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街の中心に戻ってきて私は、今日はこれからどうしようかな〜・・・と思いながら街を歩いていた。すると、その時うかつにも、午前中に話しかけられた背の高いトルコ人に再び出会ってしまった。<br /><br />しまった!と私は思ったが、彼はまた同じように自分の話をし始めた。<br />「Oh〜my friend! チャイを飲んで語り合おうぜ! 俺の部屋で!」と言うのである。<br /><br />私は困って、とりあえず「いや。これからレストランに行こうかな〜と思っているのです。お腹ペコペコで。昼食をまだとってないんです」と言った。しかし時刻は午後5時で<br />それは微妙な時間だった。なぜなら今、食事をとると夜中に腹が減るだろうと思ったからだ。<br />(ちなみに私の体は一応2日ぐらいなら何も食べなくても大丈夫。笑。むしろ、中途半端に<br />食べる方が、後でお腹が空くものだ。空腹に慣れると空腹を忘れる)<br /><br />彼は「大丈夫! チャイをご馳走してあげるから! ちょっと俺の部屋で休んで、コンヤのことを教えてあげるよ!」などと言って強引に私を連れて行こうとした。<br /><br />参ったな〜と私は思いつつも、まぁ、ちょっとだけなら話でもしてやるかと思い始めていた。しかし、いやいや!それはマズイ。そんなことをしたら彼の思うツボだ。<br />そこで私は「でも。あなたの家は、キリムの店でしょ?」と彼に聞いた。<br /><br />「そうだよ。でも大丈夫。チャイを飲むだけだから。すぐそこだから。10分でいいから!」と彼は言った。<br /><br />何が大丈夫なんだよ?と私は思ったが、彼の強引さに負けて、少し歩き、それから再びためらった。彼は何が何でも私を家に招待したいようだった。すると彼は「オーケー!では、5分だけ話をしよう。<br />いや、3分でいいから俺に時間をくれ!」と言った。<br /><br />私は笑った。3分でチャイが飲めるか? というより、3分で何を話せるっていうんだ?・・・とはいえ考えるのが面倒くさくなってきたので私は彼の部屋に入ることにした。<br />そこは案の定、キリムの為の部屋だった。というより、お店のオフィスみたいな。<br /><br />彼は隣りの部屋からコンヤの街のパンフレットを持ってきた。<br />「これを君にあげよう。コンヤは博物館が有名だが、街の郊外には遺跡や自然の景観が素晴らしいところもある。・・・それに君はラッキーだ。なんと、明日の夜セマーを、カルチャーセンターに行けば、タダで見れるんだ! 普通はタダじゃ見れない。お金がかかる。でも、明日の夜だけは特別だ。」などと彼は言ってチャイを電話で注文した。<br /><br />私は「ありがとう」と一言だけ伝えて、あとはずっと黙って部屋の中を眺めていた。<br />しばしの沈黙。その間にチャイがデリバリーで届けられた。。。私はチャイを一口飲み、再び黙った。<br />すでに、3分は過ぎている。明らかに。と私は思った。すると彼は言った<br />「もし君がパソコンを使いたかったら、ここにあるのを使っていい。もう僕たちは友達だから。タダで何時間でも使っていいよ。このパソコンは日本語も使えるし!」<br /><br />「そうですか。でも、ホテルにも日本語の使えるパソコンがあって、何時間でも出来るんです」と私は言った。<br />「そう・・・」とだけ彼は言って、悲しそうな顔をした。そしてまたお互いに沈黙。。。<br /><br />私はいよいよ、帰ろうと思った。約束の時間は過ぎている。<br />「では。チャイをありがとう。そろそろ帰ります。」と私は言って、それから「申し訳ないけど、私はキリムには全然興味がないんです。最初にも言ったけど」と付け加えた。<br /><br />すると彼は「ちょっと待て。まだ少しは時間があるだろう?」と言って、隣の部屋から大きなキリムを5枚ほど持ってきて、キリムの説明を始めた。<br /><br />「キリムは他の織物と違って丈夫だし、デザインも美しい。これを見てみろ。品質が良い。それにリバーシブルだ。壁にかけるもよし、床に敷くもよしで、何にでも使える。トルコのお土産と言ったら、キリムが定番で、一番良い。キリムは日本へのお土産にピッタリだ。君のお父さん、お母さんへのお土産にね。君にとっても良い思い出になるよ。」<br /><br />私は苦笑いした。やっぱり、こうなったか!<br />「いや。でも、本当に残念ですが、本当に私はキリムに興味がないんです。私はお金を節約しているので、お土産はまだ買いたくないんです。だから、悪いけど今日はもう帰ります。」<br />と私は言って、半ば強引に話を断ち切り、立ち上がってドアに向かって歩き始めた。<br /><br />彼は寂しそうな顔をして黙っていた。きっと彼も、<br />やっぱり、こうなったか!と思っていたに違いなかった(笑)。<br />なぜなら彼は、すでにあきらめ顔で、実は最初からこうなることは分かっていたんだよ・・・と言わんばかりだったからだ。<br /><br />私は彼の横を通り過ぎ、最後に、良いことを思いついたので、こう言った。<br />「大丈夫(オーケー)です。私が日本に帰ったら・・・あなたのことを他の人に伝えて、トルコに行ったらキリムを買え!と友達に言うでしょう(笑)。そうすれば、いつかきっと誰か日本人が、あなたのキリムを買いにコンヤに来るかもしれませんよ!」<br /><br />彼は笑った。そして「ありがとう」と小さな声で言った。<br />私たちはお互いに手を振り、笑顔で別れた。<br /><br />*<br /><br />外に出てから、いやいや何とか事なきを得た!と思ってホッとした。そして私は「いったい彼は何がしたかったんだろう?」と思わずにいられなかった。<br /><br />チャイをご馳走になったことは感謝する(した)。でも、ほとんど話をしなかった。<br />いったい今のは何だったのだろう? 最初から彼は本当に日本人が好きで親切にしたかったのか?<br />それとも、本当にキリムを売りたかったのか? ということだ。<br /><br />とはいえきっと答えはこの2つ。<br />すなわち彼は本当に親切な人だったが、本当にキリムを売りたかった。<br />本当に日本人が好きだったが、本当に日本人にキリムを売りたかった。(笑)<br /><br />もしかしたら私は彼からキリムを買っても良かった。<br />

コンヤのキリム商人2

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2007/11 - 2007/11

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gibtal

gibtalさん

街の中心に戻ってきて私は、今日はこれからどうしようかな〜・・・と思いながら街を歩いていた。すると、その時うかつにも、午前中に話しかけられた背の高いトルコ人に再び出会ってしまった。

しまった!と私は思ったが、彼はまた同じように自分の話をし始めた。
「Oh〜my friend! チャイを飲んで語り合おうぜ! 俺の部屋で!」と言うのである。

私は困って、とりあえず「いや。これからレストランに行こうかな〜と思っているのです。お腹ペコペコで。昼食をまだとってないんです」と言った。しかし時刻は午後5時で
それは微妙な時間だった。なぜなら今、食事をとると夜中に腹が減るだろうと思ったからだ。
(ちなみに私の体は一応2日ぐらいなら何も食べなくても大丈夫。笑。むしろ、中途半端に
食べる方が、後でお腹が空くものだ。空腹に慣れると空腹を忘れる)

彼は「大丈夫! チャイをご馳走してあげるから! ちょっと俺の部屋で休んで、コンヤのことを教えてあげるよ!」などと言って強引に私を連れて行こうとした。

参ったな〜と私は思いつつも、まぁ、ちょっとだけなら話でもしてやるかと思い始めていた。しかし、いやいや!それはマズイ。そんなことをしたら彼の思うツボだ。
そこで私は「でも。あなたの家は、キリムの店でしょ?」と彼に聞いた。

「そうだよ。でも大丈夫。チャイを飲むだけだから。すぐそこだから。10分でいいから!」と彼は言った。

何が大丈夫なんだよ?と私は思ったが、彼の強引さに負けて、少し歩き、それから再びためらった。彼は何が何でも私を家に招待したいようだった。すると彼は「オーケー!では、5分だけ話をしよう。
いや、3分でいいから俺に時間をくれ!」と言った。

私は笑った。3分でチャイが飲めるか? というより、3分で何を話せるっていうんだ?・・・とはいえ考えるのが面倒くさくなってきたので私は彼の部屋に入ることにした。
そこは案の定、キリムの為の部屋だった。というより、お店のオフィスみたいな。

彼は隣りの部屋からコンヤの街のパンフレットを持ってきた。
「これを君にあげよう。コンヤは博物館が有名だが、街の郊外には遺跡や自然の景観が素晴らしいところもある。・・・それに君はラッキーだ。なんと、明日の夜セマーを、カルチャーセンターに行けば、タダで見れるんだ! 普通はタダじゃ見れない。お金がかかる。でも、明日の夜だけは特別だ。」などと彼は言ってチャイを電話で注文した。

私は「ありがとう」と一言だけ伝えて、あとはずっと黙って部屋の中を眺めていた。
しばしの沈黙。その間にチャイがデリバリーで届けられた。。。私はチャイを一口飲み、再び黙った。
すでに、3分は過ぎている。明らかに。と私は思った。すると彼は言った
「もし君がパソコンを使いたかったら、ここにあるのを使っていい。もう僕たちは友達だから。タダで何時間でも使っていいよ。このパソコンは日本語も使えるし!」

「そうですか。でも、ホテルにも日本語の使えるパソコンがあって、何時間でも出来るんです」と私は言った。
「そう・・・」とだけ彼は言って、悲しそうな顔をした。そしてまたお互いに沈黙。。。

私はいよいよ、帰ろうと思った。約束の時間は過ぎている。
「では。チャイをありがとう。そろそろ帰ります。」と私は言って、それから「申し訳ないけど、私はキリムには全然興味がないんです。最初にも言ったけど」と付け加えた。

すると彼は「ちょっと待て。まだ少しは時間があるだろう?」と言って、隣の部屋から大きなキリムを5枚ほど持ってきて、キリムの説明を始めた。

「キリムは他の織物と違って丈夫だし、デザインも美しい。これを見てみろ。品質が良い。それにリバーシブルだ。壁にかけるもよし、床に敷くもよしで、何にでも使える。トルコのお土産と言ったら、キリムが定番で、一番良い。キリムは日本へのお土産にピッタリだ。君のお父さん、お母さんへのお土産にね。君にとっても良い思い出になるよ。」

私は苦笑いした。やっぱり、こうなったか!
「いや。でも、本当に残念ですが、本当に私はキリムに興味がないんです。私はお金を節約しているので、お土産はまだ買いたくないんです。だから、悪いけど今日はもう帰ります。」
と私は言って、半ば強引に話を断ち切り、立ち上がってドアに向かって歩き始めた。

彼は寂しそうな顔をして黙っていた。きっと彼も、
やっぱり、こうなったか!と思っていたに違いなかった(笑)。
なぜなら彼は、すでにあきらめ顔で、実は最初からこうなることは分かっていたんだよ・・・と言わんばかりだったからだ。

私は彼の横を通り過ぎ、最後に、良いことを思いついたので、こう言った。
「大丈夫(オーケー)です。私が日本に帰ったら・・・あなたのことを他の人に伝えて、トルコに行ったらキリムを買え!と友達に言うでしょう(笑)。そうすれば、いつかきっと誰か日本人が、あなたのキリムを買いにコンヤに来るかもしれませんよ!」

彼は笑った。そして「ありがとう」と小さな声で言った。
私たちはお互いに手を振り、笑顔で別れた。

*

外に出てから、いやいや何とか事なきを得た!と思ってホッとした。そして私は「いったい彼は何がしたかったんだろう?」と思わずにいられなかった。

チャイをご馳走になったことは感謝する(した)。でも、ほとんど話をしなかった。
いったい今のは何だったのだろう? 最初から彼は本当に日本人が好きで親切にしたかったのか?
それとも、本当にキリムを売りたかったのか? ということだ。

とはいえきっと答えはこの2つ。
すなわち彼は本当に親切な人だったが、本当にキリムを売りたかった。
本当に日本人が好きだったが、本当に日本人にキリムを売りたかった。(笑)

もしかしたら私は彼からキリムを買っても良かった。

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