2009/09/28 - 2009/10/05
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fujimotoaiさん
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ただの見物と生活です
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- 1万円 - 3万円
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- 高速・路線バス
- 航空会社
- チャイナエアライン
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2009-09-29
上陸
20時間かけてJFK空港に降りたらもう深夜だった。めずらしく機内で何時間か眠ることができたのは進歩か。キャビン・クルーがみなさん美人でしょうがなかった。チャイナ・エアライン。映画「余命1ヶ月の花嫁」を小画面で鑑賞。新しさは何一つ見出せなかったが、病気の進行で髪が抜けはじめ、悲しさと悔しさにうちひしがれてベッドにつっぷすシーンは、大根芝居も気にならず、心を苦しくするものがあった。
到着ターミナルに出たものの、いつものように迎えはない。乗合バスが便利かなと受付を探そうとしたところで、インド人だかイラン人だかに話しかけられる。「バスか?タクシーか?」訛っている。『とうぜん無視だ。』「バスならこっちだ、そっちはなんにもないぜ、ボーイ。」『おれは勝手にいきたいのだ。命令されんのがなにより癪なのだ。英語でどう言うんだ?こういう構文を教えとけ。』「ああ、バスだ。」答えたのがマズかったか。大男2人がかりでスーツケースを奪ってずんずん駐車場にむかっていく。舐められたものだ。むろんおれの相手ではない。「だんな、とにかくしゃべらなきゃ。何に乗るのか言わないと。」「イズ ディス スーパーシャトル?」「もちろんでさ」「resavationは?ほんで真っ黒やないか?写真と全然ちゃうぞ。おもくそblue-vanゆうて書いてるやんけ。でここに黄色でSuperShuttleのはずや。ところがオタクのは無地ですー。」(以上、日本語でまくし立てる)『1000%ウソつきだ。人間的に扱ったこっちがバカなのか。きらいだね。信じない。』「I don't think so.だ。cancel.カバン下ろせ。」「アホっか。なにが深夜料金で$45じゃ。24時間$18ってちゃんと謳っとうやろが。うるせぇ。subwayでいく。それかairportにstayする。」『ウソにはウソでお返しやで。そら自業自得の復讐されるわ。』 やっと空港内まで帰還できた。浪費。アメリカンドリームをあきらめたカス?それでも人の子だ、たまに母堂を思うこともあるんだろう。おれ無いもんな。バスを予約しさらにターミナルで待つ。来ない。立ち往生。さっきのカスと始終目が合う。さっぱり客が釣れてない。『元気なくなってるがな。こっちはこれで平常心やからな。キチガイに思われてるやろけど。謝らんし。』「Mr...」迎えだ。『がしかし、このドライバー、輪をかけて胡散臭い。合ってんやろな。』しかも11時を回ったぞ。乗り込んでみると、すでに7,8人いた。ナ、ナニ人とナニ人とナニ人ですか?今のところ新大陸という気がまったくしない。いやこれこそアメリカなのか。フシギフシギ。満席でやっとスタート。後ろから左からスペイン語。メキシコからの家族?おばあちゃんも連れて。いったん走り出すといいスピードで飛ばしてじきミッドタウンへ。ん、ウォルドーフ−アストリアっぽいホテルに停まる。いやそのものだ。しかもあの一家が。奮発したなー。じゃタクシーで行きゃよかったのに。奥のシートに座っていたピンクのTシャツからお腹が出てる娘が腰から水色のパンツを丸見えにして、sorryと言いながら降りていく。むろんNo problemとかえす。ぼくの宿に着くのはもう少し先のことだ。 -
2009-09-30
■ロウアー・マンハッタンを掠める
牛乳だけ買いに出た時、歯磨きセットを忘れたが、あきらめだ。機内の乾燥ひどくリップクリームも欲しいところ。いずれにしても睡眠先行だが。気を失って目が覚めたら2時間しか経っていなかった。ぼ〜と過ごして、また無理矢理2時間。想定内。なんとか1日もつだろう。ただ、寝起きに泣いたから目が痛い。
コーヒーメーカー、パンのかけら、水道水。バルコニーは嬉しい。曇りで寒いけど。隣接タワーコンドミニアムの一室から漏れる妖しげな照明にはうす笑いである。 -
足のバンソコだけ入念にして、グリッドを北上。地下鉄へ。GLからごく浅いところを通っている。これならパスで(バスも)乗りたおせる(すぐ来ればの話だが。時刻表なんか無いよ。よう揺れて)。
グラウンドゼロ。といっても、ぼくが見てきたものは工事現場にすぎなかった。写真を撮ったって仕方ない。徒労だろうか。 -
シティ・ホール前の公園が近かったので、ベンチに座る。「ウールワース・ビル」が仰げるためでもあった。垂直強調にゴシックの衣装は妥当。デザインの密度は並列にできないが、スターリン様式に似ていると思った。「錯乱のニューヨーク (ちくま学芸文庫)」の著者が狂うわけである。
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ところで、ふつう、ヨーロッパにおいては、市庁舎前広場がその都市の一番中心であるのだが、マンハッタンの中心はここにはない。タイムズ・スクエアか。ロックフェラー・センターか。「ビッグ・アップル」(=この都市の愛称)だけに、5番街に近頃出現した「アップル・ストア」が新たな中心になったりしてね。なんとも味気ないけど。24時間光ってるしか能のないガラスの箱だぜ。それはとにかく、市庁舎そのものも映像として浮かばない。結局、行かず終い。「ワールド・ファイナンシャル・センター」は、アトリウムよりはハドソン・リバーまで抜けたらすっとした。にしても、なんでこんな縁もゆかりもない場所に行きたくなるのか。建築マニアも考えもの。発見は、ゾーニング法以前の遺構「イクイタブル・ビル」が展望しやすいことくらい。さあ、ウォール街は素通りしてこの地区を後にしよう。
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■チェルシーで退屈する
地下鉄でグリニッジ・ヴィレッジまで戻ってくる。低層の赤レンガがつづいて落ち着く景観。再び曇り空に。12:30。
地上に出ると方角を喪失するが、たぶんこっちと歩きだす。目になにかささる。あれか?・・・やっぱり。オーラを感知する建築アンテナの性能は上がってきたろうか。ささったと感じたのは三角地に立つ石上純也(売れっ子)による「ヨージヤマモト ニューヨーク」の立面である。内面は閑古鳥。新聞報道に触れたのは帰国後だが。とうとうパラついてきたのでメガネをポケットにしまってフードをかぶって早々にバイバイする。ぼく石上さんという人わかったかな。
お腹も減ったし屋根と暖ももとめて、レストランを探す。歩道でベビーカーの女の子(気のせいかもしれない。ニューヨーカーは、かなり大きくなってもベビーカーに乗っている。)が体をこわばらせている。「cold?」うんうん頷く。「me,too.」自分なりに書き込みもした白黒コピーの地図によると、ガイドブックでたしか「非ファストフードのバーガーならここは?」と紹介されていた店が近くにあるはず。しかしここら辺はちょうど条理空間がこわれていて方向が怪しい。神戸とちがって山もない。4時の方向に進みたのだが。行きづまっていたら、通りすがりのジャケットがエメラルド色がかっこいい老婦人が助けてくれた。発音のよさに感激した。なまってるやつも多いから。「me,too.」
コーナー・ビストロは案の定コーナーにあった。ビストロ・バーガー$7。分厚いハンバーグ、ベーコン、チーズ、トマト、レタス。付け合せにピクルス。味付けがほとんどゼロ。自力でケチャップマスタード胡椒しなはれか。お味は、ううん、いや、えーっと、あっとねー・・・。別に全然不味くない。完食したからね。
出ると雨は上がっていた。ハイラインまで歩く。高架橋を公園化したリノヴェーション。線路も一部保存してある。パブリック・スペースが少ないと批判されつづけてきたニューヨークなりの解答(他に、タイムズ・スクエアやフラット・アイアン・ビル前にも作られていた)。スーパーの巻き寿司を広げている家族なんかも。これでいいわけだ。強いアメリカ、そんなもんなかなか出っくわさない。空中を歩くのは爽快である。 -
そのままさらに徒歩で北上してチェルシーの画廊街。すごい数。が、ふらっと入って、出てこられる雰囲気はニューヨークならではなのか。コーヒーを持ったまま入ってくる人や映像作品のベンチでパンを食べる人や。パーカーのメガネ男子や。チェックしておいたギャラリーにはひととおり入りたおす。途中の「コム・デ・ギャルソン ニューヨーク」もガラガラだったけれど(もっとも水玉黒パーカーに向こうさんも用はないだろう。Made in china)。ミニマル、コラージュ、写真、オブジェ、ペインティング、・・・。ひととおりのメディウムは散歩した上でぼくには退屈だった。様々なる意匠。わかる。いや、ぼくにわかられているようじゃあかんのだ。ニューヨークの苦悩がここにも露出している。もっとも世界的に総負けなわけだけど。ほろ苦い気持ちで帰ることになってしまった。この街に、また、来られるだろうか。
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展望台でふるえる
時間が余ったか。一旦ホテルに戻れそう。1時間でも寝たいから。デュエイン・リードで歯磨きセット(なんかこう、ポシェット的なケースっぽいのに入ってる系のがよかったのに〜、的な)、酒屋でバーボンの小瓶を購入。水道水で割ってフトンにもぐる。不首尾。
16:00。18:00にトップ・オブ・ザ・ロック(「ロックフェラー・センター」の展望台)に登る予定なので、どうする。スケートリンクなんかはるかオープン前だぞ。パークアヴェニューの「レヴァー・ハウス」でキティでも撮ろうか。こんなの5分しかもたない。60年近く建っているのに鉄部はきれいにみえる。 -
どこをどううろついたか記憶がとんでいる。止まらず動いたはずだけど。「ペイリー・パーク」やどっかのアトリウムで休んだはずだけど。
大味な壁画を見上げて、セキュリティーチェックでのもたもたを過ぎさえすれば、展望台までは子供騙しのエレベータで一気だった。オープンエアであるということがやはり値打ちか。「エンパイア・ステート・ビル」も同じくだからアメリカ人の発想なのか。たぶんそうではない。「サン・ピエトロ寺院」その他ドーム建築頂部の形式につらなっていると考えたほうがいいのだろう。前カーテンウォールの超高層。「クライスラー・ビル」の先端が夕日をゴールドに閃いている。たださむい。しばらく景色をみたら、室内にひっこみたくなるのくりかえし。シャンパンなんかふるまわれているのだが、最悪、白湯ないっすか。 -
1時間位いて、降りて、たまらずチェーンのカフェに入ってベジタブル・スープを注文する。あったまるけど、味が。で、食欲もさほどない。それより睡眠欲である。レストラン探しもおっくうだ。今日のところは部屋に退散するのか。どうか。
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2009-10-01
■スカイスクレーパーに慣れる3時間ほどしか眠れなかった。疲れはピークか。昨日、ロックフェラー周辺をなんとなく中途になってしまったし、あの界隈には屋台も出ているはずだから、朝食もついでにまたあそこから待ち歩きを開始。ホットドックとコークで$6も?。またケチャップ -
!「セント・パトリック教会」、「ウィザード邸」(オーダーがなじめない)。パーク・アヴェニュー。ところで、摩天楼とはこんなもんか?ル・コルビュジエが再訪したさい「小さすぎる」また「多すぎる」とコメントしたのは負け惜しみだと思っていたが、そうでもなかったのだろうか。もっとこの倍過密で高くてもいい。「セントラル・パーク」が「大きすぎる」のはまったくだが。とにかく「エンパイア・ステート・ビル」まで行ってみなければ。が、同じ感想を修正する必要は感じなかった。
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すぐに「クライスラー・ビル」まで戻ろう。遠景夜景も一番際立つし、ロビーも手を抜いていない部分がみつからない。磯崎新は20世紀の建築として挙げた。たしかに、デザインのシャープさはニューヨーク1といってもよい。いまもって最も信用できる眼(オペの影響はどう出ているのだろう)。
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可能なら長居していたいくらいだったが、そのまま水平に移動して「グランド・セントラル・ステーション」、「旧パンナム・ビル」。「ニューヨーク市立図書館」。
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おかしい。開架の棚に本があまりない。市民は持参したノートをネットにつないでいる。たまたま飛行機で読みかけた「その街の今は (新潮文庫)」を読むことにする。心斎橋しか出てこないのに。電話用のデッキと化している余白スペースに設置された、だれにも顧みない彫刻にもっとも心打たれた。建築行脚これでいけてるのか?いいものはいいといえるなら。鍛えたいものを明晰に。視点。視線。視界。視野。視角。視力。
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■薄暮のノリータをよぎる
図書館隣のブライアント・パークをぶらぶらするものの、肌寒い。紀伊国屋書店に入ってみたりもするけど、そう余計な時間もないのだ。
チャイナタウンはどうなのか。あやしい。文房具店「パール・ペイント」は想像とちょっとちがった。もっとゴチャゴチャ商品があると思った。リーマン・ショックの余余波?そのままベトナム料理の有名店に。わりと美味かったけど、量はアメリカン。ホー、サラダ、レインボージュース(聞いた事ないというだけで頼んだ、2,3色っ・・・)。 -
ソーホー。「プラダ ニューヨーク エピセンター」。元「グッゲンハイム ミュージアム ソーホー」。磯崎からコールハースへ。美術館からショッピングへ。グローバリゼーションのメタボリズムの震源地でもあるかのよう。ニューヨークらしいトポスというわけだ。
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暗くなってきたが、おしゃれエリアをよこぎって、「ニューミュージアム」(SANAA)。この辺もおしゃれ化の進行は必定だが、現状との中間が面白いと思う。どうせハリガネみたいなレジデンツタワーに軍配のくせに。
妹島西沢はひとつおぼえのように天井高の操作に執着する。ここではさほど成功していない。外装材も照明もプロポーションも平面も凡庸である。唯物主義者のぼくには床がいちばんよかった。カフェのイスとテーブルはさすが。展示については憶えてもいない。来た通りを再びよぎる。おかえり。おやすみ。 -
2009-10-02
■ユニオン・スクエアで憩う
気温はもちなおした。サンドイッチ屋でベーグル、コーヒー。昨日同様50丁目から島東西を巡回する市バスで、のつもりが、乗る直前に忘れ物に気づいて、パスを取りに逆戻り。ズボンを着替えるからいけない。
国連ビルまで1本。使い勝手よい。セキュリティーチェックをくぐったら、どこのエントランス?逆反り屋根で低層の総会棟の、なんだろう。英語ツアーなら待たずに参加できた。リスニング理解度は1/3程度、黒人ガイドさんがセクシーでそれどころじゃなかったこともある。14人ほどのグループだが、非ネイティヴのみなさんも達者な英語で活発に質問している。建築行脚者ってどれほど偉いものだろう。パン・ギムンの等身大パネルの所で「ならんで記念撮影できますよ」といわれて、韓国からの女の子2人組が喜んでいた。われわれ首をかしげたが。安保理の議場に入場できなかったことはなんといってもドンマイであった。 -
グランド・セントラル駅まで歩いて、そこから地下鉄でユニオン・スクエア駅をめざすが、ふらり途中下車。通過点にスティーブン・ホールがやったギャラリー「ストアフロント・フォー・アート・アンド・アーキテクチャー」があるためだ。いい。ピボット式の開口部群は、窓であり、入口であり、出口であり、間仕切であり、採光部であり、経路であり、また、それらどれでもない壁となる。「有孔体」の理論を唱え続ける建築家なら涙を流すかもしれない。ミニマル、構成主義も消化しているし、素材感覚も色彩計画も、重くも軽くもなく絶妙。環境に対してもノイズエレメント(宮本佳明)たり得ている。
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目的地。老舗古本屋STRANDでエコバッグなんか買っちゃおうか。表に出したラックは全品$1だ、あそうだ、姪できたんだ、弟夫婦はカナダで出会ったから(すねを齧った留学先で何をしておったのだ)、英語の絵本欲しいかも。広場の面したデパート「ベースメント」は庶民的。ソファに座るとエンパイアまで望める。下ではグリーン・マーケット。太陽もでてきたことだし、水分もほしいので、みたことないフルーツばかり量り売りしてもらってその場で食べよう。もっとも不安なのがもっともうまかった。芝生でリスが老婆から残り物をもらっていた。ドッグランは犬の天国だった。地べたに座る若者のファッションはとりどりだ。バンド。スケボー。5番街が銀座ならここはさしずめ中野かな。diversity。
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駅で待たされる
マジソン・スクエア・パーク。小さくていい公園が地下鉄一駅分にかたまっている。セントラル・パークを縮小して、こういう公園をもっと分散させてもよかったのではないか。
犬は街中でみた。平日昼間でもよく散歩させてもいた。でも、柴犬とシーズーの雑種で毛がバサバサで顔がキュートな犬なんてアメリカにも居なかった。絶滅したから。 -
次の写真は光を撮ったとしか説明しようがない。「観光」とは意外に上手いことを言ったものだ。刻々変化する、二度と同じではない、単独的な経験。
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レキシントン・アヴェニューまで出て、インドカレー。野菜も米も本場だ。たぶん。グリーンカレーはえぐくて残す。ミッドタウンまで戻るつもりで駅で待つが、電車がなかなか来なくて、人だらけになった。茶飯事のようだが。そういえばロンドンのチューブも1日1回は止まった(車内の電気もチカチカする)。
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ワールド・オブ・ディズニー、トランプ・タワー、IBMビル、ティファニー(外から覗いただけ。朝食もぬき)、教会。6番街に移動してUSBビル、CBSビル。
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MOMA。人多。金夕。建物のデザインは大きさを扱いきれなかったようである(ビッグネス)。バーネット・ニューマンはジップ(換言すれば棒)だけというのもあったんだ、逆にね。ピカソの青の時代の作品に、うつろな犬がいたのも、忘れがたかった。
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ねむい。足はもう動かないが、こうなってからどこまで動かせるかが勝負だ。近現代にはあきあきしつつも、ついでだからホイットニー美術館にも。思い残すことはないというかんじ。
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■ミースが頂点だと認める
もう一度52丁目あたりまで戻ってきて「シーグラム・ビル」。多少地理か建築に通じている向きにはお気づきだろうが、9/30にすでにみている。が、その時は大した印象を受けなかった。警備のシェパードと漆黒のマリオンと噴水を構図に収めた写真を撮ろうと思ったのに注意されてイラッときたから、だけでもないと思う。パブリック・スペースからして別格だし、品がよくて整っているとは思ったが、それ以上の、高揚するようなものを感じなかった。そこで、ここにはVIPなバーもあったと思い出して、たまたま今日はジャケットだし、夜の状態を見に行ってみたのだ。それがよかったのだろうか。 -
照明の効果が大きいのか。足廻りのライムストーンには初回はノーマークだった。周囲のオフィス・ビルとどこがどうちがうといえばよいのだろう。「場所に力がある」(アリストテレス)とでもいうしかない。この感覚はベルリンで「ノイエ・ヴァッヘ」に入った時に近いが、同じではない。物質、たとえば石というものの持つ力が、身体にしんしんと伝わってくる。足の裏までじわっと温かくなってくる。古い細胞が死んでいって、骨と筋肉と血液を持っているということ、これ以上の幸せはないことを無言で教えるかのようだ。石とは、そこにあるだけなのに、かたく、やさしく、また不思議なものである。それは、稲妻のようにではないが、そこはかとなく衝撃的な経験であった。そのうち釈迦の「解脱」を体得する日が来るだろうが、そのときの体感はこんなではなかろうか。これは写真や図面ではもちろん、絵画からも映像からも得られない経験かもしれない。しいて挙げるなら音楽か(人間を含めた)動物だろう。ニューヨーク1の建築を尋ねられたなら、ぼくは「ミースのシーグラム」と応えるに躊躇しない。
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ところで、「フォーシーズンズ・バー」だが、さすがに敷居が高くてあきらめた。かわりに、元「アメリカン・ラジエーター・ビル」、「ブライアント・パーク・ホテル」の地下にもあったことを思いつき、とにかく行ってみる。セラー・バーは、照明がほとんど赤のライトとキャンドルだけで、ハウス・ミュージックなんかがガンガンかかって、トイレに入ると中国人のおっちゃんが蛇口をひねってくれるというスノッブな雰囲気だが(デイヴィッド・チッパーフィールドだからしゃーない)、バーテンダーのセクシーガールは谷間を強調しながらニコニコとよく働いて悪くない。オン・ザ・ロックス$14(お昼のプリフィックスより$5も高い)。が、そこはアメリカ、ダブルというかほとんどトリプルという勢いで並々とジャックダニエルが注がれる。ミース・ファン・デル・ローエをあきらめてレイモンド・フッドという選択もありかもしれない。
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気分よかったし寒くないから、タイムズスクエアを通りぬけしてホテルまで歩く。各国のツーリストがデジカメを撮りまくっている。世界が笑っている。
ベッドに寝そべってテレビをつけたら、歓喜するブラジル人の頭に紙吹雪が舞っていた。「お祭り」はやりたいところでのみやられなくてはいけない。ツァイトガイスト。 -
2009-10-03
■中世の石と庭に酔う
つづけて7時間眠った。次に気づいたら地下鉄のなかだった。昨日、建築地図を一枚なくしていた。余白に、路線をメモっておいたのだが、乗車しているこれで正しいのか、不明だ。荷物は折りたたみ傘だけ。このままどこまでも乗っていこうと考えた。
駅を出ると山のような所で、なぜだか、京都の蹴上に似ているななどと思った。迷った。ちょっといなかになっただけで途端に心細くなる。森の中でおしっこしてたら物音でビクッとした。撃たれるのかという懸念もよぎったが、例のリスにほかならなかった。暑くもないのに汗をかいた。あとからふり返ると、ぼくは病気になりかけていたのかもしれない。 -
クロイスターズは感動が大きかった。摩天楼や42丁目の喧騒とともに、ニューヨークに来たらこの中世の静謐を同時に体験すべきである。結果として、ここで最も頻繁にシャッターを切ることになった。
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6つの修道院や教会の断片をブリコラージュしているため、柱頭などの様式がふぞろいであったりして興味深い。
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なんとか雨が降らず、ピンクの列柱廊がハーブの香りを包む中庭につかの間佇むこともゆるされた。
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地下鉄の最大のデメリットは、文字通り、地下である(景色がみえない。日が差さない。)、なので、帰りはバスでひたすら南下、でも、あんまり各停なんで、思いつきで降りたら、そこがコロンビア大学だったりして、縁がないから行程に組み入れていなかったけど、せっかくなんで瞬間入ってすぐ出てきたり、あげく地下鉄にもどしたり。ゼイバーズのエッグサンドは5$。また無駄遣い。雨。バス。
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■metで魂の救いをもとめる
バッジをつけたままメトロポリタン美術館へ。「広い」「広い」という噂にビビッて、逆にスケールの把握に苦労した。ぼくは体力はないくせに、あまりじっとしていることができない性格みたいである。脱線するけど、都市を生き抜く運動神経は都市でしかトレーニングすることできない。横断歩道であれ改札であれ、犬の散歩であれ。カフェでくつろいでいる時でさえ。とうぜんネットだってその一コマとなりうる。ひるがえってトラックやスタジアムなんかが一番役に立たない(入ったことすらないが)。ゴダール映画のようにはいかないまでも、びゅんびゅん回ろう。とはいえコレクションが超膨大であることにかわりはない。数時間ではとても見きれない。それは百も承知。ある意味では、今回の旅での目的ははっきりしているのだ。なぐさめ、これである。近現代作品にもとめるものは見出せなかった。2つの聖母子像の前で、とりわけ長く立ちどまった。 -
神様…。
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カフェで休憩して、グッゲンハイム美術館。そういや、ホテルの深夜テレビで、ライトを特集していて、しゃべる声が神様みたいと思った。
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偶然プラザ・ホテルを見つけたので、堂々と入ってみたら、サタデー・ナイトだからか、ドレスアップした金持ちがぞろぞろいた。不愉快な気分になったから、すぐに出た。
デリでパストラミサンド。この旅一番美味かったかも。ただ、やや高くてデカい。田舎ものっぽいアメリカ人客が笑ってた。観光地名物のようである。 -
2009-10-04
■リンカーン・センターにてひまつぶしする11時近くまで部屋でだらだらしてチェックアウト。快晴。
ピザとファンタで5ドル。ほかに客が1人もいない。またぼられた。
「マグロウヒル・ビル」より向かいの日曜ミサのほうに心惹かれた。フリマ。 -
旅行中、ニューヨーク・フィルム・フェスティバルに偶然重なることはわかってはいた。が、情報収集もしていなかったし、どうせ英語か英語字幕だしとおよび腰だった。リンカーン・センターはセントラル・パークと目と鼻だから、とびこみで行ってみるか。日曜日だというのに、1日アヴァンギャルド短編特集http://www.filmlinc.com/views/?p=1424。満席。観客はよく笑う。ちょっとは面白いと思ったのは2本。ティーンの女の子達が「Gotta Go My Own Way」という歌を唄ったYoutube映像をつなぐ「My Way 1 」。たまに熱唱するブスや男子が挿入されたりしてユーモラス。もうひとつは「I Miss」。少女に様々な大人っぽいワードをいわせる。「過剰性」とか、「不一致」とか、抽象的な単語がつづくと如実に飽きてくるのだが、「You need me.」とか「I 'm in yours.」とかといわせると、大きな瞳を光らせ、磨きの甘い乳歯をこぼしながら、ふたたび艶っぽくなるのだった。末恐ろしいマセガキ!
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1時間半ほど鑑賞するも、天気がいいのでお外に出よう。セントラル・パークは広いのでこれまでも2度ほど行ってはいたが、あらためて。たくさんの種類の犬をみた。ぼくのためには一匹もいないけど。芝生で、ベンチで、太陽を浴びることさえできるなら、ほかにはいらない。今たいへん幸福である。
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■こわれたピアノの所有者を想像する
さて帰りの飛行機までまだまだ時間が。地下鉄終点バッテリー・パーク。スポンジ製の王冠の土産物を被ったおばちゃん2人組と擦れ違う。朝テレビで「エリス島移民博物館」をみて、やはり行っておくべきかと芝生の上で思い立って、気づくとフェリーに乗っていた。この俺様があのベタなスポットに?太陽のせいということにしておこうか。
この空間が毎日5000人の移民で一杯になったということだ。想像してごらんというやつだね。
こわれたピアノ、機械。ほかにも、カバンとか、洋服、聖書、食器など展示されている。 -
島から戻ってきたらもう夕方。酔った。
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小腹も空いたから、期待せずにベンダーフードのプレッツェル。硬い。塩辛い。かなしい。この旅は最後まで美味いものには縁がなかった。もー!交通費約7万円宿泊費約6万円。持ってった$300は16セントに。
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