旧松本家住宅一般公開

2010/04/05 - 2010/04/05

明治時代に、父・安川敬一郎とともに鉱業を興して成功した事業家・松本健次郎が自宅兼迎賓館として建設したもので、国の重要文化財に指定されています。

普段は、非公開で、毎年春・秋の二回、往復はがきで申し込んだ人だけに公開されます。

エリア 戸畑・八幡・黒崎(福岡)

アールヌーボー様式、辰野金吾設計の洋館。

建築面積６４２.９平方メートルの木造二階建て。

日本におけるアールヌーボー導入の早い例かつ本格的なもの。
家具にいたるまで一貫してアールヌーボーで製作されている例は他にないとのこと。

★松本健次郎；１８７０年、安川敬一郎の次男として生まれ、伯父松本潜の養子となる。
１９０９年、父と共に、私財を投じ明治専門学校（現　九州工業大学）を開校した。

★アールヌーボー；１９Ｃ末〜２０Ｃ初頭にかけてヨーロッパに起こった新芸術運動。流れるような美しい曲線や円弧が特徴。

★辰野金吾；明治時代の代表的建築家。日本銀行本店、東京駅、門司港駅などの設計を手がけた。

玄関

大きなお屋敷にしては、間口の狭い玄関。

玄関ドア

玄関を入るとすぐに目に飛ぶ込んでくる絵画。

広間

ピアノ＆ヴァイオリンコンサートが開かれていた。

貴賓室の暖炉

暖炉と言うより家具のよう。

石炭箱

たかが石炭箱と侮るなかれ。
黒檀象嵌模様入りで、これもアールヌーボー。

こんな小物までアールヌーボーなんて、どんだけ贅沢なん？

食堂

広間の階段に掛けられているタペストリー『海の幸』

南蛮貿易で賑わう長崎平戸の風景画描かれている、かなり大きなタペストリー。

対面には、鉱山、炭焼、田植えなどが描かれている『山の幸』のタペストリーが掛けてある。

階段部分のステンドグラス

和田三造作

青空と白雲を背景に、葡萄の樹陰をツバメが飛ぶ様子が描かれた、アールヌーボー調のさわやかなデザイン。

会議室

談話室

大きなドレッサー

洋館二階にある和室。

和室の廊下から眺めた庭園。

洋館の南に広がる築山式庭園。

どうだんつつじと平戸つつじの大刈り込みを主体とし、周囲は、椎、樫、楠、もちのきなどの自然林で野鳥の楽園となっている。

コンサートが終わったようなので、一階に下ります。

こちらは書斎。

ドアの回りの円弧のデザインが珍しい。

暖炉の両脇に書棚を仕込んだ垂壁の円弧が、現代でも斬新さを感じる素敵なデザインだと思います。

一番見てみたかった、広間の暖炉。

かなり特徴ある暖炉で、ＮＨＫＴＶ『美の壷』で紹介されていた、と白い華さんから情報をいただきました。

白い華さん、ありがとうございました。

当時のヨーロッパの最新美学が積極的に取り入れられた、アールヌーボー様式の丸い形の、斑石の暖炉。

この洋館の最大の特徴と言える。

一階広間から見た階段部分。

★この大広間は、４/９に放送されたＴＶドラマ『わが家の歴史』第１話のアメリカ人パーティーの会場として、登場しました。

南側の庭園から見た洋館

優雅な気分になったところで、洋館テラスでケーキセット（５００円）を頂きながら、まったりと休憩。

この日は、５月上旬の陽気で少々暑く、また紫外線も気になった。

日傘が必要な季節になったんだなぁ。。。

落ち着いたところで、数寄屋造り・書院造の日本館へ移動。

明治時代の貴紳住宅の典型的な構成になっている。

洋館とは渡り廊下で繋がっているそうだけど、見学会では、日本館の玄関から入って下さい、ですって。

中央書院

数寄屋造風の８帖二間の座敷。

欄間は雪月花の取り合わせになっている。

欄間・・・花

欄間・・・月

和室

暖炉が備えられた和洋折衷のお座敷。

石炭業以外に、教育にも力を注いだ松本健次郎の功績が偲ばれる、勲章など。

日本館の内庭

松本邸一般公開にあわせて、お屋敷のあちこちに生け花が展示され、彩りを添えていた。

数々の照明の中で、私が一番気に入ったのが、洋館で見た、このライト。

神戸異人館にあるような、華やかなものではないけれど、菊の御紋章のような意匠が何とも上品で素敵。

洋館一階の書斎の照明。

私立明治学園小・中・高校

安川敬一郎・松本健次郎親子が創立した、明治専門学校（現・九州工業大学）の附属小として、明治４３年に創立。

４４年に明治尋常小学校として独立し、昭和２４年、カトリックの修道会に経営移管され今日に至る。

体育館と修道院が、北九州建築文化賞を受賞している。

旧戸畑区役所

７０〜８０年前に立てられたレトロ建築

明治学園前からバスで戸畑駅へ向かう途中、前からずっと気になっていたこの洋館を見たくて、区役所前で下車して行ってみたところ、区役所は移転し、ここは空きビルになっていた。

取り壊されることがないよう、地域のために有効活用していただきたいな。。。


★図書館として生まれ変わるそうです。

旧区役所から歩いて数分のところにある、『まごじ』も一度、立ち寄りたい所だった。

北九州建築文化賞受賞している、和風の素敵建物の中に入ってみましょ。

買い物の予定はないけれど。

★まごじ凧

　福岡県指定特産民工芸品

　明治時代から作られていて、初代竹内孫次さん没後は、孫の竹内義博さん、日出子さん夫婦が二代目を継承。

福岡県八女産の手漉き和紙・北九州産の竹・綿糸・紅・墨など厳選された材料が使われている。

北九州を代表する郷土玩具です。

＊戸畑区新池一丁目

『まごじ凧』と言えば、クルクルとした大きな愛らしい目とユニークな色使いの凧が有名で、TVで何度も紹介されているけれど、他にも沢山の凧が売られている。

凧のみならず、こんな小物も・・・

絵葉書を２枚お買い上げ。（１枚３００円也）

手漉き和紙に手書きの絵が何とも暖かく、差し出すのはもったいないので、それぞれのお節句時期に額に入れて飾ろうっと。

中国では、「運が高く上がる」縁起物として人気があるそうなので、改めて凧を買いに来よう。

ランチは、『しん門』で、と決めていた。

昨年、地元TVで紹介され、行こうと思っていたレストラン。

放送後、もげさんにレポートを先越されたままだったので、やっとありつけた。

もげさんの旅行記はこちらです。
http://4travel.jp/traveler/mogechan/album/10364095/

ＴＶで紹介された、オムライス（９００円）にサラダ・コーヒー（１５０円）を付けてもらった。

スプーンを使って切れ目を入れると・・・

蟹とチーズ入りのトロトロ卵のお目見え。

デミグラスソースは濃厚なので、水をかなり飲んで、お腹はチャポンチャポン。

隣のおば様たちはワインのハーフボトルを注文してた。
私もグラスワインを頼めばよかったな。

ＪＲ戸畑駅横の”ウエル戸畑・戸畑市民会館”ロビーに展示されている、『戸畑提灯山笠』

ＪＲ戸畑駅プラットホームから見た、若戸大橋

最後までお付き合い下さりありがとうございました。

明治学園前にある『もち吉』で買ったお煎餅とぬれおかきです。

拙い旅行記を読んでくださったお礼に、おひとついかがですか？

さ、どうぞ召し上がれ。。。

この旅行記へのコメント （9）

• わんぱく大将さん 2011/09/18 08:20:30

  九州、行き倒してたのに

  ARICさん
  
  あわただしい旅行記、見ていただき有難うございます。
  
  ゲ〜　こんないい建物あったんですか。　　九州、どんだけ行き倒してるのに、初めて知りました。それも辰野金吾氏の設計。
  この間、小樽でみた、鰊御殿は撮影は禁止でしたが、あそこもよかったですが、ここ、次回、帰る時に応募しときます。
  
  　大将

  ありママさん からの返信 2011/09/20 16:28:28

  RE: 九州、行き倒してたのに

  大将さん、こんにちは。
  
  コメントありがとうございます。
  お返事が遅くなりゴメンナサイ。
  
  > ゲ〜　こんないい建物あったんですか。
  素敵な建物でしょう！？
  一見の価値有りですよ。
  写真も撮り放題。
  大将さんが撮影なさったら、もっともっと素敵な建物に見えると思います。
  
  九州にはそんなに来ていらっしゃるのですか？
  そう言えば、先日も小倉に来られたのでしたね。
  薄暗い駅のコンコースをとても素敵に撮ってくださりありがとうございます。
  コメントも書き込まず、読み逃げ失礼しました。
  
  今度九州にいらっしゃるときはご連絡くださいまし。
  もげさんと、美味しいお酒を用意してお待ちしています。
  
  　　　ARIC
  
  　

  わんぱく大将さん からの返信 2011/09/21 09:48:05

  RE: RE: 九州、行き倒してたのに

  > 大将さん、こんにちは。
  >
  > コメントありがとうございます。
  > お返事が遅くなりゴメンナサイ。
  >
  > > ゲ〜　こんないい建物あったんですか。
  > 素敵な建物でしょう！？
  > 一見の価値有りですよ。
  > 写真も撮り放題。
  > 大将さんが撮影なさったら、もっともっと素敵な建物に見えると思います。
  >
  > 九州にはそんなに来ていらっしゃるのですか？
  > そう言えば、先日も小倉に来られたのでしたね。
  > 薄暗い駅のコンコースをとても素敵に撮ってくださりありがとうございます。
  > コメントも書き込まず、読み逃げ失礼しました。
  >
  > 今度九州にいらっしゃるときはご連絡くださいまし。
  > もげさんと、美味しいお酒を用意してお待ちしています。
  >
  > 　　　ARIC
  
  ARICさん
  
  いや〜　　お気持ちだけでも嬉しいです。　　　大将
  >
  > 　

• Michyさん 2010/04/12 00:14:17

  素晴らしい建築！

  ARICさん、こんばんは♪
  
  完成してからコメントを…と思いながら、我慢できずに失礼します。
  
  洋館好き、ステンドグラス好きの私としては見逃せない建物です。
  いつの日か日本全国の洋館巡りをしてみたい…と密かに思っていましたが、旧松本家もしっかり候補です！　
  
  やはり日本の洋館は、和室のお部屋や庭があったりと、和洋折衷の建物があったりするのが魅力の一つだと思っています。
  ARICさんのお陰で、私の知らない北九州のレトロ建築はみんな行ってみたい候補になってます（＾。＾）
  そうそう、私もあの照明は素敵だと思ってました！
  本当に何とも言えず上品で優しい心和むような灯りですね。
  
  旧戸畑区役所も是非大切に保存して、残してもらいたい建物ですね。
  
  
  Michy
  
  

  ありママさん からの返信 2010/04/12 14:43:20

  RE: 素晴らしい建築！

  Michyさん、メッセージありがとうございます。
  
  あと、わずかで完成するのに、気の利いたコメントが書けず、文才のなさを痛感しています。
  
  私も、洋館巡りは大好きです。
  今週、お天気がよければ、別の街の洋館巡りをする予定です。
  
  そうそう、松本邸の大広間が、先週放送のフジテレビ系ドラマ、三谷幸喜作
  『わが家の歴史』第１話に使われていたんですよ。
  
  
  コンサートや結婚式などで利用できますが、全部を見られないし、普段は非公開なので貴重な物を見せていただきました。
  
  優雅な気分で帰宅したので、夕食は、普段食器棚で眠っている来客用のボーンチャイナに盛り付けしました。
  
  毎年、北九州国際音楽祭で必ず一度はここを会場とするコンサートが開催されるので、今年は行こうかなと思いました。
  
  Michyさんも、是非いらして下さいね。
  
  では、今から続きを書き込みます。
  
  ＡＲＩＣ
  
  
  
  
  
  
  
  
  

• シンバさん 2010/04/08 22:11:43

  往復はがきを購入しなくとも・・・

  ARICさん　こんばんは〜
  
  北九州で松本って言えば、松本清張しか知りませんでした。
  
  実は、こんな素敵な建築物があって、一般公開されてるんですねーーー!!!
  
  「よ〜しゃ見に行くぞーーー！！！」
  
  と思ったのですが、既に終了しているようですね。。。（涙）
  
  往復はがきを購入しなとも、拝見することができ、とてもラッキーで〜す♪
  
  シンバ

  ありママさん からの返信 2010/04/08 22:34:40

  RE: 往復はがきを購入しなくとも・・・

  シンバさん、いらっしゃ〜い。
  
  労働者の街北九州にこげな金持ちがおったとは私も知りませんでした。
  
  炭鉱王と呼ばれた伊藤伝衛門の飯塚のお屋敷や、門司港レトロよりもはるかにリッチ感あふれる素敵な建物でした。
  
  一般公開は年２回計４日間。
  そのほか、期間限定でランチ会やコンサート付ディナー、結婚式、北九州国際音楽祭他コンサートなど、公開される日が限られているので、保存状態もよく、庭もよく手入れされていました。
  
  帰宅するのが嫌になりました。
  
  > 往復はがきを購入しなとも、拝見することができ、とてもラッキーで〜す♪
  そう言って頂けると嬉しいです。
  ２００枚近く写真を撮ったのですが、人が多くてなかなか落ち着いてカメラを向けられなかったので、イマイチな写真ばかりです。
  
  夫のデジイチを持っていきたかったのですが、「元深窓の令嬢」の私には重すぎて・・
  
  コメントありがとうございました。
  　　　
  　　　ＡＲＩＣ
  
  

• 白い華さん 2010/04/05 17:23:33

  ＮＨＫ　「美の壺」　の　暖炉　特集！　で　見ました。

  今晩は。
  九州　の　松本家！　の　一般　公開・・・、　バイオリン　の　エレガント！　な　催し　が、　この　歴史　ある！　邸宅　の　雰囲気　に　ピッタリ！　ですねぇ〜。
  そして、　クラシック・ファン　の　ＡＲＩＣさん　には、　素敵！　な　ミニ・コンサート　と　なりましたね。
  
  さて、　丸　の　木！　の　入り口・・・とか、　シック　で　派手！　な　アール・ヌーボー　の　部屋　の　デザイン　が、　素晴らしい〜　お宅！　なんですね。
  
  そうそう、　２ヶ月　位　前！　の　ＮＨＫ　「　美の壺」　の　暖炉　特集！　で、　この　暖炉！　を　見ました。
  
  家　の　各所！　の　デザイン　「　丸　」　の　アール・ヌーボー風　に　合わせた！　　『　大理石　造り！　の　丸い！　洋風　暖炉　』　は、
  とっても、　オシャレ！　で　心　に　残りました。
  
  そんな　テレビ！　の　お話・・・も　当日　は、　ありましたか　？　（笑）
  
  そして、　二階　の　和室　の　華やか！　な　和風　絵画！　の　描かれた・・・　小さな　襖！　が　和風　の　暖炉！　の　両側・・・を　彩る
  所・・・。
  と、　松本家　の　珍しい！　二箇所！　の　暖炉・・・を　拝見　したんです。
  ３０分間　の　番組！　で、　いろいろ・・・な　暖炉！　を　見た　中！
  この　ふたつ！　は、　圧巻！　の　見事さ・・・でして、
  とっても、　印象　に　残りました。
  
  東京　からは、　九州　は　遠く、　こうゆう　旅行記！　で　拝見！　出来る　コト　は、　有り難い・・・デスよね。
  まず、　ＡＲＩＣさん　が、　足を　運んで・・・くれて、　レポ！　して　くれて・・・　に、　感謝！　です。　（♪）
  　　　　これからも　ヨロシク　お願いします。

  ありママさん からの返信 2010/04/05 17:45:20

  RE: ＮＨＫ　「美の壺」　の　暖炉　特集！　で　見ました。

  白い華さん、こんにちは♪
  
  即刻見てくださった上に、メッセージまで頂きありがとうございます。
  
  年に２回だけの公開日なので、沢山の人出でなかなかじっくり見て回れませんでした。
  
  でも、この暖炉だけは事前調査で絶対見たい！と思っていたので、椅子が邪魔でしたが何とかカメラに収めることができました。
  ホントは、化石を探したかったのですが・・・（見つかったと言う話は聞いたことはありません）
  
  そうですか？ＴＶで紹介されていたのですね。
  やはり、独特な暖炉ですよね。
  
  今日も、地元のケーブルＴＶが取材に来ていましたし、市の関係者が団体でみえていました。
  
  普段、非公開だからか、保存状態も良く北九州の誇りだと思います。
  大切にしていただきたいものです。
  
  九州は遠いですけど、ホーチミンよりは近いですよ。
  是非、いらして下さい。
  
  どっこもよかとこばい。
  
  　　　ＡＲＩＣ