6年の歳月、モスクワの変化を感ず（２）

2009/07 - 2009/09

■交通

　モスクワの公共交通機関の中で進化したと感じたことは、バス・トロリーバス・路面電車の共通カードが現れていたことです。昔は事前に切符を買っておいて、乗りこんでから自分で車内に設置された機械でパンチ穴を開けていました。車掌がたまに車内にいて、キセル乗車のチェックをしていました。それが今や車内にある改札ゲートでコントロールされています。時代は進んでいくものです。また、それに伴って車両も新しいものがだいぶ増えました。

　地下鉄は駅がどんどん新設され、路線が拡張しています。中心から放射状に延びる線がさらに延々広がって、段々と郊外へと向かっています。それは首都モスクワの人口が増加の一途をたどっていることの表れでもあります。7年前は850万だった人口が今や1050万人。モスクワ近郊を含めた首都圏人口は1400万といわれています。車を所有する人も増え、街はうんざりするほどの渋滞の毎日です。他都市とはレベルが違います。

　ウラジオストクやサハリンではよく日本の中古車が出回っていて、日本車は人気があるという話をご存じの方もいらっしゃると思います。○○商店と書かれた軽トラックなど、過去の所有者の名残が残った車を、書かれた言葉の意味もわからず乗っているロシア人を実際よく見かけるものです。

モスクワではメルセデスやBMWなど西側の車も人気がありますが、日本車もよく目にします。人気はトヨタのランドクルーザー。ホンダのCR-Vや日産エクストレイルも毎日見ます。少し都心を出ると道路環境が悪くなることもよくあり、オフロードや雪道などを走るのにはやはり4WDが人気のようです。ほかにも三菱ランサーやホンダのインスパイアなどのセダンも人気があります。軽自動車はたまにダイハツ車などを見掛ける程度です。

エリア モスクワ(ロシア)

■旅行

　モスクワはヨーロッパ・ロシアに位置するだけあって、当地からのヨーロッパ・中東方面への旅行の便の良さは日本と比べると抜群です。列車で移動するなら、国内ではサンクトペテルブルグやカザン、海外ではウクライナのキエフやベラルーシのミンスクへ夜行列車に乗って一晩で着きます。

フィンランド・ヘルシンキまで飛行機で2時間弱、エジプト・カイロが4時間、UAE・ドバイが5時間といった距離感覚です。旅行好きの駐在員の方で金曜日に仕事が終わってから列車や飛行機に乗り込んで、土日観光してモスクワへ戻るという方もよく見受けられます。

　ある方がウズベキスタンに旅行するためモスクワでビザを取得しました。モスクワのウズベキスタン大使館はJICモスクワ事務所から歩いてすぐの場所にあります。

朝行くと、ものすごい人数が大使館の入り口を囲んでいます。日本にあるウズベキスタン大使館では見られない光景です。それは大勢のモスクワ在住ウズベキスタン人が、滞在問題などで入館制限を受けているのです。はじめはその様子をみると委縮してしまうのですが、ビザを取得するセクションへ用事がある人の集まりではないので、強引に人ごみをかきわけて入口にたどりつき、警備の人に

「ビザを取りに来ました」

というと中の領事部へすんなり通してくれます。なぜならビザ取得のため来館する人は少数派だからです。どうやら中央アジアの大使館に行くと同じような光景に出合うようです。そんな事情を知らないと何時間待っても敷地内にすら入れません。モスクワで中央アジアのビザをとる機会がありましたら、勇気をもって飛び込んでください。