街といってもヴァンスはサン・ポールのようにアーティステックなセンス溢れる街というより庶民的な生活感溢れる街です。
お土産屋さんの前で犬のお尻に何かしているお兄さん。
何してるのかなぁ〜彫っているようです。
ヴァンスでも彫刻家のような人を見つけたってことね♪ -
おや、この道には骨董品が並べてあるぞ。
誰も見張っていないのに大丈夫なのかなぁ。 -
市庁舎。
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市庁舎前の洒落たレストランはまだ準備中。
もし開いていたとしても高そうだから入らなかったと思う。 -
朝市は片付け始めたところ。
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マントンやニースの旧市街を思い出させる窓辺に干してある洗濯物。
きっとサン・ポールでは見られない風景。 -
適当に歩き回っていたら旧市街の突き当たりの門まできちゃった。
戻らなきゃ。
少しだけ城門の外を歩いてみた。 -
旧市街に戻って。
陶磁器屋さんの可愛い看板。
結局お昼は旧市街から出て普通の街角のカフェでオムレツなどカフェめしを食べる。 -
で、また旧市街に戻りカテドラル(大聖堂)へ。
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聖母子のステンドグラス。
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大聖堂にはシャガールのモザイクがひっそりとあり、
ヴァンスに来たからにはこれを見なければならない(^^)
《モーセの発見》
シャガール美術館では庭園にあったシャガールのモザイクを見落としたので、こちらでじっくりと拝見。 -
《モーセの発見》の部分。
モーセは赤ちゃんの時、ナイル川に捨てられて、流れついたエジプトでファラオのお姫さまが拾って育てた。
まさにその場面。
多彩色の明るいモザイク。
シャガール美術館でもそう思ったけれどシャガールの画風は『旧約聖書』がぐっと身近に親しみやすくさせてくれる。
シャガールにとってもヴァンスは晩年を過ごした所縁の地。
シャガール美術館にて『ソロモンの雅歌』に描かれているヴァンス。
http://4travel.jp/traveler/coquelicot/pict/18908599/ -
聖母子像。
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さっきお店の前でお兄さんが彫っていたワンコ。
できあがったのかな。
ちゃんと運動靴履いている。 -
旧市街を出てレジスタン通りをバス停の方へ向かいます。
今日は自転車の旅行者をよく見かける日。 -
バス停に戻って。
マティス礼拝堂への道しるべに沿って歩きます。 -
南仏独特の白っぽいごつごつした山を目の前に見ながら礼拝堂へ。
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リュビアン川を渡る。
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橋からの眺め。
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ここにもマティス礼拝堂への道しるべ。
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最後の道しるべから間もなく小さな白い礼拝堂が見えてきました。
テレビや写真で見たとおりの清楚なマティスのロザリオ礼拝堂。見まごうことはありません。 -
礼拝堂入り口。
入り口の壁に描かれているのは修道士と聖母。
★拝観時間
月・木・土 14:00〜17:30
火・木 10:00〜11:30
14:00〜17:30
拝観料 3.2ユーロ
写真撮影禁止
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礼拝堂の中は撮影禁止、絵葉書も買わなかったので、家にある美術全集の中でやっと見つけた一枚を貼ります。
アメリカからの団体さんがいて、礼拝堂の中もショップもものすごく込んでいて、絵葉書買うのをあきらめたのでした。
ステンドグラスは黄色・青・緑に統一されています。
黄色は日の光、青は空、緑色は植物を表わしています。
コートダジュールの空と光、植物の色。
太陽の光がステンドグラスを通して床に鮮やかな影を落とします。
南仏の自然と天国が一体化したように。
でも、込んでいてせっかく見たかったこのシーンは見られませんでした(^^;)
小さな礼拝堂は団体さんがはいるとたちまちいっぱいになってしまいます。
英語のガイドはちゃんと聞かず(聞いてもよくわからなかったかも^^;)、壁画など勝手に見ていました。
なぜかマティスがアネモネが好きだったという説明だけは偶然聞いていました・・・祭壇の前にアネモネの花が飾ってあったので「なぜアネモネ?」と思っていたから。
しっかり英語の説明を聞いていらしたMachyさんの旅行記をご覧くださいませ。
http://4travel.jp/traveler/loveactually/pict/18757911/ -
ステンドグラスと向かい合わせの白いタイルに輪郭だけの聖母子。
祭壇の背後にこの修道会を開いた聖ドミニコ(ドミニク)、聖ドミニコの顔も輪郭だけ。
ヘンテコで恐れ多いですがコクリコメモのSaint Dominiqe聖ドミニク(^^)。
でもこんな雰囲気は近いと思う。 -
ニースのマティス美術館で習作を見ただけでは物足りなかった私ですが、ロザリオ礼拝堂に来られて満足しました。
礼拝堂の屋根の十字架がヴァンスの青い空を背景に慎ましくたっていました。 -
マティス礼拝堂から再びアンリ・マティス通りを歩いてバス停へ戻ります。
アンリ・マティス通りとポワリュ通りの交差点にたくさんの人々がどんどん集まってきました。
何事が始まるのかと夫が近くの人に聞くと、自転車のレースが行われていて目の前の道を通るらしい。
ニースへのバスがレースのため交通規制されていていつ出るかわからないのでレースを見ることにしました。
神の世界からいきなり現実の世界への切り替えを矛盾なく行うコクリコ夫婦。 -
町の人たちと一緒になって今か今かと待っているとやっと一台現れる。
みんなで「ワーっ」と拍手したけれど、この人は単なる旅行者で選手ではなかったみたい・・・恥ずかしそうにギャラリーの見守る中を漕いでいた(^^;) -
長いこと待ってやっと車がやってくる。
-
来た来た!
先頭集団が現る!
沿道の皆で歓声・応援!
ワー、パチパチ!(^o^)!
疾風のように現れて、疾風のように去って行った!
「これツール・ド・フランスじゃないわよね?」
と私。
「当たり前だろ、時期が違う、規模が違う」
とツール・ド・フランスを見たことある夫。 -
第2集団。
きゃーきゃー!(^o^)!
わーわー!(p^^)pq(^^q)
ピューピュー♪
第2集団も風のようにあっという間に足リ抜けて行った! -
続いてバイクと車がすごいスピードで。
-
黄色いバイク。
-
しつこくてすみません。
なんだか楽しかったのでたくさん写真撮っちゃった!
第3集団。
歓声は続く。
第3集団もあっという間に飛んでった! -
ぼちぼち。
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車の屋根に交換自転車。
凄いスピード、屋根の自転車が落ちそうなくらい。
真ん中の鋪道に立っていたらお巡りさんにどくように注意された訳がわかった。
カーブを曲がる時、積んだ自転車がいつ吹っ飛んでくるかわからないものね。
危ない危ない。 -
次々と屋根に自転車を載せた車が飛ばしてくる。
カーブでは落ちんばかりに。 -
沿道で応援する人々。
-
最下位の選手に沿道の皆で拍手!
ああ、面白かった。
マティスの礼拝堂を見学した心の高まりから妙にはしゃいでしまった私でした。
沿道の人々も三々五々去っていきました。
さて、バスも来たことだしニースに帰ることにしましょう。 -
ニースに戻り、夕方のプロムナード・デ・ザングレ(イギリス人の遊鋪道)を歩いてホテルへ。
ここでは自転車坊やが頑張ってる。
坊やの後ろにいるママはスケート隊。
坊や、選手みたいにカッコイイよ!
フランスに来てからインパクトのある毎日でしたが、今日もサン・ポールのオシャレな村〜ヴァンスのマティスの礼拝堂〜自転車レースとかなり充実した1日でした。
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この旅行記へのコメント (6)
-
- 唐辛子婆さん 2013/07/22 10:40:44
- 人と人のであい
- コクリコさん
「この再会に神の啓示を得たのでしょうか、マティスはステンドグラスを始め礼拝堂の設計の全てを無報酬で請負い残りの人生の全てをかけて礼拝堂再建のために力をそそぎました。」
か・感銘を受けました。
「描いてく時だけ神を信じる。」このセリフもいいわ。
自転車レースにはしゃぐコクリコさんもたのし〜〜い(^o^)
私もバンクーバーでサッカーの試合を見に行く群衆のあとを追って歩きました。こわいやうな熱気でした^^
唐辛子婆
- コクリコさん からの返信 2013/07/22 16:09:33
- RE: 人と人のであい/お帰りなさーい!
- 唐辛子さん、お帰りなさーい。
ElliEさんのトピック見てましたけど、唐辛子さんがそれにどう色をつけるか楽しみです。
でも、フランス行きがもう一ヶ月をきり、他のことでも忙しいのでゆっくり旅行記拝見できないかもしれません。
> 「この再会に神の啓示を得たのでしょうか、マティスはステンドグラスを始め礼拝堂の設計の全てを無報酬で請負い残りの人生の全てをかけて礼拝堂再建のために力をそそぎました。」
> か・感銘を受けました。
> 「描いてく時だけ神を信じる。」このセリフもいいわ。
そうでしょう〜私も感銘うけました!
礼拝堂内の写真撮影はできなかったけれど、こう言っちゃあ罰が当たるけど、マティス描く聖母や聖母子像は私のメモ画と変わらないのよ。
最後は、装飾も何もかも脱ぎ捨ててシンプルに線描だけ。
マティスがその境地にたったのか、末期ガンで線描しか描けなかったのか、偶然体力と思いが一致したのか。。。?
> 自転車レースにはしゃぐコクリコさんもたのし〜〜い(^o^)
> 私もバンクーバーでサッカーの試合を見に行く群衆のあとを追って歩きました。こわいやうな熱気でした^^
自転車レースは迫力はあったけれど、ツール・ド・フランス程ではない田舎のレースでしたけど、サッカーの熱気は凄かったでしょう!
ここしばらくはしのぎやすい日もあったのですが、また蒸し暑くなりました。
アイスクリーム食べたり、そうだ今日は鰻を食べたりしてゆっくり休んでくださいね。
-
- まみさん 2010/06/09 07:53:47
- ヴァンスか、行きたかったな
- もちろん目当てはマティスの礼拝堂。
フランス旅行を考えていたのはもう20年近く前になっちゃいますけどね。いまはとりあえず東欧をはじめとする日本人にややマイナーな国に惹かれてますが。
スケッチ、あらっ、上手いですね。
- コクリコさん からの返信 2010/06/09 21:16:52
- RE: ヴァンスか、行きたかったな
- まみさん、こんばんは〜
書き込み&投票ありがとうございます。
> フランス旅行を考えていたのはもう20年近く前になっちゃいますけどね。いまはとりあえず東欧をはじめとする日本人にややマイナーな国に惹かれてますが。
おー、そうでしたか!
ヴァンスのマティスの礼拝堂ですね。
私は20年前から外国はフランスとイタリアしか行ってません。
もう、他の国に行かずに一生が終わりそうです。
残りの人生は九州と四国、日本でも西国に行きたいです。
東欧は若いまみさんにお任せだわ〜
うーんと昔、ポーランドにペンフレンド(ペンフレンドって死語よね^^?)がいて、絵画でよく見るイエス・キリストみたいな顔していました。
ショパンとか、他に私の好きな人、ポーランド系だなぁ〜と今思い出しました!
あっ、チェコスロバキア(当時は)にもペンフレンドがフレンドいた!
ユーゴスラビア(チトー大統領が健在の頃)にもいた!
昔は東欧に縁があったのよね〜(遠い目)
> スケッチ、あらっ、上手いですね。
きゃ〜、マティスとかコクトーとかヘタウマな画家の絵ならなんとか(汗)
-
- かにちゃんさん 2010/06/03 18:31:38
- わたしも行ってみたい
- コクリコさん、
この風景が見えてきたとき、ドキドキ感動したでしょう〜
中は、撮影禁止でも、こうやってアップしておけば、
また何度でも思い出せるね(*^_^*)
私もいつだったかテレビで見て、
行ってみたいなぁ、、、と思っています。
- コクリコさん からの返信 2010/06/04 08:06:28
- RE: わたしも行ってみたい
- かにちゃん、おはようございます。
> この風景が見えてきたとき、ドキドキ感動したでしょう〜
そう、でもね〜礼拝堂へのアプローチが思っていたのと違ったのよ。
旧市街もような街並みかと思っていたのですが、旧市街とは反対方向の普通の風景の中を歩いて行ったのです。
でも、見つけた時は「これよ、これ!」と思いました。
何回もテレビから録画しておいたものを見てたからね〜(^^)
で、そのテープがあるから、写真とれなくても、絵葉書買えなくてもいいや〜と思っちゃった。
> 私もいつだったかテレビで見て、
私が録画した番組と同じかも!
NHKと民放と3つくらい番組で放映されたマティスの礼拝堂関係すべて録画してあったのよ。
それで、旅行記UPする時に、再生した画面で礼拝堂内部写真を何枚も撮ったんですがPCに落として見たら画像があまり良くなかったのでやめました(^^;)
> 行ってみたいなぁ、、、と思っています。
そうね〜ニースやマントン周辺は魅力的な美術館や教会がたくさんあるし、お買い物も楽しいし、、、明るい光、紺碧の海・・・しあわせ〜〜を実感できるから。行けると良いですね(*^^*)
私も再訪したいです。
投票もたくさんありがとうございました!
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