【吉林省】　長春　＊　満州国皇帝『溥儀』　見果てぬ夢の夢を　旅する

2009/07 - 2009/07

1）．旅の始めに

　　　　　　　　降り立てば　夕紅(ゆうくれない）の　駅舎かな

　　「瀋陽北」駅から、汽車の旅を楽しもうと思っていたが、いつの間にか眠りに陥り、気が付けば、列車は、「長春」駅に到着していた。

２）．長春へ

　　1898年、ロシアは、「ハルピン」から「旅順」までの鉄道敷設権を得て、1901年に開通させた。「長春」では、「長春」駅の北西方の「寛城子駅」を中心に、鉄道付属地を設けたが、「長春」は、発展しなかった。日露戦争で、「旅順」から「寛城子」（長春）駅までの鉄道及び付属地が、日本側へ渡され、国策会社「満鉄」が経営する「南満州鉄道」となった。
　　この日、僕は、「長春」駅で降り、「重慶路」にあるアメリカ系の「ディツホテル」へ、タクシーで向かった。

３）．本場中国の「餃子」を楽しむ

　　「南湖」近くの、老舗レストラン「東方餃子王」本店に出かけた。昼食時でもあり、店内は、混んでいたが、幸いにも、3階窓際の席を、確保する事できた。ここでの注文方法は、注文書の料理名の頭に印を付けて、係員に渡すのである。餃子の注文書には、2両以上と書いてあったが、1両は、「蒸し餃子」は6個、「焼き餃子」は4個とのことである。早速、「海鮮餃子」の、焼きは、2両（8個）、蒸しも、2両（12個）。それに、少し甘い「包菜」と、ジャガイモの細切りの湯煎をも、合せて、注文した。

４）．旧満州国　首都「長春」を行く

　　1932年3月1日、満州国政府は、『建国宣言』を発表し、年号を「大同」、国旗を「新五色旗」とすると、布告した。1932年3月8日、「溥儀」は、列車で「湯崗子」駅を出発、午後3時「長春」駅に到着した。翌９日午後３時、「溥儀」の執政就任式は、七馬路の「長春市政公署」で、行われ、僅か30分で終了。２年間の「執政政府」を経て、国民の強い要望で、「帝国政府」に移行するという、シナリオ通り、その第一幕が、始まった。

　　『東方餃子王』の店の前には、「南湖公園」（旧黄龍公園）があった。この日、僕は、東口から「南湖」湖畔沿いを歩いて、「新民広場」へ向かった。「新民広場」から、「文化広場」（旧皇居予定地）には、「新民大街」（旧順天大街）が通っており、皇居の南に、満州国の官庁街が広がるという構図は、東京の、「皇居」と「霞ヶ関」官庁街との構図と、同じであった。現在の中国政府は、この13年半の奉天、吉林、黒龍江、熱河の四省の五族協和の国を、『偽満州国』と呼び、国家であったことを否定している。

　　1934年3月1日午前8時半、「溥儀」は、新京郊外の杏花村の「順天広場」（現在の「朝陽公園」）に設けられた天壇に登り、清朝の礼に則り、天命を受け皇帝に即位したことを天に報告する「告天礼」を行った。正午、仮宮殿の「勤民楼」で、「溥儀」は満州国陸海空軍大元帥正装で「登極の儀」が挙行され、元号は「康徳」、国号は「満州国」と宣言され、「溥儀」は、皇帝に就任し、「康徳帝」となった。この日、2回の皇帝即位式を行ったのは、清朝の復辟を意識する「溥儀」と、新たな帝國の創立を明確にしようとする「関東軍」との同床異夢、その妥協の結果であったのだろう。

５),　旅の終わりに

　　ゼロからの出発となった日本の戦後復興は、当時の人々の必死の努力の賜物であるが、満州から、命からがら帰国した人々の力に負うところも、多かったのだろう。
　　帰国する日に、市街地から東に30キロほどに位置し、2005年8月に開港された「長春龍嘉国際空港」へ、向かったが、搭乗時間が変更され、出発時間は「未定」となっていた。結局は、3時間余程遅れての出発となった。飛行機の遅れの所為もあり、聊か気の重い、旅の終わりとなった。（完）

＊　Coordinator: H. ?Gu

　　　　　　　　　　 　　　

エリア 長春(中国)

「満州国最高法院」、「新京高等法院」及び「検察庁」等の、旧満州国裁判機関の総合庁舎。　戦後は人民解放軍の「空軍病院」（軍４６１医院）と、なっている。

旧「満州国交通部」。現在は「吉林大学新民校区」（1935年竣工。帝冠様式）

現在「吉林省図書館」

嘗ての「満州国司法部」、満州国の法務省にあたる。1935年竣工。
　現在は，「吉林大学医学院本館」。

嘗ての「満州国経済部」、（その前は財務部を言われていた。1935年竣工）。
現在は，「吉林大学第三病院」。

嘗ての「満州国国務院」。現在は、「吉林大学白求恩基礎医学部」となっている。竣工1936年

嘗ての「満州国国務院」。現在は、「吉林大学白求恩基礎医学部」となっている。竣工1936年。
　　手前の銅像は、日中戦争中戦死したカナダ人軍医の「ベチューン像」。

嘗ての「満州国国務院」。現在は、「吉林大学白求恩基礎医学部」。竣工1936年。
　　その入り口のプレート。

嘗ての「満州国国務院」。現在は、「吉林大学白求恩基礎医学部」。竣工1936年。

嘗ての「満州国軍事部」。現在は「吉林大学白求恩医学院第一臨床学院」。1935年竣工

「偽満皇宮博物館」

「偽満皇宮博物館」の庭園

「偽満皇宮博物館」の庭園

「偽満皇宮博物館」

「偽満皇宮博物館」（遠景）

嘗ての「関東軍司令部」、二つの天守閣が見える。

現在は、「共産党吉林省委員会本館」となっており、警備が厳しく、正面から写真を撮ろうとして武装警官に注意された。

嘗ての「関東軍司令部」（現：共産党吉林省委員会本館）、二つの天守閣が見える。

嘗ての「満州国中央銀行」

嘗ての「満州国中央銀行」

嘗ての「満州国電信電話会社」

「瀋陽北」駅を8時55分に、ハルピン行きＤ173で出発し、11時07分に「長春」に到着した。

長春市、東方餃子王での昼食、爽口白菜（生野菜サラダ）

冷拌土豆絲（ジャガイモの細切り湯銭通し）

百鮮水蒸餃子

三鮮焼き餃子

長春市夕食、凱粤楼


銀魚干豉油蒸豆腐

長春市夕食、凱粤楼


清蒸石斑魚