1995/08/08 - 1995/08/09
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北風さん
ロシアへ行こうと決めたのは、いつからだったんだろう?
多分、トルコから東欧の入り口ブルガリアへ向かうバスの中だった気がする。
思えば、あの時からこの宝捜しRPG「ロシアへ」が始まった。
最初は、ロシアVISAの情報集めでハンガリーに行った。
次は、ドイツに寄って、ドイツ・マルクを入手。
3カ国を北上し、リトアニアでやっとVISAを入手しロシア入国!
これでVISAの呪縛から解き放たれたと思っていた。
が、しかし、今度はVISAに滞在証明印が必要との事。
気がつけば、急かされる様にロシア内をモスクワからサンクトペテルブルグまで北上してきた。
あとはこの街で証明印をもらうだけだと思っていたのだが・・・
- 同行者
- 一人旅
- 交通手段
- 鉄道
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<St. Petersburg(サンクト・ペテルブルグ)>
全く意味不明な言葉で埋め尽くされた列車のチケットを握り締めて飛び乗った列車は、どうにかサンクト・ペテルブルグの駅に到着してくれた。
さすが、歴史上首都がおかれていた旧名レニングラード、現在「サンクトペテルブルグ」と名乗るこの街は広大な都市だった。 -
いくら共産主義の国だったとはいえ、街並みは普通の西側ヨーロッパの下町の様な石造りのアパートが並ぶ。
意外と石造りの重厚な建物が少ないなぁ。 -
不凍港としてソ連海軍の要所となっていたこの街は、風に潮の匂いが混じっていた。
海のそばには、金色の塔がそびえる旧海軍省が見えている。
どうやら、あそこがこの街の基点らしい。 -
街中で最も目立つ、金色に光り輝く「旧海軍省」。
-
運河沿いには、あの赤の広場で非常に浮いていたワシリー寺院によく似た教会が!
ロシア正教と言えば、キリスト教の分派の中でも厳粛で規律に厳しい宗派だと聞いているが、何故教会の外観をあれほどポップにデザインするのだろう? -
<トロバウロフスク要塞>
水平線にぎりぎりまでしがみついていた太陽が、ようやく沈み始めたのが21:00。
この高緯度の地にもやっと夜が訪れる。
サンクトペテルブルグ発祥の地と言われる「トロバウロフスク要塞」が夕焼けの中の空にシルエットで浮かび上がった。 -
旅日記
『サンクト・ペテルブルグのユース・ホステルにて』
何てこった!
昨日、やっとこの街のユースホステル協会にて、俺のロシアVISAに滞在スタンプが捺された。
これで無事に出国できると思って、しこたま同室のスペイン人とビールを飲んだ2日酔いの頭が急激に覚めていく。
今朝、同室のツーリストとの話の中に、聞きなれない単語を耳にした瞬間だった。
「税関証明書」
・・何それ?
皆が手に手に自分の証明書を出してくる。
・・えっ?え?え?
どうやら入国時にもらうらしい。
が、しかし、俺の時は英語が話せない入国管理官がひとしきりロシア語でまくしたてた後、最後には「チッ!」と舌打ちしながら入国スタンプを捺しただけだった。
今思うと、あの時に彼はこの税関証明書の事を言っていたのでは?
とりあえず、日本領事館に相談に行くと、現在までに税関証明書を持たずに入国した例がなく、1000人に一人の幸運だと言われた。
・・それは、出国時に1000人に一人の不運を背負う事を意味するのでは? -
スペイン人のアレックが、
「心配するな!俺はVISAの紙が失くなっちまったんだぜ!」
と、陽気になぐさめてくれた。
・・アレック、ここは5年前まで社会主義の総本山だった旧ソ連だぞ。下手をすると不法入国で2人でシベリアに無料招待されるシチュエーションなんだぞ。
アレックがB型ならば、俺は今、どこまでも能天気なラテンの血を輸血したい。 -
旅日記
『エストニアへの脱出を決意した瞬間』
さて、どうしよう?どうしよう?どうしよう?
規律を重んじる社会主義。
いくら崩壊したとはいえ、ここは社会主義の総本山ロシアだった。
果たして、書類がそろっていない俺を出国させてくれるのだろうか?
頭の中は、目先のトラブル回避にフル回転しているのだが、足は着実に駅前の馴染みのピロシキ屋台に向かっている。
確かに何をするにも体力勝負の俺の旅に、身体は慣れているのかも知れない。
食料事情の悪いロシアじゃ、屋台のピロシキなんて犬の肉が入っているなどと噂が飛んではいるが、ロシアでピロシキを食べないで何処で食べる?
怪しきピロシキ屋台が視界に入ってきた時、突然薄汚い皮ジャンを着た小柄なロシア人が目の前に現れた。
金髪だ。
しかも美人だった。
そして、鼻やら耳やらにじゃらじゃらぶら下がるピアス、トゲトゲの鋲が打ってある皮ジャンの肩、
・・ヘビ・メタ?ロシアン・ヘビーメタル?
こんなお固いイメージのこの国に、こんな10年程前に流行ったヘビメタがいるなんて!
ロシアン・ヘビメタのおね−ちゃんが、俺の肩をつかんで、たどたどしい英語で喋り捲る。
「マネ、マネ、マネ」
・・状況を整理すると、俺は社会主義の総本山だったこの街で、ヘビメタのおね−ちゃんに昼間から堂々とたかられているわけか?
もちろん、インドのすさまじいたかりにも耐えてきた俺に、こんなハリネズミにやる金は無い。
(ちょっと美人だが・・・)
しかし、ふと考える。
これほど急ピッチで堕落した国ならば、書類の一つや二つの不備は別段問題じゃないのでは?
俺は、今日、ロシアン・ヘビメタに勇気をもらった。
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