2010/02/28 - 2010/02/28
650位(同エリア1007件中)
がりさん
津波警報の影響で列車が運休になり、前へ進めなくなった旅の最終日。
徳島までは40kmあまり、鉄道もバスもない、さあどうする!?
しかし旅は最後に、とっておきのドラマを与えてくれた。
このドラマを見るために、ここまで旅をしてきたのかもしれない。
徳島へ、四国へ、感謝。
春の四国旅行記、ラストです!
- 同行者
- 一人旅
- 交通手段
- 高速・路線バス タクシー 徒歩
-
列車は終点の穴吹駅に着きました。
本当なら徳島まで行く列車なのだが、津波警報の影響でこの先は運休。
しかし今夜は徳島から夜行バスで東京へ帰るので、なんとしても徳島へ向かわなくてはならない。 -
とりあえず穴吹へ行けばなんとかなるだろうと思っていたが、なんともならなかった。
駅員の話では20時過ぎまでの運休は決定していて、その後は未定なのだという。
そして、ここから徳島へ向かうバス路線はない。
あとはタクシーだが、徳島まではまだ40km近い距離があり、金銭的なことを考えるとそれだけは避けたかった。 -
穴吹駅はうだつの町並みで知られる脇町の最寄り駅だ。
しかし観光客は誰もいなくて、帰宅する中高生が多くいたが、それもやがて減っていった。
駅の待合室にはおばさんが2人と女子高生が1人残るだけになった。
彼女らも列車の運行再開を待っているのだろうか? -
男性の駅員は頻繁になにかのコールが鳴るせいで忙しそうだったので、女性の駅員が対応してくれた。
この駅では観光客は僕だけだったので、女性は「せっかくここまで来たのに、かわいそうに…」という感じで親身に接してくれた。
とにかく徳島へ行きたいんです、と言った。
「20時までは運休が決まってるんですよ。その後は…、どうかなぁ、もしかしたら運転再開するかもしれへんけど…」
津波警報はまだ出てる?
「まだ出てる、いつ解除されるかわからんなぁ」
警報が解除されたら、すぐに運転再開するんですよね?
「いや、解除されても線路に異常がないか点検してからじゃないと、運転できへんのよ」
津波なんて来てもいないのに、いったい何を点検するのか謎だが、とにかくJRの規則でそう決まっているのだろう。
ここから徳島へ行くバスは出てない?
「うん。出てないのよ…」 -
「夜行バスのチケット、見せてくれる?」
チケットを渡すと、女性はキーを叩き始めた。
しかしすぐに手は止まり、残念そうな声を上げた。
「脇町からも東京へ行くバス出てるから変更してあげようかと思ったんやけど、だめ、満席やわ」
こうなったら、もう選択肢は2つしかなさそうだった。
20時以降の運転再開を期待して待つか、タクシーで徳島へ向かうか。
20時21分発の剣山12号が運転してくれれば、なんとか夜行バスに間に合うことができる。
問題はこの列車が運転されるかどうか、だ。
そこがはっきりしないために、決断がいつまでたってもできない。
ここで待ち続け、もし剣山12号も運休になったら、万事休すとなる。
しかしタクシーで徳島へ向かい、もし剣山12号が運転再開したら、まったくの無駄金の浪費ということになってしまう…。 -
僕が思い迷っていると、女性はもうひとつの選択肢を教えてくれた。
「ここから鴨島っていう町までタクシーで行けば、そこから徳島行きのバスはあるよ」
鴨島というのは初めて聞く地名だったので、地図で調べると、それは吉野川市にある町で、ちょうどここと徳島の中間点のようだった。
20kmほどの距離があるのでタクシー料金は安くないだろうが、徳島まで行くよりはマシだ。
タクシーのおじさんに聞きに行くと、鴨島までは5、6千円だろうという。
う〜ん、やはり高い…。
「5、6千円かぁ。そこからまたバスのお金もかかるしなぁ…」
と女性は自分が払いでもするかのように嘆息してくれて嬉しかった。
しかし考えてみれば20kmもの距離を走るバスだからこれも高そうだ。
そこで今度は徳島バスに電話する。
鴨島から徳島まで運賃は450円です、と意外に安い!
このルートに決めるか、それでも列車を待つか、再び思い迷う…。 -
少し考えたかったので駅の外を歩いた。
と、すぐ近くに吉野川が流れているのを見つける。 -
夕暮れの吉野川。
相変わらず津波の逆流なんておきてない。 -
美しい景色だなぁ…。
穏やかな日本の夕暮れ。
旅の巡り合わせでここに来たんだ。 -
駅に戻って、再び女性と検討した。
運転は再開されるのか、剣山12号には乗れるのか、どっちなんですか?と単刀直入に聞いた。
今まではどの駅員も、それははっきりとは言えないんです…、と口を濁すことが多かったが、穴吹駅の女性ははっきりと言ってくれた。
「たぶん無理やと思う」
それで決断ができた。
タクシーで鴨島へ向かいそこからバスで徳島へ向かおう!
このまま駅で待ち続けていたら、飛行機の欠航で帰れなくなった冬の北海道旅行の二の舞になってしまう。
長い時間、相手をしてくれた女性駅員に礼を言って、タクシーに乗り込んだ。
駅にはまだおばさんと女子高生がいた。 -
乗り込んだタクシーの運転手のおじさんは、寡黙な雰囲気の人でたまに言葉を交わすだけだった。
「チリの地震で津波が来るんか?」
この辺は影響ないですよねぇ。
「まあ影響ないな」
でも列車は全部、運休しちゃってるんですよ。
「鴨島からはバスが出てるんやって?」
ええ、そうみたいです。 -
満月が綺麗な夜だった。
見慣れぬ夜道を走りながら、ぼんやりと満月を見上げていた。
まさかこんなことになるとはなぁ…、とか思いながら。
タクシーに一人で乗るなんてかなり久しぶりだ。
慣れないせいか、妙に居心地の悪さを感じた。 -
やがて、鴨島の町に入った。
ふと見ると、タクシーの一台挟んだ前にバスが走っていて、「徳島駅前」と書いてある。
あっ、あのバスに乗るのだ!
しかしこのままではバスには乗れないかもしれない。
なんとかバスの前へ行きたいが、どうしても追い越せない。
すると、バスは鴨島駅近くの停留所で停車し、わずかの客が乗り降りしている。
その隙に、おじさんはタクシーをバスの目の前に停めてくれた。
メーターには「5430円」と出ている。
僕が財布を開けていると、なんとバスがぐるっとタクシーをよけて走りだしてしまった! -
おじさんはすかさずけたたましいクラクションを鳴らしてバスに合図した。
たぶん行ってしまうだろう、と思ったらバスは再び路肩に止まった。
どうしても適当な金がなく、僕は1万30円を渡した。
おじさんがお釣りを探している、お釣りは4600円ということになる。
しかし面倒な金額のためか、なかなかお釣りが集まらない、そんなうちにバスは今にも走りだしそうだ。
すると運転手はスッと1枚の札を差しだした。
5千円札だった。
「これ持って、早よ行け!」
迷っている時間はなかった、ありがとうございます…!と言って走ってタクシーを降り、走ってバスに乗り込んだ。
息を切らせながら、すみません…、と乗客に会釈すると、バスはすぐに走りだした。 -
バスの車窓の風景を眺めながら、心の感動を覚えた。
なんて素敵な出来事だろう、と思った。
機転を利かして5千円札を差し出してくれたタクシーのおじさんに、乗り遅れたのに再び停車してくれたバスの運転手に、不平に思われてもいいはずなのに嫌な顔ひとつしなかった乗客の女の子やおばさんやお遍路さんに、みんなに感謝した。
徳島の人達の優しさに触れることができたなぁ、と思う。
阿波踊りを見ることも、眉山からの景色を見ることもできなかったけど、それよりずっと素敵な思い出を手に入れることができた気がする。 -
いつもトラブルのあとにはなにか素敵なことが待っている。
冬の北海道でも、この春の四国でもそうだった。
悪いことのあとには必ず良いことがあるものなのかもしれない。
旅でも、人生でも。 -
バスは無事に徳島駅前に到着!
辿り着けた〜、って感じだ。 -
見れなかった阿波踊り、銅像だけでも。
-
こちらでも阿波踊り。
-
夜の徳島にはなぜか外国人の姿が多かった。
全員が観光客とは思えないから、徳島に住んでる人が多いのだろう。
阿波踊りにも外国人連があるというし。 -
徳島駅へ行くと、帰れなくなった人々が集まっていた。
今日は日本中で同じような光景があるのかも。 -
夜行バスまでの時間、夜の徳島を歩いてみる。
-
新町川の夜景。
-
阿波おどり会館。
本当はここで阿波踊りを見ていくはずだったけど、時間がなくなり見れなかった。 -
かわりに土産フロアだけ覗く。
徳島出身のチャットモンチーが、土産を買うなら阿波おどり会館がおすすめ、とどこかで言っていたのだ。
残念ながら土産フロアは改装中とかで縮小してたけど、阿波踊りハンカチだけ買いました。 -
夕食はラーメン東大で徳島ラーメン!
濃厚なんだけど、食べやすい。
これは絶妙な美味しさ。 -
卵は入れ放題!
-
そろそろ四国ともお別れのとき。
四国のいろいろな顔を見ることができた良い旅となった。 -
旅が終わらない人もいる…。
-
徳島駅へ行くと、やはり穴吹駅の女性が言っていたとおり、この日は終日運休だった。
とりあえず、自分の決断は間違っていなかったぁ、とホッとする。 -
東京へ行く夜行バスに乗り込み、四国へばいばい。
-
それにしても、北海道、四国と二度も続けて珍しいハプニングに見舞われた。
次の旅は三度目の正直となるのか?
はたまた二度あることは三度ある、となるのか? -
いずれにしても、次の旅は海外だ。
四の国の次は、韓の国です。
次もよろしくっ!
この旅行記のタグ
利用規約に違反している投稿は、報告する事ができます。
この旅行記へのコメント (4)
-
- ゆうこママさん 2010/05/03 23:59:35
- ありがとう
- こんばんは。
最後まで一気に読んでしまいました。
胸がいっぱいで言葉が出てきません。
なんと表現したらよいのでしょう。
大きな大きな旅をなさいましたね。
人のやさしさが胸に迫る四の国。
一緒に楽しませていただきました。
ありがとうございました。
- がりさん からの返信 2010/05/04 23:07:15
- RE: ありがとう
- こんばんは、ゆうこママさん〜。
> 胸がいっぱいで言葉が出てきません。
> なんと表現したらよいのでしょう。
> 大きな大きな旅をなさいましたね。
胸がいっぱいで言葉が出て来ない…、僕もバスに飛び乗ったとき、そんな気分でした。
一人旅ではより一層、人のありがたみを感じます。
いろんな人の助けで四国の旅を終えることができたんだなぁ、と。
ゆうこママさんがおっしゃっていた通り、トラブルは旅のスパイス!ですね。
最初は不運だと思ってましたが、今思えば素敵な思い出のひとつです。
やっぱり今までの旅の思い出を辿っても、真っ先に思い出すのは美しい景色でも美味しい食べ物でもなく、人との出会いなんですよね〜。
これからもそんないろんな出会いがある旅をしたいです。
今回の四国旅はうどん屋めぐりや道後温泉、四万十川サイクリングなど4日間でいろいろ体験できました。
心残りがあるとすると、トラブルの影響でアンパンマン列車に乗れなかったことと阿波踊りを見れなかったことですね。
でもこれはまたいつか四国へ行く時の口実に使えそうです(笑)。
> 人のやさしさが胸に迫る四の国。
> 一緒に楽しませていただきました。
> ありがとうございました。
こちらこそ、ありがとうございます。
長々とした旅行記を最後まで見て頂き、本当に感謝します!
毎回、ゆうこママさんからどんな素敵なコメントを頂けるのか、楽しみでしたよ。
もし気が向かれましたら、また別の旅行記にでもコメントくださいね。
こちらからも遊びに行かせていただきま〜す。
-
- ゆういちろうさん 2010/05/01 21:48:09
- ドキドキした〜〜
- がりさん、こんばんは〜。
今回も最後の最後に大どんでん返し(?)で
またまたドキドキしながら読んでしまいました。
「津波警報」で足止めを食らうなんて
そう滅多に出来る経験ではありませんよね。
もしからした最初で最後かも???
それにしても無事帰ってこれて良かったです。
稚内の時もそうでしたけど
優しい人々との不思議な縁で
無事にトラブルを乗り越えられるのは
きっとがりさんのお人柄と
旅に賭ける情熱が周りの人達に伝わるからでしょう。
旅での人との出会いが
心や人生を豊かにして行くなんて
本当に素敵な事です。
ゆういちろう
- がりさん からの返信 2010/05/02 00:31:20
- RE: ドキドキした〜〜
- ゆういちろうさん、こんばんは!
四国旅行記に最後までお付き合い頂けて、嬉しいです。
> 「津波警報」で足止めを食らうなんて
> そう滅多に出来る経験ではありませんよね。
> もしからした最初で最後かも???
津波警報はまったく予想だにしないトラブルでしたねぇ。
雪による欠航はわりとよくあるでしょうけど、津波警報で鉄道がストップというのは相当珍しいですよね。
前日の夜にニュースで知ってたのですが、まさかここまで鉄道がストップしてしまうとは思ってなかったので、当日は驚きました。
結局、この日は終日運休だったのでタクシーに懸けた僕の判断は間違っていなかった…、ということになるのですが、実は正解は別にあったみたいです。
阿波池田から鉄道で高松へ向かい(ここは運転していた)、そこからバスで徳島へ行く、というルートをとっていればこの半額くらいで徳島へ着けたのです。
それに気付いたのが穴吹へ向かう列車に乗ってからだったので、時すでに遅しでした。
でもこのルートを選んだおかげで思い出深い出来事にも出会えたので、よかったかな〜とも思います。
それにしても、最近はトラブル運(?)が強いようです(笑)。
2度も連続でトラブルに見舞われるとは。
まあ話の種ができてよかったと喜んでますけど(笑)。
韓国の旅はどうなるのか楽しみです〜!
> 旅での人との出会いが
> 心や人生を豊かにして行くなんて
> 本当に素敵な事です。
四国の旅ではいまいち人との出会いに恵まれなかった気がしていたので、最後にこの出来事があって、素敵な出会いがあり良かったです。
自分ももっと人に優しくしないと…と気付きますね。
旅はもうひとつの学校、です。
コメントを投稿する前に
十分に確認の上、ご投稿ください。 コメントの内容は攻撃的ではなく、相手の気持ちに寄り添ったものになっていますか?
サイト共通ガイドライン(利用上のお願い)報道機関・マスメディアの方へ 画像提供などに関するお問い合わせは、専用のお問い合わせフォームからお願いいたします。
旅の計画・記録
マイルに交換できるフォートラベルポイントが貯まる
フォートラベルポイントって?
4
33