1997/04/15 - 1997/04/19
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北風さん
日本人にとって一番なじみが深い国、アメリカ。
本来ならば、まっさらのパスポートに一番最初に押されるスタンプが「U.S.A.」になる日本人がほとんどかもしれない。
俺の場合、40カ国以上の旅の末にたどり着いた国になる。
アメリカは広いと言う、果たしてオーストラリアよりも広いのか?
アメリカは世界経済の中心と言う、果たして日本のように近代化されているのか?
アメリカンはおおらかと言う、果たしてそれはインド人の様に無責任と同じものなのか?
1997年4月、俺はアメリカに入国した。
- 同行者
- 一人旅
- 交通手段
- 高速・路線バス
-
旅日記
『1997年4月 カナダ出国』
世界中で最も入国審査が厳しいアメリカ。
もっとも、日本人である以上、普通に飛行機で入国すれば何ら問題は無い。
だが、アメリカ出国エア・チケットを持っていない長期旅行者にとっては、この国は鬼門以外の何物でもなかった。
(アメリカ入国に関しては、出国のチケットの提示が必要)
今までの大陸陸路横断で、この出国チケット問題は何度も俺を悩ませていた。
が、しかし、南北アメリカ大陸縦断を始めて間もない現在、俺はそのチケットを持っている。
(このまま、陸路で南下するつもりの俺には必要ないものだったが、日本でアメリカ行きのチケットを購入する場合は必然的に買わされるからなのだが) -
何の不安も無くカナダから凍るナイアガラに架かる橋を渡り始めた。
が、アメリカ以前にカナダ出国でまず呼び止められた。
出国管理官のカナダ美人のおねーちゃんが言うには、俺のパスポートに押してあるカナダ入国スタンプが偽物っぽいらしい。
「これ、何処の国のスタンプなの?」
と、いかにも疑わしげな視線を投げかけられた。
確かに、この場所からは、遥か北西に位置する場所でもらった入国スタンプだったが、ユーコン州はまぎれも無くカナダのはずだ。
自国の州すら覚えていない出国管理官を、堂々とオフィスに座らせているカナダに、この国の懐の深さを再認識させられた。 -
旅日記
『アメリカ入国』
俺はアメリカ入国管理事務所にいた。
俺が待ち焦がれている入国スタンプを握り締めている管理官まで、とうとう3mの距離まで来ている。
後は、俺の前のイタリア系の男が席を立てば俺の番だ。
が、しかし、あれほど順調に進んでいた列の流れが既に10分も停止している。
原因は、このイタリアンのカバンの中身だった。
この男ただでさえ人相が悪い上に、アタッシュケースに目一杯、怪しげなカプセルを詰め込んでいやがった。
一体何を考えているんだ?
ここは世界で最も入国審査が厳しいアメリカなんだぞ!
カナダを出国してから1時間。
アメリカの縁にたどり着いた俺は、そこから1mも動いていない。 -
1997年4月15日、ニューヨーク到着!
ニューヨークは、・・・またもや雪だった。
グレイ・ハウンド・バス・ターミナルを出て、運良くタイムズ・スクェア近くに安宿を見つけた。
(東京で言えば、新宿のど真ん中に2000円で泊まれるホテルがあった)
一息ついて地図を広げると、ここマンハッタンが島である事に気づいた。
イタリアでもベニス到着後3日してからここが島だと気づいた事を思い出す。
・・・俺は進歩が無いかもしれない。 -
エメラルド・グリーンとは程遠い、薄汚れた海の向こうにマンハッタンが浮かぶ。
高層ビルのオンパレード、ビルの密度は新宿以上だった。
世界経済の中心地が、かもめのカーテンの向こうに広がっている。 -
マンハッタンの先端からフェリーに乗ると、遠くの浮島に松明を掲げる女性の姿が見えてきた。
これがあの有名な「自由の女神」らしい。 -
<タイムズ・スクエア>
タイムズスクェアと言うからには、馬鹿でかい時計でもあるのかと思っていたが・・・
現実は、馬鹿でかいカップ・ヌードルの看板が湯気を立てている3差路だった。
道行く人の肌の色が色とりどりな事を除けば、どことなく新宿と似ている。 -
あれほど聞かされていた怪しげな雰囲気も見当たらない。
聞けば現在、新しい市長が警官の数を1.5倍に増員し、マンハッタンは治安が良くなっているらしい。
地元の人間は、ハーレムは問題なし!
スラムもそれ程じゃなくなった!
ただ、リトルイタリーだけは行くな!
と、教えてくれる。 -
タイムズ・スクェアの地下は、大きな地下鉄のターミナルが広がっていた。
噂では、ニューヨークの地下鉄は犯罪の巣窟と言われていたが、薄暗い空間にはそれらしい緊張感など何処にも見当たらない。
鉄筋むき出し、機能一点張りの構内では、ストリート・パフォーマーげ吹き鳴らすトランペットの響きが満ちていた。 -
旅日記
『ニューヨークの地下鉄』
「Times Square」とペイントされたタイルが、薄汚れた電灯が照らす小便臭い壁にへばりついている。
どこからか、カッ、カッ、カッと鋭い響きがこだましてきた。
壁を背に、少年が一人、ドラムを叩いている。
逆さに伏せたポリ・バケツが3つ。
チョコレート色の筋肉は、そこから奇跡を絞りだす。
目の前で音が弾ける!
弾けとんだ音が複雑に入り組んだ鉄骨に反響し、リズムの銃弾となって地下の奥深くへと攻め込んでいった。 -
いくつもの「何故」が、目前で繰り広げられている。
「何故、これ程のドラムがこんな所で聞けるんだろう?」
「何故、ゴミ同様のバケツから、こんな音が?」
「カッ、カッ、カッ」と、シンバル代わりに、スティックがコンクリートに叩きつけられる。
リズムだけが、リズムだけで、少年は、時間を止めていた。 -
旅日記
『ニューヨークの地下鉄 2』
日本製だと言われる地下鉄でハーレムへと向かう。
映画で観たような落書きも小便の匂いもしない、割と小ぎれいな地下鉄だった。
唯一抱き続けてきたイメージと重なるのは、この不思議に重たい雰囲気だろうか?
駅ごとに白人の姿が消えていく。
125st.まで来ると、いつしか黒くないのは俺だけになった。
まるでアフリカにいるみたいだ。
しかし、この空間では、アフリカのような騒々しい笑い声は聞こえない。
時々かん高い声でスラングをまくしたてる少女達以外、皆、口を開こうとはしなかった。
まるで何かを恐れているように。
アメリカ全土で3%しかいない黒人。
ニューヨークの人口の35%を占める彼らには、同一民族と言うカテゴリーが、安心を勝ち得る理由とはならないのだろうか?
125st.から街に出てみる。
寂しげでうらぶれた街並みが、冬枯れの日差しにさらされていた。
1時間歩いて出会った白人は、一人もいない。
それどころか、外に出ている人間がほとんどいなかった。
ハーレムは、静寂の中で夜を迎えようとしている。 -
<ウォール街>
白、黒、茶、黄、あらゆる人種が、何かに追われるように足速に行き交う。
咥え煙草、投げ捨て、公衆道徳を重んじるこの国じゃ、ここニューヨークでしか見れないシーンが、ロウアー・マンハッタンに入ると不意に姿を消した。
咥え煙草の代わりに経済新聞を、ルーズなアメリカンスタイルの代わりに、高価なスーツを、まるで別の国のようだ。
世界経済の中心地「ウォールストリート」は、マンハッタンの中で静かなベールをまとって孤立していた。 -
世界の経済の中心地、これ程シリアスな環境の中で「ふっ」と息を抜ける様なオブジェがなにげなく置かれている。
こういうコジャレたセンスが、アメリカ流なんだろうなぁ。 -
<セントラル・パーク>
映画によく出てくるセントラルパークは広かった。
いや、これは広いという言葉では足りないかも?
日本で言う「公園」とは、スケールが違う。
反対側が見えないほどのリアルな森を丸ごと都会に持ってきたのではないだろうか? -
緑のカーテンの隙間から摩天楼がのぞく。
このギャップが現実感を喪失させた。 -
とうとう馬車まで登場!
この森の外れから世界最先端の都市が始まるなんて、なかなかイメージが湧かない。 -
ニューヨーク出発前夜、同室の日本人の女の子が話しかけてきた。
「ブロードウェイに、ミュージカルを観に行きませんか?当日券だったら半額ですよ」
「ブロードウェイって、ロス・アンジェルスにあるんじゃないの?」
・・・俺の無知に彼女は無言で地図を見せてくれた。
どうも俺は、映画=芸術=ハリウッド=ロス・アンジェルスの先入観が強かったらしい。
どうりで劇場にすごい車が横付けされるわけだ。
ここがミュージカルを目指す者の憧れの地だったとは! -
出発を延期して観に行ったミュージカルは、世界的名作「あぁ無情」のシナリオによるものだった。
ミュージカルと言うと、「歌って、踊って」をイメージしていたのだが、意外にも劇中心で、歌も踊りも少ない演出に最初は拍子抜けしていたが、これが、泣かせる。日本人の俺でも、シナリオがシンプルな分わかりやすい。
観客もジーンズにTシャツというラフな姿で楽しんでいた。
なるほど、本場のミュージカルはこういうものか! -
旅日記
『ニューヨーク』
誰もが何かに追われるように足速にすれ違う街角。
その横で男がタップを踏み鳴らし、ホームレスがシャボン玉と戯れる。
交差点のど真ん中で天を仰ぎ「神はここに!」と叫ぶ老人。
「なら、俺をここから連れ出してくれ!」と答えるジャンキー。
パトカーと救急車のサイレンをBGMに、人生劇場というミュージカルが夜を徹して演じられる街。
大都会は俺にとって単なる補給地に過ぎなかった。
無機質な人並み、耳を叩く騒音、物質文明を声高に唱えるデパート、
日本を含めた都会が好きではなかった。
世界経済の中心地であるこの街以上の都会はないかもしれない。
しかしこの街は、無機質な雰囲気どころか至る所に刺激というスパイスを隠していた。
それは、あのモスクワの地下鉄駅を飾る見事なレリーフの様な「静」の刺激とは対極にある、人が作り出す「動」の刺激のせいかもしれない。
俺はこの街が好きになった。
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