1995/09/13 - 1995/09/16
3225位(同エリア4199件中)
北風さん
ベネツィア行きの列車は、海の上に延びる細長い大地の上を走っていた。
(まるでシンガポール島からマレーシアへ続く陸橋みたいだ)
うかつにも、この時点で初めて、水の都ベニスが島だという事に気づいた。
現在でも少しずつ沈んでいっているこの島は、500年後には完全に水没するとの事。
と言う事は、俺の子孫がこの写真を見る時には、もはや実物は消滅しているかもしれないわけだ。
東南アジアのベニスとして、汚く怪しい雰囲気の細い運河が走るタイのバンコクは知っていた。
しかし、本家のベニスは、ヨーロッパの観光パンフレットに必ずと言っていい程載っている写真を見る限り、ロマンチックで小ぎれいな街に見えた。
さて、本家の水の都の真実は・・・
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旅日記
『ミラノで野宿』
1995年9月11日 夜8時、列車はイタリアのミラノに到着!
夏休みの学生旅行で、ただでさえ安宿が満杯のこの時期、この時刻からの宿探しは絶望的だった。
とりあえず、数件の宿に行ってみるが、案の定、FULL!
疲労で背中のバックパックが石の様に感じてきた。
いくら観光地とはいえ、夜の見知らぬ街はなかなか気が抜けない。
街中で最も明るく、人気が多いライトアップされていた教会前の広場で腰を降ろす事にした。
どうやらここが、ミラノの観光名所「ドオゥモ」らしい。
これは、美しい!
ここでなら、夜を明かしても安心かも?
と、思ったのもつかの間、警備員らしき屈強な方々が既にベンチで居眠りを始めていた白人バックパッカーを取り囲み、何やら注意を与えている。
・・・つまり、ここでは寝れないらしい。
野宿の基本は駅構内。
トイレもベンチもあるし、人気もある。
クタクタになりながらミラノ駅の戻った途端、非常に強力な睡魔が襲い掛かってきた。
3時間ほどベンチで眠っていただろうか?
ブーツの底に感じる衝撃で意識が戻ってきた。
寝ぼけ眼に映ったのは、俺のブーツを蹴り上げる警察官らしき男の姿。
どうやら、この駅は24時間オープンではないらしかった。
追われる様に駅前の公園へと寝場所を移し、同じ様に追い出された本家ホームレスのおっちゃん達に混じって植え込みの裏で背を丸めた所までは覚えていた。
俺のイタリア・デビューは、ホームレスで始まった。 -
べネツィア行きの列車は、海の上に延びる細長い大地の上を走っていた。
陸地から長い長い橋でつながったマレーシアのペナン島に行く時もこんな感じだった気がする。
知らなかった!
ベニスが島だなんて! -
ベネツィア駅を出ると、そこは運河だった。
通常駅前にはバスターミナルがあるが、この街にあるのは水上バス(船)の停留所だ。
驚くべき事に、この街では車がないらしい。
人がどうにかすれ違えるぐらいの道幅の上、家々の間の道は所々水没している為、確かに車じゃ移動出来なかった。 -
街のメインストリートに当たる運河には、ひっきりなしに船が行き来していた。
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この街では、隣の家に行くにも橋を渡る必要がある。
マイカーではなく、マイボートは必需品だろうなぁ。 -
港の片隅にポツンと置かれてあったのは、この街の移動手段、船のガソリンスタンドだった。
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ーロッパの夏休みに当たるこの月は、この町の至る所に観光客が溢れている。
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ラッキーな事に、この状態でサンマルコ寺院の裏という、観光拠点には最高の場所に宿が取れた。
朝、夕に教会から鐘の音が流れてくる。 -
大雨が降った翌日、教会の前はほとんど水びたしだった。
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なんと、運河の海水は、ほとんど地面と同じ所まで迫ってきている。
もしかして、この街沈没しているのでは? -
ベネツィアの街には大通りがない。
水上にある道路は、まるでモスリム小路の様に迷路のような小道が橋で結ばれている。 -
所々水没している道路がなければ、典型的なヨーロッパの下町なのだが・・
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以前は一階だったであろう建物の基部は殆どが、水面下に沈んでいた。
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しかし、こういう状況でも、人は環境に適応するものらしく、水没した玄関には、自家用ボートの出口に改良されている所もある。
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この街では、狭い運河の至る所に自家用ボートが路上駐車?していた。
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ゆっくり、ゆっくりと水没した建物の間をボートが進む。
日本では大型台風が通過した後の救助シーンみたいだが、ここでは日常的なシーンだった。 -
クラッシックなスタイルに身を包んだ漕ぎ手が、べネツィア名物の細長いゴンドラの上で、絶妙のバランスを披露している。
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不思議な静寂感の中、水没している石造りの家々の壁に、漕ぎ手が歌うカンツォーネが響いていた。
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メインストリートには日曜の新宿並みの喧騒が詰め込まれているこの街の路地裏は、ビックリするほど静寂が支配していた。
いいなぁ、この街。
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