日本の旅　関西を歩く　「なにわの海の時空館」と「大阪国際平和センター」

2008/05/16 - 2008/05/16

なにわの海の時空館（なにわのうみのじくうかん）は、大阪市南港の大阪湾に面した咲洲（さきしま）にある。大阪市の市制１００周年を記念して１９７４年にシャルル・ド・ゴール国際空港ターミナルビルを設計するなど世界的な建築家ポール・アンドリュー（１９３８年生−フランス）の設計で総工費約１８０億円を投じて建設された市立海洋博物館で２０００年に開館している。エントランス棟とドーム型の展示棟が海底トンネルで繋がるユニークな構造になっており、展示棟には全長３０ｍの菱垣廻船「浪華丸」、江戸時代の海運都市・大阪の紹介や古代から現代に至る航海術や古代船などが展示されている。ポール・アンドリューが４２０８枚のガラスで建築したというドーム型の展示場は２００２年に英国構造技術者協会の特別賞を受賞したそうだ。バブル期の遺産とも思える豪華な建物は財政難の大阪とすればコストをかけ過ぎではないか、と思ってしまうが大阪の歴史文化をたくさんの人たちに知ってもらううえでは優れた施設だろう。
「大阪国際平和センター（おおさかこくさいへいわセンター；通称ピースおおさか）」は、大阪市の出資で１９９１年に開設された戦争と平和に関する調査研究や展示を行っている施設。橋下大阪府知事が施設・団体の見直しで３月に訪問し、施設の維持管理団体職員の給与が３００万だったのに鍵の開け閉め程度の働きしかしない大阪府からの派遣職員の給与が１０００万円だったことで、維持管理団体から「大阪府からの派遣職員の存在は『むしろ邪魔』」と言われてしまったことが全国にテレビで報道された施設だ。
今回初めて見学したが、１９４５年３月の大阪大空襲で投下された1トン爆弾の模型、朝鮮半島の植民地化や満州事変、日中戦争、南京事件、広島・長崎の原爆投下、ユダヤ人を虐殺したポーランドのアウシュビッツの写真など目を覆うような悲惨な写真もありのままに展示されている。戦争の残酷さ恐ろしさを肌で感じる展示内容で、日本の戦争犯罪についても展示をしている日本唯一の公的施設とも言われている。大阪府が天下り的に仕事をしない高給取りを派遣しているのは問題だが、「大阪国際平和センター」が次世代に戦争の恐ろしさを伝え、未来永劫平和を目指す使命は重要であり、運営をスリム化したうえで重要な機能は残してほしいものだ。一都市である大阪の施設であるより、世界唯一の被爆国日本としてはむしろ国が運営すべき重要な施設ではないだろか。
（写真は「なにわの海の時空館」の４２０８枚のガラスで建築したドーム型の展示場）

エリア 大阪

「なにわの海の時空館」前から見る大阪湾の光景。

コスモスクエア前から見る「なにわの海の時空館」。

「なにわの海の時空館」前から見る大阪湾の光景。

「なにわの海の時空館」前から見るコスモスクエアのビル。

「なにわの海の時空館」前から見る大阪湾の光景。

復元された古代船「なみはや」。大阪市平野区の「長原高廻り（ながはらたかまわり）２号古墳」から見つかった船形埴輪をもとに復元され、１９８９年には韓国・釜山への実験航海を行い、外洋を航海する性能を備えた船であることが証明されたそうだ。

「なにわの海の時空館」前から見る大阪湾の光景。

「なにわの海の時空館」に展示されている高橋廣道（たかはしひろみち１９７１年−）作「箱舟」。

「なにわの海の時空館」前から見る大阪湾の光景。

「なにわの海の時空館」の海底トンネルにある、「海が見える窓」。

「なにわの海の時空館」前から見る大阪湾の光景。

「なにわの海の時空館」。

大阪市章『みおつくし（澪標）』。 「難波江の浅瀬に立てられていた水路の標識」だった。

「なにわの海の時空館」。

大阪国際平和センター。

大阪国際平和センター。

大阪国際平和センター。

大阪国際平和センター。

大阪国際平和センター。