2009/09/20 - 2009/09/20
708位(同エリア1417件中)
べるつくさん
有川浩「海の底」2005年刊。
大きくジャンルで分ければSFということになるのでしょうが、もっと細かく分けるとすると怪獣小説といえるのがこの作品です。図書館戦争シリーズでブレイクした作者ですが、あちらの堂上・小牧とよく似た二人がこちらに出てくる夏木・冬原のコンビ。
初期の3作を自衛隊三部作とも呼ぶそうですが、その3作品の中では個人的には警察小説としても読めるこの作品が断然好きです。
舞台は横須賀。米軍横須賀基地の一般開放の日に巨大甲殻類が次々と上陸して人間を餌と認識します。
簡単には火器を使えない自衛隊より先に対峙するのは神奈川県警機動隊。機動隊の装備では対処しきれないことを早々に見抜いた警備課の警部の手回しにより、自衛隊へのリレーを目的として命がけで甲殻類に挑みます。
一方基地から逃げ損ねて潜水艦の中に避難したのはとある町内会のお子様たち13名と海自の実習幹部2名。しかしこの子どもたちには町内の勢力図の縮図ともいえる微妙に歪んだヒエラルキーが成立していました。
例によって舞台の地図はこちら
http://maps.google.co.jp/maps/ms?msa=0&msid=111273679200362025208.0004740f31d0a9c29d25e&cd=20&geocode=FVRlGgId1f9SCA&hl=ja&ie=UTF8&z=11
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「米軍横須賀基地には、年に数回市民に開放される日がある。春の桜祭りもその一つだ。」
書き出しの部分です。
ちなみに作者は名前から勘違いする人も多いのですが女性です。高村薫や柴田よしきも間違いやすいですね。 -
「居住区と米軍施設の方面から、赤い絨毯のようにその甲殻類がガシャガシャと這ってくる。」
巨大甲殻類の大群が横須賀に上陸、という設定こそトンデモなSFですが、それに対する対応はリアルで、平成ガメラシリーズへのオマージュという解説には納得です。
ベースのさくら祭りはこちらの旅行記も
http://4travel.jp/traveler/berutsuku/album/10319103/ -
「米軍基地に入ってすぐ、隣接するダイエーのすぐそばに建っている窓の少ない四角い建造物が対潜水艦作戦センター、」
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「そこからさらにドライドックを2つほど挟んだ奥に、第二潜水隊郡司令部と潜水艦埠頭がある。」
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「群司令部や宿舎はすでに玄関が破壊され内部に甲殻類の侵入を許している。逃げる方向は潜水艦埠頭しかない。」
ということでちょっとズーム。潜水艦が停泊してます。 -
「赤い殻の巨大なザリガニが行く手のあらゆるところを蠢いている。ブロックがモザイク模様に組まれた遊歩道。植え込みの芝生。手入れの行き届いた花壇。有料道路の高架下。」
JRの横須賀駅すぐそばのヴェルニー公園です。 -
「ほかにもザリガニから逃げ惑っている市民が大勢いる。広域避難場所に指定されているこの公園へ逃げ込んでくるのだが、避難場所とはいえシェルターのような防護施設があるわけではない。」
切れ者の警備課の警部の手引きで初動の早かった神奈川県警第一機動隊ですが、「非常識事態」に対応するには警察の装備では無理がありすぎます。
ちなみに何度も出てくる横須賀プリンスホテルはその後ホテルトリニティ横須賀になり、それも昨年秋に閉鎖されて、この10月に1年ぶりにメルキュールとして再開されるそうです。 -
「やがて部隊は、横須賀本港を目前にした横須賀トンネルの手前で完全にその前進を停めた。ちょうどJR横須賀駅を左手に見る位置である。」
横須賀線の横須賀駅は市街からは離れた場所にあります。市街に近いのは京急の横須賀中央駅。 -
「踏切を渡る道は裏路地のように細く、こちらを流れてくる避難者は少ない。駅舎前のロータリーを突っ切り公園内へ入る」
対策本部の置かれる不入斗公園の写真くらいは欲しいところですが、そちらは行ったことがないのでパス。主な舞台の一つは海自の潜水艦ですが、これは停泊したままほとんど動きません。
とりあえずこの旅行記はこんなところで。
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この旅行記へのコメント (17)
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- たらよろさん 2009/09/30 23:29:43
- 海の底・・・
- こんばんわ〜〜〜
横浜小説の舞台へシリーズ、なかなか面白くて好きだわ。
それになぜか読むジャンルが似ておられるのか
読んだことのある本が出てくるのでこれまた嬉しい。
でも、やっぱり細部までちゃんと覚えてないんだなぁ。。。
小説は何度も読まないとなかなか細部までは頭に入ってないものなですよね。
でも、よほど好きな作家で無い限り、
図書館で借りて読む派の私は読み返す・・・ということはあまりなく。
何となく思い出したお話。
明日、図書館でもう1度借りてみたいと思います。
たらよろ
- べるつくさん からの返信 2009/10/01 12:45:29
- RE: 海の底・・・
- たらよろさん、こんにちは〜
おや〜、海の底も読まれてましたか? 確かに読書傾向にてるのかも〜
ちなみに私はジルルカさんの同様のシリーズ見てて、ジルルカさんと傾向似てるかもー、って思いました。
エンタメ系の作品は覚えてなくても無理ないですよ。自分なんか、この本よんだっけ、読んだ気もするし・・・、なんてこともあるくらいです。特にリーダビリティある本だと先へ先へと読みたくなるので、細部なんか覚えてらんないですよねぇ。
ちなみに私も図書館派ですよ〜。めったに本は買いません。本屋にはよく寄るけど、おもしろそうな本を見つけたら図書館に予約を出すという悪い客です。
ちなみに、これは横浜じゃなくて横須賀ですけどね。
しかしこの本、やけにみなさんの食いつきがいいなぁ。
-
- 夏への扉さん 2009/09/27 00:28:27
- 横須賀基地
- べるつくさん、こんばんはー
今日、武士道エイティーン読み終えて、ジルルカさんの旅行記見て
べるつくさんに飛んできました。
べるつくさんは、保土ヶ谷メインで書かれたんですね!
そして、こちらへおじゃま。
横須賀基地が舞台なんですか!
私の友人、ご主人がネイビーを辞めて帰る直前、横須賀基地に泊まっていたので、お別れしに訪ねていきました。
カフェテリアではドルで支払っていたし、潜水艦はあるし日本とは思えませんでした。
この夏はフィンランドのスメオリンナ島でロシアの潜水艦の中を見てきました。
想像以上に狭い。
機械だらけで暑いし、シャワーもあびられず臭かったんだろうなー
あ、脱線しましたが小説の舞台、知っているところだとうれしいですね!
この本、図書館にリクエストしてみます。
なつ
- べるつくさん からの返信 2009/09/29 12:17:04
- RE: 横須賀基地
- 夏さん、こんにちは。
> べるつくさんは、保土ヶ谷メインで書かれたんですね!
そうなんです。思いっきり地元中心で作ってしまいました。ジルルカさんは中川駅から太宰府駅までほとんど網羅されてますもんね。すごいです。
> 横須賀基地が舞台なんですか!
正確には幕開けは横須賀基地ですが、基地内の描写はさほどないです。でもストーリーの半分は米軍基地側にある海自の潜水艦埠頭に停泊している潜水艦の中なので、半分が横須賀基地といつても嘘ではないです。
ロシアの潜水艦に入られたのですか。それならむしろ潜水艦の艦内というところがリアルに想像できるかもしれませんね。
あ、潜水艦乗りの匂いの話は出てきてましたよ。
そうなんです。知ってる場所だとリアルに頭に浮かぶのでより作品世界に入りやすいですよね。最近は横浜が舞台の小説を探してます。
- 夏への扉さん からの返信 2009/10/19 23:34:07
- 海の底読みましたが・・
- またまた、こんばんは
海の底、読み終わったというかー
読み始めて、数十ページで続けて読んでいられなくなったんですが
結末が気になるので最後を読んで、
最後を読むとどうしてこうなったのか気になって少し戻って読んで・・
と変則的に、読んでいたら、土曜日の午前4時になってしまいました。
ざりがにが襲うシーン、想像力がありすぎるので? きつかったー
それ以外、艦内の話はよく書けてましたね!
先週はじまった、JINっていう医者が江戸時代に行く話も
麻酔なしの手術シーンは早回しして見ました。
やっとスペイン&北欧の旅行記が書き終わったので、読書の秋。
図書館にリクエストしておいたアマルフィ、やっと順番が来たので
明日取りに行きます。
- べるつくさん からの返信 2009/10/21 08:42:56
- RE: 海の底読みましたが・・
- なつさん、こんにちは〜。
またずいぶんと変わった読み方されましたね。
ミステリーってわけでもないから結末読んじゃってもまぁ不都合はないかもしれないですけどネタバレになっちゃいますね。
でもあれの最後って数年後とかですよね。ちなみにジルルカさんにもおすすめしてますが、「クジラの彼」って短編集にも夏と冬の二人がでてきます。
あ、そういや夏さんだから、夏木に思いいれちゃいませんでした?
これの描写はそれほどえぐくはなかったかなー。武士道シリーズの誉田さんの初期の作品とかもっとずっときついっす。もともとホラー畑でデビューされた方ですからねぇ。
- 夏への扉さん からの返信 2009/10/21 19:08:25
- 誉田さんの初期の作品
- >夏木さんにはー
ちゃんとページを追って読んでいったら、思い入れするかも、
>武士道シリーズの誉田さんの初期の作品ー
図書館ではじめの方を立ち読みして、書架に戻しました。
読みやすいし、話には引かれていくんですが・・
やっぱり無理して読むこともないかと。
東野圭吾 パラドックス13、新参者
内田康夫 砂冥宮
真保裕一 デパートへ行こう
夏川草介 神様のカルテ(ジルルカさんの推薦)
予約待ちです。
-
- jilllucaさん 2009/09/26 18:37:03
- 有川さんっ!!
- べるつくさん
こんばんわ〜。
次は、有川 浩さん”海の底”ですか、渋いとこ突いてこられましたね〜、っても、”海の底”はまだ読んでないんですけどね(笑)
有川さんは”空の中””阪急電車”ここ最近では”植物図鑑”を読みましたけど全部面白いですよね!!
僕は”空の中”から入ったので有川さんはずっと男性だと思ってました(笑)で、”阪急電車”の後書きで女性って知ってびっくりしたもんです。
しかも、同じ地域に住んでおられるそうで、先日は地元の本屋でサイン会されてましたよ・・・残念ながら行けませんでしたけど。
ちなみに”阪急電車”は僕の地元の阪急今津線が舞台なので旅行記も作ってますので、機会があればご覧ください。
”海の底”今度必ず読みますよ。
ジルルカ
- べるつくさん からの返信 2009/09/27 00:02:04
- RE: 有川さんっ!!
- ジルルカさん、こんにちは〜
ふふ、渋いっすか?
後追いながらいつもの舞台マップも作ったのでリンク追加しました。
図書館派の私は、「植物図鑑」と「フリーター、家を買う。」は未読なのですが、それ以外は作者いうところの「ベタ甘」ものも含めて全て読んでいます。有川作品はハズレなしですね。ライトノベル出身だけあって登場人物のキャラがはっきりしていて読みやすいながらも、今日的なテーマをうまく取り入れていて、毎度感心させられます。
もちろんジルルカさんの阪急電車旅行記も作成直後くらいに拝見させていただきましたよ。地元は燃えますよね〜。私の場合、武士道シリーズの保土ヶ谷がまさにそうでした。
サイン会、惜しかったですね。私は基本的に本は図書館で借りて読むのですが、サイン本なら買ってもよいかな、という人間なんです。
あ、武士道シリーズは文庫化されたら買ってやろうと思ってまーす。ちなみに今日新横浜に行く用事があって岸根公園寄ってきました。剣道場では・・なぎなたやってました。文庫買って再読したら16と17も旅行記にしたいと思います。
- jilllucaさん からの返信 2009/10/04 12:32:35
- ”海の底”買いました
- べるつくさん
こんにちは。
今日、地元の本屋さん行きましたところ、”海の底”のサイン本があったので購入しました。
”空の中”並に分厚いので一気読みは難しいかもしれませんが、今日から読み始めます。
ちなみにサインは、エアフォースワンさんのコミュ「旅先でのエピソード」の「旅のおともは文庫本」にアップしましたので、ご興味あればそちらをご覧くださいね。
ジルルカ
- べるつくさん からの返信 2009/10/05 12:31:19
- RE: ”海の底”買いました
- ジルルカさん、こんにちは〜
おぉ、サイン本! いいですねぇ。コミュの画像も拝見しました。
サイン本てことは単行本でしょうか。
私は初めて読んだときは単行本で、先日この旅行記を作るために文庫本で再読しました。文庫のほうは前夜祭が追加収録されていて、二人の艦長への想いを改めて納得させられる短編でした。
それと有川作品の自衛隊恋愛短編集(としかいいようがない)「クジラの彼」も、「海の底」のあとでぜひ読まれてはいかがでしょう。「空の中」の二人のその後と合わせて、夏木と冬原のその後が描かれていますよ。
ところで週刊ブックレビューもご覧なのですね。放送日が日曜から土曜に変わってから見逃すことが多いのですが、私もあの番組はよく見てます。そういえば先日は新聞の書評欄で中江有里さんが最新の有川作品の書評を寄せてらっしゃいました。
- べるつくさん からの返信 2009/10/05 12:35:55
- RE: ”海の底”買いました
- そうそう、コミュで私の旅行記のご紹介いただきまして、ありがとうございます。
この旅のお供のトピック自体がコミュだったら即、入っているのですが、それ以外のところにカキコしないのも管理人さんに悪いので躊躇しているところです。
小説・映画の舞台コミュがもう少し活発だとよいのですが・・・
- jilllucaさん からの返信 2009/10/05 21:04:18
- RE: 週間ブックレビュー
- べるつくさん
こんばんわ。
サイン本はでっかいハードカバーのやつで、おかげで1,600円の散財でした。
こないだ読んだ”植物図鑑”のサイン本もあったので、どうせならサイン本買えばよかったと後悔しましたし。
それはそうと、週間ブックレビュー(笑)、隠れた名番組ですよね!!
僕も毎週見る訳じゃないですけど、偶然チャンネルを合わせると結構ここぞってとこに遭遇しますね。
森見さんの”夜は短し〜”を知ったのもあの番組ですし、たまたま万城目さんが出る回を見たり・・・そう言えば先週は、有川さんの”フリーター家を買う”も紹介されてましたね。
結構、本買うときの参考にさせてもらってます。
ジルルカ
- jilllucaさん からの返信 2009/10/12 01:33:50
- ”海の底”読みました
- べるつくさん
こんばんわ〜。
今、出張でインド・デリーのホテルにいます。
購入してから少し時間が経ちましたが、今日、家を出てからデリーに着くまでの間で”海の底”なんとか読破しました。
勝手な思い込みで、てっきり巨大イカが攻めてくる(笑)と思い込んでいたので・・・ちょっとびっくりしました。
基本的には”空の中”に通ずる作品ですけど、こちらの方がなんかユーモラスですよね・・・大変面白かったです。
改めて旅行記も拝見させて頂きました。
ジルルカ
- べるつくさん からの返信 2009/10/12 15:04:24
- RE: ”海の底”読みました
- ジルルカさん、こんにちは。
はるかデリーからありがとうございます。
はは、イカですか。しかも巨大な。その場合やっぱり人のサイズというよりゴジラみたいな? でも空の中の生命体はでかかったですもんね。
ジャンルを決めかねる作品ですが、やっぱり怪獣小説でしょうか。
その後が描かれた作品の方では、とんでもない事件という書き方で済まされていて、そっちを先に読むととてもこの事件の内容の想像はつかなさそうです。
- jilllucaさん からの返信 2009/10/30 21:44:38
- クジラの彼
- べるつくさん
こんばんわ〜。
ようやくですが”クジラの彼”を買いました、また、サイン本です。
夏・冬のその後もよかったですけど、ラストの”空の中”の二人のその後がなんとも言えずよかったです。
いい本を紹介頂き、ありがとうございました!!
ジルルカ
- べるつくさん からの返信 2009/10/30 22:52:30
- RE: クジラの彼
- ジルルカさん、こんにちは〜
おぉ、入手されましたか。それもサイン本! サイン本はやっぱり買いですよねっ。
そして早速読まれたのですね。
でしょでしょ、アマゾンじゃないですけど、ぜひとも合わせて読みたい本、です。
ちなみに私は、海の底→クジラの彼→空の中、と読みました。
ジルルカさん場合の武士道シリーズじゃないですが、あの二人はこうやって出会ったのかー、と読んだのでした。それにこちらの短編集は恋愛モノに特化してるので、モトの長編がどちらもあんなSFとは予想できないですよね。
ちなみに海の底の文庫版の解説で紹介されてた山本弘「MM9」を今日読み終えまして、個人的にはかなりこれもツボでした。江坂駅前とかも出てきて、今度相方の実家に帰ったら舞台訪ねたいなー、なんて思ったほどです。
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