2008/08/11 - 2008/08/14
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harihariさん
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旅行2日目。
1日目に博物館と美術館を観終えたので、この日はまるまる本郷界隈の散策です。
本郷界隈には、明治の文豪たちにゆかりの場所がたくさんあるので、それらを見て回りながら東京大学、旧岩崎邸庭園、そして昼からは根津の方まで足を伸ばしてみました。
ゆっくり歩いてみて回ると、いろんなものが見れて面白いですね。
- 同行者
- カップル・夫婦
- 一人あたり費用
- 3万円 - 5万円
- 交通手段
- 高速・路線バス
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朝6時、旅館のフロントはまだ閉められたまま。
邪魔にならないように、そっと抜け出して朝の散歩に。 -
今は営業をしていない「伊勢屋質店」。
東京・本郷といえば、樋口一葉が暮らしていたところ。この質屋さんには、生活費に困った一葉が何度も足を運んでやりくりをしていたようです。
内部の公開はしていませんが、奥に見える白い土蔵は、当時の面影をそのまま残しているので、江戸から東京へ移り変わりゆく雰囲気を醸し出しています。
土蔵、家屋ともに国の登録有形文化財。 -
震災も空襲も飛び越えて、まるで100年前に戻ったような伊勢屋さんの佇まい。東京にもこんなところがあったんですね...
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菊坂。東大前の本郷通りに向けて、なだらかな坂が続いています。
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これが、有名な東京大学の赤門。
旧加賀前田江戸上屋敷の御守殿門。文政10年の建築。重要文化財です。
東京大学から不忍池にあたる広大な敷地は、旧加賀藩の前田屋敷の敷地でした。 -
赤門の瓦には、加賀前田家の梅鉢紋。
天満宮の紋と似ているところから、前田家は菅原家の末裔だと名乗っていたこともあったとか...。
あり得ないんですけどね。
家柄が重要視される封建社会ならではのエピソード。 -
本郷台地の一角には、まだまだ戦前の家屋が多く残っています。そんな、明治〜昭和初期の風景を探して歩くのも、散策の楽しみ方。
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鳳明館台町別館。
鳳明館本館の隣にあります。こちらは大正期に建てられたもの。 -
鳳明館の朝食。贅沢ではないけれど、適度な量の美味しい朝ごはんでした。
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旅館の前の胸突坂。この辺りで、ここが一番急な坂道ではないでしょうか...。
最初下から見たときは、心が折れそうになりました。 -
生活感の滲み出たいい路地。
夏の朝、水遣りをするおばあさんが似合いそう。 -
ここから先は、樋口一葉が18歳から21歳ぐらいまでを過ごした場所。今でも多くの一葉ファンが訪れるらしいです。
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一葉の旧居前には、一葉が使っていた井戸が今でも現役であります。
今では静かな住宅の一角になっているその場所にじっと佇んでいると、執筆活動をしながら母と妹を養っていた20歳そこそこの一葉が、すぐそこにいるような錯覚にとらわれます。 -
炭団坂。
東京には坂が多いんですね。菊坂、胸突坂、炭団坂、無縁坂、道玄坂、富士見坂、団子坂、神楽坂、御茶ノ水坂...。
そして坂が多いということは、谷も多い...。
四谷、渋谷、世田谷、千駄ヶ谷、阿佐ヶ谷、入谷、下谷、市谷... -
この狭いエリアに、樋口一葉をはじめ宮沢賢治、坪内逍遥、石川啄木、少し足を伸ばせば、夏目漱石や森鷗外、幸田露伴、永井荷風の生誕の地や旧居跡などがたくさんあるので、文学ファンには格好の散策コースになるのではないでしょうか。
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そして本郷にはネコが多い。
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ここにも。
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人慣れしてて、カメラを構えても逃げださないネコが多かったです。
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再び東京大学に。これは正門。赤門に対して黒門と呼ばれているものです。
明治42年竣工、国の登録有形文化財。設計は築地本願寺や湯島聖堂を設計した伊藤忠太。 -
東大構内の有名な銀杏並木。夏休み期間中なので、人が少なくてとてもいい雰囲気です。
正面に見えるのが安田講堂。 -
関東大震災で多くの被害を受けた東大の校舎は、それ以降に建築されたものが多いようです。
教育学部は昭和3年の建築。 -
日本の最高学府らしく、アカデミックな雰囲気が出てる気がします。
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安田講堂。
正式には東京大学大講堂ですが、講堂の寄付者・安田善次郎(安田財閥創始者)の名をとって、安田講堂といわれています。
完成は震災後の大正14年。建設途中に震災に見舞われた唯一の建物。国の登録有形文化財です。 -
三四郎池。
正式には「育徳園心字池」。この池は、江戸時代は加賀藩邸の庭園の一部だったところ、明治時代に当時の東京帝国大学に移管され、後に夏目漱石の小説『三四郎』にちなんで、「三四郎池」と呼ばれるようになったそうです。 -
東大病院。
正面玄関上部の巨大なレリーフは、病気の診断、治療、予防を表現しているもの。 -
東大を出て、春日通沿いの壷屋総本店。江戸初期創業という和菓子の老舗。
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江戸時代から長年、庶民に親しまれてきたこのお店は、現在の当主で17代目ということです。
写真上部の額は、この店のファンだった勝海舟直筆の書。
夏の間は配送をしていないとのことで、大阪に送れなかったのが残念ですが、名物壷々最中を買って食べました。しっかりとした甘味があって、美味しかったです。 -
少し歩いて湯島天神へ。
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天満宮らしく、受験生らしき人がお参りにきていました。
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こちらが天満宮の梅鉢紋。東大赤門の加賀前田家の紋とそっくりです。
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今度は旧岩崎邸庭園。
岩崎財閥の創始者・岩崎弥太郎の長男、岩崎久彌の旧邸宅です。 -
明治29年、イギリス人建築家ジョサイア・コンドルの設計によるもの。コンドルといえば、今はなき鹿鳴館の設計者として有名です。
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ゴシック様式とジャコビアン様式が見事に融合された、重厚かつ華麗な格調のある階段。
なんといっても、現実に鹿鳴館の雰囲気を髣髴とさせてくれる洋館は、ここだけではないかとも思われます。 -
ジャコビアン様式の柱。
例えば柱のフォルム、柱頭部のデザイン、天井、木造の床、タイル、暖炉など、2階と1階で全然違う様式を取っているんです。2階と1階どころか、1部屋ごとに、もっと極端にいえば一つ一つ違うデザインが施されているものもあるんです。そのこだわりは必見。 -
各部屋ごとに異なるデザインを施す暖炉。
こちらの洋館は、主に客人をもてなす応接室として使用されていたようです。 -
こちらは、使用人専用の階段。客人と顔を合わすことがないように配慮された設計になっているとか。
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洋館と廊下でつながれた書院造の和館があります。
写真の左半分が洋館、右半分が和館。 -
こちらは、岩崎家の住居部分にあたるもの。
もともと和館はもっと大きかったらしいのですが、後年に取り潰されて残っているのはわずかにここだけ。 -
橋本雅芳の日本画が描かれた和館には、日本建築の巧みがふんだんに取り入れられています。おそらく、今はなくなってしまった部分にも、素晴らしい技術が使われていたことでしょうね。
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見てのとおり、2階はイオニア式、1階はトスカナ式の柱様式です。
明治時代に作られた木造の洋館の傑作といってもいいんじゃないでしょうか。 -
こちらは和館部分の全景。お茶と和菓子をいただくこともできるみたいです。もっと時間のあるときに、ゆっくり訪れてみたい庭園ですね。
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撞球室。山小屋風のいわゆるビリヤード場。
洋館の完成からしばらくして、やはりジョサイア・コンドルの設計で完成しました。ちなみに洋館とは地下通路でつながっていたとのことです。 -
撞球室の内部は非公開で入れないのですが、入口付近から中をうかがい見ることはできます。
ここで、明治大正の政財界の大物たちがビリヤードに興じていたのかと思うと、不思議な気持ちになってしまいます。 -
再び東大付近まで戻ってきて、昼ごはん。
万定フルーツパーラー。大正3年創業。 -
大正モダンな様式を今も残す店の外観。
果物店としては休業(廃業?)していますが、パーラーとしては営業しています。
大正3年の創業ということは、芥川龍之介や梶井基次郎など、旧帝国大学の学生たちも通っことがあるのかもしれませんね。 -
そして、これがここの名物カレーライス。
ルーはかなりサラサラ系です。すごくフルーティだけど香ばしい。甘味があるけどスパイシー。今まで食べたことのないようなカレーライス。
これは絶対に食べといて損はないと思いますよ。 -
ただし、僕が行ったときは、エアコンがあまり効いてなかったような気が...。扇風機が回っていましたけどね。
暑いので、食後にレモンスカッシュを注文。もとはフルーツ屋さんですから、美味しくないわけがない。 -
一旦旅館で休憩(昼寝?)した後、午後から再び始動。
胸突坂下の甘味処「えちごや」。明治10年創業。 -
クリームあんみつ。これで500円とは安い。
フルーツたっぷりだし、あんことバニラアイスと黒みつも、最後のほうになるにつれていい感じに混ざり合って、最高のデザート。 -
根津の方まで歩いて、上りと下りで階段の数が違っているとも言われる「お化け階段」。
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一応、上り下り数えてみました。数が合ってたので、ホッとしました。
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予定ではこのまま根津神社に向かうつもりだったのですが、ふと目を横に向けると、なにやらよさそうな建物が。
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日本基督教団根津教会。大正8年に建築。
礼拝堂・煉瓦積の門と塀が登録有形文化財。
根津界隈で最も古い木造建造物だそうです。
急な訪問だったのですが、中の見学も自由にさせてもらえました。 -
根津神社に到着。
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鳥居をくぐり、神橋の向こうには重要文化財の楼門。
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社殿は1705年の創建で、江戸幕府五代将軍・徳川綱吉による普請だそうです。
楼門、社殿の他にも銅灯籠、透塀、西門、唐門など重要文化財がたくさん存在する根津神社は、東京十社の一つ。 -
根津神社から北へ少し行くと、夏目漱石旧居跡があります。漱石が住む13年ほど前には、森鷗外もこの地に居を構えていたそうです。
日本を代表する文豪が、時を違えて同じ場所に住んでいたなんて、面白い偶然ですね。 -
日本医大付属病院の裏手にある解剖坂。病院の裏にあるから解剖坂なんて、いったい誰が名づけたんでしょうか?
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千駄木のだんだん。だんだんっていうのは階段のことでしょうね。
ここも静かな民家の中にあって、人通りも少ないので、もの寂しい雰囲気を醸し出しています。 -
今回の散策の最後、団子坂。
江戸川乱歩の「D坂の殺人事件」のD坂とはもちろん、この団子坂。 -
千駄木の駅前にある、明治8年創業の菊見せんべい総本店。
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店内には数種類のせんべいや霰が量り売りしています。
昔ながらのしょうゆ味のせんべいほか、砂糖風味などの組み合わせでお土産に買って帰りました。 -
地下鉄で上野まで戻り、今日の晩ご飯は上野の蕎麦屋「蓮玉庵」。
森鷗外をはじめ、樋口一葉や坪内逍遥ら明治の文豪も通ったといわれる、江戸末期創業の老舗。 -
天せいろを注文。
天ぷらはサクサク、お蕎麦は風味豊かな味わい。関西人にとって、大阪・京都・神戸で美味しいものは大抵そろうと思ったりしますが、お蕎麦に関してはかなわない。 -
食べ終えた後は、蕎麦湯をいただきました。記憶にある限り、蕎麦湯を飲んだのは初めてかもしれない...。美味しいもんですね。
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夜、旅館からほど近い場所にある銭湯、菊水湯。
脱衣場はレトロ感が満載です。こういう場所で、地元の人達の話し言葉を聞くのは面白いです。
ひっきりなしにお客さんが集まってきます。内風呂がないわけじゃないのに、こんなに繁盛しているのは、銭湯文化が地域に根付いている証拠なんでしょうか。
お風呂から帰って、この日はこれで終了。一日中歩き回ったので、疲れて就寝。 -
翌日、快晴の早朝。朝食前の散歩。
本郷6丁目にある求道会館。大正4年に建てられた仏教系の施設。関西の近代建築界の父・武田五一の設計です。この建物は、東京都指定有形文化財です。
こういうものを何気に発見するのが、町歩きの醍醐味ですよね。 -
本郷6丁目、明治38年築の本郷館。木造3階建ての下宿です。
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おそらく、元々は東大の学生たちのための、当時としては高級な下宿だったのでしょうが、時代が経つにつれて設備等の古さから敬遠されるようになったのでしょうか...
それでも、今でも住まれている方がいたので、内部の見学は不可との看板がでていました。 -
散歩から帰って朝食を済ませると、チェックアウト前にじっくり館内を見て回りました。
ここ鳳明館は、そもそも明治時代に東大生の下宿として建てられています。
ところが、交通網の発達などにより、大学の近くに下宿をする必要がなくなったことから、下宿屋としては経営できず、旅館としての道を歩み始めたということでした。 -
その後、景気のよい時代には、明治時代に建てられた木造の旅館などには誰も目もくれなかったので、経営難から建て替えなどの話もあったらしいのですが、なんとかその時代を持ちこたえたことで、ありがたいことに再び今の時代に脚光を浴びるようになっているようです。
次にここを訪れるときも、今と変わらない姿を保ち続けてほしいものですね。
AM10:00チェックアウト。
午前中、東京駅の地下でお土産などを物色したあと、12時過ぎ、東京駅八重洲口より大阪行きのバスに搭乗。
PM7:00頃、大阪駅到着。
上野・東京国立博物館と本郷界隈散策 <終了>
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この旅行記へのコメント (2)
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- 白い華さん 2008/09/17 19:45:32
- 上野を 熟知した! 人の 歩き方。
- 今晩は。
大阪から 短い!滞在で 東京の 観光・・・と いうと、 つい、お台場や、 原宿 etc・・・の メジャーな 場所!へと 向かってしまいます。
今回は、 上野公園 周辺!の 美術館の 催し物(フェルメールなど)の ために 上京されたのですね〜。
旅行記 二編! とっても 素敵な 上野の 雰囲気が、 余すことなく・・・歩かれたようで、
ーーーまるで、『地元! 上野を 熟知した! ベテランさんの 歩き方』と、 感心! してしまうのでした。
ホントニ、 素敵な 町歩き。。。
コレ!なら、 きっと、 楽しかったことでしょう。
宿泊も いかにも・・・大昔の 本郷の ムード!が 感じられる 旅館・・・。 ビジネスホテルとかではなくて、 ココ!も 気を 配った 選択でしょうか?
何処までも・・・ レトロな 上野!を 感じられて いいですね〜。
私も 旅行記で 上野公園の「国際 子ども 図書館」などを 詳しく! レポ していま すが、 アノ 古い!建物の 裏側は、 超モダンなのは 見ましたか〜? この 建物・・・ホント、 素晴らしいですよね〜。
また、「石造り!の ピラミッド」の 今は、 使われていない! 京成線 の 「博物館前 駅」は、 地下の 駅!も (子供時代 見ましたが)モノスゴク レトロな 感じ!で きっと 見たら、 感激したことでしょう。
上野に しぼって・・・、 『素敵な 東京 観光』に モチロン 一票!
写真も コメントも 解りやすくて、
ーーーharihariさんの 旅への 愛!が 感じられました。
これからも ヨロシク お願いします。
- harihariさん からの返信 2008/09/18 22:57:53
- 白い華さん、こんばんは。
- コメント、ありがとうございます。
二泊三日の東京観光だったのですが、いろんなところを見て周りたいという思いあり、詰め込みすぎずにのんびり過ごしたいという思いありで、どうしようかと迷いましたが、結局こんな感じの旅行になりました。
行動範囲は狭いですが、自分の足で歩くことで、その土地の風土や生活が垣間見れそうな気がするんですよね。
ブログを楽しんでいただけたのなら、とても嬉しいです。
泊まる旅館には、ついこだわってしまいますね〜。古い旅館に泊まっている時の、長い歴史の一部に身を置いてる感が好きです。
ところで、白い華さんの上野の旅行記も見せていただきました。
国際子ども図書館、とてもいい建物ですよね!
現代的なアート感と、ネオゴシック調の佇まいが見事に調和されていて、図書館らしい落ち着きを演出していたように感じました。
近所にあったなら、絶対にまた行ってみたくなる場所です。
それでは、これからも素敵な旅行記を楽しみにしていますね。
harihari
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