1995/11/07 - 1995/11/12
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北風さん
「ISRAEL(イスラエル)」
日本では馴染みのない国名だが、バックパッカーとして世界にデビューすれば否応なく目にして耳にする国名だった。
「エルサレム」「ユダヤ人」といったキーワードで歴史上何度も取り上げられるこの国は、現在でも周辺イスラム諸国との一触即発の緊張関係やアメリカの中東の軍事拠点としても有名。
そして、大陸横断長期旅行者にとっての「イスラエル入国」
・・・これは長期旅行者にとって鬼門を意味した。
何故なら、一度イスラエル入国スタンプをパスポートに押されると、かなりのイスラム国家で入国拒否を受ける羽目になるから。
(イスラム国家でのイスラエルチェックは非常に厳しく、例えイスラエルのスタンプがなくても、イスラエル国境での隣国出国スタンプでアウトだった)
世界的に最も信用がある日本のパスポートが、イスラエル入国スタンプ一つで、葵の紋章が擦り切れた水戸黄門の印籠と同じく使いもんにならなくなる危険性が!
そこで登場したのが、イスラエル入国の裏口といわれる、「ウェスト・バンク」の存在だった。
- 同行者
- 一人旅
- 交通手段
- 高速・路線バス
-
旅日記
『1995年11月6日 ヨルダンのアンマンにて』
ここはアンマンの安宿「クリフホテル」。
US$6の薄暗がりの部屋に、ひび割れた窓ガラスからイスラムの祈り「コーラン」が忍び込んでくる。
明日のイスラエル入国の準備を済ました俺は、ハプニングだらけのヨルダン旅行の余韻に浸っていた。
と、ドアがノックされ、ティムが勢い込んで飛び込んできた。
「イスラエルの首相が射殺されたぞ!」と開口一番。
2人でロビーに下りていくと、テレビの前は黒山の人だかりだった。
ヨルダンはイスラエルに1度戦争で負けてから、かなりアメリカよりになっているとはいえ、もともとはイスラム国家だから憎むべき隣国のニュースは何にもまして関心事なのだろう。
しかし、それにしても、この静けさは何だろう?
宿のオーナーが、「もしヨルダンのテロならば、イスラエルは必ず報復する」とつぶやく。
なるほど!
国の非常事態で俺のイスラエル入国が阻まれる事を心配する前に、犯人次第ではここにイスラエル製のミサイルが飛んでくる可能性が出てきたわけか!
つまり俺は入国の心配をする前に、生存の心配をしなきゃいけないらしい。
今回の旅で何度神に祈った事だろう?
さすがのアラーも拒否権を発動してもおかしくない。
しかし、ユダヤの神にでも祈ろうものなら、ミサイルが飛んでくる前にここの方々に殺される。
新しいニュースが流れたようだ。(アラビア語なんでわからない)皆の肩から力が抜けていくのがわかる。
オーナーいわく、暗殺者は、イスラエルの反政府テロリストだったとの事。
イスラエルの首相には気の毒だが、俺の一難は去ったようだ。
後は、明日の入国だけなのだが・・・ -
旅日記
『1995年11月7日 ウエストバンクへ』
早朝、ヨルダン国境沿いの町を出たバスは、死海沿いの道を西へ向かってひた走る。
(さすがにアラブミュージックは流れていない)
もうすぐ、ウエストバンク(死海北部非武装地帯)だ。
「イスラエル入国」
・・・これは長期旅行者にとって鬼門を意味した。
何故なら、一度イスラエル入国スタンプをパスポートに押されると、かなりのイスラム国家で入国拒否を受ける羽目になるからだ
。イスラム国家でのイスラエルチェックは非常に厳しく、例えイスラエルのスタンプがなくても、イスラエル国境での隣国出国スタンプがあってもアウトだった。
つまり、今回、イスラエルの入国スタンプは当然として、ヨルダンの出国スタンプも断らなければならない!
そこで、長期旅行者にありがたいのは、この「ウエストバンク」の存在だった。
この非武装地帯は、イスラエルが過去に戦争でぶん取っており、事実この中にイスラエル入国管理事務所はある。
ところが、ヨルダンの地図では未だにウエストバンクは自国の領土として載っている。
つまり、ウエストバンクに入っても、ヨルダンでは自国の領土内だから意地でも出国スタンプは押さない!
ウエストバンクの中の道は、いつ戦争が再発してもいいように人為的に急角度と急勾配をつけられた岩山の間をのたくる狭い砂利道だった。
さすがにバスの中は静寂が支配する。
窓の外では、岩山に据え付けられた重機関銃、張り巡らされた金網のフェンス、ブラウン管では味わえない戦争のリアルな匂いが漂う。
窓ガラスには、街で手に入れた茹でピーナッツを入国までに食べ終えようと口一杯にほおばった東洋人が映っている。
俺は緊張感という大事な物を、何処で落としてしまったんだろう? -
旅日記
『1995年11月7日 イスラエル入国管理事務所にて』
ウエストバンクの蛇行する砂利道を通り抜けると、いきなり2階建てのモダンな建物が現れた。
どうやら、イスラエル入国管理事務所に着いたらしい。駐車場には2階建てのバスが既に何台も停車している。
お迎えしてくれる方々がマシンガンを持ったアーミーでなければ、まるで高速道路のドライブインだ。
建物の中は、近年味わった事が無い涼しい風が吹いていた。
高性能のエアコン、磨きこまれた床、吹き抜けの天井、ここは本当に中東なのだろうか?
混雑するフロアには、意外と軽装のおじいちゃん、おばあちゃんがひしめいている。
農協のツアーじゃなければ、多分、イスラエル観光にヨルダン1泊旅行がセットになっているんだろう。
列に並んで順番を待つ。
ここでは横はいりや、馬鹿笑いをしている者など1人もいない。壁際にずらっと並んだ重装備の兵隊達の前では、人は無口になるものらしい。
俺の入国管理官は、まだ10代にしか見えないアラブ顔をしたかわいい女の子だった。胸元のハートのペンダントから目が離せない。
「こんにちは、そうは見えないけど、パスポートは日本の物ね!」と、いきなり失礼な質問をされる。
しかし、にこっと笑われると何を言われてもいい気がしてきた。
滞在期間、目的、出国予定国等、通常の質問が続いて、最後に「所持品は?爆弾持ってる?」とかわいく聞かれた。
以前この手の質問にジョークで、「飛行機の中に忘れてきちゃった」と答えたアメリカ人が、別室でTシャツ1枚1枚調べられ、あげくのはてに高価なカメラの中を分解検査までされた(当然、分解後の組み立てはしてくれなかったらしい)との噂を聞いていたので、真剣な顔で持ってない!と答える事にした。
・・・どうもあまりに力を入れて否定したのがかえって疑われたらしい。
パスポートの写真をじっくり見られ、「これ、あなたじゃないでしょ」と問い詰められた。
確かにその写真はスーツに眼鏡、パーマをあてた短髪姿のサラリーマン時代のものであり、ロン毛に汚いTシャツを着ている現在形とはかけ離れている。
どこの国でも疑われる写真だった。
が、しかし、どちらも俺なのは間違いない!
アニメで覚えた台詞から、アムロ・レイばりに、「人は、変われるものなんだよ」と言ってみた。
「変装しているの?」とかわいい口元が動いた気がする。きれいな指先がパチンと鳴ったと思ったら、壁際から兵隊さんが近寄ってきた。
まわりで、ひそひそと、「テロリスト?」との声が聞こえる。
何年かぶりで、緊張感が背中を走り始めた。 -
<JERUSALEM(エルサレム)>
いろいろな事が起きたイスラエル入国日だった。
臨戦態勢の国の入国管理がどれほどシリアスなのかは、このヘロヘロ状態でバスのシートに横たわる身体が物語っている。
しかし、その疲れも遠くに城壁が見えた途端消え去った!
あの金色に光るドームはイスラエルのパンフレットで観た事がある!
エルサレムだ! -
まるで中世の城の様に、オールドエルサレムは城壁で囲まれていた。
-
城壁の外では、ビルマの竪琴ではなく、ユダヤの竪琴を弾く僧が・・・
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城壁の中の街は複雑に入り組んでいる石畳の小道と石造りの家々がひしめいていた。
歴史ある古い家々を良く見ると、中は近代的なショーウィンドウに飾られたお土産屋が・・・
アンティークショップ「ホーリーランド(聖地)」等、店の名前もそれなりになっている。 -
まるで、遊園地の不思議の国だ!
あちこちに袋小路があり、トンネルや、地下道、抜け道、とても地図なしでは歩けやしない。 -
あちこち道に迷いながらさまようと、他の建物と似たような石造りの教会に出くわした。
聖母マリアが生まれた教会らしい。
さすが、エルサレム!歴史的建造物がごろごろしている。 -
どうもここら辺は、クリスチャンエリアらしい。
人々はイスラム教のベールで顔を覆っている人や、ユダヤの河童の皿のような帽子もかぶっていない。
おしゃれな西洋人観光客ばかりだ。
クリスチャンエリアが一番みやげ物屋も多い気がする。 -
<クリスチャン・エリア(キリスト教地区)>
キリスト教信者にとってはイスラエル観光のハイライトとも言える、「ビアドロローサ」!(イエスキリストが十字架にかけられた場所までの道)
突然、十字架を掲げた団体とすれ違った。これが噂の、観光客がイエスと同じ道を共に歩むというものらしい。静かに静かに行列は進む。
その後に、静かに静かに、ビデオカメラを持った観光ガイドが続く。 -
① <最後の晩餐の部屋>
ここでイエスは弟子たちに別れを告げた。
↓ -
② <Condemnation Chapel>
ここでイエスは十字架を担がされた。
↓ -
③ <イエス、最初に倒れる>
↓ -
④ <イエスが母マリアに遭った場所>
↓ -
⑤ <ゴルゴダの丘>
ビアドロローサを通っておよそ10分、イエスがたどり着いたゴルゴダの丘は現在、教会になっていた。 -
<モスリム・エリア(イスラム教地区)>
クリスチャン地区から10分ほど離れただろうか?
急に観光客の姿が少なくなった。
おまけにあれほどあったモダンなショップも姿を消した。
石畳に子供の遊ぶ声が響いている。
生活感漂う食事の匂いがしてくる。 -
母親らしい女が子供を呼びに出てきた。
頭には中東では見慣れたモスリムの布をかぶっている。
どうやらイスラム地区にまぎれこんだらしい。 -
神殿の丘の上には、観光客が列を作っている建物があった。
これが岩のドームへの入り口らしい。 -
<Dome of the Rock(岩のドーム)>
エルサレムのシンボル。
キリスト教にも、ユダヤ教にも、イスラム教にも絡んでくる伝説の岩がこのドームに納められていた。 -
エルサレムの城壁からも頭一つ抜き出ている金色の輝き。
ユダヤ教の神殿でもあり、現在はイスラム教の神殿でもあるこのドームは、エルサレムの中で最も警備が厳重で大勢のイスラエル兵がぐるっと周りを守っていた。 -
ドーム内には本当にただの岩があった。
この岩についての逸話はビックリする程多岐に渡り、これがいかに重要で神聖な物かを物語っていた。 -
岩のドームからユダヤ教地区の嘆きの壁に行く事にした。
今日だけで世界3大宗教の聖地を制覇しそうだ。
おしゃれな店が軒を連ねていたクリスチャン地区に比べ、イスラム地区は市場が多い。
昼なお薄暗い路地裏にはありとあらゆる食料品店がひしめき合っていた。 -
<ジュ−イッシュ・エリア(ユダヤ教地区)>
「岩のドーム」から歩いて10分、城壁の最外周部へと続くビルの入り口へ。 -
何かのセレモニーだろうか?
正装した人間がわんさかいるのだが・・・ -
<嘆きの壁>
皆が壁に右手をついて顔をその上に載せている。
ここでの祈りの姿らしい。
よく見ると、壁は男性用と女性用とに区別されていた。そして、壁の岩の隙間には無数のドルやマルクの紙幣が詰め込まれていた。 -
-
俺が観て回ったエルサレムは「オールドタウン」と呼ばれている城壁の中の街だった。
その城壁の外には近代的なビルが立ち並ぶニュータウンが広がっていた。 -
旅日記
『バックパッカーのイスラエル人』
世界で一番旅行をしている民族はイスラエル人ではないだろうか?
東南アジアを始め、北米、南米、オセアニア等の安宿では必ずと言っていいほど顔を合わした。
それというのも、この民族の歴史上の名前は「ユダヤ人」。
世界各地で迫害を受け、現在もなおイスラエル周辺のイスラム諸国から目の敵にされている彼らは、実際に戦闘を経験しながら兵役期間を終了すると、国から支給された給料を手に世界を旅する習慣があるらしい。
(絶えず危機にさらされている国が存続する為には、各人が世界規模の知識を身につける必然性がある為との事)
以前、ニュージーランドで一人でヒッチ・ハイクしていたイスラエル人のリロンちゃんに、「一人でヒッチは危険じゃないの?」と聞いた所、「私の国以上に危険な場所はめったにないわ!」と返答された記憶が甦る。
余談になるが、旅の間に読んだ本の中に、世界を動かしているのはユダヤ人だと書いてあった。
正確には経済を動かしているのだが、ユダヤ人2大財閥に、「ロスチャイルド一族」と「ロックフェラー一族」がいるらしい。
前者は金を支配し、後者はお金を支配しているとの事。
日本のお札にも、ユダヤのサインが記されているなんて話もあった。
実は、新宿や原宿の路上でアクセサリーを売っている外国人の多くはイスラエル人の若者。
国から支給されたお金だけでは旅行費用が不足するので、東南アジアで安く仕入れたアクセサリーを日本で売ったお金で旅費を増やしているらしい。
(・・・うーん、この時点で既にビジネスマンとしてのセンスが伺える)
意外な程にイスラエルは身近にある。
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