1997/10/21 - 1997/10/21
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北風さん
一体どこで仕入れた情報だったのだろう?
いつしか記憶の中に、「クスコに行ったらマラスまで足を延ばせ!」との命令文がインプットされていた。
命令文と共に浮かぶのは、山の谷にへばりつくように広がる白い水田。
クスコに来て3日、薄い空気にも慣れ、コカ茶も飲み慣れてきた。
(・・・常習性がついたのか?)
とにかく、「マラス!」と叫びながら、地元のおんぼろバスに飛び乗った!
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-
旅日記
『マラスヘ』
「ここで降りろ!」、バスの運ちゃんがのたまった。
開け放たれたドアの向こうには、何にもない原っぱが広がっている。
俺はクスコ近郊にあると言う塩田に行きたいと告げていたのだが・・
とにかく、運ちゃんの指差す方向へ歩き始める。
遠くに雲を頂く山々、草原ではリャマらしき動物が草を食んでいる。
のどかだ。
が、しかし、このニュージーランドにいるような景色の中、既に1時間は歩いている。
一体塩田はどこにあるんだろう? -
丘を越えると、とうとう村にたどり着いた。
村人に場所を聞くと、今度は村はずれの谷を下れとのたまう。
本格的RPGゲームと言うのは、こういうものじゃないのだろうか?
この大雨で削られた様な道は、本当に塩田へと続いているのだろうか?
これじゃ、塩田を見つける前に、山賊に見つけられる確立の方が高くないか? -
さっきまでのニュージーランドののどかな景色が、一転して現在ネパールのヒマラヤの景色に変わった。
険しい山道をよじ登り駆け下る。
谷は降りるにつれ、ますます険しくなっていく。
いかん、くじけそうだ。帰りたくなってきた。
遥か遠くの山の斜面には、雪まで積もって白く輝いている。
つまり、行く手には寒い寒い氷の世界まであるわけか?
・・ん?
雪にしては何故あそこだけ積もっているんだろう?
こんな昼間に日差しが降り注ぐ場所で何故溶けない? -
それは、白い段々畑だった。
ポカンとしてしまう程の不思議な光景。
そうだ!
トルコのパムッカレでもこういう景色があった。
これが塩田なのだろうか? -
足元の白い塊は、確かにしょっぱかった。
塩田だ! -
が、しかし、なんていう光景だろう?
塩田の頂上から見下ろすと、まるでスタジアムの様な扇形に段々畑が続いている。 -
こんな畑、日本でも見たことが無い。
-
「サクッ、サクッ、サクッ」
足元から聞こえる音は、まんま雪を踏みしめている様だった。
白い!日差しの乱反射で雪盲になるぐらいの白銀の世界だ。
白い田んぼの周りも白い!
段々畑を形作る石垣にも岩のように固まった塩が、まるでコンクリートで塗り込められたかの様にへばりついている。 -
イスラエルで塩の海「死海」に浮かんだ時、あまりの塩分濃度にそのまま石でも乗せられたら、立派な漬物になりそうな気がした記憶が思い出される。
多分、ここで行き倒れになったら、すぐに体中の水分が蒸発して博物館級の立派なミイラになりそうだ。 -
遠く、段々畑の最後の場所付近で、蟻のような物がせっせと動いていた。
人だ!
あまりにも周りのスケールがでかいので実感が湧かないが、人だ!・・・多分。 -
白いあぜ道を下り続けると、どうにか働く姿が目に映ってきた。
周りの環境さえ考えなければ、日本の段々畑で働く方々と同じような前かがみで働いている。
しかし、この薄茶色の水の中で一体何をしているのだろう? -
白い畑で働く人々は、前かがみでせかせかと手を動かしている。
どうやら、底に溜まった塩をかき集めている様だ。
これは、つまり、山から引いてきた山水を天日で蒸発させて、底に沈殿した塩を集めているのか?
それにしてもすごい量だ。
見る見るうちに、塩の山が白い畑に作られていく。 -
農家の軒先にデデンと積み上げられた塩袋。
ちょっと人目を盗んで味見をしてみると、これが美味い!
精製されていないちょっと灰色がかった岩塩のくせに、味の素製とは比べ物にならないぐらいの味だ。
アンデス山脈は太古の昔海底だったらしい。
急激な火山活動でいきなり隆起した山脈の中、取り残された海水が塩の湖を造った。
それが長い年月をかけて干上がって、この3000m級の山の大地に染み込んだとの事。
この禿山の連なりは、あまりの塩分濃度に樹木が生存できない為の結果らしい。 -
白い谷の片隅には、今では使われなくなった塩田が、その本来の土の色を叩きつける日差しの下にさらしていた。
-
旅日記
『白い田んぼでの飲み物』
「おーい、ちょっくら来てみろ!」
あまりに不思議な景色に見とれていると、段々畑の下の方から声をかけられた。
声のする方向には、働くおじちゃんが塩まみれで手招きしている。
サクサクと塩をかきわけておじちゃんの所まで降りていくと、いきなりどでかいどぶろくのビンを差し出された。
どうやら、お昼の休憩に誘われているらしい。
どうも、ペルーに来て以来、他の国以上に地元の人々に親切にされている気がする。しかも、何故かいろいろとおごってくれる。
・・これは、俺がツーリストに見られていないからなのか?
そして、ペルー人が同情してくれるほど貧乏そうに見えるからなのか?
おじちゃんの差し出すビンに口をつけ、一気に喉に流し込む。
炎天下での山歩きで既に干上がりかけていた俺には、この中身が睡眠薬だろうと、毒物だろうと気にする余裕は無かった。
・・これは、本当に酒だった。
しかも、ものすごく不味い!
例えて言うなら、すっぱくドロッとしたこの液体は胃酸の味そっくりだ。
酒の名は、「チーチャ」、ペルー名産のとうもろこしで作った焼酎もどき。
乾ききった喉に強烈なアルコールがしみる、あまりの味に胃が暴れだす。
いいのかな?ここで逆噴射は?
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