1997/10/18 - 1997/10/20
467位(同エリア786件中)
北風さん
インカ帝国の首都だったクスコはケチュア語で「ヘソ」を表す言葉らしい。
世界遺産に登録されたこの街は、歴史だけでなくヨーロッパの面影を残す街並みが思わず立ち止まるほど美しかった。
そして、空気も、思わず立ち止まるほど薄かった。
- 同行者
- 一人旅
- 交通手段
- 高速・路線バス
-
旅日記
『コカ茶』
バスは3000mの高地を目指し、なーんもない山道を突っ走っていた。
時折ヘッドライトが切り裂く、車一台ぎりぎりの小道にガードレールは無く遥か下方で月明かりに輝く小川が美しい。
夜が更けるにつれ、気温が急激に下がってきた。
オンボロシートに体をうずめてた自分の息が白く浮かぶのが見える。
頭痛が始まった。
無理も無い、急激な高度上昇と、気温低下、高山病の条件はそろっている。
チベットでのあの高山病で死にかけた思い出が記憶の底から浮上してきた。 -
「ここで休憩だ」
バスの運ちゃんが叫んだ頃には、乗客のほとんどがグロッキー寸前だった。
手元の高度計は4000mを示している。
目指すクスコが3000mの高地にあるのだから、これが最後の峠になればいいのだが・・
バスの乗客には、かなりの地元のインディヘナ達も乗っていた。驚くべき事にこの苦行としか思えない行程に赤ん坊まで連れている。
俺達は、頭痛でおぼつかない足を奮い立たせて、峠の茶屋へ急ぐ。
目当ては、高山病に効く「コカ茶」だ。
そう、あの有名なコカインの原料となる葉で沸かしたお茶だった。
まさかこんな所でコカインのお世話になるなんて考えてもいなかったが、元来コカの葉は高地に住むインデヘィナの薬だったらしい。
この葉で、寒さと飢えに対する感覚を鈍らせなければ生きていけない場所に俺は来ていた。 -
朝6時、バスは一人の死傷者も出さずに、とうとうクスコに到着!
(半死半生者は続出しているが)
メチャクチャ寒い!
空気も薄い!
おまけに胡散臭い奴らがわんさか!
とりあえず、宿を探さねば!
クスコの街は聖なる獣「プーマ」の形をしており、その頭の位置に日本人宿があるはずだが・・
頭ってどこだ? -
旅日記
『クスコ』
少ない空気を肺の送り込みながら、ゼーゼー言って坂道を登る俺の横を、民族衣装に身を包んだインディオのおばちゃん達がひょこひょこ登っていた。
少ない平地をびっしりと埋め尽くす赤い屋根瓦、何故か沖縄を思い出すのは、あの屋根に飾られているシーザーもどきの牛のせいだろうか? -
確かに、街並みは美しい!
世界遺産に登録されるだけの事はある。
が、しかし、世界遺産に登録されても空気が増えるわけでもない。 -
ヨーロッパの植民地だけあって、この街でもやはり中心は教会だった。
教会前のアルマス広場は、観光客で大盛況!
地元の人間より、白人の姿の方が圧倒的に多い! -
<12角の石>
「カミソリの刃一枚すら通さない」という評判で有名なインカの石積み。
特に「12角の石」は何故その形にしなければならなかったのかと謎まで秘めていた。
しかし、その有名さとは裏腹に石積みの壁は意外とひっそりとした路地裏にあった。 -
<サント・ドミンゴ教会にて>
-
ペルーのキリスト像は、一風変わった姿をしていた。
本来十字架の上でぐったりしているはずのイエスが、ここでは十字架に直接顔と手だけを貼り付けている。
しかも、洋服まで着て。 -
盆地の中心、猫の額ほどの広さの平地には、雨後の竹の子状態で教会が建ち並んでいた。
まるで東ヨーロッパだ。 -
重厚なアーチの向こうには、駅、そしてその周りに密集しているのは泥棒市。
真っ昼間、大通りのど真ん中でボコボコにされて身包みはがされた物が一時間後に店先に並ぶと言われている。
どうやら、このアーチが聖なる区域と俗なる世界とを隔てているらしい。 -
アーチを越えると、騒々しいクラクションと民族衣装を着た人々の喧騒の中、市場が広がっていた。
遠くの丘には「VIVA PERU」なるサインが。 -
旅日記
『コントラバンド』
「コントラバンド」
その名の泥棒市は、なんと線路沿いではなく線路上に広がっていた。
色とりどりのトタン屋根の下、ありとあらゆる物が売られている。 -
日本製ハイライトの煙草が、1カートン300円!
確かに物価の安いペルーの中でも最安値に近い価格だ。
が、しかし、この市場は「首絞め強盗」がひしめくクスコでも最も危険な地域に指定されていた。
ある日本人旅行者が、真っ昼間店先で大勢の人の前で首を絞められ、身包み剥がされたと言う話も最近の物だった。
どこの世界でも格安の物を手にするには、ある程度のリスクはともなうものらしい。 -
古代インカ帝国の首都がおかれていたクスコでは、毎年インカ帝国の儀式を再現する「インティ・ライミ」なる祭りが催されていた。
が、この祭りの舞台となるサクサイワマン遺跡が度重なるお祭り騒ぎでボロボロになってしまったらしく、今年限りで当分休みになるらしい。
俺は、リマの博物館でも見た、インカのナイフ「トゥミ」が忘れられなかった。
あのできの悪いキーホルダーのような物で、生贄の心臓をえぐるなんて考えただけでも痛そうだ。
でも、あれをどうやって使うのかは観てみたかった気もする。
この儀式が復活するのはいつの日だろう?
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