シルクロード――西安編?

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異文化が融合する国際都市の建造物

　西安には、国際都市であった長安という街が、紛れもなく異文化の行き交う場所であったことを証明する名所がいくつもある。西安は、中国の仏教発展のための重要な窓口となったばかりでなく、西域を席巻することとなるイスラム教も、西安にしっかりと伝播している。

　イスラム教が中国に伝わったのは、651年唐の高宗の時代のこと。ルートは2つある。1つは、アラビアからイランを通り、天山南路、天山北路を経て、中原地帯に入るというもの。もう1つは、アラビアからインド洋を渡ってインドに入り、マラッカ海峡を横切って、東南海沿いの広州、泉州などの港に入るというもの。

　唐から宋の時代に、アラビア人は、貿易や外交のため、長安や海沿いの地域を訪れては、住み着いていった。元の時代になると、これらの人々は中国籍に入る。イスラム教は、中国の風俗習慣に自然に融合していったのだ。清の時代には、イスラム教は、独自の教義制度を形成して、中国人のイスラム教布教師が現れるに至る。

　中国のイスラム教徒は、大部分がスンニー派に属している。現在、中国の回族は、1000万人にも達する。

　そのうち西安には、5万人の回族がいると言われている。これは、西安における40もの少数民族の中で一番多い数となる。したがって、この都市にはモスクも多いわけだが、その中で、清真大寺は、西安最大のイスラム教のモスクで、中国のイスラム教の中心となるものである。

　清真大寺は、742年に建立された。寺内にある同年作製の「創建清真寺碑記」には、玄宗皇帝の命によることが記されている。東西約250ｍ、南北約50ｍの寺院は、メッカを背にして東向きに造られている。そして、4つの区画に分けられ、建物はみな対になっている。

　イスラム教寺院に、中国の伝統的な様式が解け合った建築は独特だ。見所も多い。この文化の混在した形式は、そのまま西安の奥深さを感じさせる。

　第3院の省心楼は、イスラム教の僧侶が白い帽子を振って人々を集める場所。そこはかとなく風情がある。第4院は礼拝大殿と呼ばれ、1回に1000人以上の人が礼拝ができる。信者たちは、1日5回、ここでメッカのある西に向かって礼拝をしているのである。簡素で広い空間が独特の雰囲気を持っている。


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