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 浅間山は国内有数の活火山であり、幾多の大噴火の痕跡を残しつつ、現在もその活動を続けている。<br /> 浅間山は上信越国境に連なる2,000m超級の山々の最南端に位置してる。周囲の公共機関などが発行する観光マップ、登山マップなどを見ると浅間連峰と呼称されている。<br /> 地理学用語であるかどうか知らないが、特に範囲についての定義を持たないらしい。マップに紹介されている範囲を浅間連峰と呼んでいるようだ。<br /> 今回浅間連峰の高峰高原を訪れてみた。ここは夏は登山基地、冬はスキー場として脚光を浴びている観光地である。小諸市からのアクセス道路は整備され、距離的にも小諸市から近い。<br /> 高峰高原の存在はよく知っていたが、膝の関節が弱くスキーは全くしていない。また心臓疾患の前科があり、登山もダメとなると近くでありながら行く機会はなかった。<br /> 今回行ってみると最近の登山ブームで賑わっていた。特に黒斑山(くろふやま)を目指す登山者が多かった。浅間山は火山活動によって登山規制があり、黒斑山は比較的簡単に登れ、片側は通常の山の姿をしているが、片一方はかつての噴火口の淵が崩れ落ち断崖絶壁であるという。頂上には浅間山の監視カメラが設置されているが、浅間山の姿、周囲の奇岩など、絶景がながめられるという。以上はホテル関係者の話であるが、さればオレもと言うことにはならず残念。<br /> 浅間連峰を長野県側の平地から眺めると、浅間山(2,568m)本体は48m低い外輪山である前掛山があり、峰が見えるだけでその全貌は見ることができない。浅間山とこの前掛山との間には、かつて前掛山が噴火によって、その火口が広大なカルデラを形成している。これが幸か不幸か、浅間山の噴火による溶岩は長野県側には流れにくいようだ。浅間山の大爆発による溶岩流で、最新の我が国最大の被害をもたらしたのは天明3年(1,783年)の大爆発と言われている。<br /> 浅間山の火口直下、群馬県の現在の嬬恋村鎌原地籍である。一瞬にして溶岩流は鎌原地籍一村を飲み込んだ。今から226年前の出来事である。その異様な痕跡は現在も鬼押し出しを始め、鎌原地籍の至る所に黒い溶岩石が見られる。<br /> 子供のころ伝説として伝えられていた話で、天明3年の大爆発の時、鎌原の村人は溶岩流から逃れるため必死で逃げ、村はずれにある石段30数段の上にある観音堂に逃れた。一足遅れて老母を背負った青年がたどり着き、必死に石段を上った。しかしすでに目前に溶岩流が押し寄せ、数段登ったところで力尽き、老母もろとも溶岩流に飲み込まれてしまった。押し寄せた溶岩流は石段の半分を埋め尽くした。史実によれば村人の多くが溶岩流にのみ込まれているが、これが悲話として語り継がれたものである。<br /> 昭和54年だったか、55年だったか、ある村人が住宅の裏に小山があり、住宅増改築か何かで、その小山を機械で取り除き工事を始めたところぽっかり空洞が現われた。中に入ったところまさしく溶岩流に飲み込まれた木造住宅が、燃えずに炭化した状態で現われた。。むろんこれによって小山の取り壊しは中止(学術研究のため)となった。<br /> このことから鎌原地区、嬬恋村から伝説化していた悲話、観音堂の石段発掘調査気運が高まり、嬬恋村教育委員会と小山を取りくずした業者の手で発掘が行われた。そして石段の下から数段目に人骨が現われた。明らかに老母と思しき人骨と、青年の人骨と思しき2体の人骨が折り重なっていた。このことがメディアによって報道され、大騒ぎになったのは言うまでもない。当時私は勤務地が軽井沢にあり在住していた。学術調査団、報道機関に、地元はもとより、軽井沢の別荘に滞在してる人々、さらに東京、名古屋方面から駆けつけ、狭い地域であったので当然のことながら規制が行われた。ようやく行けたのは3週間後で、人骨は観音堂に安置され、実際に見ることは叶わなかった。あれから30年もたっている。早いものである。<br /> 高峰高原から眺めると、浅間山の外輪山で黒斑山(2,404m)と槍ケ鞘と呼ばれる山が並んで見える。この山の頂上の東側は断崖絶壁。登山マップ、観光案内などには頂上付近に「トーミの頭(かしら)」の名称が踊る。<br /> さてその「トーミ」とは小諸市の観光課に聞いてみると、年配の農家出身の方々は分かると思うが、稲を収穫し脱穀する際モミ(殻をかぶった米)とゴミを選別するため風を送る道具がトーミで、どの部分かがトーミに似ているのだと言う。聞いてみないと分からないものだと思った。<br /> 高峰高原から晴れた日に富士山がくっきり見える。右に主峰2,800m超の八ヶ岳、2,500m超の蓼科山、左に金峰山をはじめ2,500m超級の山々が連なる秩父山系を従えて見える。<br /> また、上信越の山々が見える。苗場山あたりまでくっきり見える。さらに近くに池の平湿原があり、春から秋にかけて可憐な花をつける高山植物の宝庫となっている。東御市側からも道路は比較的整備がされており、自家用車のほか大型バスでも訪れることができ、観光客も増加しているらしい。浅間連峰の魅力は計り知れない。<br /> <br /> <br /> <br /><br />

浅間連峰と高峰高原

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2009/09/11 - 2009/09/11

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na1430

na1430さん

 浅間山は国内有数の活火山であり、幾多の大噴火の痕跡を残しつつ、現在もその活動を続けている。
 浅間山は上信越国境に連なる2,000m超級の山々の最南端に位置してる。周囲の公共機関などが発行する観光マップ、登山マップなどを見ると浅間連峰と呼称されている。
 地理学用語であるかどうか知らないが、特に範囲についての定義を持たないらしい。マップに紹介されている範囲を浅間連峰と呼んでいるようだ。
 今回浅間連峰の高峰高原を訪れてみた。ここは夏は登山基地、冬はスキー場として脚光を浴びている観光地である。小諸市からのアクセス道路は整備され、距離的にも小諸市から近い。
 高峰高原の存在はよく知っていたが、膝の関節が弱くスキーは全くしていない。また心臓疾患の前科があり、登山もダメとなると近くでありながら行く機会はなかった。
 今回行ってみると最近の登山ブームで賑わっていた。特に黒斑山(くろふやま)を目指す登山者が多かった。浅間山は火山活動によって登山規制があり、黒斑山は比較的簡単に登れ、片側は通常の山の姿をしているが、片一方はかつての噴火口の淵が崩れ落ち断崖絶壁であるという。頂上には浅間山の監視カメラが設置されているが、浅間山の姿、周囲の奇岩など、絶景がながめられるという。以上はホテル関係者の話であるが、さればオレもと言うことにはならず残念。
 浅間連峰を長野県側の平地から眺めると、浅間山(2,568m)本体は48m低い外輪山である前掛山があり、峰が見えるだけでその全貌は見ることができない。浅間山とこの前掛山との間には、かつて前掛山が噴火によって、その火口が広大なカルデラを形成している。これが幸か不幸か、浅間山の噴火による溶岩は長野県側には流れにくいようだ。浅間山の大爆発による溶岩流で、最新の我が国最大の被害をもたらしたのは天明3年(1,783年)の大爆発と言われている。
 浅間山の火口直下、群馬県の現在の嬬恋村鎌原地籍である。一瞬にして溶岩流は鎌原地籍一村を飲み込んだ。今から226年前の出来事である。その異様な痕跡は現在も鬼押し出しを始め、鎌原地籍の至る所に黒い溶岩石が見られる。
 子供のころ伝説として伝えられていた話で、天明3年の大爆発の時、鎌原の村人は溶岩流から逃れるため必死で逃げ、村はずれにある石段30数段の上にある観音堂に逃れた。一足遅れて老母を背負った青年がたどり着き、必死に石段を上った。しかしすでに目前に溶岩流が押し寄せ、数段登ったところで力尽き、老母もろとも溶岩流に飲み込まれてしまった。押し寄せた溶岩流は石段の半分を埋め尽くした。史実によれば村人の多くが溶岩流にのみ込まれているが、これが悲話として語り継がれたものである。
 昭和54年だったか、55年だったか、ある村人が住宅の裏に小山があり、住宅増改築か何かで、その小山を機械で取り除き工事を始めたところぽっかり空洞が現われた。中に入ったところまさしく溶岩流に飲み込まれた木造住宅が、燃えずに炭化した状態で現われた。。むろんこれによって小山の取り壊しは中止(学術研究のため)となった。
 このことから鎌原地区、嬬恋村から伝説化していた悲話、観音堂の石段発掘調査気運が高まり、嬬恋村教育委員会と小山を取りくずした業者の手で発掘が行われた。そして石段の下から数段目に人骨が現われた。明らかに老母と思しき人骨と、青年の人骨と思しき2体の人骨が折り重なっていた。このことがメディアによって報道され、大騒ぎになったのは言うまでもない。当時私は勤務地が軽井沢にあり在住していた。学術調査団、報道機関に、地元はもとより、軽井沢の別荘に滞在してる人々、さらに東京、名古屋方面から駆けつけ、狭い地域であったので当然のことながら規制が行われた。ようやく行けたのは3週間後で、人骨は観音堂に安置され、実際に見ることは叶わなかった。あれから30年もたっている。早いものである。
 高峰高原から眺めると、浅間山の外輪山で黒斑山(2,404m)と槍ケ鞘と呼ばれる山が並んで見える。この山の頂上の東側は断崖絶壁。登山マップ、観光案内などには頂上付近に「トーミの頭(かしら)」の名称が踊る。
 さてその「トーミ」とは小諸市の観光課に聞いてみると、年配の農家出身の方々は分かると思うが、稲を収穫し脱穀する際モミ(殻をかぶった米)とゴミを選別するため風を送る道具がトーミで、どの部分かがトーミに似ているのだと言う。聞いてみないと分からないものだと思った。
 高峰高原から晴れた日に富士山がくっきり見える。右に主峰2,800m超の八ヶ岳、2,500m超の蓼科山、左に金峰山をはじめ2,500m超級の山々が連なる秩父山系を従えて見える。
 また、上信越の山々が見える。苗場山あたりまでくっきり見える。さらに近くに池の平湿原があり、春から秋にかけて可憐な花をつける高山植物の宝庫となっている。東御市側からも道路は比較的整備がされており、自家用車のほか大型バスでも訪れることができ、観光客も増加しているらしい。浅間連峰の魅力は計り知れない。
 
 
 

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  •   高峰高原より八ヶ岳(左)と蓼科山

     高峰高原より八ヶ岳(左)と蓼科山

  • <br /> 八ヶ岳 主峰赤岳 2,899m<br /> 蓼科山          2,530m 


     八ヶ岳 主峰赤岳 2,899m
     蓼科山  2,530m 

  •  正面 草津白根山  2,161m<br /> 左  横手山   2,305m<br />       右に苗場山がみえる。

    正面 草津白根山 2,161m
    左  横手山   2,305m
    右に苗場山がみえる。

  •  中央小さく富士山が見える。

     中央小さく富士山が見える。

  •  左に小さく富士山が見える。<br /> 手前の山脈は秩父山系 右に連なる山々は八ヶ岳

     左に小さく富士山が見える。
     手前の山脈は秩父山系 右に連なる山々は八ヶ岳

  • 富士山と手前秩父山系

    富士山と手前秩父山系

  •  高峰高原から見える富士山

     高峰高原から見える富士山

  • 秩父山系は埼玉県、山梨県、長野県にまたがる山々<br />金峰山2,599m 朝日岳2,581m 国師ケ岳2,592m <br />甲武信岳2,475m など

    秩父山系は埼玉県、山梨県、長野県にまたがる山々
    金峰山2,599m 朝日岳2,581m 国師ケ岳2,592m
    甲武信岳2,475m など

  • 富士山と秩父山系

    富士山と秩父山系

  • 水の塔山 2,202m<br />

    水の塔山 2,202m

  • 左東篭の登山 2,227m<br />右水の塔山  2,202m<br />

    左東篭の登山 2,227m
    右水の塔山  2,202m

  •  高峰山 2,091m

    高峰山 2,091m

  •  左黒斑山 2,414m

    左黒斑山 2,414m

  •  中央水の塔山 2,202m<br />

    中央水の塔山 2,202m

  •  左烏帽子岳 2,o66m<br />  右見晴岳  2.095m 

     左烏帽子岳 2,o66m
    右見晴岳  2.095m 

  • 最後方 黒斑山<br /> 手前 高峰山

    最後方 黒斑山
     手前 高峰山

  • 黄金色に色づいた広大な田んぼと浅間連峰

    黄金色に色づいた広大な田んぼと浅間連峰

  • 右前掛山と浅間山が重なって見える。煙が立ち上る付近が浅間山の峰<br />左の山が黒斑山

    右前掛山と浅間山が重なって見える。煙が立ち上る付近が浅間山の峰
    左の山が黒斑山

  •  右前掛山 2,524m と浅間山2.568m<br /><br /> 中央手前剣ヶ峰<br /> 左黒斑山 2,414m<br />

     右前掛山 2,524m と浅間山2.568m

     中央手前剣ヶ峰
     左黒斑山 2,414m

  •  沿道のコスモスと浅間連峰

     沿道のコスモスと浅間連峰

  • コスモスと黄金色の稲<br />浅間連峰

    コスモスと黄金色の稲
    浅間連峰

  • 左から黒斑山 剣ヶ峰 前掛山と浅間山

    左から黒斑山 剣ヶ峰 前掛山と浅間山

  • 浅間山連峰

    浅間山連峰

  • 浅間山の噴煙 そのすぐ左に高さはほとんど変はらない前掛山<br /> 頂上付近に広大なカルデラが存在する。<br /> 左手前は剣ヶ峰

    浅間山の噴煙 そのすぐ左に高さはほとんど変はらない前掛山
     頂上付近に広大なカルデラが存在する。
     左手前は剣ヶ峰

  • 左は黒斑山

    左は黒斑山

  • 黒斑山の右に蛇骨岳 仙人岳の峰が並んでいる。

    黒斑山の右に蛇骨岳 仙人岳の峰が並んでいる。

  •  エゾリンドウの花<br /> 池の平湿原秋の最後を飾る高山植物。

     エゾリンドウの花
     池の平湿原秋の最後を飾る高山植物。

  • 可憐で色鮮やかである。

    可憐で色鮮やかである。

  • 赤く色を染める草花

    赤く色を染める草花

  • マツムシソウ<br /> 秋の代表的な花<br /> 鮮やかな紫

    マツムシソウ
     秋の代表的な花
     鮮やかな紫

  • 色鮮やかな蝶。<br />羽をパッとひらいてスーと閉じる。一瞬の動作で開く瞬間を待っていては撮影できない。見込みでシャッターを何枚か切り、ようやくこの程度。

    色鮮やかな蝶。
    羽をパッとひらいてスーと閉じる。一瞬の動作で開く瞬間を待っていては撮影できない。見込みでシャッターを何枚か切り、ようやくこの程度。

  • このチョウは比較的撮影が容易

    このチョウは比較的撮影が容易

  • 標高2,000mの湿原にもミツバチがいた。

    標高2,000mの湿原にもミツバチがいた。

  • ヤナギラン

    ヤナギラン

  • ヤナギラン<br /> 徐々に下から花が落ち、花は最後。<br /> 色鮮やかであった。

    ヤナギラン
     徐々に下から花が落ち、花は最後。
     色鮮やかであった。

  •  高原はもう秋の草花でいっぱい

     高原はもう秋の草花でいっぱい

  •  高原は紅葉が始まった。<br /> 緑、赤、黄色が秋を彩る。

     高原は紅葉が始まった。
     緑、赤、黄色が秋を彩る。

  • 色づき始めた木々

    色づき始めた木々

  • 高峰高原標高2,000m<br />にある高峰温泉

    高峰高原標高2,000m
    にある高峰温泉

  • 高峰温泉には電線がつながっていない。<br />照明はすべてランプ<br />テレビは映りません。<br />これが現代においては風情があり、人気が高い。 

    高峰温泉には電線がつながっていない。
    照明はすべてランプ
    テレビは映りません。
    これが現代においては風情があり、人気が高い。 

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この旅行記へのコメント (1)

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  • めーてる隊長さん 2009/10/25 10:25:16
    空模様
    おはようございます。
    やっと落ち着いて書き込みできます。(^^)

    良いお天気の写真でストレスありませんね♪
    青空に白い模様・・・まさに空模様。
    こんな空が大好きです。

    年に2〜3回は通っているこの付近・・・
    山の名が分からなくて、困っていました。
    平面の地図ではまったくわからない。
    この旅行記は辞書(地図)として永久保存版ですね。
    UPありがとうございました。

    浅間山の秘話・・・
    黒々とした岩を眺めながら登っていくと、看板に記してありました。
    実話なんですね〜 恐ろしい事です。

    そろそろ黄金色に染まっているでしょうか・・・唐松林♪
    また見せてくださいね。

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